アエラ 2000年 4月24日号
松井 隆(株式会社エリートネットワーク 代表取締役)
『求められる仕事のスピード感が速かった。おかげで数多くの企業や人と出会えた。終身雇用を望む人と、いつか独立しようと思っている人の、エネルギーの出し方は違う。若手のビジネスマンにとって、最高の道場だった』
97年に人材斡旋会社「エリートネットワーク」を興した松井隆社長(43)は、
「年齢なんて関係ない。実力だけ。面白い仕事を任されるまで、順番待ちをする必要はなかった」
と振り返る。入社して3年目に「月刊ハウジング」の創刊に携わった。アイデアから創刊まで数ヶ月で決定。最初は季刊で出す予定だった。だが出した途端に「面白い。いける」と隔月刊が決まり、次には月刊となった。
「即断即決、すぐ実行が求められる。だから集中力もつくし、工夫せざるを得ない。能力がぐんぐん伸ばされていく感じだった」
27歳で課長になった。34歳で新しい情報誌「ガテン」の営業部長を任された。日本の会社は、肉体的にピークの20代に補佐的な仕事しかさせないところが多い。だがリクルートでは、20代の課長は珍しくない。能力主義が徹底し、半年ごとに査定をする。成果はすべて数字で示され、給料に反映する。年功序列ではないので、同期でも年収が200万円以上違う人もいる。昨年末、寮や社宅制度、家族手当などの福利厚生を廃止。その資金で、さらに能力給を充実させた。当然、数字には厳しくなる。だが今回、ここに登場しない数多くの退職者にも取材したが、それを悪く言う人はだれもいなかった。厳しいけれど、達成したときにきちんと評価されるからだ。