B-ing 2007年 2月28日号
横関 綾子 氏
(株)エリートネットワーク カウンセリング事業部
【 profile 】
大学経済学部卒業後、不動産賃貸物件の開発・運営を行うデベロッパーに就職。企画開発を経て人事部に異
動。採用担当として新卒・中途採用に携わる。1999年エリートネットワークに転職。法人営業兼転職カウンセラーに。不動産、不動産金融、建築業界を専門として幅広い求人案件を手掛ける。
宅地建物取引主任者。
デベロッパー、不動産金融会社ともに好調が続いています。特に不動産金融は低金利が長期化しているため、利回りを重視する個人投資家の資金も流入し、活況を呈しています。単にファンドを組むだけでなく、土地の仕入れ、物件の建設、運用まで手掛ける企業が増え、デベロッパーとの境目がなくなりつつある状況。ただし、企業が乱立し、今後は業界再編も事実です。
不動産金融業界で採用が活発なのは、アクイジョンといわれる土地の仕入れ担当者。そしてアセットマネージャー(AM)、プロパティーマネジャー(PM)です。土地の仕入れは慢性的な人材不足ですし、好業績で扱う物件が増えれば、その分AM、PMも必要になります。PMを筆頭に、法人営業経験や不動産業界への興味があれば可という場合も少なくありません。デベロッパーも同様です。ただし2,3年前に比べて、経験者を求める比率が上がり、採用のバーが高くなりつつあります。 金利が上がれば、不動産に向けられ資金は少なくなる。淘汰される企業も出てくるだろうし、人材ニーズが減る可能性もあります。
「高給に引かれ落ち目の会社とは知らずに転職」
年収が100万円以上増えるのが魅力で、信託銀行の法人営業から仕入れ担当としてデベロッパーに転職。ところがいざ転職してみると、会社自体の業績が下降線。いい物件が買えなくなったのが目に見えて分かる。同業界にいる先輩に後で話を聞いたら、業界内では「あそこはもう駄目」といわれていた会社らしい。社内もすさんでいるし、もっと慎重に転職を決めればよかった。
横関氏のアドバイス ――― 淘汰が進む業界こそ、よく調べたうえで転職を
不動産デベロッパーは特に淘汰が進む可能性が高く、経済紙や専門誌などで業界や会社の将来性を調べたうえで転職を決めるべき。ただしどんな会社でも、そこで実績を挙げることで、不動産金融や投資会社への転職など、選択肢の幅は広がるので、挑戦してみるのも手です。
「採用のピークは2年前。早く動いておけばよかった」
就職氷河期で、不動産投資会社への就職がかなわず商社に就職。経験を積み、折衝力や営業力にも自信が持てたので、不動産投資会社に再挑戦することにした。不動産業界は景気がよく、採用も多いようだ。ところが応募してみると、2年前が採用のピークで、当時は未経験者を受け入れていたのが、今では専門性の高い人材で、業界経験者でなければ厳しいという。もう少し早く動いていればよかった。
横関氏のアドバイス ――― 業界経験者を求める会社は、今後増える傾向に
業界未経験者を受け入れる企業もありますが、全体的には経験者を求める傾向が高まっています。2年前なら十分採用された人が、今では不採用になるケースもある。この傾向は今後さらに強まりますから、この業界を目指すのであれば、できるだけ早く動くのが得策でしょう。
「できるだけ早く業界に入り、経験を積むことがチャンスにつながる」
不動産投資会社は外資系も含めて競争が激化し、勝ち負けがはっきりして淘汰が進む可能性が高く、未経験者にはさらに厳しい環境になります。未経験者から目指すなら、できるだけ早く業界に入り込むこと。業界全体で見ると、今後も開発、リフォーム、土木などの分野を中心にニーズが減ることはないでしょう。同じ業界で経験を積むことで、キャリアの選択肢の広がりも期待できます。