B-ing 2001年 6月6日号
総力特集
最近、日本市場を狙った外資系企業の参入が目立つ一方、海外へ活発に進出する国内企業も増えており、ビジネスのグローバル化は、より一層進んでいる。世界を相手にする仕事は、もはや特別なものではなく感じるが、こうした仕事を希望する人は増えているのだろうか。転職市場に詳しい3人に聞いてみた。
・・・(中略)・・・
こうした中で特徴的なのは、外資系企業に目を向ける人が多くなっているということ。日本企業の元気のなさに比べて、意欲的に日本市場に参入してくる外資系企業の勢いは、やはり魅力的に見えるのだろうか。
「終身雇用の廃止や能力主義の導入を打ち出す国内企業が増え、比較的長期間の雇用が守られていたことでメリットと考えられていた企業風土が変化しつつあることも外資系人気の要因の一つですね」
と人材紹介会社エリートネットワークの松井隆氏は指摘する。
国際的な仕事をイメージするとき、外資系企業に入ることは欠かせない選択肢だが、注意しなくてはならないこともある。外資系だからといって必ずしも世界を相手にした業務に携われるとは限らないからだ。
・・・(中略)・・・
「アジア・パシフィックを統括するヘッド・クォーターを東京ではなく香港やシンガポ-ルに置く企業は多い。日本法人に在籍しながらグループ全体を動かすような仕事をするのは難しい」(松井氏)
日本法人として歴史が長い企業の中には、英語を使う機会はない部署がほとんどというところもある。外資系イコール国際的と考えるのは安易であろう。
・・・(中略)・・・
事務系職種の英語に関しては、読み書きの力が重視されるのが昨今の特徴。これは、時差の関係もあり、メールでのやりとりが頻繁であることが理由に挙げられる。もちろん、電話やテレビでの会議に参加したり、海外出張の機会が多い場合は、スムーズにコミュニケーションできるレベルのヒアリング力、会話力が求められる。進出して間も無い外資系企業では、英語力次第で任される仕事内容や後のキャリアパスにも影響が出る場合も多い。英語力があることが出世の条件だったりもするのだ。
ただし英語だけできればいいというわけでもない。松井氏はこう語る。
「外国人に気後れしない、会議できちんと発言できる、時差に強いなども大事。また、外国人は職務規定(job description)に書かれた仕事以外はしない風潮がある。個人主義や価値観の多様性を認められる度量も大切ですね」
世界を舞台に働くということは、心身ともに試される厳しい仕事であることを肝に銘じたい。