株式会社エリートネットワーク代表取締役社長
松井 隆氏
まついたかし●1956年生まれ。同志社大学文学部卒業後、リクルート入社。主に、新規事業の立ち上げを担当。新都心営業部部長、『ガテン』事業部部長、『週刊住宅情報』営業部長等を歴任後に退社し、97年にエリートネットワークを設立。厚生労働大臣許可の若手正社員専門の職業紹介、人材スカウト、並びに経営コンサルティング業を営む。著書に『バカな部・課長につける薬』がある。
「日本が直面している雇用面での最大の問題は、50歳以降のキャリアプランが考えにくくなったことだと思う」と松井氏は言う。実質的な定年の年齢はますます下がっていくだろう。外資系にいたっては、役員にでもならない限り、50歳までにはお役御免になる。大企業の経営陣であろうとも、60歳前後になると、だいたい寂しそうにしている。まして出世していなければ、50歳でもはやその人生は寂しい。
「元気なのは、職人。独立自営、自分の甲斐性で食っている人。職人は、匠の技だけを指すわけではありません。要するに、その道のプロフェッショナル。雇われない生き方を貫いている人たちです。そうなるためには、もちろん修行が必要です」
そこで若者、子供たちに問うべきなのは、『何をしたいか』ではなく、『何の道で生きたいか』なのだと松井氏は言う。今やりたいことは近視眼的だから、すぐに変わってしまうし、何をやりたいかを語るときは、横柄になる。それができないとなると、自己実現できないなどという。
「でも、道を問われれば、先が遠いから、人間はその分、謙虚になれる。そのために何を今すべきかを真摯に考えることができる」
松井氏の真意も、ステップ・バイ・ステップで大学を選ぶのではなく、一気に道を問い、その過程として大学を選ぶべきだというものだ。その結果は、もちろん大学だけとは限らない。
最後に、松井氏からの次のメッセージを紹介しよう。
「親が間違った刷り込みをしてはいけない、心からそう思います。多くの、特に母親は、いい学校に入ったら後が楽、安定するという。つまり、いい大学に入れれば、ホワイトカラーという楽な職に就けて、汗をかかずにすむ。そうでなければ、日々汗を流す仕事に就くしかないという発想です。このような間違った就労観を植えつけてしまうと、取り返しがつかない。現に、日本の頂点といわれる大学の卒業生をカウンセリングしても、潜在意識の中で、きつい仕事や状況を避けようとする人が多いのに愕然とします。どのような職種であろうが、優秀な人間は知恵も出せば、汗もかく。何よりも本人が汗をかくことを厭わない就労観をもつことこそ、どんな時代にも勝ち残れるビジネスパーソンを創り上げることになるはずです」
●進路が定まらなければ、理系に進め
職業選択の幅が広がる。理系からは文系の職種にも就くことができるが、その逆は難しいことが多い。またIT系は、大卒者全体の数%しかいないから有利
●学校運営に関してイノベーティブか
そのためには、時事情報が必要。大学関連の記事、学長、理事長の発言を追ってみる。
●広く経済社会と接点を持とうとしているか
実際の経済社会や産業界の動向に関心を払い、就職支援にも熱心な大学か。