週刊ダイヤモンド 2000年 4月1日号
それではこれによって、人材の過剰感が強い大企業から、中堅・ベンチャーへというマクロレベルの人材の適材適所が実現されるのだろうか。
ことはそう簡単ではない。
「大企業ホワイトカラーの特に意識面で保守化は深刻であり、そうそうベンチャー企業のニーズに合う人材がいるとは思えないからだ」
大手企業から外資、中堅ベンチャーまで幅広く人材斡旋を手がけるエリートネットワークの松井隆社長はこう警告する。「この不況期にあって、あえて求人をしようというITベンチャーあるいは外資系企業のトップはたいていの場合、アグレッシブだ。彼らはリスクをいとわず、新規で顧客を開拓していくような人材を求める。しかし、日本の大企業にこうした人材が育つ環境はほとんどない」
たとえば、この調査で挙がっているような法人営業といえば、大企業に人材はたくさんいるが、「自分からアポイントをとって新規顧客にアプローチできる」、「企業の決済システムや稟議の仕組みを把握したうえで、企画書を出せる」この2つの条件だけで、候補者は4分の1にまで減ってしまうのだという。
これに業界知識・固有のスキル、外資の場合ならTOEIC700点以上などという条件が加わると「候補者はごくわずかしかのこらない」(松井氏)。