日経産業新聞(2005年5月31日刊) 【転機 (人・言葉・出来事)】江副氏の一言 背中押す |
「君は商売に向いているね。」リクルートで「週間住宅情報」の営業部長だった私にこういったのは、江副浩正社長だった。三十七歳になったころだったと思う。もともと事業をやってみたいと思っていたため、江副さんの言葉は印象に残った。
人と違うこと、新しいことをやってみたいと思いリクルートに入った。当初から新規事業を任せてもらい、「関西版とらばーゆ」や「月刊ハウジング」を立ち上げ、91年には「ガテン」の創刊も成功裏に。
こうした業務を通じて、三千社以上の企業を訪問し、経営者や人事担当者と面談。江副さんの言葉に勇気づけられ、独立しようとの思いが固まった。
そして九六年。国際労働機関(ILO)が民間企業による職業紹介を原則自由化する勧告を出した。参入しにくかった職業紹介市場への道が開けた。ようやく事業の実現性が見え始めた。
こうして現在展開する人材紹介事業につながった。スキルの高い人材に絞って、転職希望者へのカウンセリングと法人営業を一人の担当者が兼務する形を取ったのも、リクルートでの経験が大いに生きた。