R25[アールニジュウゴ]
2010 9.2 No.271
社長など役員の報酬が何かと注目を集めている。上場企業では、今年3月期から年収1億円以上の役員の実名公表が義務づけられ、200人を超える"一億円プレーヤー"がいることが判明した。さらに、つい先日は東証一部上場の自動車部品メーカー・ユーシンが、報酬3500万円で社長を公募。世の中、高給取りってけっこういるんですね。アタマではわかっていたけど、自分の年収と比べて軽くヘコんでいる読者も多いのでは?
と、ここで気になるのが、もう少し身近な部長や課長、係長といった役職者の平均年収。一体いくらくらいが相場なのか?
厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」平成21年版によると、役職者の平均年収は係長で655万円、課長で841万円、部長では1032万円。役職間でもずいぶん差があることがわかる。
もちろん業界別でも差は出てくる。いろんな業界の事情に詳しい人材紹介会社エリートネットワークの杉本勉さんに話をうかがった。
「この不況の影響で全体的に右肩下がりの傾向はあるものの、比較的安定しているのは『情報通信業』や『電気・ガス・熱供給・水道業』といった情報インフラ、ライフライン関連や『金融・保険業』。とくに情報通信分野はスマートフォンやクラウドなど、新技術・サービスの登場により今後も高止まりが続きそうです。また、それぞれの役職全てで年収トップだったのは『鉱業、採石業、砂利採取業』。これは近年の資源高、エネルギー高が追い風になっていると考えられます」
もうひとつ、データから読みとれる傾向として、役職間の格差拡大も挙げられる。
「過去5年間の推移で見ると、部長職は5年前の水準とほとんど変わっていませんが、係長や非役職は10万円以上落ち込んでいます。業績悪化に伴う賞与カットやサービス残業などの実態も関係しているのかもしれません」(同)
急激な円高でさらなる景気悪化も懸念されるなか、中間管理職以下にとっては、しばらく受難の時代が続きそうだ。 (山口 学)