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『ニッポンの仕事777』
2009年上半期号
これから業界をめざすなら
Web系の技術者が狙い目!
次々と新しいビジネス、元気のあるベンチャー企業が登場するWeb、モバイル業界。 誰も予想しなかったビジネスが大当たりし、短期間で急成長を遂げる企業も少なくない。活気ある業界で今後チャンスをつかむことができる人材とは?
安藤 俊一氏
正社員専門の人材紹介会社である (株)エリートネットワークで、ネット・モバイル系のカウンセリング等を担当
Web、モバイル関連の業界は依然として元気がいい。ここ10年ほどで大成長を遂げた企業がいくつも登場し、これらの成功企業の後を追って、新たなビジネスを仕掛けるベンチャー企業も次々と生まれている。
正社員専門の人材紹介会社であるエリートネットワークで、ネット・モバイル系のカウンセリング等を担当する安藤俊一さんはこの業界の特色をこのように解説する。
「急成長する会社が多い一方、吸収・合併も頻繁に行われており、変化が激しい分野。業界を牽引する会社の顔ぶれも、ネット草創期と今ではガラッと変わっていますからね」
一口にWeb、モバイル業界といっても、そのビジネスモデル、戦略は多様。横並びの業界ではないため、この不況の影響も一律ではない。
「Web業界は他業界とのつながりが強いため、当然、不況の影響はあります。全体で見れば。メーカーや銀行ほどではないにしても、求人にブレーキが掛かっているのは確か。また、もともと人材の流動が激しい業界ですが、不況になると人が辞めなくなる傾向も強くなります。しかし、一方で、楽天やディー・エヌ・エーのように積極的に人を採り続けている企業もあります」(安藤さん)
2004年に提唱された「Web2.0」にしても、SNSなどで一部成功例はあるものの、概念が先行している状況。まだまだ「誰も予想していなかったビジネス」が生まれてくる可能性に満ちている。また、モバイルに関しては、ハードの進化にともない、広告やコンテンツもこれからどんどん進化していく。新しいことを仕掛けたい人、自分のアイデアを試してみたい人にとっては、今後も魅力十分な業界といえるだろう。
それでは、個々の職種へのニーズは、今、どう変わってきているのだろうか?まず、Webデザイナーに関して、安藤さんに話を聞いてみよう。
「Webデザイナーに対する企業からの要求水準は高まってきていると同時に多様化してきています。HTML、CSS、FLASHといった技術は持っていて当たり前、加えて、コーポレートサイトは、ブランドイメージを高めるためにデザイン性が重視されるケースもあれば、ユーザーの使いやすさが重視されるケースもあるなど、用途がさまざまですから、どのようなサイトを構築してきたかという『経験の中身』も問われるようになってきています。また、SEO、SEMのノウハウを持っている人材もニーズは高いですね」(安藤さん)
このようにハードルは高まってきているが、Web制作会社などからの求人は常時あり、未経験から転職のチャンスもある職種。また、単なるデザイナーではなく、自らWebサイトを運営する会社のWebマスターの場合、ビジネス感覚も求められるため、他業種での経験を活かして転身するチャンスもある。
一方、不況にもかかわらず、ニーズが高いのが、Webエンジニア、Webプログラマといった技術系職種だ。 「Webのバックエンドのシステム構築を内製化する企業が増えていることが背景にあります。以前はシステム開発会社に丸投げする事が多かったのですが、運用をスムーズにするには、内部にノウハウを蓄積する必要があるという方向にWeb系企業の意識が変わってきているのです。Perl、PHPなどのプログラミングができる人材は引く手あまた。この傾向は今後も続いて行くと見ています」(安藤さん) 未経験から、まず業界に飛び込むことを最優先に考えるなら、エンジニア系職種が狙い目だ。