type 2008年 11月1日号
(株)エリートネットワーク
カウンセリング事業部
今沢 雄一郎 氏
経験10年のベテランカウンセラー
東京大学工学部卒業。リクルートでの法人営業を経て、正社員専門の人材紹介会社、エリートネットワークへ。自ら足を運んで得た求人企業の取材情報をもとに、若手からエグゼクティブまでの転職をサポート。幅広い対応力が強み
A1 転職しないとどうなるか長い時間軸で考えてみる
あらゆるポジションの人に共通して言えることですが、なぜ転職をしたいのかを明確にするべき。不満な点がはっきりとしたら、今の会社で変えられないか考えてみましょう。リーダーという立場であれば、何を、どのように変えていけるか、もしくは変えられないか、メンバーのころよりも見えてくる。これまで築き上げてきた実績や周囲との信頼関係をあらためて見直し、もう一度、長い時間軸で自分のキャリアを考えることが重要です。今すぐではなく、5年、10年先を見据えてください。例えば会社の営業方針に不満があった場合、数年間は頑張って、さらに上のポジションに立った時点で変革をできないかと考えてほしいのです。転職に失敗しがちな人は、その時々の状況に過敏に反応し過ぎる人。今の人間関係や仕事内容だけを理由に、何度も転職を重ねてしまいがち。じっくりと考え、それでもダメだと判断してからでも、転職は遅くはありません。
A2 マネジメント経験の評価は意外と厳しい
現在20代後半から30代半ばの人が新卒だったころは、多くの企業が採用を手控えていました。そのため、年齢構成がいびつになってしまった企業が、ここ数年、マネジャー候補となる層の中途採用に力を入れていましたが、そろそろ人数もそろい、採用ニーズも落ち着いてきたというところ。ですから、今までリーダー経験があればそれで十分としていた企業も、その内容の深さや経験の長さ、領域などをじっくりと吟味し始めています。さらに、景気の減速も拍車をかけ、中途採用はよりハードルが高くなってきたというのが現実です。
今売れるマネジメント経験とは、部下の育成や評価を伴った、本物のマネジメント経験。派遣社員やアルバイトをまとめていたというだけでは、少し物足りないと言えるでしょう。
A3 IT業界の勝ち組企業はポジションを増枠
マネジャーが求められているのは、現在成長中の業界で、規模や社員数を増やしている企業。ネット業界やIT業界の勝ち組企業がそれに当たります。規模の拡大とともに、マネジャー、リーダークラスのポジションも増加している。ただし、それなりの経験がある人が求められています。
また、外資系企業のリプレイスニーズも常に発生しています。これは、マネジャーなどが退職するにあたり、同業で同じような経験をしてきた人をピンポイントで引き抜いてくるというもの。クローズドな情報であるため、ヘッドハンター経由か、人材紹介会社の非公開求人案件として扱われます。
A2 引き留めは当たり前!自分の覚悟を再確認
引き留めを振り切る勇気がないのなら、最初から退職を申し出ないでほしいというのが本音です。そこまで想定した上で、本当に転職すべきかをじっくりと考えてください。
退職の意思を告げるのは、退職希望日の1ヶ月半前までがベスト。慰留と後任への引き継ぎで、2ヵ月程度かかるというのが相場です。入社時期を引き延ばせるのは、最大でも1ヵ月程度です。
A5 本音であっても転職理由にはNG!
転職者の本音として、今の仕事に疲れたとか、残業続きのハードワークに耐えられないという理由が多いのは事実。けれど、それを転職理由にするのはやはり難しいでしょう。
例えば育児に時間を費やしたいというのなら、転職を考える前に、社内での転属という道を考えてみては?
勝手が分かる自社内で異動できれば、リスクは少なくてすみます。また、数年後に復帰したくなった場合、融通が利くかもしれません。
こういう理由こそ、長期的な時間軸でよく考え、早まらないでほしいですね。どうしても転職の必要があるという場合は、転職先として希望する会社の実態をよく調査しましょう。エージェントに確かめたり、その会社をよく知る人に確認してみるなど、労力を惜しまないようにしてください。
A6 実績があり、仕事を極めた人に限る
「35歳以上だと、転職しにくいのでは?」という声に対しては、イエスであり、ノーでもあると答えられます。誰もが認める実績を挙げ、仕事を極めた人ならば、同業他社からのオファーもあることでしょう。また、誰もが知っているような企業の課長や部長といえば、それだけで期待を持たれる場合もあります。
ただし、漫然と過ごしてきた人にとって、年齢の壁は厳しいものがあります。これといえる強みを持たない人にとっては、やはり若いほど転職しやすいのが現実です。