月刊ベンチャー・リンク
1999年10月号
エリートネットワーク
代表取締役社長 松井 隆
いまの時期、新たに人を採りたいと考えている企業は、規模の大小に拘わらず元気な企業。経営にもスピード感があるはず。私の経験からいうと、硬直化した大企業の組織のなかにどっぷり漬かっていた人というのは、こういうスピード感には着いてこられないとみて、ほぼ間違いはない。敷かれたレールの上をただ従属的に歩いてきた人に、道を切り開けといっても、しょせん無理な話です。もちろん、大企業でもベンチャー気質のあるところは別ですが――。いつも上にお伺いを立ててからでなくては、身動きがとれないような組織に長くいた人には、そういう体質が染み付いている。社歴10年未満の人ならば辛うじて、自らの体質転換も可能でしょう。
採用にあたって重視すべきなのはその人のメンタリティ。転職すれば、仕事だけでなく、人間関係も変わる。給料だって、いったん下がることもあります。そのリスクを負う覚悟があるか、それでも新しい仕事をしたいのかがポイント。何ができるのかは、必要条件で、十分条件ではないのです。
そういう人材を見分けるためにも、経営者は必ず初回面接は自分でやらないとダメ。端で見ているとわかるのですが、社長がみたら「あんな奴ほどうちに欲しいんだ」という人が、担当者レベルの面接で落とされていることは、珍しくありません。
昔ながらの大手・名門企業の中では、はみ出し者、変わり者といわれるくらい形式にこだわらない人は、中小に転職してもうまくいきます。こういう人は儲けるのが好きで、会社と自分の成長を直結させる。すると周りの人間も、エンパワーメントされるという二重の効果が期待できます。 (談)