読売ウィークリー
2008年 9月21日号
(株)エリートネットワーク
代表 松井 隆氏
40歳前後の転職市場、とひとことで言っても、業界別、職種別にさまざまです。ただ、言えるのは、景気や市況によって大きく変動する、ということです。しかも、そのサイクルは短くなっています。例えば、昨年の今ごろは引っ張りだこだった不動産の仕入れ、アセット・マネジャー、ファンドの組成などの職種についても、この1年で環境は一変して、リストラの声も聞こえてきます。
転職に際しては、「おれの実力なら通用するはず。」と考えたくなるのが人情。しかし、どんなに能力が高くても、志望する業界に中高年の中途採用をする企業がなければ、マーケットバリューはゼロになる。逆に、「自分は専門性が高くないので・・・・・・」と悩む人でも、属する業界が好調で拡大を続けているなら、必要としてくれる会社が現れる可能性は十分あります。
つまり、新卒とは違い、「40歳の転職」を成功させるには、より注意深く「労働マーケット」を観察していくことが大切なのです。その意味では、安定して求人が確保されているのは、システムエンジニアやプログラマーなどソフトウエアの技術者くらいで、その他については変動する「相場」を見極める必要があります。
自分が属する業界が成長を続けているなら、同業種への転職は大いに可能性がある。転職先の会社から見ても、同業界の即戦力となる経験者が望ましいに決まっていますから。
もし、自分の業界が縮小しているなら、他業界に目を向けたほうがいいでしょう。例えば、需要が先細りしている石油ストーブの設計の技術がある人なら、それを生かして伸びている空気清浄機のメーカーに転職するなど。自分の持つ能力、技術が生かせる他業種を探ることです。
また、過去の転職回数は少ないほうが有利な現実もあります。40歳でも一貫したスキルを持ち、人柄も健全で、そして初めての転職、ということであれば、再就職できるケースは多い。「40歳」で良い転職をするためには、若い時、多少の不満があっても我慢して、転職回数を増やさないほうがいいでしょう。