銀行、証券会社、保険会社、リース会社、運用会社、PEファンド、VC等多岐に亘る企業群で構成され、DXやFintechの登場により大きな変革期を迎えている金融業界を解説します。
そもそも " 金融 "
とは、資金が余っている人(資金余剰主体)から、資金が必要な人(資金不足主体)へ資金を融通することを、略して「金融」といいます。
金融と経済発展は密接に関係しあっており、この「日本経済の根幹を支える役割を担う」という点に魅力を感じて、金融業界を志望する方は少なくありません。
金融機関という言葉から第一想起されやすいのは「銀行」かもしれませんが、証券会社や投資銀行、保険会社等、様々な業態の企業が存在します。
各業界の主要企業を以下に紹介します。
政府が出資金を全額(または一部)を出資している金融機関を指します。
民間の金融機関だけではカバーしきれない日本国内のみならず海外の経済発展や中小企業の活動を支援しています。
平成20年の政策金融改革により、政府関係金融機関の組織が見直され、現在は5つの機関があります。
政府系金融機関と混同されやすいものに、
等の系統金融機関があります。
これらは信用金庫やJA(農業協同組合)といった地域や職域等で組織された会員・組合員の相互扶助を目的とした協同組織金融機関の中央銀行のような役割を果たす金融機関です。
メガバンクは、巨大な収益規模や資産を有する銀行・銀行グループ、或いは総資産1兆ドル以上の銀行・銀行グループを指します。
日本では
が「3大メガバンク」と呼ばれています。
株式会社りそな銀行は、3大メガバンクに次ぐ規模を有する銀行で、資産管理、事業承継や不動産仲介業務も行う信託併営を継続している唯一の都市銀行でもあります。
地方銀行は、各地域を営業基盤とする銀行のうち、全国地方銀行協会に加盟する銀行です。
地方銀行の中で資産規模が大きい
の3行を「3大地方銀行(メガ地銀)」、ここに
を加えて6大地銀と呼ぶこともあります。
通常の銀行業務以外に、金銭や有価証券の信託といった「信託業務」、不動産仲介や証券代行、相続関連業務といった財産の管理・処分等に関連する「併営業務」を行うことができる銀行です。
証券の発行市場や流通市場において、「有価証券の発行者(株式会社等)」と「投資家」、もしくは「投資家」と「投資家」を結ぶ仲介者としての役割を果たしています。
銀行とは異なり、預金をもとにした融資ではなく、株式や債券の販売による売買手数料で収益を上げる事業構造であります。
近年、実店舗を持たず、インターネット経由で営業するネット証券会社も若年層を中心に新規口座開設者を伸ばしています。
保険会社は、「生命保険会社」と「損害保険会社」の2種類に大きく分けられます。
上記が、生命保険会社の大手4社です。
損害保険会社は、
の4社が主要企業です。
リースとは、顧客に対して産業工作機械や航空機、OA機器等、事業展開に必要な機械や設備を長期的に貸し出すサービスのことです。
顧客企業に自社が購入した製品を貸し出し、リース料を受け取ることで利益を上げています。
等が代表的なリース会社です。
企業インタビュー:『各国のエアラインの機体調達ニーズに沿って、最適な航空機リースの仕組みを組成、提案します。世界で通用するプロとして成長できる仕事です。/芙蓉総合リース株式会社』
顧客から預かった資金を、顧客に代わって運用する会社であり、「投資運用会社」「資産運用会社」「アセットマネジメント会社」等とも呼ばれています。
といった大手金融機関のグループ会社が挙げられます。
PEファンドは非公開株式への投資を行うファンドです。
日本国内に拠点を置くPEファンドは
等、様々な企業があります。
VCもPEファンドの一種であり、主に創業期や成長期にあるベンチャー企業に出資します。
金融機関系VC
独立系VC
等です。
また、公的資金をもとに投資している政府系VCも存在し、
が代表的な企業です。
ホールセール・RM (法人営業) |
大手企業や自治体等の公共機関といった法人顧客を対象とした営業業務を行う。 | ||
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リテール営業 (個人営業) |
中小企業や個人顧客を対象とした営業業務を行う。 | ||
代理店営業 | 自社の金融商品を販売する代理店の開拓とその販売支援を行う、いわゆる関節営業。 | ||
プライベートバンカー (富裕層向け営業) |
富裕層の個人顧客に対して長期的に資産運用・管理や投資アドバイスを行う。 | ||
ディーラー・トレーダー |
金融市場で株式や債券、通貨等の売買を行い、利益を追求する。 ディーラーは、証券会社の資金を使って、自らの判断で実際に取引を行うが、トレーダーは自己資金を使わずに、顧客を対象に取引仲介業務を行う。 |
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ファンドマネージャー | 投資信託の運用責任者。運用方針に沿った投資戦略を策定・銘柄決定・売買判断等を行う。 | ||
クオンツアナリスト | 高度な数学的手法を用いて、金融市場のデータを分析・リスク管理・運用モデルの開発を行う。 | ||
アクチュアリー | 生命保険・損害保険・企業年金等の金融分野で、確率・統計の手法を用いて保険料率・支払保険金額の算定といった数理計算業務を行う。 | ||
金融商品開発 | 外貨預金、投資信託、デリバティブ、生命保険、損害保険等の新しい金融商品やサービスを企画・開発する。 | ||
公開・引受 | 企業の株式や債券の公開発行(=上場)を支援し、公開した株式を最初に販売する。 | ||
ベンチャーキャピタリスト (VC、CVC) |
新興企業に対して投資を行い、成長を支援し、株式価値の向上による収益を狙う。 | ||
ターンアラウンド(PE) | 経営再建が必要な企業に投資し、業績改善を図る。「事業再生」とも言う。 | ||
M&A | Mergers and Acquisitionsの略で、企業の合併と買収のことを指す。M&A戦略の立案、DD(デューデリジェンス)、取引条件交渉、取引執行、PMI(ポストマージャーインテグレーション)を各プロセス、もしくは一気通貫で行う。 | ||
コーポレートファイナンス | 企業価値最大化のための、企業の財務活動全般、またはその資金調達を行う。 | ||
ストラクチャードファイナンス | 仕組み金融とも言われ、証券化等の仕組みを利用して資金調達を行う。 | ||
プロジェクトファイナンス | ストラクチャードファイナンスの一種で、企業があるプロジェクトにおける資金調達を行う際に、プロジェクト自体から生じるキャッシュフローをもとに資金を調達する。 | ||
アナリスト | 企業の財務内容等を調査・分析し、投資判断をサポートする。 | ||
エコノミスト | 経済全般、国・地域といったマクロ経済の調査・分析・予測を行う。 | ||
審査・リスク・与信 | 顧客や取引先の信用リスクを評価し、与信枠やリスク管理を行う。 | ||
監査・コンプライアンス | 金融機関の会計や業務が法令や内部規定に適合しているかをチェックする。 | ||
金融事務 (ミドル・バック) |
金融業務関連の事務作業を広く担う。 |
従来、「安定」というイメージが強かった金融業界ですが、デジタルトランスフォーメーション(DX)やFintech(フィンテック)の台頭によって大きな変革期を迎えています。
例えば、銀行は預金を資金源として企業への融資を行い、金利を課すことで利益を上げていますが、日本国内の金利低下により、このビジネスモデルが成立しにくくなっています。
そんな中、新興のFintech企業が市場に参入。新しい技術やサービスが次々と登場し、消費者の金融サービス利用の在り方も大きく変わっている中で、金融業界において求められる人物像も変化してきています。
決済サービス
資産運用
会計ソフト
資産調達支援
家計管理
金融業界全体で求人数は増加しており、その職種も多様化しています。
DXやサイバーセキュリティ等に関する業務は、各領域における深い知識と経験が必要になります。
新卒プロパー社員からの一般的なジョブローテーションでは育成が難しい専門性を有する即戦力人材を採用する必要性が高まっており、特に以下の分野での求人案件が顕著に増えています。
FinTechとは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、IT技術を用いた新しい金融サービスや事業領域を指します。
金融機関だけでなく、大手IT企業やスタートアップ企業の参入が相次ぎ、決済や個人間送金、資産運用、クラウドファンディング、クラウド型会計ソフト、金融商品開発等、低コストで利便性の高いサービスが次々と開発されています。
AI(人工知能)と機械学習技術の進展により、データ解析や予測能力が向上しました。
リスク管理、顧客サービス、投資戦略の最適化等、様々な領域で効率化と精度の向上が図られています。
金融業界におけるAI・機械学習の活用事例には、予測精度向上(金融商品価格・貸倒リスク等)、業務自動化(レポート作成・不正検知等)、顧客サポート(顧客満足度向上等)があります。
特に、顧客サポートにおいては問い合わせ対応におけるチャットボットの導入が多くの現場に広まっており、他システムと連携するためのAPI関連知識を持った人材のニーズが高まっています。
ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)のそれぞれの単語の頭文字をつなげた言葉です。
財務面だけではなく、環境・社会に配慮した事業や適切なガバナンスがなされているか、といった数字以外の定性的な面も重視して投資を行うやり方が「ESG投資」です。
環境問題、労働問題、人権問題、ガバナンス上の問題等、社会が抱えている課題をクリアしていく企業こそがサステナビリティ(持続可能性)があり、中長期的に成長していく企業だという考え方に基づいています。
企業インタビュー:『大企業から中堅中小企業まで。 サステナビリティの視点で
ビジネスの成長ストーリーを描く。/株式会社三菱UFJ銀行』
デジタル化が進む中で、サイバーセキュリティの重要性がますます高まっています。
金融機関はサイバー攻撃からの防御態勢を構築することが急務であり、積極的にセキュリティ対策を強化し、顧客情報や取引情報を保護する取り組みが求められています。
技術革新と求人案件は互いに大きく影響し合っており、前述した分野でのスキルを持つ人材の獲得が、各社の重要事項になってきています。
金融業界での転職を考える際に重要な要素の一つが、適切な資格の取得です。
転職市場で評価が高い資格の一部をご紹介します。
公認会計士は、会計や財務分析における専門的な知識とスキルを持つことを示す資格です。
会計、財務の専門家として金融業界とは非常に親和性が高く、特に会計監査や財務分析の分野で重宝されます。
転職体験記:『公認会計士、4大監査法人から大手証券会社の公開引受部へ』
税理士は、税務申告や税務相談等、税金に関する専門知識を有する資格です。
金融業界においても、企業の税務戦略の立案や税務リスクの管理等、重要な役割を担います。
全11科目の中から必須科目と選択科目合わせて5科目に合格すると、税理士資格を取得することができます。
どの科目も合格率10~15%程度と難易度が高く、1科目~2科目の合格者でも対象となる求人案件がございます。
転職体験記:『米国税理士、生命保険会社の本社経理から、生命保険会社の運用管理への転職』
生命保険・損害保険・企業年金の金融分野で、保険料率・支払保険金額の算定をはじめとする数理計算業務を担当する専門職を指します。
アクチュアリーになるには日本アクチュアリー会の資格試験に合格し、正会員として認定される必要があります。
正会員資格取得のためには、まず資格試験の計7科目に合格する必要がありますが、一部科目合格者をポテンシャル枠として採用する企業も少なくありません。
転職体験記:『第1次試験(生保数理)合格を機に、システムエンジニアから未経験で生命保険会社のアクチュアリーへ』
時代に合った新たなビジネスモデルへの転換に向け、採用活動を活発化させている金融業界の各社ですが、社会的責任の高さや事業規模の大きさ故に中途採用の選考基準は厳しく、依然として求職者からの人気も高い為、採用はそれなりに狭き門であると言えるでしょう。
また、運用会社やPE・VCといった投資ファンドを中心に、
公募は行わず、特定の転職エージェントのみを介した採用活動を行っている企業が多い(非公開求人が多い)ことも金融業界の特徴です。
エリートネットワークは、先に挙げたメガバンクを始め、金融業界の各企業に幅広く決定実績を有し、各社独自の採用基準や選考事情にも精通しています。
当社を通じて金融業界への転職に成功された方々の『転職体験記』も多数掲載しておりますので、是非ご覧下さい。
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