株式会社NTTデータ経営研究所は、ITソリューションの構築・運用事業を行うSIerである株式会社NTTデータ(*)を親会社として、1991年に設立されたコンサルティングファームです。
当時は “SIS―Strategic Information System(戦略情報システム)” という言葉がブームで、多くの企業において、単に情報システムを導入するのではなく、いかに会社の経営戦略に沿った最適なシステムを導入し、活用していくかが重要視されていました。このような流れを踏まえて、システム開発の前段階に求められる「経営戦略のコンサルティング機能」を担うグループ会社として、当社が設立されたのです。
設立当初は、NTTデータのクライアントに対して、戦略的なコンサルティングを積み重ね、NTTデータグループの一員として信頼関係を築くことに注力しました。
*1991年、同社が設立された当時の親会社の社名は株式会社NTTデータ通信。その後1998年に株式会社NTTデータに社名変更しています。
設立後10年程経った頃、当社は一つの転換期を迎えました。戦略系コンサルティングファームとしてさらに実力を高めるため、NTTデータ経由ではない当社独自ルートでの仕事の受注に向けたチャレンジを本格的に開始したのです。
金融分野をはじめとする新たなマーケットの開拓、人事コンサルティング等の新たなサービス領域への進出、そして外販を重視する評価制度の刷新等の様々な策により事業は順調に拡大しました。
ところが2008年のリーマン・ショックの影響で、設立以来右肩上がりだった売上が減少に転じ、コスト削減により利益を確保するという事態に直面しました。この時期に、規模ではなく事業の “中身” を強化していく方向で、改めて当社の役割を定義し直し、社員全員での共有を図りました。これが、『新しい社会の姿を構想し、ともに「情報未来」を築く』という当社が現在も掲げているミッションです。
社会的に意義のあるテーマにチャレンジし、新しい時代の社会づくりに貢献することで、コンサルティングファームとしての強みを磨いていく。このミッションの再定義と共有が一つの転機となって、官公庁・自治体に対して政策提言を行うだけでなく、その政策に沿って民間で新たに動き出すビジネスを支援していくという、当社のサービスモデルが動き出したのです。
当社は、『Social and Business Design Cycle』という事業コンセプトを掲げています。まず「官」に向けて公共政策の立案を積極的に仕掛けていき、その政策の実現に向けて「民」が動き始めた段階では、「官」に提案した知見を活かして民間企業における事業化を支援していくというものです。このプロセスで「民」のノウハウや知見を蓄積し、これらを「官」にフィードバックして次の政策立案に活かすことができます。
このようなサイクルを回しながら、新しい社会づくりに貢献できる点が、他社にはない当社のコンサルティングサービスの特長であり、強みであると思っています。
多くの同業他社の場合、「官(官公庁・自治体)」と「民(民間企業)」のクライアントに別々のチームで対応しているかと思います。そうすると、組織が別である以上、密接かつ柔軟な連携はなかなか難しい面もあるかと考えています。
社名に「NTTデータ」の冠が付くことから、当社の強みがITソリューションの構築・導入に繋がる “ITコンサルティング” にあると誤解されるケースも多いのですが、実はそうではありません。
当社では、ITソリューション導入を前提としたコンサルティングを “ITコンサル” と定義していますが、現在このようなサービスは非常に少なくなっています。申し上げるまでもなく、当社自体はITソリューションの構築・運用といったサービスは一切手掛けておらず、これは親会社であるNTTデータの事業です。NTTデータのグループ会社ではありますが、当社がクライアントの経営課題をコンサルティングする中で、システムインテグレーションに繋げることは一切意識しません。
自社グループの持つソリューションに縛られることなく、社会のあるべき姿や企業の経営課題に純粋に向き合えるところが、コンサルタントとして働きがいに繋がる部分であり、結果として提案に対するクライアントからの評価に繋がっています。
積極的に新しい領域に挑戦し、新しい社会を構想できる戦略コンサルティングファームとして、当社が引き続きプレゼンスを高めていくことに、親会社であるNTTデータも期待していると思います。
一人ひとりのコンサルタントの意識としては、NTTデータはクライアントのうちの一社であり、ビジネスパートナーに近いイメージで受け止めているのではないでしょうか。
より短期間に数多くの多様なプロジェクトに携われる点と、「走・攻・守」揃ったコンサルタントを目指して若手にも成長の機会を与えている点が大きな特長です。
まず1点目について、当社の場合、ITソリューションの構築・導入を伴わない戦略コンサルティングが中心となりますから、平均的なプロジェクト期間は3カ月~4カ月程と比較的短いです。また、一人のコンサルタントが複数のプロジェクトに同時並行で携わることが多く、公共分野で政策提言をするような仕事から、民間分野で新規事業を支援するプロジェクトまで、性格の異なるコンサルティングに並行して取り組む経験を多く積むことができます。戦略の立案だけでは終わらず、戦略に沿って実際に事業を動かしていく段階にも伴走しています。
このため、プロジェクトに取り組んでいる最中は多大なエネルギーが必要になりますが、何年か経って振り返った時、より多くのプロジェクトに短期間に携わったことで知見が豊富に蓄積され、コンサルタントのプロとしての引き出しが確実に増えていることに気付くはずです。ビジネス環境の変化が早く、単一分野の知見だけでは有効なソリューションを提案できない時代ですから、様々な分野にまたがる知見を持つコンサルタントは、クライアント側からも重宝されます。
次に2点目の特長に関しては、当社では若いうちから「走・攻・守」揃ったコンサルタントを目指して経験を積むことを奨励しています。通常、コンサルティングファームでは、若手コンサルタントには、「守」の部分(自分に与えられたタスクを確実に仕上げ、価値あるアウトプットを生み出すこと)が求められます。そして「走」や「攻」の部分(マーケティングや事業開発、クライアントを開拓する新規営業といった業務)は、経験を積んだコンサルタントが担当するケースが多いと感じます。ところが当社では、若手にも走り、攻めてもらう機会を与えています。
多くの若手が日常的に営業に同行していますし、旬のテーマでの書籍の執筆や講演を行う等のマーケティングに繋がる情報発信にも積極的に取り組んでいます。その結果、比較的若い段階で「自分の名前で仕事が取れるコンサルタント」に成長することが可能です。
当社でコンサルタントとして活躍できる人材のバックグラウンドは非常に幅広く、多岐に亘ると考えています。全社員に占める中途入社者の割合も約8割と高いです。
最近では、コンサルティング未経験者は中途入社者の約8割を占めています。これらの方々の出身業界は幅広く、SIerの出身者がやや多くなっていますが、それ以外は金融機関、エネルギー関連、建設・不動産、流通業界の出身者、中には官公庁出身の方もいます。これは当社のクライアントが非常に幅広い業界に及ぶため、当社で一からコンサルティングを学んで頂く上で、ある業界や業務に精通していることが一定の強みになることの表れでもあります。
コンサルティング経験者は、中途入社者全体の約2割です。
政策提言や企業の経営戦略の立案等、最上流からのコンサルティングに携わることに魅力を感じて入社した方、民間企業の新規事業開発プロジェクトを通じてビジネスに伴走する経験を積みたい方等、それぞれの志向を持って、多くの方が当社で新たなキャリアを選択しています。
前提として、自分で考える力、コミュニケーション能力、発想力といったものは重要になりますが、これらに加えて、成長意欲を持ち続ける姿勢と自律して行動できることが大切だと感じています。世の中が大きく変化し、ビジネスを取り巻く環境の変化も早い時代において、常にクライアントの先を行く提案をするには、貪欲に新しいことにチャレンジしていく姿勢を持っていなければならないと思います。
コンサルティング未経験だった証券会社出身の若手社員が、当社に入社した1年目にFinTech関連の書籍を出版した例があります。前職で個人的な関心テーマとして追ってはいたものの、当社に入社した後、自ら積極的に機会を活用しながら、国内のみではなく海外の動向も学び、執筆したのです。また、このメンバーの優れているところは、金融分野に限定することなく、次々に新しいテーマを学び続けながら、それを活用して「顧客を知る」ことを継続している点にあります。
昨今、デジタルを含めたトレンドの変化が早く、単に新しい知見を基にした提案では大きな価値をもたらすことができません。得られた知見を、積極的に執筆や講演活動を通じて発信することで、変化の早い情勢の中で、「どのような企業が、どのような問題を抱え、何に悩んでいるのか」を実際の対話を通じて学び、「コンサルタントとして何ができるのか?」を考える必要があります。
企業や業界の役に立ちたい、貢献したいという想いをベースに、新しい知識の吸収を継続して積み重ねられる方が、当社のコンサルタントとして成功していると思います。また会社としても、自律的に学ぼうとする人材、執筆や講演等の情報発信に意欲的な人材をサポートしています。
コンサルティングサービスという業種柄、実際のプロジェクトに参加して、チーム内で担当する業務を通じて経験を積んでいくOJTが主体になりますが、Off-JT(職場外研修プログラム)も拡充させてきました。ロジカルシンキング、リサーチ、インタビュー、アンケート、ライティング、プレゼンテーション等、コンサルティングを行う上で必ず必要となる基礎スキルについての一通りの集合研修が揃っています。
また、当社内で「カフェテリアプラン」と呼ぶ、e-ラーニングの仕組みも充実しています。カリキュラムは、論理思考、問題解決思考、戦略・マーケティング、新規事業創造、商品・サービス企画、プロジェクトマネジメント、財務・投資、ビジネス環境やトレンド理解等、豊富に揃っており、自身の志向性や課題に応じて自由に選択して受講することができます。
さらには、自己啓発支援として、外部研修受講費用の半額補助、資格取得合格祝い金、国内外留学休職制度等も用意しています。
当社では2017年4月より、「ワークスタイル変革」を推進しています。
一例として、コンサルタントがいつでもどこでも快適に仕事ができるよう、IT環境を刷新し、テレワークを活用できる制度も新設しました。
また、都内を中心に40~50ヶ所のサテライトオフィスが利用できる契約を締結しましたので、外出先や自宅の近く等、好きな場所を使いたい時に自由に利用できます。
したがって、社員は多くの選択肢の中からその日の仕事内容に合わせて働く場所を選択することが可能となりました。
集中して考えたい時にはサテライトオフィスに籠もって企画書を作成しても良いですし、チームメンバーとディスカッションしたい時には、本社オフィスのミーティングエリアが使えます。育児や介護等で勤務時間に制約がある場合は、早い時間に退社して家族の食事や入浴等の世話を済ませ、夜から自宅で仕事を再開するといった働き方をしているメンバーもいます。
全ての社員が自分の生活とのバランスを保ち、働く場所と時間を柔軟に組み立てながら仕事ができる環境を整備しています。
当社にはコンサルティング業界特有のUp or Out、いわゆる一定期間内に昇格できなければ退職を余儀なくされる、といった処遇はありません。
一方で、昇格までの年数等に関するガイドラインを設定していないため、入社して1年でも実力があれば昇格できる等、ある意味外資よりもっと実力主義という側面もあります。シニアマネージャーとして入社して1年でアソシエイトパートナーに昇格し、その翌年にパートナーに昇格したという例もあるほどです。
したがって、実力主義と中期的キャリア形成をある意味バランス良く取り入れているような会社かと思っています。設立期に他コンサルティングファームから当社に転職し、事業拡大を支えてきた中核メンバーの中には、60歳で定年を迎えた後も再雇用制度を利用して今も継続して働くコンサルタントも増えてきており、長く勤めているメンバーが多いのも当社の一つの特長かと思います。
私自身も、外資系コンサルティングファームから設立1年目に当社に転じ、マーケティング戦略、新規事業開発、アウトソーシング戦略、人事コンサルティング、等の様々なプロジェクトを経験してきました。あるクライアントの人事方針を総合的にコンサルティングした経験が契機となって、人材を軸に会社の未来に貢献する仕事への興味が高まり、当社での人事部のキャリアを選択しました。多様な経験を通じてステップアップしてこられたのも、当社を選んだお陰であると感じています。
社会への提言から企業への事業支援まで、当社の幅広いコンサルティング業務に興味を持って下さった方と、面接でお話しすることを楽しみにしています。