(株)ドリームインキュベータと聞くと、(株)ボストンコンサルティンググループ(BCG)元社長の堀 紘一が立ち上げた戦略コンサルティングファームというイメージが強いようで、この鮮烈な先入観があるため、採用市場において当社の実情はなかなか伝わりにくいと感じています。当社は今年で設立7年目を迎えますが、今だ猛烈なスピードで変容を遂げており、刻一刻と状況が変化し、正しい情報を伝える術がないのです。現在、採用市場における当社イメージは、随分前に何らかの理由で当社を退職された方が、当社をどう感じ、どう語っているかに影響されている部分が大きいと感じています。つまり、一昔前の姿が語られ続けている訳です。しかし、"今"起こっていることを知る人間は、まだ社内にいるので当社の真の姿は世間に知られようがありません。この様な状況を踏まえて、それを我々の側からきちんと発信していこう、という企画が、この本を出版した背景です。この様に、当社を志望して下さる候補者向けに理解を深めて頂く目的で出版した訳ですが、完成したものを見て感じることは、正に当社の"社史"と言っても過言ではないということです。2002年の東証マザーズ上場から2005年の東証一部上場まで、ものすごいスピードで大きく変容を遂げた当社の歴史を、きちんとまとめて書き留めておくべき時期であったという点は、結果として非常に大きな意義ですね。
当社のビジネスは、日本のマクロ経済の動向に大きく左右される傾向にあります。新興市場の市況の良し悪しという大きな周期の中で、新興企業の勃興と共に仕込みと刈取りをやっているイメージです。ベンチャー企業のインキュベーション(incubation:卵を孵化させる意)を社業とし、『未来のホンダやソニーを100社作ろう』をスローガンとして掲げ、戦略コンサルティングやインキュベーションを軸に独自の経営支援サービスを提供して、早や7年。設立当初は、大企業向けコンサルティングが売上の9割を占めていましたが、一昨年は本業であるベンチャー企業支援の売上が7割と逆転しました。また、知名度も格段に上がりました。堀が立ち上げた会社ということで、転職市場の候補者の方に対しては元々無名という訳ではなかったのですが、対企業となると話は別でした。東証一部に上場したことが全てではありませんが、ベンチャー企業の社長さんに、当社が何をやっている会社なのか知ってもらえるようになったことは大きいですね。結果、優良ベンチャー企業と出会える確率も加速度的に上がってきましたし、それに伴い、より多くの候補者の方に応募して頂けるようにもなりました。
当社自身もベンチャー企業ですが、関与させて頂くベンチャー企業では、それぞれベンチャーならではの新しい発見があり、ベンチャー企業支援を喩えて表現するならば、まだ見たことのない宝箱を一個ずつ開けていくようなワクワクした感じではないでしょうか。
当社では、コンサルタントのことをBP(ビジネスプロデューサー)と呼び、戦略コンサルタント、技術専門家、公認会計士、弁護士等の様々な専門家の英知をMDPにより融合・進化させ、クライアントのあらゆる課題・悩みに応えています。
そもそも我々の言うMDPには、「狭義のMDP」と「広義のMDP」と二種類あります。堀がよくメディアで言っているのは、「狭義のMDP(資格保有等の専門家人材)」です。これに対して「広義のMDP」というのは、特に中途採用で重視していることですが、「この分野のこれだけは絶対他人には負けない!」という、何かがダントツに出来る人材のことです。前の職場の仲間にインタビューすると、「アイツはスゴかった」と語り継がれるような突き抜けた人。すごく尖った狭い範囲の専門知識が、そのままDIの仕事で役に立つ時もありますが、我々が重視しているのはそのスキルだけではないのです。彼らの何が魅力なのかと言えば、持ち合わせた高い能力以上に、仕事に対して自信を持っていることなのです。それだけの業績を上げるということは、何らかの障壁を乗り越え、やり遂げて来た経験が多いはずですし、我々が支援するベンチャー企業が行き詰まった時も「絶対大丈夫ですよ!」とクライアントを励まし、引っ張り続けられるんです。これは、過去にそういう体験を積んで何かを突破してきた“ひとかどの人”でないと難しいのです。
我々が求めているMDPとは、会計士とか弁護士だとかPh.Dとか、そういった資格をただ保持していれば、それで良しという訳では決してありません。やってきたことはホンモノか、自信になるだけの実績を挙げてきた人なのか、それらの経験は自らの糧となっているか、が大切なのです。
この分野は、今ニーズが爆発しています。「10年後の自分は、どうなるんだろう?」「今の仕事の範囲は少し狭いから、拡げて行きたい!」と、ふと思っているような技術者の方には、是非この本を読んで頂きたいですね。視界が開けるかもしれません。近年、日本の製造業の復活が目覚しいですが、正に日本の繁栄を支えているのは、この様なエンジニア・技術者といった理系の方々だと思うんです。しかし、面白いことに経営のトップは圧倒的に文系の人が多く、実際に、経営陣が技術をきちんと理解していないことによる様々な問題が起こっているのです。我々が提供するコンサルティングのニーズが高い理由は、ここにあります。当社が掲げるスローガン『未来のホンダやソニーを100社作ろう』のソニーもホンダも製造業であるように、今後益々活躍が期待される部隊です。
下記は、当社が求めている人物像をまとめたものです。
― どんな人は、DIに向いているか ―
●自分は、かなり前向きな人間だと思う
●自分は、人を幸せにしているとき、生きがいを感じる
●本質を見抜く目には、自信がある
●金儲けのチャンスを考えているとき、けっこう興奮する
●知らないこと/できないことに出会うと、燃えてくる
●修羅場をくぐったことがある、不条理をぐっと飲み込める
●このことに関しては、たいがいの奴には負けない、という一芸がある
そして何より、
●"明日の日本をつくろう"と言われて、ひとごとに思わない
上記項目は全部大事ですが、自分が高い負荷を背負って高い給料をもらうことに強いこだわりがあったり、自分が刈り取ったものは全部自分の収入に転稼させたいというタイプの人(利己的な人)より、自分自身にとって何の得か損か分からないけれど、こうすると皆上手くいく、こうしたら皆に喜ばれる、ということをやっている時に生き甲斐を感じられる人(利他のある人)。私たちは、ソニーやホンダを"育てる"側なので、この観点は大切ですね。
また、面接において、若手・第二新卒の方に対しては、
●本質を見抜く目には、自信がある
●金儲けのチャンスを考えているとき、けっこう興奮する
以上の2項目を中心に見ます。それと、この二つが圧倒的にズバ抜けていることに加えて、"かわいげ"があるか否かを重視しています。この観点は、マッキンゼーやBCG(ボストンコンサルティンググループ)との一番の違いではないでしょうか。頭がキレる若手と言えど、カウンターパートナーであるビジネスクライアントの年齢も高いですし、しばらくは下積みとして経験を積んで行かなくてはならない。"キレ"だけでは戦えないのです。いろいろ学びたい!身に付けて行きたい!というマインドに溢れた"教えられ上手"な人がいいですね。
一方、30歳前後のビジネス経験のある方に対しては、上の2点も然ることながら、
●修羅場をくぐったことがある、不条理をぐっと飲み込める
●このことに関しては、たいがいの奴には負けない、という一芸がある
といった点を重視しています。何らかの障壁を乗り越えてきた人間は、厚み・度胸がありますし、多少のことがあっても動揺しません。誰にも負けない特殊技能を持っていることに加え、不条理を一旦ぐっと飲み込める大らかなマインドが大事です。そして何より、自分が今まで手掛けてきたものの深さ、真剣味、経験がきちんと自身の血となり肉となっているかが最も大切です。
直近では2名の方に(株)エリートネットワークさん経由でご入社頂きました。お二人共、メンタリティが健全なので周りからの評価は高いです。大成されるのではないかと期待しています。
当社の採用にご協力頂いている紹介会社さんは数多くありますが、(株)エリートネットワークさんと当社は、とても相性が良いと感じています。何故かと言うと、書類通過率が非常に高いからです。これは、当社の人材ニーズの本質を理解して下さっている証左だと思います。当社の採用手法は、大量採用ではなくピンポイントでの採用になりますので、機関銃を撃ちまくる様に、多数の候補者を推薦して下さる紹介会社さんよりも、(株)エリートネットワークさんの様に、まるでライフル銃の如く、質の高い候補者に焦点を絞った狙い撃ちのご紹介が、大変ありがたいのです。
堀がいないと日々の仕事が進まないという時代は、とっくの昔に終わっています。しかし堀は、夢・ビジョンといった会社の旗を立てる天才で、周りを巻き込む力は圧倒的なものがあります。この意味で、昔も今も非常に大きな存在であることに変わりはありません。私はもうすぐ40歳になりますが、この年になると面と向かって「ここを直さないと一流になれないぞ!」と叱ってくれる人は、いませんからね。