企業インタビュー

住友信託銀行株式会社 企業インタビュー

まず始めに、一般的に「信託銀行」と「銀行」の違いが分かりにくいと思いますので、ご説明頂ければと存じます。


住友信託銀行(株)
人事部  採用チーム 
主務調査役  松尾 力氏

では、当社についてお話しながら、信託銀行についてご説明させて頂きます。当社は大正14年に「住友信託株式会社」として設立、その後の昭和23年に普通銀行業務も開始しました。つまり、「信託銀行」という名の銀行がある訳ではなく、「信託」と「銀行」という別々の業務がくっついて「信託銀行」なのです。意外と知られていないんですよね(笑)。戦後に法律で認められた、この銀行業務との兼営により、信託業務の幅が大きく広がりました。
当社の基幹業務である信託業務とは、一言で言うとお客様の財産(現金、株式・債券といった有価証券、不動産、船舶、飛行機…等)を、お客様から切り離して当社名義へ変更し、当社がお客様の代わりに管理・運用するものです。そもそも信託のルーツは、遥か中世ヨーロッパの十字軍遠征に遡ります。戦地へ向かう兵士が、自身の財産を後世に残すべく信頼できる人に託して保護してもらっていたのです。
では、なぜ名義変更が必要であるのか簡単にご説明致しますと、例えば、ある会社で従業員の退職金・年金を自社の固有財産として運用していた場合、もしその会社が潰れてしまった時は、当然ですが退職金・年金が受け取れなくなります。その会社の固有財産は、他の債権者から取立ての対象となるからです。しかし、財産をその会社と切り離し、企業年金として当社に信託された場合、名義・所有権が変わり当社の財産となりますから、万が一の場合でも従業員の方は退職金・年金を約束通りもらえる訳です。
それ故、信託は「公の器」と称され、まるで四次元ポケットのように様々な介入から守られています。これを「倒産隔離」と言います。当社も例外ではなく、お客様からお預かりしている器(プール)内の財産に手を出すことはできませんし、極端な例を挙げれば、万が一当社が潰れたとしてもお客様の財産はきちんと守られる仕組みになっています。

御社の各事業部毎のビジネスの状況・トピックスをお聞かせ下さい。


当社は、主に銀行業務を担う「リテール部門」・「ホールセール部門」・「マーケット資金事業部門」、主に信託業務を担う「受託事業部門」・「不動産部門」という5つの部門から構成されています。今回は、その中から特に目立った動きのある分野についてお話させて頂きます。

まず、個人向けの「リテール部門」の主な動きとしては、お客様のニーズが「貯蓄」から「投資」へ大きく変化してきたことです。銀行の屋台骨を支えるための安定的な資金調達に留まらず、平成19年9月に全面施行された『金融商品販売法(通称:金商法)』(※1)に伴い、債券や株式投資に不慣れな方へもきちんとご説明するコンサルティング業務の必要性が増してきました。一般の銀行窓口でのやりとりは概ね10分程度だと思いますが、当社の窓口では平均して1時間前後お客様とじっくり対話します。そのお客様の人生の背景、運用リスク許容度、家族構成等を伺った上で、その方に合った最適な運用方法をご提案するのです。
更に、当社プライベートバンキング部では、投資一任勘定(※2)という、当社に運用を一切任せて頂く手法も始まっています。資産をお預かりするに際して、お客様の好みや考え方を最大限考慮するこの分野は、我々が長年培ってきた“信頼”そのものの得意領域ですので、今後も伸びていくと思います。最近では、遺言作成のアドバイス等も含め、遺言信託のお申し込みも増えており、財産を如何に後世に残していくかを真剣に考える方が多くなってきたと感じています。お客様にとっての財務コンサルタント、更に言えば、財務面での主治医となれるような人材を各支店で更に増やして行きたいですね。

また、大規模不動産の仲介を扱う「不動産部門」は、不動産の証券化が一般的なスキームとなり、いわゆる不動産屋さんから不動産金融へ、この10年で一番様変わりした部門ではないでしょうか。投資家は外資系企業も多いですね。不動産金融ビジネスはまだ始まって10年位の、特にここ数年で急成長した分野ですので、経験は浅くても意欲的な方に積極的にチャレンジして欲しいですね。

※1『金融商品販売法』:販売する金融商品に関して、元本割れや為替差損のリスク等の重要事項の説明を義務付けた法律
※2『投資一任勘定』:個人投資家等が、「知識がない」「時間がない」といった理由で、投資する銘柄や、売買の別、数量、値段等についてその一部、又は全てを一任すること

信託銀行の中における、御社の強み・特徴を教えて下さい。

財務体質の堅調さも然ることながら、一度も社名が変わらず、ずっと『住友信託銀行』であり続けていること。つまり、どことも統合せずに独自のカルチャーを守り続け、住友信託(株)として設立された当初から変わっていないことが、一番の特徴です。

そして、「お客様本位」を貫いていること。当社がお預かりしている財産の内訳で一番多いものが有価証券で、預かり資産は本体管理分のみで77兆円、運用資産額は26兆円にも上りますので、当社の運用規模の大きさがお分かり頂けるかと思います。しかしながら、規模の大きさとは反比例の如く、お客様へのサービスは全て“オーダーメイド”です。往々にして、日本の全国民・全企業を相手に営む大手金融機関の場合、ある程度汎用性のあるビジネスモデルでないと立ち行かなくなるものですが、個別対応を貫いている点が他行とは違う二つ目の特徴です。「お客様本位」の精神の元、パッケージにはめ込むのではなく一人一人のお客様、一社一社の企業様のために個別のソリューションを考え、提供していく面白味のある仕事です。また、自ら顧客を開拓していく点にも、独立系信託銀行ならではの醍醐味が感じられると思います。

中途採用の状況をお聞かせ下さい。


当社では、他の大手金融機関が採用を凍結していた20年前から継続的に中途採用を行っています。「新しい風を取り入れないと、新しいサービスを提供することができない」との考えから、毎年30~40名のペースで採用活動を行っておりました。公的資金投入後は人員削減を余儀なくされましたが、公的資金を完済した平成16年以降に中途採用を再び本格化し、去年までの3年間、毎年200~300名近くの中途採用を行いました。今年に入ってからは、従来以上に「質」に重点を置いた採用を行っております。現在、Pキャリア・Dキャリア(総合職)で計80名、Eキャリア(一般職)で計100名規模の採用計画の下、お陰様で多くの方にご応募頂いております。

実際に採用に至ったのは、どのような人材でしょうか?

やはり大多数は、銀行、証券、生・損保等の金融機関出身者です。ただ、最近採用に至ったユニークな例を挙げますと、鉄道会社にて駅ビル設計業務に携わっていた人材を不動産部門で採用したり、大手飲料メーカー出身者を若手ポテンシャル採用したりと、異業界・異業種からの採用も積極的に行っております。

今後、採用ターゲットとなるのは、どういった人材でしょうか?

5つの事業部にて各々ニーズはございますが、全体を見渡した時に早急に人員を強化しておきたい分野が「リスク統括」「業務監査」「コンプライアンス」等の、企業統治、つまり内部統制をきちんと構築していける人材です。フロントでお客様と接点を持つ営業を支えるためにも、内部管理体制を整えておかなければお客様からの信用を損うリスクが伴います。従って、営業職に加え、それを支えるミドル・バック人材の採用にも注力しております。

面接で重視なさるのは、どのような点ですか?


当社が経営課題の冒頭に掲げております「お客様本位」というのは、ありふれたキャッチフレーズかもしれませんが、当たり前だからこそ難しいことだと思います。お客様のニーズを、出来合いの型に無理矢理はめ込むのではなく、お客様の言葉一つ一つに真摯に耳を傾け、困難を突破しながらも一件一件の悩みにお応えてしていく「愚直な姿勢」と「熱い想い」のある方を求めています。面接では、そういったお人柄面を重視しておりますし、そういうベースをお持ちの方であれば、例え業界未経験者でも活躍して頂けると思います。当社は手掛けている業務の範囲が多岐に亘りますから、どんなキャラクターの方でも必ずフィットする部門があると思います。

また、当社では新卒・中途という区別はありません。元々、部門を越えるとまるで違う会社という位、担っている業務が異なりますので、昔から異文化を受け入れる風土が自然に根付いています。実際、現職執行役員の内2名が中途入社者ですし、部長クラス、マネジャークラスとなると数え切れない程の中途入社の方が活躍していますので、中途入社のハンデは気になさらずに、門を叩いて欲しいですね。

最後に、御社を志望される方にメッセージをお願い致します。

当社では、35歳未満の若手層については、お客様のためになることをどんどん勉強し、経験しなさい!というスタンスで人事制度全体を設計しております。
基本コンセプトとして、無駄な社内競争、足の引っ張り合いはさせませんので、安心して飛び込んで来て下さい。

企業規模(約5600名)が大き過ぎない分、やりたいことにチャレンジする機会が、恐らく他行と比べても圧倒的に多いと思います。
具体的には、『業務公募制度』と言って、25~35歳の若手にチャレンジしたい業務に対して自ら手を挙げ立候補できる制度を用意しています。勤続1年半経過後にこのFA権が与えられますが、自分のやりたいことに立候補する訳ですから、士気の高い者が多く、毎年80~100名の応募があり、約7割が通過しています。中には海外の大学院に行く者もおりますし、海外支店、ファンドマネジャー、不動産金融……等、希望した部署で日々頑張っています。
また、勤務地についても、当社の主要顧客(大企業・富裕層)が集中する大都市圏に限られている点も、隠れた魅力かもしれません。

最も大切なことは、如何に当社で能力を発揮して頂けるかであり、前職での評価はあまり意味がないと考えています。
前職で悔しい想いをされた方も、転職によって再びゼロから勝負できる環境を整えておりますので、大企業の中で、せっかくの能力を活かし切れずにやり甲斐を見出せていない方には、是非とも飛び出して来て頂きたいですね。

本日はお忙しい中、長時間に亘りご協力頂き、ありがとうございました。

この転職者を担当したカウンセラーに転職相談したい
住友信託銀行株式会社
設立
1925(大正14)年7月28日
資本金
3420億円
従業員数
13,647名
    
本店
東京都千代田区丸の内一丁目4番1号
    
拠点数
国内:148カ所(支店133、コンサルプラザ他15)
海外:支店5、駐在員事務所4
業容
総資金量 81兆6,171億円
総資産 50兆9,692億円
貸出金 28兆2,061億円(元本補てん契約のある信託勘定含む)
※この記事の内容は取材当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職名等は現在と異なる場合があります。
職業紹介優良事業者認定マーク
当社は、全国に約28,000事業所ある人材紹介会社の中で、厚生労働省が審査し、 わずか40社しか選ばれない「職業紹介優良事業者」に認定されています。
※平成26年(第一回認定):全国で27社のみ、平成30年:全国で43社のみ(第二回認定)、令和2年:全国で39社のみ(第三回認定)、令和5年:全国で40社のみ(第四回認定)
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