私はいわゆるバブル期の1991年の入行です。
当時、日本の銀行格付けはどこも軒並みAAA。今振り返ると、あの頃の日本の金融業界は世界から見ても、様々な規制が残っている特殊な存在だったと思います。
その後、バブルが弾けてその価値観が崩れ去り、“コマーシャルバンク”と言われる伝統的な商業銀行業務の位置付けや役割も変わってきたと思います。
当グループは2002年に3つの銀行が母体となり統合しましたが、統合の理由は、そういった生き延びるための現実的な必然性も然ることながら、「他の業界と同様に真剣にサービス力を向上しないと生き残れない」という危機感も大きかったと思います。
ここ5~6年で様変わりした金融業界の中で、当グループは、みずほ銀行・みずほコーポレート銀行・みずほ信託銀行・みずほ証券……等、各マーケットに特化した専門性を深堀りするビジネスモデルを採用しています。
当グループで銀行業をベースに営むのは2社。
みずほ銀行は、120年余の歴史ある従前のスタイルを柱として残しながらリテールに特化し、一方のみずほコーポレート銀行は、銀行の看板でありながらも「今までにないことをしよう!」という新たな視点のもと、大企業向けホールセールに特化したビジネスを展開しています。
みずほコーポレート銀行とみずほ銀行を切り分けた経緯は、上場企業の約7割とお取引があり、内約4割はメインという他には負けない顧客基盤を活かすためです。
そこを個別に切り出して専門的な銀行とし、日本型のザ・間接金融である商業銀行業務と、グローバル展開するべく欧米で主流となっている投資銀行業務を掛け合わせたスタイルとして、敢えて銀行が『投資銀行宣言』を行ったのです。
投資銀行業務を並進する理由は、そもそも、商業銀行業務は企業の信用力をベースに資金調達に寄与するのに対し、投資銀行業務的アプローチではプロジェクトファイナンス等、各事業・各プロジェクト単位のリスクを見極めファイナンスを行なうことがベースとなるため、企業にとって多種多様かつ多額な資金調達が可能になるという特性があります。
例えば、証券会社における投資銀行業務はお客さまのニーズがあった場合に個別テーマ、いわゆる「点」の関係で接点を持つことが多いと思いますが、銀行はお金を預かり、動かすという「永続性のあるリレーションシップ」の関係の中で、銀行自らがリスクを取りお金を貸している点が、大きく違うのではないでしょうか?
我々は、日々のお客さまとの何気ない会話の中からニーズを拾える立場を活かした顧客基盤が財産であり、強みなのです。
この様に、新しい知恵と創意工夫をすることで、他では出来ないことを実現出来るのであれば、そこに存在意義があり、リレーションシップを活かしながら、証券会社を中心とした投資銀行業務とは違う立ち位置の面白い投資銀行業務を展開出来ると考えています。
やはり、外資系投資銀行の金融技術は先進的ですね。
彼らは、プレゼンテーション能力に優れストラクチャーやスキーム等で勝負する、ビジネススタイルかと思います。
一方、当行のような商業銀行業務をベースとした日系投資銀行業務は、先にも述べた通りリレーションシップが強みです。
特段の奇抜な発想やアイディアで勝負するのではなく、かゆい所に手が届くサービスが強みで、お客さまと腰を据えた長期的視野でのお付き合いが可能な訳です。
他のメガバンクとの違いについては、商業銀行業務自体に大きな違いはありませんが、当グループでは、各々の会社が専門的分野を担いそれをグループ横断で連携し合うといった点が売り物ですね。
また、当行においては、従業員全てが“ホールセール”という同じ方向を向いて、どの部署でも仕事をしています。
現在、グループ中核会社の従業員数合計は約3万名、みずほコーポレート銀行単体では約8000名ですから、ワンバンク方式の他行と比べるとコンパクトで、小回りが効く組織と言っていいでしょう。
日常業務の中でも、役員と身近に会話ができる環境。
これは、案件を通すために、何枚も書類を書いて何段階もの壁を越えて……という従来型の組織ではあり得ないことですよね。
一個一個の案件をスピーディーに対応しないとお客さまは基本的に待って下さらないですから、このフラットで経営サイドとの距離感が短い俊敏な組織基盤があるからこそ、フットワーク良くスピード感を持ってビジネスが出来ているのです。
まず、RMセクション・専門セクション・コーポレート部門を問わず、全てチームディールです。
一人で完結する仕事は何一つとしてありません。
皆がチームプレイヤーであるということに重きをおき、その上で個々のスキルを求めます。
スキルの前に人物像。この優先順位は変わりません。
現在、キャリア採用を積極的に行なっているプロダクツやマーケットセクションからリスク管理、主計、法務・コンプラ、監査等の内部統制分野まで、どんなに優秀な知識とスキルをお持ちの方であっても「愚直」であることが第一。
例えば、証券会社のディールは長くても1年足らずのことが多いと耳にしますが、当行のディールは長いものであれば足掛け5年も要するのです。
決して格好良いだけではないウェットで地道な日常業務の中で、「直接自分に関係ない業務かもしれないけれど、学んでいこう。チャレンジしてみよう。」という愚直なマインドがあれば、周りから自ずと吸収出来、最終的にはスペシャリティを持った人材に育つのです。
キャリア採用も新卒も一緒で、やはり人間的な魅力があるということは重要ですよ。
その上で、知識もレベルの高いものを求めます。
キャリア採用のリスクは、学ぶ時間はほとんどないということ。
新卒ではないので「これから新天地で学ばせて頂いて……」という訳にはいきません。
我々がキャリア採用の方に望んでいるのは、一から業務を修得して頂くことではなく、むしろ今までの実績が我々の業務と上手くオーバーラップ出来るかです。
今まで努力してきた結果としての資格であったり、内部統制の経験、法務や会計知識、財務諸表がしっかり読める……等、何かしらの軸をしっかり持っていないと、当行では最終的にハッピーになれないと思うのです。
異業界出身の方についてもう少し述べると、自分の軸をお持ちの方であれば、当行のお客さまである各業界の内側を熟知し、書物だけではなく現場から得てきた重みのある知識や経験を備えていますから、とても魅力的だと感じています。
例えば、レポート一つ拝見してみても、内情を熟知していると文章に重み・力強さがあるんですよ。
以下3点をトピックスとして挙げたいと思います。
基本的に、キャリア採用者としてのハンデはありません。
◇女性の活躍促進と登用
当行に制服はありません。少子高齢社会を迎えた昨今、女性に活躍してもらわないと企業として生き残れない時代になりました。
私が入行した17年前は、50名位の研修クラスで女性はわずか1~2名程度でしたが、現在の女性基幹職の新卒採用割合は2割以上と優秀な女性の採用は徐々に向上しています。
今後は、採用のみならず、育成その後の管理職への登用を積極的に行い活躍してもらうフェーズに差し掛かっており、これは女性にとって大きなチャンスだと思います。
ただ、単に採用比率や登用比率を上げるだけでは意味がないので、実際に活躍してもらうための基盤作りが重要であり、そのために女性達自らがプロジェクトの推進者となり経営に意見提言を行なっています。
女性社員自らの意識変革が必要な場合には、女性が女性を叱ることも珍しくありません。
◇グローバルな視点に立った人材採用
当行は、国内拠点と同じ位海外拠点で勤務する人材がおり、キャリア採用の方でも初任地がロンドンやシンガポールといった実例もあります。
基本コンセプトは適材適所。国境を無くしたグローバルな視点に立った人材の育成を重要視しており、グローバルベースの価値観を持った人材を求めています。
ほぼ毎月、外国籍の方も入社されていますよ。
◇専門人材の採用
当行は専門性を持った人材が大勢います。求めるスキルは「広く・浅く」ではなく「より深く」です。
特に、プロダクツやリスク管理、主計、内部統制、といったセクションでは、ジェネラリストも然ることながらスペシャリスト、資格保有者等、つまり何か秀でたものがある人材を求めています。
弁護士としての実務経験をお持ちの方も、実際に採用していますよ。
当行の考えを非常に理解した上で実践してくれていると思います。
他のエージェントと比べて一歩先を行っているといった感じです。何しろ精度が高い。
ご紹介頂いた方全てにお会いしたいと思うくらい、優秀な方をご紹介頂いてます。
当行が紹介会社さんにFeeを払っている意義は、公募と違って当行にご紹介頂く手前で候補者ときちんと話をして峻別し、両者を上手く繋いでいて下さる点だと思っています。
ですから、転職カウンセラーの方の力量が、とても重要です。
転職カウンセラーの方と我々が求める人物像を共有し、逆に、我々も転職カウンセラーの方から現在の採用マーケットの動向を聞いた上でマーケットを意識した要望を出す。そして、そこを上手く繋げて下さる。
そのため、精度が高いのです。
我々採用の仕事も紹介会社さんの仕事も、結局詰まるところは「人」だと思います。
そういう意味では、企業と候補者、双方のことを一番良く知っている紹介会社さんが一番良い紹介会社ではないかと。
我々クライアントと候補者双方を一人の人間が担当する、この法人営業 兼 カウンセラーというスタイルを引き続き貫いて頂きたいですね。
今後も、当行の想いを候補者の方に伝えて頂き、「みずほ」を是非受けたいと思って下さる方をもっともっと紹介して下さい。
まず、即戦力として期待する30歳前後のビジネス経験のある方に対しては、面接時にその候補者の方が当行で働いている具体的イメージが浮かぶか、がポイントです。
先に述べた精神論も大切ですが、即戦力人材には当然ながら実務スキルの重視比率が高くなります。
見極め期間が短いですから、最初の配属先で良いスタートアップが切れるスキルを持っているかどうか、を重視しています。
面接中に配属先をほぼイメージしてしまうくらいです(笑)。
一方、若手の方に対しては、スキルよりも「想い」や「価値観」を重視しています。
なぜ金融機関に入りたいのか、「銀行で働く」つまり金融機関に入るということを本質的に理解しているか否か。
金融業界未経験である方であれば、単なる憧れだけではなく、イメージだけでも構いませんから、今自分がやっていることを当行でこんな風に活かせると思う、と自分の言葉で語れることが大切です。
もっと、みずほコーポレート銀行ならではの“色”を出して行きたいと考えています。
まさに、『投資銀行宣言』や『グローバル宣言』そのものですが、投資銀行業務と商業銀行業務を融合し、それをグローバルに展開する銀行は、他にそんなにないと思います。
証券会社でもない、一般的に投資銀行と呼ばれるセクターでもない、ある意味、中途半端な立ち位置とお感じになるかもしれませんが、このみずほコーポレート銀行を是非知ってみて下さい。
その先には、きっとこの上なく面白い金融ビジネスの世界が広がっているでしょう。