企業インタビュー

株式会社IMJモバイル 企業インタビュー

1999年にi-modeが登場し、携帯電話がインターネットに繋るようになって早10年。モバイルインテグレーション企業としてトップグループの地位を築いてきた、株式会社IMJモバイルの取締役会長 廣田 武仁氏にお話を伺いました。
※廣田氏は、IMJモバイルの親会社であり、国内最大級のWebインテグレーション企業である 株式会社アイ・エム・ジェイ(以下「IMJ」)【大証ヘラクレス上場】の代表取締役社長も兼任されています(2009年6月現在)。

御社のこれまでの歩みと、現状をお聞かせ下さい


株式会社IMJモバイル
取締役会長 廣田 武仁氏  

モバイルビジネスの分野では、2001年から2003年の頃に、コンテンツプロバイダ企業が先行して上場を果たしてきました。その当時、IMJでは、モバイル事業は売上4~5億円ほどの事業部門でしかなかったのです。「IMJ」はWebインテグレーションの分野では既にナンバーワンブランドでしたが、モバイルではかなり出遅れていました。

2003年、IMJは、モバイルインテグレーション事業を展開していた株式会社ユニークメディアをグループ会社化し、その翌年あたりから、ようやくモバイル事業に本腰を入れ始めました。現在のIMJモバイルが誕生したのは、2006年4月。それまでIMJで行っていたコンテンツ事業部門と、インテグレーション事業のユニークメディア、そして、モバイル広告事業を展開していた株式会社ペイブメント[※1]の3社が合併し、スタートを切ったという経緯があります。

※1・・・社員からの事業提案により設立した、モバイルアフィリエイト事業を展開していたグループ企業。

当時、モバイル業界では、B to Cビジネスモデルのコンテンツ事業が主流でしたが、IMJモバイルは他社がまだ注力していなかったB to B to Cビジネスモデルのモバイルインテグレーション事業に軸足を置いてスタートしました。というのも、IMJが元々B to B to Cビジネスモデルでの事業で成功を納めていたため、事業展開のノウハウの蓄積がありましたし、加えて、当時は携帯電話が次々に高機能化され、通信速度の高速化も実現されていた背景がありましたので、企業がモバイル端末を利用して新たなサービスを提供したり、キャンペーンを展開する時代が必ず到来すると確信していたからです。

実際に、一昨年ほど前からこの波が来ていると実感しています。3~4年前まで、モバイルは、ともするとWebの「おまけ」のような補完的な捕らえ方が多く、企業がマーケティングや販促のためにモバイルに費やす金額はWebの10分の1程度でした。しかし、最近では、Webよりもモバイルに投資を費やす企業も多くなってきています。

インターネットソリューションビジネスの現状についてお聞かせ下さい。


日本では不思議なことに、Webでのソリューションを提供する企業と、モバイルを利用したソリューションを提供する企業は、別々に育ってきたという経緯があり、Webとモバイルの両者を同時に取り扱っている事業は極めて少ないというのが現状です。しかし、インターネットマーケティングを成功させたい顧客企業からすると、「自分たちがネット上でどのようなビジネスが展開できるか、どのようなマーケティングが実施できるのか」が観点となるため、PC&モバイルの連動は言うまでもなく、デバイスフリーでベストな提案を求められることが、非常に多くなってきています。
最近はむしろ、ネットサービスにしても販促キャンペーンにしても、単一のデバイスのみで展開されるケースのほうが少なくなってきています。実際に、コンペのシーンでも、  Web/モバイルインテグレーターはもちろんのこと、広告代理店やネット広告代理店、SIer等、様々な企業と競合してきています。これからは、それぞれ違う分野に強みを持つ多種多様な企業が、インターネットという1つの土俵にひしめき合う、まさに「異種格闘技」状態になっていくでしょうね。

そのような状況の中で、御社の強みはどこにあるのでしょうか?

Webインテグレーター、モバイルインテグレーターがそれぞれ個別に事業展開されている中で、IMJグループはWeb事業のみならず、モバイル事業も順調に拡大しており、最近では、VOD[※2]やIPTV[※3]等、様々なデバイスへの対応も進めてきています。今後のニーズとして、PCやモバイルだけではなく、様々なデバイスを利用した動画配信等もますます増えてくるでしょう。複数デバイス、オールデバイスを使ったソリューションの機会が増えてくると、IMJとIMJモバイルが連携して顧客企業に対して提案していくシーンが増えていくことになります。
社内ではよく「マルチデバイス」と言っていますが、ネットに繋がるデバイスすべてに対応できるということ。これこそが、当社の強みであり、他社と差別化できるところですね。

※2・・・Video On Demandの略で、利用者が好きなときに様々な映像コンテンツ等を視聴できるサービス

※3・・・IP(Internet Protocol)を利用してデジタルTV放送等の映像コンテンツ等を配信する通信サービス

IT業界は、技術の進歩のスピードも速く、目まぐるしく変化していきますが、今後の戦略についてお聞かせ下さい。


新しいデバイスは次々に登場してきます。例えば、昨年、日本でも発売され話題になったiPhone等もそうですよね。
もちろん全ての新しい技術をカバーすることには限界があるため、自社で対応すべき分野と、他社と協業することで対応していくべきものとを区別した上で、新たなデバイスに対してもキャッチアップを怠ることなく実施していきたいと考えています。将来的にも必要になるであろうコアな技術は社内で育てつつも、パッケージとして顧客に提供できそうな技術(例えばWeb分析ツール等)に関しては、既に専業として優れた技術を持つ企業とタッグを組むようにしています。

私たちは、1つにこだわるのではなく、全ての選択肢の中から最適なものを組み合わせ、お客様にベストな提案ができる立場でありたいと考えています。様々な企業と連携しながら、デバイスフリーで、どのようなサービスやソリューションが提供していけるのか、そこに注力していきたいですね。

これからは、単に「いいものを作ります」というだけでなく、顧客企業のビジネスを成功させるために、戦略パートナーとして提案できるポジションになっていきたいと考えています。「いい物を作り、尚且つ、顧客のビジネスを成功させる」という、より上流のソリューションを目指しています。従って、今後は、より広い視野を持ち、全体を見て提案することのできる人が必要となってきます。

現在注力されている事業があれば、それについてお聞かせ下さい。


昨今、顧客企業からは「ROI(return on investment)」を改善するにはどうすればいいか、という提案が求められるようになっています。他のマス媒体と違って、Webやモバイルはログが確実に残るため、投下費用に対する結果がはっきり数字で表れます。ところが、ログをとっている企業はたくさんありますが、それ以上踏み込んだアプローチをしているところはあまりありません。
そこで、当社ではそのログを分析し、ROI改善のためのアクションに繋げることに注力しています。グループ内に専門のコンサルティング部隊を持ち、分析結果を活かして次の戦略を練っていくビジネスを、他社に先行して行っています。必要な人材を育成し、強固な組織を創り、顧客企業に深く入り込み、真のパートナーとなることを目指しています。

御社の社風についてお聞かせ下さい。

IMJグループ全体に言えることは「ポジティブ」と「チャレンジ」です。これに加え、IMJモバイルは、様々なものが混じり合った「ヘテロジニアス(異質の、異種のという意味)な環境」なんですね。社内には営業・企画・制作・エンジニアといった様々な職種のメンバーが共存していますし、また、合併して一緒になった会社もあります。中には、三井物産という大手企業のグループ会社であった企業もあります。IMJモバイルには、異なる環境で育くまれたものが入ってきても、それを「受け入れる文化」があると言えるでしょう。どの会社出身だとか、どんなバックグラウンドだとかいうことは、全く関係ありません。

複数の会社が合併してできた会社でありながら、人材が上手く融合したポイントはどこにあるのでしょうか?


組織の中の人材を混ぜることと、経営側の人間が社員をイーブンに見ることではないでしょうか。2006年10月に、三井物産株式会社の100%子会社であった株式会社スウィングと合併した際には、半年間ほどかけて、徐々に人材交流を活発化させて組織・人材を融合させていきました。IMJグループ自体、学歴も男女もまったく関係ない組織ではありますが、更にその環境の中で、同じ仕事をして、同じ大変さや辛さを味わい、同じ達成感を得ることで、より一体感が出てきたように思います。

IMJモバイルで働くにあたって必要なマインドや、マッチする人物像があれば教えてください。

社員の特徴としては「いい奴」が多いですね(笑)。IMJモバイルでの仕事は、例えば営業パーソンが1人で売上を稼いでくるような性質のものではなく、多くのメンバーが一緒にチームとして協働することが多いという特徴があります。大きなプロジェクトになると、何十人もの人間が集まって1つの成果を目指します。企画を担当する人、システムを作る人、それを運用する人・・・様々な職種のメンバーが集まって1つのプロジェクトが動くため、協業の中で高いパフォーマンスをあげることが求められます。自分の意見や作業ばかり優先させていては、最適な結果には繋がりません。プロジェクトとして最適な形に辿り着くため、チームとして考え、結果を出せる人でなくてはならないのです。そういった意味で、人柄は非常に重要な採用基準ですね。人の話をしっかりと聞き、きちんとコミュニケーションを取ることができる、といったきわめて基本的なことが大変重要だと考えています。

御社は同業他社と比べても、社内制度が充実しているようにお見受けします。


大手企業と比べると、もちろんまだまだですが、優秀な人が集まり、力を発揮しやすい環境づくりを、グループ全体で意識しています。
IT業界は、業界自体がまだ新しく、今まさに「産業」になっていく成長過程にあると感じています。「産業」となるため、継続して成長していくためには、人が集まらなくてはならない。そのためにも、魅力ある処遇や福利厚生は必要なものです。例えば、一所懸命に働けば、その後にリフレッシュ休暇があったり、給与ベースが上がったり・・・。
従業員が幸せになる、という観点でもしっかり考えていかないと、産業全体として良い方向に進んでいかないと思っています。周りから見ても魅力的な業界にならないと、優秀な人も集まってきませんし、強い業界にもならないのではないでしょうか。

IT業界は人材の流動が激しいというイメージもありますが。

IT業界では、打ち上げ花火のようにドカンと新しいビジネスが持ち上がり、1年後には消えてなくなっている、といったことも珍しいことではありません。それで、人が流動したり、(目指すところが定まらず)右往左往したりすることも多々あります。
私たちは、世の中を変えていく原動力でありたいと考えていますが、同時に地に足をつけていたいとも考えています。去年より今年、どれだけ世の中を変えているか、会社を良くしているか。そういうことを経営者として大事にしたいと思っています。

人材に関しても、就労・育成をロングタームで考えています。社員には、社内で成長していってもらいたいし、この会社に入って良かったと思ってもらいたい。もちろん、未成熟の業界だからこそできる事として、若い人に多くのチャンスをあげたいし、成長するために色々な経験をして欲しいのですが、人材が短期で入れ替わることを、良いことだとは決して考えていません。

最後に、御社を志望される方へメッセージをお願いします。


中途入社の方に最も期待することは、社内に刺激をもたらしてほしいということです。その方が入社したことによりシナジーが生まれ、組織が活性化するといいですね。

モバイル業界の魅力は、何と言っても「スピード感」です。物事がものすごく早いスピードで動いています。
また、IT技術が世の中を変えていく中で、モバイルはまさに“キー・デバイス”だと思うのです。他のどんなデバイスとも相性がよく、1人1台持っていて、24時間365日いつでも手元にある。情報の流れだけではなく、生活そのものを変えていく、究極のワントゥワンマーケティングができる可能性を秘めたデバイスなのです。モバイル業界の最前線で働くことには、まさしく「時代を作っていく」という面白みがあります。

世の中を変えるということは、「驚き」や「便利」の積み重ねです。一つひとつの積み重ねが、積もり積もって、いつの間にか物事のスタンダードになっているのです。IMJモバイルは、常にそのフロントランナーでありたい。IT業界のフロントで世の中を変える仕事がしたいという、高い志、強い想いを持つ方をお待ちしています。

本日はお忙しい中、長時間に亘りご協力頂き、ありがとうございました。

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株式会社IMJモバイル(現:株式会社アイ・エム・ジェイ)
設立
1996年 7月 4日
資本金
43億1,046万円
従業員数
グループ合計 598名
本社所在地
東京都目黒区青葉台3-6-28 住友不動産青葉台タワー
事業内容
デジタルマーケティング事業(※グループの事業内容を含む)
※この記事の内容は取材当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職名等は現在と異なる場合があります。
職業紹介優良事業者認定マーク
当社は、全国に約28,000事業所ある人材紹介会社の中で、厚生労働省が審査し、 わずか40社しか選ばれない「職業紹介優良事業者」に認定されています。
※平成26年(第一回認定):全国で27社のみ、平成30年:全国で43社のみ(第二回認定)、令和2年:全国で39社のみ(第三回認定)、令和5年:全国で40社のみ(第四回認定)
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