まず1つ、事業の柱としてeコマースが挙げられます。この事業は、安定的な収益と確実な成長が見込まれる、収益のベースロードと言う意味でも非常に重要なものです。今後、eコマースが急に無くなるだとか、時代がeコマースではない方へ向かうということは考えられません。この分野には、まだビジネスを展開する余地が確実にあり、ビッダーズからペイジェントまで、B(Business)とC(Consumer)両方の領域に関わって幅広く事業を行っている我々としては、これからも様々な展開ができると考えています。 10月に、(株)ワールドさんと業務提携し、「バイヤーズクラブ」を2010年1月末に開設すると発表しましたが、これなどはBtoB展開の例ですね。
2つ目に「モバゲータウン」。これは現在の主力事業ですが、今後の展開としてプラットフォームの外部開放を考えています。その一端が、モバゲータウンのゲームのオープンプラットフォーム化です。オープン化に関しては企業ごとに対応が分かれていますが、当社では、今後これが拡大していく可能性が十分にあるとみて、プラットフォーム展開を強化、エコシステムとして、自分達だけでなくみんなで発展していこうという考えを持っています。
3つ目に「ソーシャルゲーム」。これは、リリースして3週間で3億円の売上を出し、1日数十億のPVを達成するなど、驚くような効果が出ています。FacebookやiPhoneなどでは既に定着しているように、ソーシャルゲームは現在、世界的に大きな潮流となりつつあり、当社でも大きな成功を収めつつあります。これも収益の大きな柱と言えるでしょう。
4つ目にモバイル広告が挙げられます。当社はモバイルアフィリエイトでも、国内最大級のネットワークを持っています。広告はネットのあらゆる事業領域に入りこむことが可能で、PVのあるところには必ず広告が発生しうる。モバイルのPVは、今やPCに匹敵しつつありますが、現状は6:1くらいでPCの広告市場のほうが圧倒的に大きい。この差を縮めるためには、モバイルでも、もっと付加価値の高いものを作っていかければならない。これは、ルールを作ることができる規模を持つ、我々のような事業者がやらねばならないことだと考えています。
現在、新たな柱としてこれらの国内事業を国際的に展開していくということにチャレンジしています。既に中国・米国で取り組みが始まっており、まずはモバゲーのプラットフォームのリージョン展開を行っています。
以前はバラバラだった海外側のプラットフォームも、現在は整理されつつあり、また、端末に依存しない開発環境も整いつつあるため、当社としても攻めて行きやすい状況にあります。もちろん、中途半端な状態のものが海外で受け入れられるはずはありませんが、我々は国内の実績では自負できるものがあり、海外へ出て行く挑戦権を手にしていると思っています。
全体として、収益機会は以前より確実に多くなっていると言えますね。
「どんな仕事をしてきた人がいいか」で言うと、意思決定に深く関わるような仕事をしてきた方がいいですね。
例えば、「どっちに転ぶかわからない物事を、決めなければならない状況」を経験してきた方は、当社に馴染み易いと思います。逆に、意思決定をしているように見えるけれど、実際は言われた通りにやっているだけ、という方は、当社にはフィットしません。面接でも、「どんな状態のものをどういう状態に変えたか」について、自分の言葉で話せるかどうかを具体的に聞くよう意識しています。面接対策をして来た方でも、本当に具体的にやっていたかどうかは、突っ込んで聞いていくと自ずと判りますよね。それが成功したか失敗したかは、どちらでもいいと私は思っています。“決める”というところに関わる経験をしたかどうかがポイントなのです。
これは、職種にはあまり関係ありません。例えば営業職なら、知恵を使って、「買わない」と言っている人に「買って頂く」という意思決定をさせている方は、高いレベルにある方だと思います。逆に、誰がやっても売れるような商品力のあるものを売ってきただけの方は、ターゲットではありません。
また、コンサルタント経験者なら、本当に現場を変えなければならないような経験をしたことのある方がいいですね。大手企業の中期経営計画を作成したり、デューデリジェンスばかりしたりしてきた方よりも、直接現場に入り、意見が対立する人達の間で揉まれつつ、変革プロジェクトを動かしてきたような方のほうが、当社にはフィットすると思います。
文系・理系は関係なく、自分で問題設定をする能力があるかどうかが重要です。学生の面接をしていても、大学院生などで、与えられた研究課題をそのまま漫然とやっていた、という方がたまにいますが、そうではなく、「そもそも何が問題なのか」から自分で考えてきた経験を持つ方がいいですね。もちろん、これは学業だけに限らず部活動などにも言えることです。
ネット系企業出身でなくても、ビジネスパーソンとしてレベルが高い方、ポテンシャルを感じる方を、より積極的に採用していこうと考えています。今は、去年と同じことをやっていればよい状況ではなく、既存のものを壊してでも、新たな取り組みをしていく必要がある時です。「この業界はこういうものだ」という先入観を持った人ばかりが集まってしまうことは、会社が変革の可能性を失うことにもなりかねないので、IT業界での経験は決してマストではありません。
求めたいのは、「何か新しいものを作っていこう!」という気概や、“本質的なことを考える力”、“考えたことを実行に移す力”ですね。また、強いて言うなら、「ネットやモバイルのサービスを使うことで、人々にどんな変化が起きているか」を察知する感覚に優れた方に来て頂きたいですね。
20代・30代のビジネスパーソンなら、誰でも一度はネットやモバイルのサービスを使ったことがあるでしょうし、携帯を使ったことがないという方もおそらくいないでしょう。使ってみて「何か」を感じる方、いつもユーザーとして、「このサービスいいな」「こうなればもっといいのに」といったことを感じていて、それを自分の言葉で表現できる方は、異業界出身であっても、入社してから成果を出すまでが非常に早いですね。
また、個人的にマスト条件だと考えているのは、“変化を許容して楽しめる”ということ。変化するつもりのない方や変化を許容できない方にはフィットしません。この業界は、明日はどうなるかわからない世界です。3ヵ月後には全く新しい事業をしているかもしれないし、5年後には今と全く違う状況になっているかもしれない。「それならそれでかまわないじゃないか」と柔軟に捉えられるような方で、「常に変化し続ける時代のカッティングエッジにいたい」「世界にインパクトを与え始めている、その最初の瞬間にいたい!」という方がいいですね。
もちろん、是非そういった方にも当社のことを知って、チャレンジして頂きたいですね。一般的によく言われるのが「ゲームの会社でしょ」ということ。確かにゲームは大きな事業の柱ではありますが、テーマとしてはそれ以外のことも多く手掛けています。eコマースをこれほど幅広くやっている会社は他にはないし、今やケータイのPVの何割かは当社のトラフィックだと言える規模になっており、SNS等を通して人のコミュニケーションに深く関わっている会社という見方もできます。ゲームにしても、人と人とが繋がるコミュニケーションの要素が強い、ソーシャル性のあるものを提供しています。コミュニケーションに全く興味がありません、というビジネスパーソンはきっといませんよね。
「ネットの会社」「ゲームの会社」と限定せず、ディー・エヌ・エーのフィールドには色々な可能性があることを、是非とも知って頂きたい。誰もやったことがない、、ユーザーの反応も、法務や経理の対応も全然わからないような「全く新しいこと」を始める機会は、世の中にそう多くはないと思います。自分たちが新しく始めたことがルールになる、その場面に出くわすチャンスがディー・エヌ・エーにはあります。
メッセージとして一番伝えたいことは、「年齢は関係ない」ということです。
現在、執行役員には29歳から35歳までの者がいますが、「みんな若いから今後も執行役員として安泰だ」といった考えは、全くありません。この執行役員制度は、今年の4月からスタートしましたが、導入時に「任期ごとにゼロから人事を見直す」ということを堅く取り決めたんです。成果を出さなければ入れ替わる可能性があり、執行役員自身もその覚悟でやっています。ベンチャー企業等にありがちな、上が若くて詰まってしまっていてポジションがない・・・という組織にはしたくないと考えています。
役員にならないと仕事のレベルが上がらない訳ではありません。明確な役職はなくとも、グループリーダーやチームリーダーという形で1人ひとりの役割は大きくなっていきます。当社では、成熟マーケットに属している企業と違って、新しいリーダーを求める戦場が常に広がっている状況にあり、新しいことにチャレンジする機会が非常に多い。この業界では、十数名のチームが月間数億円の利益を出すことも有り得るし、実際にそういうチームも存在します。そのチームのリーダーは、若手であったり、ベテランであったりしますが、これまで一兵卒だった社員が、リーダーに登用されP/L的にも大きな貢献をする、といったことが実際に起こり得るんです。
仮に、役員や部長というポジションに就かなかったとしても、新しいリーダーは毎年数十名単位で必要となってくるでしょうし、自分が前より大きな裁量で前より大きな成果を出していることを実感できる機会は、他の会社よりも多いと思います。
新しいことにチャレンジしていくため、失敗をする機会も多くあります。もちろん、実際に失敗する人もいますが、チャレンジして失敗したことでその人を減点評価することはありません。一般的な大企業では、大失敗した人間を取締役にすることは、まず考えられませんよね。失敗していない人が出世していく。ですが、全く傷ついていない人というのは、勝負を避けてきた人とも言えます。
当社では成功した人ばかりが中心にいる訳ではありません。大失敗をして深い痛手を負うことや、修羅場を潜り抜ける経験をすることは非常に重要だと考えており、失敗を恐れずに挑戦させるようにしています。
かといって、失敗ばかりされていては、会社としても困りますよね(笑)。そこで、相性の面でも上司と部下とのマッチングには非常に気を使っています。また、今回、本部・ディレクター制を導入し、本部長とディレクターで重要な意思決定を行うようにしたんです。本部の意思決定においては、最終的にどちらが正解か判らないことを決めなければならない場面が多く存在します。仮に失敗したら、自分で尻拭いをしなければなりませんし、非常にハードな議論が行われるんですが、そういった話し合いの場面になるべく若い人材も同席させたいと考えています。このディレクター職には新卒で入社して2年目の者が2名います。本部長の直下でリスクを抑えつつ、失敗も経験できる場を与えています。
現在社員は600名を超えるまでになりました。入社のタイミングも、管理職になるスピードもバラバラ。自動車メーカーから来た人もいれば、外資系銀行出身の人もいる。22歳の新卒もいれば、40代もいる。このように、多種多様な社員一人ひとりに、ディー・エヌ・エーのコア要素をもっと浸透させ、コミュニケーションをより密に取れる組織にしていきたいと考えています。
代表を中心に求心力を持つことで社員をまとめていく企業もありますが、我々は"遠心力"を持ちたいと考えています。 10年後も最前線で勝負するために、南場智子の会社というだけではなく、こんなリーダーもいるし、あんなリーダーもいる、という会社にしたい。そのために、Divisionごとに独立させ、今の段階から本部長や執行役員に相当な裁量を委譲しています。そしてその本部長や執行役員が、新しいメンバーを組織化していくときにエバンジェリスト(啓蒙する人)となるのです。「経営陣―執行役員・本部長のつながり」そして、「執行役員・本部長―メンバーとのつながり」を密にする。この方針はかなり明確になっています。
「最先端の感覚で、時代を切り開いていくのが面白いと思わないか?」と。そのためには、我々自身が常に変わり続けていかないとすぐに置いて行かれる世界です。例えば、3年前にはiPhoneなんて、世の中には影も形もなかった。けれど今、iPhone抜きに携帯を語ることはできません。時代はどんどん変化していて、今から3年後には、全く新しい何かが生まれている可能性もあるし、中国やインドで、日本の人口よりも多いユーザーが3G端末でやり取りするようになると、最先端の中心地が大きく変わっている可能性もあります。そうなった時、勝負できるのは誰なのか。我々が、「はい、それはディー・エヌ・エーです」と言えるようになっているためには、今のやり方を常に捨て続けていく覚悟が必要です。変化を楽しめる方、変わらないことよりも「変わっていくことの方が面白い!」と感じられる方に是非来て頂きたいですね。
当社には、「何か新しいことをやりたい」と考えている方にとって、チャレンジしたくなるような領域がいっぱいあります。“ゲームだけではないディー・エヌ・エー”を是非知って下さい!