現在、当社の中核事業は、「複合機・プリンター事業」で、グループ全体の売上の60%以上を占めています。そして、これに次ぐ事業として、光学レンズや電子材料に関する「オプト事業」があります。この分野では、CD、DVDなどのピックアップレンズや、カメラ用レンズなどを提供しています。中でも、利益の面で貢献が大きいのは液晶用のTACフィルムで、製造工程に特殊な技術が必要なため、もともとフィルムの会社である富士フイルム(株)さんと当社で、世界シェアを二分しています。
そして、「医療機器事業」と「センシング事業」、「インクジェット事業」がこれに続きます。
当社にはまだ「カメラの会社」というイメージがあるかもしれませんが、旧コニカと旧ミノルタ、それぞれの創業事業であった、フイルム・カメラ事業は2006年3月以降終了しており、2011年3月で事業としては完全に終了しました。それでもやはり、以前のブランドイメージが根強いようで、そのことをご存じない方もいらっしゃいます。
現在はBtoBの事業が中心で、メディアへの露出も新聞広告やニュース番組の提供が多いため、若い世代では、一般消費者よりもビジネスパーソンのほうが、ブランド認知度が高いかもしれませんね。
今は色々な事業領域を持っていますが、やはり当社の強みは、創業事業であるフィルム・カメラから派生した技術にあると思います。フイルム・カメラ事業で培ってきた、化学、精密、電気、光学などの様々な技術が全て社内にある。それらがどんどん発展していき、現在の事業が誕生してきました。今後は、有機ELやLEDなど、新しい分野にも進出していきます。
我々はもともと研究開発が主体の会社ですし、新入社員にしても約80%は技術系の職種です。今年度も、売上高研究開発費比率(※1)は9%程度になっています。やはり研究開発が当社のコアなんですね。
とは言うものの、研究のための研究になってしまったり、お客様のことが見えなくなってしまったりする状態に陥らないようにすることが重要です。
そこで、タグラインやコミュニケーションメッセージにもそういった点を打ち出しています。今年の9月からは、お客様や社会の課題を解決することで世の中に必要不可欠な企業となる、という企業姿勢を伝えるために、『 Giving Shape to Ideas 』というメッセージを掲げています。お客様や社会に喜んで頂けることを考え、マーケットインの姿勢を忘れないようにしていきたいですね。
※1・・・日本経済新聞社の「研究開発活動に関する調査」によると、主要246社の2010年度の売上高研究開発費比率は約4%。
現在、海外での売上比率が全体の70%以上を占めています。特に、複合機・プリンターなどの中核事業においては、約85%が海外の売り上げです。また、世界に約3万5000人いる従業員についても、その3分の2は外国人と、かなり海外の比率が大きくなっています。
もともと、旧ミノルタは早くから欧米に進出しており、特にヨーロッパ市場に強く、また北米でのブランド認知度も高かった。そして旧コニカは、統合前からベトナム、インドネシア、タイなどのアジア地域に注力していたので、2社が統合したことで、事業は今や世界中で展開されています。今後は、有望市場と言われている中国やインドはもちろん、ロシア、中米、南米など、他の地域にも注力していきます。
この10年間はコンスタントにキャリア採用を行っています。リーマンショック直後は採用人数が減少しましたが、2010年は40名程度を採用、2011年は80名程度の採用を予定しています。また、当社の人口ピラミッドを補完するために、ターゲットとなるのは主に30代を中心とする若い世代です。
もちろん、キャリア採用の目的は、即戦力として、ある事業、研究、生産を行うために必要な人材を供給していくことですが、それだけではなく、「コニカミノルタを変えていける人材」を採用したいと考えています。
私は、会社というものは、常に変化していかなくてはならないと考えています。歴史というものは、同じことをずっと繰り返しているだけではなく、何かを変えていくからこそできるものです。一般的に企業の寿命は30年程度だと言われますが、当社には130年以上の歴史がある。それはやはり、各時代に応じて新しいことをきちんとやってきたからこそだと思います。
当社は、創業以来、日本初や世界初の製品やサービスをたくさん生み出してきました。それをこれからも続けていくためには、自らの良いところ、良くないところを常にチェックし、良い方向へ変えていく作業を自分自身で成し遂げられるような人材が求められます。自らの力で電気を起こして、物事を推し進めることができる「自家発電的な人」が望ましいですね。
実はキャリア採用そのものが、会社を変えていく一つの起爆剤だと思っています。
様々な会社の異なる文化をミックスしていくことは、すごく大事だと感じています。採用でも「ダイバーシティ」を意識していますが、旧コニカと旧ミノルタが統合したことで、その重要性をより深く実感することができました。色々な個性や考え方が交じり合うことにより、会社が強くなり、変わっていくことができるのではないでしょうか。
変化しているかしていないかは、会社の中にいる人たちだけではわかりません。外から客観的に見て初めてわかることもある。外部から来た人の意見を聞くことはとても大切ですね。
そうですね。やはりビジネステクノロジーの世界で新しいことをやっていく上で、チャネルや技術に関して、自前だけでは補えない部分をM&Aによって確保する必要があります。そのため、メーカー出身者に限らず、ファンド出身者やコンサルティングファームでの実務経験者を採用した例もあります。
現地でも採用を行っていますが、日本で採用した人材が海外拠点で活躍する機会も、もちろんあります。特に生産分野では人材交流が多くありますし、今後は研究・開発分野の人材にも海外での活躍の機会が増えるでしょう。キャリア採用で入社した人材でも、新卒入社と同等のチャンスがあります。
働き方の個性は人によって様々ですので、個人に委ねられている部分が大きいですが、ワークライフバランスの実現に関してはうまくいっていると思います。実際に色々な社内制度が活用されており、男性社員の育児休暇取得の実績もあります。平均勤続年数は男性・女性でほぼ同じですし、当社の入社3年目までの離職率は、世間の平均の10分の1以下で、1~3%程度です。そういった点からも、働きやすい会社と言えるのではないでしょうか。
大らかで自由な社風ですね。“和(わ)”も、もちろん大事にしますが、新入社員でも自由に発言しやすい環境です。その点では、中途で入社した方にも、働きやすいと感じて頂けているようです。研究だろうがマーケティングだろうが、どの部署でも、誰でも意見が言いやすいという点は、当社の大きな強みだと思っています。そして、若い人材や経験の浅い人材にも、どんどん大きな仕事を任せる風土がありますね。
「右向け右」の号令がかかった時、全員が右を向かなくてもある程度は許容されるような(笑)、リベラルさ、フランクさは、旧コニカ・旧ミノルタの両社が持っていた要素です。
私は、今の時代にはこの社風が合っているんじゃないかと思っています。今は、全社が一方向にずっと同じことをやり続けていればいいという時代ではありません。社員それぞれが様々な方向に伸びており、色々な考え方が集まっている会社の方が、強く、面白いのではないかと感じています。
統合して間もなく10年です。旧コニカは関東の会社ということで、広い視野と、色々なものを吸収していこうという柔軟性がありました。そして、旧ミノルタは、関西の会社ならではのアグレッシブなコミュニケーション力と、高いコスト意識を持っていました。この2社の文化が交じり合うことで、お互いに足りない部分を補い合うことができたと思っています。
先ほどもお話したように、この統合によって、色々なものの見方や考え方が交じり合う、多様性の重要さを実感することができました。
私が入社2年目で、まだ会社の売上が2500~3000億円だった頃に、あるプロジェクトを担当し、1億円の決裁権を与えられたことがあります。
入社2、3年目だと、まだ人脈もないし、お金もどう集めたらいいのかわからない。でも、これは面白そうだと思えるビジネスのプランがあり、それを実現するには1億円くらいの予算が必要だとわかったんです。その時、当時の取締役が、ペーペー社員だった私に「失敗を恐れるな」と言って、実際に予算を与えて任せてくれたんです。そのプロジェクトは、一所懸命取り組んだ結果として、ある新しいビジネス形態が生まれるきっかけを作ることができました。この体験は、今でも強く印象に残っています。
また、宣伝部の時代には、米メジャーリーグで、セントルイス・カージナルスのマーク・マグワイア選手が、シーズン最多本塁打(1998年当時)を記録した62本目のホームランが、スタジアムにあったコニカの看板に当たり、世界中にその映像が流れたことがあったんです。それがきっかけで、マグワイア選手に当社の宣伝に出てもらおうということになり、契約交渉に臨んだこともありました。その時も、色々なことを経験させて頂きましたね。
とにかく色んなことをやらせてもらえる会社です。それは間違いありません。自らを変えたい、会社を変えたいという、強い思いを持っている方に、是非当社を知って、積極的にチャレンジして頂きたいと思います。