企業インタビュー

エリクソン・ジャパン株式会社 企業インタビュー

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今回は、エリクソン・ジャパン株式会社の人事本部 HRサービスデリバリーグループ シニアマネージャー 本多 正幸 氏にお話を伺いました。世界180カ国・135年間に渡って通信業界をリードし続ける同社の現在や、北欧企業ならではの社風、求める人物像などに迫ります。

まず、御社の事業内容について、一般の方にも分かるようにお教え下さい。


人事本部 HRサービスデリバリーグループ
シニアマネージャー 本多 正幸 氏
「最近の基地局は、2人居れば持ち上げられる程度にまで小型化が進んでいます。」

当社は、通信インフラを提供している企業です。約135年前に北欧スウェーデンで誕生し、電話の発展と共に歩んできました。現在、世界のモバイル端末のうち40%以上が当社のシステムを経由して通信が行われています。
通信事業一筋に世界中で展開しており、日本においても20年以上に渡ってビジネスを行ってきました。現在は、大手通信事業者(キャリア)に対する、無線基地局をはじめとした各種電気通信機器の販売・設置・運用及び保守が売上の大半を占めています。
外資系企業という立場ではありますが、日本国内で積み上げてきた実績と技術には一定の評価を頂いているものと思っております。2011年7月に、テレビの地上デジタル放送への移行に伴ってアナログ周波数帯が空きましたが、この周波数帯活用のための政府の標準規格作りにあたり、当社CTOが他事業者も巻き込んで官公庁と交渉したこともありました。

端末を作っているのではなく、通信ネットワークを作っているのですね。

はい。一般の消費者にとっては、合弁会社である”ソニー・エリクソン”という社名を耳にするほうが多いかもしれませんが、その端末同士が繋がるための人目には触れない裏側の仕組みを作っているのが私達です。
2011年10月28日付の日経新聞でソニー(株)様との合弁解消が報じられましたが、これはよりインフラ事業に集中するための決定です。端末ビジネスはマーケティング勝負で、変化も激しく当たり外れも大きいです。一方、インフラビジネスは、地味かもしれませんが、ボリューム・収益性・継続性に優れています。

基地局を設置するというビジネスについて、もう少し詳しくお聞かせ下さい。

無線通信は、信号をバケツリレーのように基地局から基地局へと受け渡していくことで成り立っています。ですから、この基地局がカバーしているエリアの重なり具合や、基地局自体の処理量を勘案し、適切な数の基地局を適切な場所に設置しなくてはなりません。

近年は、通信機器の提供や設置に留まらず、シミュレーションに基づいた最適配置の提案など上流工程から運用監視などのオペレーションに至るまで、お客様から幅広くお任せ頂くケースも増えてきました。特に、ノウハウの不足している発展途上国においては、コンサルテーションから運用監視まで含めたオペレーションを当社にお任せ頂いた方が、トータルではコストを削減できる場合が多いですからね。日本においても同等レベルでお客様のネットワークの接続状況を24時間把握できるようにしてあります。

基地局を納めるだけではなくなってきているということですね。


「震災発生時には、スウェーデンから特別なヘリコプターを手配し、機器運搬などの支援を行いました。」

ハードウェアのみの取り扱いですと、どうしても価格競争に行きついてしまいます。当社としては、世界中で培った実績やノウハウを活かした総合的なサービスの提供ができるようになっていきたいですね。究極的には『お客様から実現したいことを伺った後、計画から製造・設置・運用監視に至るまで全て当社が提供できる』という状態になれればベストです。

新設した基地局に対しては、単純な保守だけでなく、ハードウェアの増設やソフトウェアのアップグレードも行います。当社は受注側ではありますが、できるだけコストを抑えられるようにご提案します。オペレーションコストの低減は携帯電話の月額料金の低減となり、お客様の価格競争力の向上に直結しますからね。

世界シェア4割以上を誇る御社の強さの源泉はどこにあるのでしょう。

研究開発への注力ではないでしょうか。世界で2万人以上の当グループの技術者が、常に新しい技術開発に取り組んでいます。例えば、4Gと言われるLTE(※1)などもかなり早い段階から手掛けており、主要な特許のうち25%は当社が保有しています。実験を行うだけでなく、実現やデリバリーまで一貫して手掛けられることも、当社の強みですね。

携帯通信は今や完全に生活インフラになりました。3月11日の東日本大震災発生時の一例を出すまでもなく、通信回線の安定や品質の向上は、ますます強く求められていくでしょう。更に、スマートフォンの普及によって、日常的に扱うデータの量も更に大きくなっていくことが予想されますので、私達も情報が通る道路をより太く速くしていく必要があります。
また、現在主力となっている基地局経由の無線通信だけでなく、デバイス同士のネットワーク化も進めていきます。例えば、自動車のカーナビゲーション端末同士を繋げることで適正な車間距離を算出し、渋滞の緩和を図るというような取り組みですね。2020年までに世界500億の端末をモバイルネットワークで接続することを目標に、アプリケーション開発に取り組んでいます。

※1:LTEについての説明はこちら

御社の社風で特徴的なことがあれば教えて下さい。


人事本部 HRサービスデリバリーグループ
シニアマネージャー 本多 正幸 氏

トップダウンだけでも、ボトムアップだけでもなく、とにかく話し合うということを非常に重視する社風です。メンバー全員が1票ずつ持っていて、みな自分の意見を言わないと気が済まないといった感じですね。社長からも何かあったら遠慮なく言ってくるようにとよく言われます。

また、男女や国籍による差別のない、非常にフラットな環境です。当社内は公用語が英語で、実際60名程のスウェーデン本社からの駐在員だけでなく、ローカルでも数多くの外国人を採用しています。多くの人にとって英語は第2外国語ですから 『きちんと話さないと伝わらない』 という意識も高いです。日本人としては大変さもありますが、自分の言いたいことを伝えるための訓練になりますし、愉しいですよ。

グローバル企業ならではの光景ですね。

外国人と仕事をする時は、きちんと伝え合うことが大事だということを肌で感じますね。当社のメンバーは皆、分からないことを「分からない」と言うことに抵抗がありません。当社は全世界の9割以上の国でビジネスを行っていますから、情報を伝えるということに関しては徹底的に真面目に取り組んでいます。
近い将来、日本人は『日本人でない人達とどう一緒に働いていくか』という問題に直面すると思います。現に、外食業界や小売業界では、オペレーションの現場を中心に外国籍の方がどんどん増えてきていますよね。
残念ながら日本流はグローバルスタンダードではありません。言語の問題だけでなく、スピード感の違いを理解してトーカティブな人達に怯まずに発信していく姿勢を身に着ける必要があります。幸い、当社に入れば、日本に居ながらにしてグローバルなやりとりの修練を積むことができます。

その他にはありますか。


「駐在員やローカルハイヤーを含めた
外国人比率は約10%です。」

特定の地域に固執しないという姿勢です。例えば、私達は全世界に供給している製品の半分以上を中国で生産しています。一番適したところで作るという姿勢がはっきりしているので、国内生産にこだわる企業と比較して価格競争力があります。
生産だけでなく、他の業務についても同様の傾向があります。現に、問い合わせ窓口は、日本語のできる中国人が北京から対応しています。最近は、中国の人事部門から日本の給与業務をやらせて欲しいという打診もありました。『日本人が求める品質に耐えられたら世界中で生きていけるから、是非挑戦したい』という気持ちが彼・彼女達のモチベーションになっているのです。

このような状況で、グローバルの1パートとして生き残っていくためには、日本人社員1人1人が『私に投資したほうが価値がありますよ』ということを主張していかなくてはなりません。グローバル本社としては、まず『スウェーデン通貨・クローナ換算で、報酬に対していくらアウトプットを生み出している人か』という観点で見ますからね。

当社は、 2011年9月1日付で日本エリクソンからエリクソン・ジャパンに社名変更を行いましたが、これも、日本に立脚するだけではなく、グローバルの一部分という立ち位置で仕事をしていくという決意の表れです。既に通信網は全世界を繋いでいますから、いよいよひとつの国だけで仕事をする必要性は薄れてきています。

【スウェーデン企業である同社について】
当社の発祥の地であるスウェーデンの人口は、東京都よりも遥かに少ない900万人。国土面積は日本より大きいのですが、農業を主産業にするには気温が低過ぎます。このため、歴史的にもバイキングの時代から『豊富にある鉄鋼資源を使って工作機械を作り、国外のマーケットで売っていく』というスタイルで生計を立ててきました。このDNAは現代の企業にも脈々と生きており、技術的なアドバンテージを持ってニッチな分野でトップを目指すというスタイルを得意としています。(※IKEA、H&M、Volvo、SAAB、Tetra Pakなどもスウェーデン発祥の企業です。)
技術を語れないと商売になりませんので、社長はロジカルシンキングの得意な理工系出身者である場合が多く、当社もその例に漏れません。トップ営業も得意で、『うちの技術がどれだけ優れているか説明しますよ!』という勢いです (笑)

オフィス環境について教えて下さい。


スウェーデンらしさに溢れる新オフィスの様子

2011年8月末に本社を汐留に、また、横浜オフィスも新横浜からみなとみらいに移転しまして、内装もスウェーデンのグローバル本社に似たスタイルに統一しました。カーテンやソファもスウェーデンのデザインを真似ています。一方で地域の文化を尊重する面もあり、例えば会議室には日本にある世界遺産の名前(Houryuzi、Hiraizumiなど)がついているんですよ。
空間はオープンかつフラットで、社長室以外の個室はありません。座る場所もフリーアドレス制で、部署ごとの大まかなエリア設定はありますが、見晴らしの良い窓向きの席も含めて毎日好きな席を選ぶことができます。
徹底したペーパレス化を行っているため、会議室や海外拠点も含め、どこに座っても同じように仕事ができる環境が整っています。

デスクは電動で上下に移動する仕組みになっており、立って仕事をすることもできるようになっています。人間工学的に考えてもずっと座って仕事をするというのは、身体に良くないとされていますからね。私も、人事のリージョンヘッドのVPに強く勧められました。
また、気軽にちょっとしたミーティングができるように会議室が幾つもあり、社員同士のコミュニケーションを促進する作りになっています。

中途採用についてお聞かせ下さい。

中途採用人数は毎年100~200名の間で推移しています。新卒採用が毎年20~30名ですから、中途採用のボリュームは大きいですね。現在重点的に募集しているのは、ポストセールスを担うサービスエンジニアと、協力会社を含めた人員の統括を行うプロジェクトマネジャーです。入社後も、アーキテクト、プリセールス、コンサルタントなど豊富なキャリアパスがあり、スキルや志向によって幅広い選択が可能です。

以前は候補者のほとんどが通信技術を身に着けた方でしたが、近年は、インテグレータなどでサーバーやネットワークの経験を積まれた方のご入社も増えてきています。入社後の教育として、eラーニングや専門の教育チームも整えておりますし、経験豊富な先輩社員からのOJTも行います。

英語力はどの程度求められますか。


極端な例ですが、TOEIC300点代の候補者がホワイトボードを使って必死に思いを伝えたことで、外国人面接を通過した事もありました。

社内の公用語は英語ですが、流暢である必要は全くありません。伝えようという姿勢のほうがよほど大切です。そもそも、スウェーデン人にとっても英語は第二外国語な訳ですからね。何が問題なのかということを本当に分かっているのは、トップではなくて、現場です。だから、その人たちが思っていることを発信して頂かなくてはならないのです。 そこで問われているのは、教科書のような英語を話せるかどうかではなく、『相手に対して誠実に伝えようとする姿勢』です。

最後に、貴社を志望する方にメッセージをお願いします。

日本は、非接触ICによる電子マネーなど技術的にも世界の注目を浴びているマーケットであり、全世界のエリクソンの中でも3番目に大きな売上規模を有しています。
今、通信業界にいらっしゃる方も、そうでない方も、グローバル企業における存在感のあるリージョンで、最先端のテクノロジーを学びながら、世界に大きなインパクトを与える仕事をしてみませんか。

本日はお忙しい中、長時間に亘りご協力頂き、ありがとうございました。

この転職者を担当したカウンセラーに転職相談したい
エリクソン・ジャパン株式会社
設立年月日
1992年9月
本社所在地
東京都港区東新橋 2-3-17 MOMENTO SHIODOME
代表取締役社長
マイケル・エリクソン(Mikael Eriksson)、野崎 哲(のざき とおる)
資本金
3億2千万円
事業内容
・電気通信機器および周辺機器の研究開発/各種の標準化活動
・設計・製造・輸出入並びにカスタマイゼーション/販売/設置工事
・通信事業者向け運用・保守・スペアパーツマネジメント等の各種サービス
・ネットワーク最適化等のコンサルティングサービス
・移動通信向けのアプリケーションおよびソリューションの開発
・知的財産のライセンシング
・通信事業者およびエンタープライズ向けシステム・インテグレーション
・電子部品/OEM製品の調達
※この記事の内容は取材当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職名等は現在と異なる場合があります。
職業紹介優良事業者認定マーク
当社は、全国に約28,000事業所ある人材紹介会社の中で、厚生労働省が審査し、 わずか40社しか選ばれない「職業紹介優良事業者」に認定されています。
※平成26年(第一回認定):全国で27社のみ、平成30年:全国で43社のみ(第二回認定)、令和2年:全国で39社のみ(第三回認定)、令和5年:全国で40社のみ(第四回認定)
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