【 都築 博彦 氏 プロフィール 】
工学部 (応用化学系) 修士課程を修了後、1988年に同社入社。
解析業務や写真の廃液処理のための技術構築に携わったのち、1991年からX線フィルムの開発、2000年から新規領域 (再生医療材料・超音波診断技術・創薬支援システム・ミクロフィルターなど) の研究を行う。
2009年8月に、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) に出向し、ベンチャー企業支援やプロジェクト進捗管理を経験。
2011年8月より現職。その他、東京大学の非常勤講師、日本化学会、各種共同研究など、社外活動多数。
現在、グループ全体の事業領域は大きく3つあります。
カラーフィルムやデジタルカメラなどを中心とした 『イメージング分野』、メディカルシステム・ライフサイエンス機材やフラットパネルディスプレイ材料などを扱う 『インフォメーション分野』、そして複写機関係の 『ドキュメント分野』です。(※1)
2010年度における売上高の構成比は、イメージング分野15%、インフォメーション分野41%、ドキュメント分野44%となっています。
※1:イメージングソリューションは、カラーフィルム、デジタルカメラ、フォトフィニッシング機器、現像プリント用のカラーペーパー・薬品・サービス等から構成されています。
インフォメーションソリューションは、メディカルシステム・ライフサイエンス機材、グラフィックシステム機材、フラットパネルディスプレイ材料、記録メディア、光学デバイス、電子材料、インクジェット用材料等から構成されています。
ドキュメントソリューションは、グループ会社である富士ゼロックス株式会社が担っています。
X線フィルムは世界に先駆けてデジタル化を行い、撮影機器から、その画像を取り扱う医療用ITネットワーク (※2) までが、世界シェアトップを保持しています。
また、近年で最も大きな成功と言われているのは、液晶テレビや液晶モニターなどのフラットパネルディスプレイ用のフィルムです。
これらは写真フィルムに用いる材料やノウハウを応用して製造されており、偏光板を保護する 『TACフィルム』 は世界シェア約80%、液晶の隙間から漏れる光をコントロールして視野角を拡大する 『WVフィルム』 は世界シェア100%です。
他にも、印刷用の版・CTPや、テレビカメラ・携帯電話用のレンズなども高いシェアを持っています。
※2:大容量画像を扱うだけでなく、流出や改ざんを防ぐ強固なセキュリティを備えた特殊なインフラが必要です。
2004年から取り組んだ、成長分野への経営資源の集中投入の成果です。
写真フィルム事業は長らく当社にとっての主軸であり、10年ほど前は売上全体の約20%、感光材料関連事業全体を合わせれば約60%を占めていました。
ところが、急速なデジタル化によって写真フィルムの需要は急落。
2000年にピークを迎えた写真用カラーフィルムの世界総需要は、その後の10年で10%以下にまで落ち込みました。
この深刻な事態を受けて、事業構造の大変革を行ったのです。
一般の方にとっては、まだ写真フィルム事業のイメージが強い当社ですが、現在、同事業が全体の売上に占める割合は1%程度です。
例えば、フラットパネルディスプレイ材料の生産能力増強には、累計で3000億円以上を費やすなど、ダイナミックな設備投資を行いました。
加えて、半導体製造材料や医薬品、化粧品 (※3) などの新規事業分野への取り組みや、デジタル化に伴う新製品開発にも注力しました。
また、10年先を見据えた研究開発投資として、神奈川県開成町に新研究拠点 『富士フイルム先進研究所』 を設けました。
イメージング分野では、少量生産でも収益を出せる体質となるために構造改革を断行。
2006年には持株会社化による連結経営の強化を行い、デジタル化の急速な進展だけでなく、リーマンショックという第二の危機からもV字回復を果たし、厳しい環境下でも確実に利益を生み出す企業体質を構築することができました。
※3:カラーフィルムの製造で培った微粒子の取り扱い技術や酸化還元などのノウハウが活かされています。代表製品はこちら。
重点領域として、大きく6つの分野 (※4) を掲げています。
その中の1つであるヘルスケア分野においては、「メディカルシステム事業の収益の柱を、従来のフィルム製品から、医療用画像情報ネットワークシステム・X線画像診断装置・内視鏡などの機器へ転換すること」 「医薬品事業の更なる成長」 「化粧品事業の拡大」などに注力していきます。
また、高機能材料分野においては、既存領域の収益性を確保しつつ、成長市場向けの新製品開発に取り組みます。
その他、デジタルカメラやグラフィックシステムなども、収益の拡大及びシェアアップを図っています。
グローバル展開についても、現地法人の設立や、既存の代理店網の拡大など、事業ごとに適した形で販売体制の強化を図っています。
以前は欧米を中心に展開していましたが、近年は中国・アジア・南米・ロシア等の新興国市場に注力しています。
※4:診断機器や機能性化粧品の 「メディカルシステム・ライフサイエンス分野」、印刷用品や印刷システムの 「グラフィックシステム分野」、デジカメなどの 「デジタルイメージング分野」、富士ゼロックスが管轄する 「ドキュメント分野」、スマートフォンやテレビ用レンズなどの 「光学デバイス分野」、フラットパネルディスプレイに代表される 「高機能材料分野」。各分野の代表的製品の詳細はこちら。
今は新規事業の立ち上げも一段落し、これからは更に技術を向上させていく段階に入りますので、現時点 (2011年12月時点) で当社がキャリア採用の方々に求めているのは、即戦力性です。
特に、メディカル・医療、デジタルイメージング、機能性材料などの分野の人材採用に注力していきたいと考えています。
これらの領域のリーダー層や現場を動かす層に加え、製造ラインの維持を可能にする化学工学系の生産技術経験者も歓迎します。
お人柄としては、全身を使うことを意識して仕事をして頂ける方 (※5) を求めています。
頭で考える、足でスピーディーに動くといったことだけでなく、胸で相手を思いやることや腹で勇気をもって決断するといったことまで、特定の部分に偏るのではなく、心身すべてをバランス良く動かすことのできる方を歓迎します。
※5:この考え方 (『五体論』) についての図解はこちら。
入社後1年程度が経過した方を対象に、集合研修を行っています。
昨年は、20代後半から40歳位までのメンバー40名ほどで開催しました。
ここには、中途採用によって入社した先輩社員も同席します。
内容としては、将来の姿・あるべき姿の想定や、上司・同僚・部下などから集めた簡単なアンケートを基にしたディスカッションなどです。
インストラクターはなるべく口を挟まず、研修メンバー同士のアドバイスや事例の共有などが中心となるようにしています。
アドバイスを行う側にとってはご自身の経験を消化する機会になりますし、当社としてもキャリア採用の方が持つ客観的な視点を採り入れる良い機会になりますからね。
私が外部機関への出向や他社との関わりを通して思うのは 『当社の人間は真面目である』 ということです。
例えば書類一つ作るにしても曖昧な表現で誤魔化さず、真正面から取り組もうという姿勢がかなり強く出ていると感じます。
実は、当社の源流となる銀塩フィルムは、製造工程上、出荷前のテストやサンプリングができません。勿論、ロットの管理は行っていますが、”その一本”がきちんと仕上がっているかどうかは、お客様が使用して初めて分かります。
ですから、『各工程に関わる者それぞれが、決められた手順を守った』ということでしか、品質を保障することができないのです。
しかも、写真というものはここ一番のシーンで撮るものです。
例えば、一生に一度の結婚式の撮影が失敗してしまったとしたら、もう取り返しがつきませんよね。
そのような責任感に基づく感覚が受け継がれているので、信頼性を重んじ、お客様にご迷惑をかけないために決めた手順を真面目に守るという姿勢が徹底しているのではないでしょうか。
事実、当社の写真フィルムは、ロットの品質のバラつきが比較的少ないという評価を頂いておりました。
写真フィルムだけでなく、集団検診用のX線フィルムなども同様です。ミスや故障があった場合、何百人という受診者を全員集め直すというのは実質不可能ですからね。
また、印刷機の場合、速報や号外など一刻を争う対応が必要な新聞の版作りといった場面でも、トラブル発生は許されません。
ほぼ全ての方が 『クレバーな人が多い』 という感想を言ってくれます。
勿論、優秀な方は各社様それぞれにいらっしゃいますが、当社に入ってこのように感じて頂ける理由としては、社内の教育システムが整っているということと、社員一人一人の勉強に対する意識が高いという点が挙げられるのではないでしょうか。
この背景にも、写真フィルム製造の歴史が関わっています。
大学で専門的に写真技術の研究をしている方は非常に少ないため、我々は、新しく社員になった人達をゼロから教育していかなくてはなりませんでした。
『ハロゲン化銀の作り方』 ですとか 『カプラー乳化のやり方』 ですとか、諸々のことですね。
その結果、教育の全てを社内で行うという風土が培われました。
また、社員にも全く新しいことを学び直すという意識が根付いているので、勉強家が多いのでしょうね。
出産・育児・介護・住宅などの制度は充実しています。
今時珍しいと驚かれるのは、地区によっては新幹線通勤を認めていることですね。
これは、なるべくご家族と触れ合う時間を大切にして頂きたいという思いからです。
また、学習支援としては、研修だけでなく、eラーニングや通信教育のための補助も手厚く行っています。
勿論、これらの制度は新卒・中途を問わず利用することができます。
事業部間の垣根が低いことでしょうか。
当社は幅広い事業領域を持ってはおりますが、『新規事業は事業と事業との境目に生まれるものだ』 という考えから、コーポレート制やカンパニー制を敷いてはおりません。
例えば、開成町にある先端研究所には、各部門の研究者が集まっておりますし、東京本社のフロアでも部門の垣根無く座っています。
クライアント様の機密事項は守りつつも、他事業部の情報を比較的入手し易い環境です。
部門間を繋げる横軸となる研究所や技術戦略部門も設けておりますし、融合領域の創造は特に意識しているところです。
真摯で熱い気持ちを持ったメンバーが揃っている会社です。
バランス感覚に優れ、新しい視点をもたらして下さる方をお待ちしています。
是非、一緒に仕事をしましょう。