アライアンス・バーンスタイン (※1) は、1971年にアメリカで設立され、ニューヨーク証券取引所に上場する資産運用会社です。業界の中でも特に長い歴史を持つ企業の1つで、現在、世界23か国46都市に拠点を置いてグローバル展開を行っています。
世界中の機関投資家・富裕層・個人投資家を顧客として、様々な投資運用サービス (※2) を提供しており、総運用資産額も約31兆円 (2011年12月31日現在) と、世界でも有数の規模を誇る運用会社と言えます。
日本拠点は1986年に開設され、今年で26年目を迎えます。外資系運用会社としては、かなり早い段階から日本に進出しました。現在、日本のお客様から受託している運用資産額は5兆円超で、グローバルにおける中核拠点と位置づけられています。
日本法人も海外拠点同様、年金基金や金融機関といった機関投資家や個人投資家を顧客として、総合的なサービスを提供しています。主力のサービスは海外債券、海外株式、国内株式を投資対象としたアクティブ運用です。個人投資家向け投資信託も、国内籍・海外籍のファンドだけでなく、時には他社の公募投資信託にサブアドバイザリーという形で運用サービスを提供する場合もあります。
機関投資家向けビジネスと個人投資家向けビジネスの比率は、資産額ベースでは9割弱 対 1割超となっていますが、お取引頂いているお客様へのサービスや運用のご提案といった活動レベルでは、半々と言っていいでしょう。
※1:アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー社とその関連会社のこと。1971年に、同社の前身であるアライアンス・キャピタル・マネジメント社が設立。2000年にサンフォード・C・バーンスタイン社を合併し、2006年にアライアンス・バーンスタインに社名変更。
※2:「株式運用」「債券運用」「(様々な資産を組み合わせた)アセットアロケーション型運用」「(この数年で広まってきた)オルタナティブ運用」など。
ビジョンとミッションが明確かつ特徴的である、という点ではないでしょうか。
私達は、「世界で最も信頼される運用会社になる」 という目標に向けて、『お客様の利益を第一に考えること』 『世界のどの運用機関よりも多くの知識を備えること』 『お客様に資産運用の成功と、心の安らぎを提供すること』 という3つのミッションを掲げています。
これらのミッションを遂行するために、最も重視しているのがリサーチです。当社は、アナリストなど 「運用プロフェッショナル」 と呼ぶ人員を、グローバルで500名以上擁しておりますが、これは世界最大級のリサーチ体制です。
当社は、アライアンス・キャピタル・マネジメント社とサンフォード・C・バーンスタイン社という2つの会社が合併して出来た会社なのですが、どちらも設立当初からリサーチを大変重んじる企業でした。リサーチを立脚点とした運用サービスを提供するという価値観が一致していたために、合併が成立したとも言えます。ですから、リサーチ重視の姿勢は、私共のDNAと言えます。
はい。リサーチによって収集した情報は、運用パフォーマンスという形に反映して提供するだけではありません。マーケットの知見を豊富に蓄える者として、これをお客様に分かり易い形に整理し提供していくことも大切なミッションだと位置づけています。
株・通貨・債券などの種類を問わず、全てのマーケットは、将来の予想が難しく、かつ、予期しない出来事によるアップダウンも激しいものです。そのようなマーケットにご自身の大切な資産を投資している方は、不安を抱えますよね。勿論、幾らかの不安はあって当然ですが、これが余りに大きくなってしまうと、本来すべきではない判断をしてしまうケースがしばしば起こってきます。私共は、長期的な資産運用の成功のためには、平常心を保ち続けることが大切だと考えています。ですから、お客様の不安を和らげるため 「今、マーケットで何が起きているのか」 「投資家は今何をすべきなのか」 という情報を整理して提供することにも力を注いでいるのです。
ここ数年は、金融危機や欧州ギリシャ問題など、お客様にとっても金融機関にとっても厳しい局面が続きました。勿論、当社もこの影響を受けはしましたが、引き続き経営は健全に行われており、格付機関からも高いレーティングをいただいております。
債券の低金利固定化などの運用環境に加え、年金の成熟化や社会の高齢化が進み、機関投資家も個人投資家もリスクが取りづらくなってきています。とはいえ、依然として運用収益に対する期待は大きいものがあります。
このような環境下で、資産運用会社としてお客様のニーズにしっかりお応えしていかなければいけないし、潜在的にビジネス機会も多いにあるはずだと考えています。
現在の従業員数は約120名です。外資系運用会社の日本拠点には営業機能しか存在しないことも多くありますが、当社では、日本法人の中に営業・運用・管理の3部門が揃っています。
また、2012年3月1日付で、営業部門の統括取締役であった山本が社長に就任、運用部門の株式統括責任者であった緒方が会長に就任しました。営業と運用は運用会社の両輪と言える機能ですので、運用会社としては1つの理想的な体制と言えるのではないでしょうか。
ニューヨーク本社以外の拠点で活躍してきたメンバーが経営陣に加わるというケースは、当社では珍しくありません。このたび就任した新社長と新会長も、日本法人に10年以上貢献してきた者です。
この背景には、ニューヨーク本社および各拠点におけるマネジメント層の、日々の緊密なコミュニケーションがあります。グローバルで足並みが揃っているので、必ずしもニューヨーク本社の社員が各拠点の経営陣として派遣される必要はないのです。
本社が定めた方針を一方的に通達するようなスタイルではなく、各地域の拠点がそれぞれのお客様のためになることを考えて実践することを推奨しています。グローバル全体で一体感のある運営を行いつつ、ローカルにも深く根ざした活動を進めています。
少子高齢化の進行で日本の公的年金制度が頼りなくなってきたこともあり、特に個人のお客様の退職後の不安はかなり高まっています。しばらく前から、『ワーキングプア』 という言葉を耳にするようになりましたが、このまま数十年が経過すると 『リタイヤメントプア』、つまり、リタイアしてから生活資金に困る方が増えてしまう可能性があります。そのような状況を防ぐため、今から情報発信を行っています。
ここでお勧めしている運用サービスの1つが、ターゲット・イヤー型ファンドと呼ばれるものです。これは、ご自分の退職予定時期(ターゲット・イヤー)に合わせて、若い時から少額の積立投資ができる公募投資信託です。例えば、比較的若いうちはリスクもリターンも取れる株式などを多めに、年代が上がるにつれてより安定した債券を多めにするなど、お客様の年代に合わせた最適な配分を私共のようなプロが判断し、適宜変更するというものです。少額(月1万円など)での投資が可能なので、貯金と同じような感覚で若いうちから効果的に将来の準備をすることができます。このように、様々な商品をご提供することで、資産形成のお手伝いをしていきたいと考えています。
とは言っても、一般の個人投資家の方にとっては、色々なサービスを比較して、良いものを見極めて投資に踏み切るまでの道のりが遠いことも承知しています。
ですから、その最初の入口に立って頂くきっかけとして、昨年は2つの新しい試みを行いました。
1つは、『ABCafé』 (※3) というWebページの開設です。生活・人生・お金にまつわるコンテンツを中心に、難しい用語を使わず、専門知識を持たない方でも資産運用に興味を持って頂くことをテーマにサイト運営しています。
もう1つは、『女子の幸福論』 (※4) という書籍の出版協力です。 それぞれの人生を歩む30歳の女性3人を主人公とする小説形式の本で、ストーリーを通して資産運用の基本をご理解頂けるような構成になっています。
※3:『ABCafé』のサイトは、こちら。
※4:『女子の幸福論』(ダイヤモンド社)については、こちら。
有志のプロジェクトチームです。現社長の山本が発起人となり、各部門のメンバーが集まりました。もっとも、当初からWebページや本を作るという目標があったわけではありません。会社として新しいことを発信していくために、小難しい言葉や考え方から一旦離れてみようという趣旨の呼びかけでした。
実は、そのプロジェクトの名前が 『ABCafé』 だったのです。会議室で行うと、どうしてもかしこまってしまうので、半蔵門のまさに ”カフェ” に集まりまして(笑)、リタイヤメントプア等の問題意識の共有から始まり、私共の会社として何ができるのかということを議論しました。柔らか頭でアイディアを出し合い、最終的に、ホームページや本という形に纏まりました。
今年3月からは、このような活動の発展形として、「AB未来総研」 というブランドを発足しました。各種リサーチレポートやセミナーをはじめとする機関投資家向け情報提供活動と、Webページや書籍といった個人投資家向け情報提供活動とを、統一ブランドのもとで発信していきます。
経営としても、これらの活動にはかなりのリソースを割いています。しかしながら、主眼はあくまでもお客様の資産運用全般に役立つ情報の提供であり、直接的に我々の提供する特定の商品やサービスを推奨することはほとんどありません。これもまた、資産運用会社においては、珍しい姿勢かもしれませんね。
そうですね。社風は比較的アットホームと言えるかもしれません。
『世界で最も信頼される運用会社になるべく、私共の強みであるリサーチを、運用の成功と心の安らぎという形にして提供する』 という明確なストーリーを各メンバーが共有しており、この価値観を土台にしたディスカッションも盛んです。
また、一般的な外資系企業と比べて、当社では各ポジションの職務範囲が柔軟に設定されています。刻々と変化するお客さまのニーズやマーケット環境に応えていくためには、各人の領分を限定し過ぎず、柔軟に連携をとっていく必要があると考えているからです。それ以外にも、日本法人単体で120名ほどの規模であることや、日本法人に与えられている裁量の大きさも、ドライさの対極へと向かわせる要因かもしれませんね。
昨年の中途採用実績は16名でした。機関投資家向けビジネスにおけるリレーションシップ・マネジャーや投資信託企画、マーケティングなどの経験者が多かったですね。また、アナリスト、ポートフォリオマネジャーといった運用部門、法務やITなどコーポレート部門の採用も、必要に応じて行っています。
選考で重視するポイントですが、まず当社の企業文化を理解し共感して下さっているということが大前提です。
その上で、相互の立場を尊重しながらも、徹底的にディスカッションを重ねて仕事を進めていこうとする姿勢をお持ちの方を歓迎しています。これは、ディベートで相手をやっつけるという意味ではなく、皆の経験やスキルを持ち寄ってより良いものを作りあげてゆくために、アイディア出しの場に能動的に参加・貢献するのを厭わない方、という意味です。
リサーチの蓄積の多さには驚かれますね。いいものがあるのだからもっと使わないと勿体ない、とも言われます。
二点目は、女性社員が多く活躍していることでしょうか。女性に限ったことではありませんが、社員がワーク・ライフ・バランスの取れた生活を送れるよう、時間や場所にとらわれず柔軟に働ける環境を提供しています。
三点目に、「社員を大切にする会社」との感想もよく聞きます。その理由として、入社後5年毎の節目に2週間の特別休暇が取得できる「リフレッシュ休暇制度」や、期待を上回る活躍をした若手社員を表彰する「Above&Beyond Award」という制度が挙げられます。ユニークな例では、昨年、電力供給が厳しい中でも仕事に励む社員を労うため、夏場はアイスクリーム、冬場はスープを毎週供していました。『各社員の働きをマネジメント層が認識し、適切に評価する』文化が根付いているのだと思います。
資産運用会社は全世界に数多くあります。この業界を志望される方は、それぞれの会社の特徴をよく見比べてみてください。資産運用会社・外資・金融などのカテゴリーで機械的に判断するのではなく、『どのように働きたいのか』 『どんな人と働きたいのか』 といったご自身なりの価値観を再確認された上で、当社が選択肢の1つとなるのであれば嬉しいですね。
資産運用における、社会やお客様のニーズはとても大きいものです。特に日本においては、年金制度や個人の資産設計など、様々な課題が山積しています。数多くの運用会社が様々な取組みをしているのに、それでもお困りになっているお客様がいらっしゃる。私共は、何か前例のない新しいことを社会に向けて働きかけて必要があると考えています。
価値観を共有できる仲間と、アイディアを出し合いながらより良いものを作り、提供していきたい。 当社のビジョンとミッションに共感して頂ける方とお会いできることを楽しみにしています。