当社は、世界各地で、また国内で石油や天然ガスの探鉱・開発・生産を行う企業です。『日本に安定的かつ効率的にエネルギーを供給すること』 を社会的使命として、電力会社・ガス会社・石油元売会社・石油化学メーカー等のお客様に石油・天然ガスをお届けしています。
現在も日本の主要なエネルギー源として60%以上を占める石油・天然ガスですが、残念ながら、これらの資源は日本に豊富に存在する訳ではありません。必然的に、海外から調達する必要があります。
その方法は大きく2つあります。1つは、海外の国営石油会社やメジャーと呼ばれる石油会社から購入するという方法。もう1つは、当社が主力事業として遂行している石油・天然ガス資源を自ら探し・掘り・生産する権利、つまり、鉱業権を獲得するという方法です。
地下資源の保有者である当該国政府から鉱業権を得る必要があります。様々なケースがありますが、国際入札の場合は産油国にとって一番好ましい条件を提示した企業が落札するケースが一般的です。
そのような入札では、生産された資源の配分比率が一番大きな要素となりますが、埋蔵量予測の一助となるデータ採取用の試掘井戸の本数・探査範囲など様々な条件が落札を左右しますケースもあります。しかしながら、そのような経済的な条件ばかりが決定要因となる訳ではありません。例えば、その企業の過去の実績などを参考した企業の信頼度も重要な決定要因となります。国や地域によって石油鉱業権の契約形態や求められるものは全く異なりますから、それぞれに応じて柔軟に入札条件を提示することが求められます。
この他には、同業他社が既に開発を進めているプロジェクトの一部権益を買い取ることで参入することもあります。
海外で採掘した原油はタンカーで、天然ガスはそのままでは運べませんのでマイナス162度に冷却して液化天然ガス(LNG)としてLNG専用船で日本に運びます。国内に運び込まれた後は、原油は内航船やトレーラーなどで、天然ガスはパイプラインを通してお客様が使用する場所に直接供給しています。あまり知られていませんが、当社は新潟県に保有する国内最大の天然ガス田から産出される天然ガスを、関東甲信越に広がる総延長約1400キロに及ぶパイプラインを約半世紀かけて整備し、沿線のガス需要家の皆様に天然ガスを供給してきました。
現在、当社が豪州で手掛けるイクシスなど海外で生産されたLNGを受け入れるための受入基地を新潟県の直江津に建設中です。完成した暁には、既存のパイプラインと直接繋ぐことで、より一層供給能力が向上し安定供給体制が整備されます。昨年の東日本大震災をきっかけに、効率的かつクリーンなエネルギーとしての天然ガスが大きな注目を集めました。天然ガスのサプライヤーとして当社の責任が以前にもまして大きくなっていることを感じています。
当社は、2008年10月に旧国際石油開発と旧帝国石油が完全統合して発足した会社で、東証1部上場の民間企業ではありますが、元々旧国際石油開発は国策会社 (※1) であったという背景もあり、株式の約19%を経済産業大臣が保有しています。
また、日本で唯一、黄金株 (※2) の発行が許されている上場企業でもあります。当社の時価総額は、現在1兆5千億円を超えていますが、これは、石油メジャーなど、海外の石油企業が買収しようと思えば不可能ではない金額です。しかし、そのような事態は日本のエネルギーの安定供給上、望ましくないという判断があったため、黄金株の保有を認められているのだと認識しています。
『このプロジェクトに投資するか否か』 等といった経営上の意志決定に日本政府が介入することはありません。あくまでも一民間企業として、経営判断はすべて当社に委ねられていると理解しています。
※1:同社の前身は、日本における石油開発専門会社の第1号、1941年に半官半民の国策会社として設立された “帝国石油株式会社” と、インドネシアの北スマトラ沖鉱区の開発プロジェクトとして設立され、埋蔵量・生産量規模で国内トップにまで成長した “国際石油開発株式会社”。
※2:拒否権付き株式のこと。 安定株主が保有することにより、買収防衛の機能を果たす。
それぞれのプロジェクトの規模にもよるので一概には言えませんが、時には兆単位に及ぶこともあります。そのため、リスク分散を図る意味で石油開発のプロジェクトは複数の企業と組むケースが多いという特徴があります。
現在、当社が操業主体としてオーストラリア西豪州の沖合で進める “イクシスLNGプロジェクト (※3) ” への総投資額は340億ドル(約2兆7000億円)です。複数の企業と共同で事業を展開しており、その中でも当社の権益はおよそ66%と最大であり、当社の投資額は約1兆9000億円になります。
このプロジェクトで生まれたキャッシュフローを活かしながら、イクシス生産開始後は10年間で更に6兆円の追加投資を行う計画です。『インフラ企業=安定』 というイメージは、上流専業である当社には当てはまりません。無事に生産を開始できたとしても、国際情勢、油価の市況、為替の影響など、社員の努力の及ばない部分で、売上高は大きく上下します。相応のリスクも背負うことになりますが、日本にエネルギーを安定供給するため、積極的に事業を推進していきます。
※3:日本企業で初めて操業主体(オペレーター)として事業を推進するプロジェクト。日本が一年間に使用する天然ガスの約10%に相当する。原子力発電所の停止が相次いだことで、天然ガスへの期待は更に高まっている。
※4:総投資額2兆7千億円のうち、同社の持ち分は66%。日本企業が海外で行う投資では過去最大。
“イクシスLNGプロジェクト” の場合、権益の獲得から最終投資決定まで、実に14年が経過しています。その間、埋蔵量の確認・効率的な開発計画・人繰り・技術的な懸案・環境への影響に至るまで、検討に次ぐ検討、評価に次ぐ評価を重ねました。トライ&エラーが許されない事業ですから、1歩ずつ確実に進めていく必要があります。
現在は生産・出荷施設を建造している最中で、生産開始は4年後の2016年末を予定しています。入札準備から生産開始まで、約20年。1人が張り付いて担当するには長過ぎる期間ですので、基本的には3~5年毎に定期的にローテーションを行うことになります。技術職の場合は、専門分野毎に必要とされるフェーズが決まっていますので、携わるべき段階が完了した時点で次のプロジェクトに向かうことになります。
当社の場合は、石油・天然ガスが見つかったところが、勤務地になり得るわけです。一般的な企業の場合、マーケットがあるところや生産拠点に出向く訳ですが、当社の場合はそうではありません。極論を言えば、もしも砂漠の真ん中や極寒地でプロジェクトが獲得できたなら、そこに誰かが出向くしかありません。
正直に申し上げて、今現在、生活環境の厳しい地域に駐在している社員はいます。それでも皆、「自分は残らないといけない」 と平気で口にします。産油国への進出を望む企業は世界中にいくらでもありますから、少々の事で一旦撤退して相手国の信頼を失ったら、次の機会を得る保証はありません。一度築いた関係を維持し深めるために、誇りと責任感を持って働く社員が世界各地に存在します。
海外駐在員に限らず、日本のエネルギー安定供給の一翼を担っていることにやり甲斐を感じている社員は非常に多いと感じます。そうでなくては務まらない、と言っても良いかもしれません。1つ1つのスパンが長い仕事なので、日々分かり易い成果ばかりではありません。また、規模も巨大ですから、成果はチームワークによって生み出されます。個人の成果が評価されないと満足できない方には、向かない会社かもしれません。例えば、“イクシスLNGプロジェクト” の担当者の中には、本人の現役中に生産開始を見ることはできない人もいるかもしれません。それでも、『次の世代のために』 という意識で身を挺して働いています。
私達の身の回りの物やサービスの殆どは、石油・天然ガスなくしては成り立たないものばかりです。特に、中途入社したメンバーの感想としてよく耳にするのは、「自社の社会的使命・役割に疑問を持ったり、その一員として働くことの意味を見失ったりしないところが良い」 というコメントです。私も前職ではコンサルタントとして様々な企業と接してきましたが、これほど一枚岩になっている会社はないと感じています。もちろん部署同士の意見が衝突することはありますが、石油や天然ガスを開発するという意味では進むべき方向は明確ですので、日々知恵を出し合って協力しています。
今まさに成長途上であるという点です。通常、時価総額が1兆円以上の規模の企業であれば成熟フェーズに入っているものですが、この規模で、会社の仕組みや有り様そのものを変えるほどのチャレンジを続けている企業は、他には恐らく無いのではないでしょうか。
今後、私達は今迄とは比べ物にならないほどのプロジェクトを稼働させるにあたり、全てを見直し、新しい仕組みを作り上げていく必要があります。特にこれから7~8年は、劇的な変化が求められます。私自身も、新しいステージの会社を見据えた人材育成制度の構築を手掛けていますし、IT部門であれば、オペレータプロジェクトを稼働させるために必要な生産システム・通信インフラ、直江津に建築中のLNG管理システムなど、全てこれからです。他の中途社員も 「これからやるべきタスク、やりたいことが山ほどある。このスタートラインに立てる面白さは格別だ。」 と言います。
社内の体制整備を牽引できる人材が求められています。それには新卒社員では間に合いません。また既存社員では手が足りないのは明らかですので、中途社員への期待は大きいです。私は現在36歳ですが、マネージャーとして、部下12人と共に仕事をしています。当社と同規模の企業では、なかなか見られない光景ではないでしょうか。
1人1人の担う役割がとても大きいので、新しい仕組みを自分が作っていくんだという気概のある方には、活躍の機会はいくらでもあります。事実、中途社員の活躍はめざましく、海外赴任は勿論、マネージャーとして活躍されている方も多く見られます。
人材紹介会社さんには、人事ユニットのパートナーとして、人柄・能力・当社のカルチャーとのマッチ度も含めた0.5次面接を行って頂くことを期待しています。当社が悩ましいのは、ある程度の事業規模のご経験と、成長企業のスピード感・柔軟度に馴染めるメンタリティーとの両方を兼ね備えた方でないとフィットしないという点です。加えて、チームワークを第一としてビジネスに取り組める資質も必要です。
その点、(株)エリートネットワークさんは、メンタリティのマッチングまでよく考慮され、紹介人数に対する採用決定率が圧倒的に高いと感じています。非常に助かっていますので、当社の言外のニュアンスまで含めたニーズの把握と人材の見極めには引き続き注力して頂きたいです。
可採年数についてはよく質問されますが、何故か不思議なことにもう30年近く 『残りあと30年』 と言われ続けています (笑)
このからくりの要因として挙げられるものは、新規油田埋蔵量が加算されていることです。以前は、原油が存在することは分かっていても、採算が合わないために見送っていたプロジェクトが多くありました。しかし、現在、油価の高騰 (※5) による採算性の向上や技術の進歩などにより、少量しか産出の見込みがないプロジェクトや、深海等のコストがかかるプロジェクトにもアタックできるようになりました。
採掘技術の向上についてさらにいえば、石油は地中に湖のように溜っている訳ではなく、岩の隙間に顕微鏡で見てやっと分かるほどの状態で点々と潜んでいます。100%回収できる訳ではなく、半分以上は地下に取り残されています。この回収率を数%ずつでも引き上げていくことにより、生産量を増加させることができます。
後はもう信念の問題ですね(笑) 人が暮らす上でエネルギーは必要不可欠なものです。新エネルギーの開発などにより石油への依存比率は変わるかもしれませんが、当面の主たるエネルギー源であることは確かだと思います。国際エネルギー機関 (IEA) 発表のデータを見ても、2030年の世界の使用エネルギーの半数以上は石油・天然ガスを含む炭化水素であると予想されています。無くなるか否かという議論ではなく、効率的な発見・開発に向けて惜しみない努力をするのが、この業界に課せられている使命だと思っています。
※5:1バレルの価格は、1998年は10ドル台だったが、現在は80~90ドル前後になっている。
繰り返しになりますが、当社はまさに今、新しいステージのスタートラインに立ったところです。中途採用の方も活躍できるフィールドは大きく広がっていると思います。ここまでの話をご覧になって、この業界に飛び込んでみたいと感じた方には、是非、積極的にご応募頂きたいと思っています。
『この国にエネルギーを約束する』 という使命を背負って、共に邁進できる方との出会いを楽しみにしております!!