大西氏:業種や売上規模を問わず、日本企業は今、複雑化・高度化、そしてグローバル化する経営課題と直面しており、それを単一分野のソリューションで解決することは難しくなっています。
現代の経営課題の多くは、幅広い専門知識が求められる 「応用問題」 なのです。
従って企業が経営改革を推進しようとすれば、複数の専門ファームとの協働が必要になります。
例えば、的確なリサーチに基づいて新たな成長戦略を立案できる経営コンサルティング会社、組織再編やM&Aなど金融アドバイザリー機能を持つ証券会社、事業再生計画に基づき各種の手続きや利害関係者との交渉を担う弁護士事務所、財務に関する課題を解決する会計事務所などです。
これらの会社と個別に契約し、専門分野ごとに一つずつ課題の解決を図っていかなければなりません。企業からすれば非効率ですし、また全ての専門分野に精通し、改革の実務全体をコントロールできるマルチな人材が自社内にいることはまずありません。
こうした悩みと向き合う企業の経営陣と同じ目線に立って、実効が伴う経営改革を支援するためには、 「経営コンサルティング」 「M&A」 「事業再生」 という3つの専門分野にまたがるビジネスソリューションをワンパッケージで提供できる総合的な機能を内包することが重要であると考えました。
余り前例のない事業ドメインでありサービス・ラインナップですが、だからこそ当社はベンチャー精神を持って、高いレベルでのサービス提供を目指しています。
松岡氏:戦略系コンサルティング会社は数多く存在しますし、M&Aアドバイザリーに強い投資銀行もたくさんあります。
企業再生に豊富な実績を築いている弁護士事務所も枚挙に暇がありません
。6年前に当社を設立するにあたって、これらのうちどれかのみを専門とする会社、いずれかの分野が突出している会社をつくるのは避けようと話し合いました。
仮にそうなってしまうと、本来は自主再生する力のある企業に対して、 「M&Aをやりましょう」 と無理な提案をしたり、それとは逆に生き残るにはM&Aを選択するしかない企業に、 「この成長戦略で頑張りましょう」 と一方的に提案したりと、自社の収益性を優先したソリューション提供に陥ってしまいかねない事を懸念しました。
それでは誰も幸せになりません。私たちの創る会社は全ての有効なソリューションを備えて、クライアント企業のニーズに合わせて最適なソリューションを選び、または組み合わせて提供していきたいと思いました。
顧客企業に対して、それが一番フェアで正直なアドバイザリーモデルだと考え、経営コンサルティング、M&A、事業再生という3つの専門分野を横断するソリューションを提供するという、当社の基本となるビジネスモデルが生まれたのです。
大西氏:法学部を卒業して、1992年に東京弁護士会に弁護士登録しました。
就職した奥野総合法律事務所で企業再生系の案件を数多く担当し、97年にパートナー弁護士に就任。企業再生に特化して弁護士としてのキャリアを極めたいと思ったことと、バブル崩壊後に大型の法的整理が続いた後に政府主導で始まった早期事業再生という時代の流れにキャッチアップしたいとの思いから、2003年にできた(株)産業再生機構 (債務超過に陥っている事業者の事業再生を目的として、2003年4月に政府が設立した特殊法人) に入社しました。
そこで松岡と出会って、一緒にカネボウ様やダイエー様の再建に取り組みました。
それまでも法律の専門家として再生に関わってきましたが、弁護士が担う再生とは全ての債権者の合意を取ることが基本であり、その会社の事業を再生のスタートラインまで立たせるまでをサポートする仕事でした。
ところが(株)産業再生機構では、担当する企業の経営に取締役として踏み込んで、リストラを含めて事業構造を実際に再構築していく経験をしました。
法律だけにとどまらず、事業運営に関するあらゆる知見が求められる業務であり、より深く極めたいと思うようになりました。 「この仕事を民間でやるとしたら、どうすべきだろう?」 と起業を考えるようになったのです。
松岡氏:私は(株)野村総合研究所を経て、外資系証券会社2社で流通業界を中心に証券アナリストとして、一貫して調査畑でキャリアを積んできました。
証券ビジネスとは、 「伸びる企業」 を見つけて投資家に紹介し、資本市場に投資マネーを環流させる 「動脈ビジネス」 です。
しかし、欧米でもそうですが、金融危機が起こり、企業の不良債権問題が顕在化するようになると、下落してしまった企業価値を再生させる 「静脈ビジネス」 のニーズが生まれてきます。
これからの日本で自分のスキルを社会の役に立てるには、静脈ビジネスが面白いのではないかと感じ、(株)産業再生機構の仕事にチャレンジすることにしました。
大西と共にカネボウ様やダイエー様の再建に携わっていた時期は、いつも超多忙でした。
常に2人で行動していましたが、仕事以外の話ができるのは、ランチやトイレ休憩といった時間だけ。そんな細切れの自由時間に、 「今俺たちがやっている仕事って、突き詰めていくと、どんな価値が提供できるのかな?」 なんて青臭い議論をぶつぶつ交わしていました。
その頃にお互いが吐露していた社会に役立ちたいという本音が原点になって、フロンティア・マネジメントの構想が生まれ、次第に大きく育っていったように思います。
大西氏:企業の経営改革は、継続的な取り組みを現場に定着させることにより、初めて、成果に結びつくものです。
当社ではお客様の複雑な経営課題を紐解き、長期的な視野に立って、例えば 「会計や税務の論点ではこうです」 「事業戦略上の答えはこうなります」 「金融アドバイザリーの最適解はこれです」 と様々な観点から論点を整理し、それらを融合した上でいくつかの採りうる選択肢を提示して、顧客の最適な経営判断を導いていくことを基本スタンスとしています。
また、企業再生の実務を支援するターンアラウンド業務についても、経営者派遣を専門とする子会社を設立し、3年から5年といった期間をかけて経営改革マネジメントを支援しています。
当社では、法律、金融、会計、税務、IT、人材・組織、ビジネス、経済学、経営学等、多様なバックグラウンドを持つ専門家集団がデスクを並べています。
クライアント企業ごとの改革ニーズに応じて柔軟にチームを編成しますが、前提として、それぞれの専門分野において “一流の人材” であることがとても重要です。一人ひとりの専門家の力量が不足しているのに、組織として総合力だけがあっても競争力のあるファームにはなりません。
その上で、経営改革という地道で時に険しい道を伴走しながら、常にお客様にとってのベストを考え続ける姿勢を維持できるかどうか。これは 「人間力」 と言い換える事ができると思っています。
松岡氏:M&Aをご提案する局面でも、売り手側と買い手側の利害を調整することは勿論、両方の会社の経営陣の想い、従業員のモチベーション、株主の利益、地域社会への影響など、なかなか利害が一致しないステークホルダーの感情面の機微までを配慮しつつ、一歩ずつ話し合いを進めていきます。
そのプロセスで法律の論点、会計の論点、ビジネスの論点などを使って、誰にとっても100点というソリューションは示せなくても、70点であれば何とか納得して貰えるのではないか、と着地点を探っていきます。
時間をかけて正攻法で取り組む合意形成ビジネスです。
必ずしも買収価格は一番高くないけれども、将来この会社の価値を一番引き上げてくれる企業とのM&Aをお勧めすることもあります。重要なのはその様な仕事が好きかどうかという事であり、いくら豊富な専門知識や優れたスキルがあっても、それだけでは当社でやっていくことは難しいと思っています。そこで、当社が目指すソリューションの形や大切にしている理念を全社員でしっかり共有するために、年に2回、オフサイトミーティングを実施しています。
大西氏:ある地方で鉄道やバスなどの運輸事業を核として、食品スーパーなどの小売業、ホテルなど観光業といった主力事業を展開するコングロマリットがあり、バブル期の不動産関連事業への投資で過剰債務に陥っていました。
私的整理ガイドラインを適用して金融負債を免除し、事業再生計画の策定、銀行からの金融支援及び資金調達スキームの構築、グループ再編による経営体制の強化などをフルパッケージで提供しました。当社から経営者及び経営コンサルタントを派遣して経営再建を支援して今年で5年目になります。
松岡氏:こうした複合企業は性格の異なる事業を展開していますので、事業再生は楽ではありませんが、万一倒産ということになると、雇用を含めて地域経済へのマイナスの影響が大きく、地方再生の観点からも成功させなければと使命感を持って取り組んできました。
事業計画をつくる段階では経営コンサルタントが活躍し、事業再生計画策定の段階では、法律や会計のプロが活躍し、資金調達スキーム構築では金融のプロが手腕を発揮するなど、複数の専門分野を横断する当社の総合的なソリューション提供機能、専門の異なるプロ同士の協働の真価がうまく発揮できた事例でもありました。
大西氏:多様な専門性を駆使してソリューションを提供するという業務スタイルは、当社で働く社員の立場から見ると、各案件を通して自分の専門分野以外のプロから絶えず刺激を受ける環境があるという事です。
ですから、異業種の経営ノウハウに興味を持つ人、自分が知らない分野につき興味を持って学びたいと思う向上心の旺盛な人にはとても楽しい職場です。社内にその道の第一人者が何人もいて、リスペクトできる同僚や先輩、上司と共に数多くの案件に臨める環境があり、自分の専門スキルや能力を高める機会は限りなくあります。
それを最大限に活かしながら、各自のレベルで自己研鑽に励む人が多い事も当社で活躍している人材の共通点だと言えるでしょう。
松岡氏:あまりに多様性に満ちていますので、一つの言葉で雰囲気を定義することは難しいですね。一つの視点から見た統一感のある構図がバラバラに解体されたキュビズムの絵みたいです(笑)。
そして誰もが多様性がもたらす刺激を楽しんでいると思います。
一つだけ共通項があるとすれば、みんな仕事に対しては真面目で、個々の案件に真正面からしっかり取り組むプロとしての矜持を持っている事です。アプローチの仕方は様々ですが、何か効率的にさっさとやり終えて楽をしようとか、そういう所が全くない生真面目さが特長です。
個性豊かで優秀な人材が揃っているだけに、マネジメントは本当に難しいです。
先程も申し上げたように、当社の価値観や理念の共有・浸透については創業以来年2回の合宿型オフサイトミーティングで、チームビルディングなどの研修プログラムをみっちり行っています。
働く個人に対する我々経営のメッセージは、評価と報酬と昇格です。半年ごとにマネージング・ディレクター全員を集めて定性的な面も詳細にヒアリングし、メンバー全員のファイルを精査して真剣に議論を重ね、評価を決定しています。
大西氏:当社では、担当した案件 (収益) の規模は評価の対象になりません。大規模案件も小規模案件も、本質的に案件としての価値は同等であり、そこに個人がどれだけ貢献したかを純粋に評価しています。
勿論その人のバックグラウンド、専門性の違いによって評価に差が生じることは一切ありませんし、当然ながら仕事の局面に於いて、いずれかの分野のプロの発言権が大きいなどということもないです。当社を起業して、こうしたフェアな企業文化を一から培ってきたと自負しています。
また、複数の専門分野の知見を駆使し、中長期スタンスで総合的なソリューションを提供していきますので、個人が携わる業務の幅が広くなり、多様な価値観を満たす 「やり甲斐」 や 「達成感」 を見出す事が可能になると考えています。
戦略系コンサルティング会社、証券会社などの金融機関、弁護士事務所、会計事務所などの専門ファームで働きながら、より経営改革全体に関わりたいという想いを持っている方には、当社ではそれぞれの道のプロの仕事に学びながら、ご自身の守備範囲を広げて頂くことができます。
若手であればM&Aの実務経験を極めた後に転部して経営コンサルティングに挑戦する、といったキャリアチェンジも可能です。
松岡氏:経営改革のプロジェクトが終了しても、お客様との人間関係が途絶えないのが当社の特徴です。
既存の専門ファームと比べてプロジェクトに携わる期間は長く、3年あるいは5年に亘ってお客様と日常行動を共にし、いわば 「同じ釜の飯」 を食べ続けますから。そうした人間関係から、また新たなビジネスに繋がることも珍しくありません。その様なある意味ディープな関係づくりを楽しいと思える方は、当社に合うと思っています。
既存ビジネスの拡大という観点では、お客様のニーズの半歩先を捉えて地方を含めて日本市場をよりきめ細かく開拓し、地域に密着する中から中堅企業の経営改革に貢献する機会を増やしていきたいと考えています。
その一方で、お客様のビジネスのグローバル化に伴い、アジアやアメリカ市場などに於けるクロスボーダー案件にも積極的に取り組んでいきます。
大西氏:幅広い業界の企業の経営陣と同じ目線に立ち、お客様のニーズを真剣に考えて、多様な専門分野を統合したベストなソリューションを提供し、企業の成長を支援する。この基本的なビジネスモデルを磨き続け、当社もまた持続的に成長する企業でありたいと思っています。
当社は、まだまだ完成形ではなく、将来的には株式上場も視野に入れ、社員と共に成長している途上にあります。面白く刺激的な経験ができる案件に携われることは保証します。社内にはそれぞれの専門分野で尊敬できる人材がひしめいています。そして、プロの仕事をフェアに評価し、適切な報酬を用意しています。
経営コンサルティング、M&A、そして事業再生を融合した、当社ならではのビジネスを確立していくために、多くの方に力を貸して頂けたら嬉しく思います。