企業インタビュー

株式会社サイバー・コミュニケーションズ 企業インタビュー

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我が国最大のメディアレップ (media representative:メディアの代表者・代理人) として、あらゆるインターネット広告の企画開発及び配信プラットフォームを提供し、社会的有用性の高いメディアの育成に取り組む株式会社サイバー・コミュニケーションズ。クライアントである広告主、広告会社、媒体社(メディア)から期待される役割、メディア成長のパートナーを目指すという経営ビジョン、人材に求める姿勢などについて、代表取締役社長の新澤 明男氏にお話を伺いました。

まず初めに、インターネット広告市場における貴社の立ち位置を教えて下さい。


代表取締役社長 新澤 明男氏

1996年の創業以来、当社は広告主・広告会社と媒体社 (メディア) との間に立つメディアレップとして、生活者の役に立つコンテンツを提供するメディアを育てるという観点から、有益なコンテンツやサービスを提供しているメディアの収益性を高める仕組み、すなわち、インターネット広告の幅広い販売ネットワークの形成に努めてきました。今や当社の取り扱いメディアは1,500サイトを超える規模になっています。
同時に、広告主側でますます重要度が高まっているデジタル領域の広告コミュニケーションにおいて、プランニングから広告制作、配信・運用、効果検証・分析、改善に至るPDCAサイクルをフルサポートする役割を担っています。電通グループの一員として、電通をはじめ約500社に及ぶ広告会社との取引を通じて、新しいインターネット広告の活用方法や最適なメディアなどを提案してきました。

広告主と広告会社のニーズと向き合って、最適なメディアで最大の広告効果を上げることに取り組みながら、そのためにはメディアを育成していくことが不可欠であるとの認識に立っています。広告主・広告会社とメディア、双方の利益に貢献するという視点を持ってインターネット広告事業を展開しているという意味において、当社は市場の中で非常に珍しい存在であると考えています。

広告主、広告会社、メディアから、貴社は今、どのような役割を期待されているのでしょうか。

広告主には、 「自社の広告戦略の中で、オウンドメディア (自社サイト) 、ペイドメディア (広告) 、アーンドメディア (SNSやブログ等のソーシャルサイト) を効果的に使い分けたい」 というニーズがあります。それを踏まえて、広告会社では、最適なメディアを選択して、組み合わせる広告プランニングを実施しますが、効果が期待できる広告枠の買い付けなど、自社リソースだけでは対応し切れない部分があります。
そこに対して当社は、それぞれのメディアの特性に合った魅力ある広告商品を開発すると共に、アドテクノロジーを駆使して広告主のニーズに沿ったメディアをネットワークし、最適な方法で広告を配信・運用することで広告枠の収益を最大化するプラットフォームを提供しています。

メディア側からすれば、サイトのコンテンツを見に来る多数のユーザーにとって広告もまたコンテンツの一つであり、サイトの特性にマッチしない広告は掲載したくありません。広告主が最適なメディアを選ぶのと同様に、メデイアも広告を選別する意向を持つ中で、双方のニーズに対する造詣が深い我々メディアレップの存在が重要な意味を持ちます。
広告収入によって成り立つインターネット産業が将来に亘って健全に発展していくために、時間をかけて制作した価値あるコンテンツや生活者に有用なサービスを提供するメディアを、広告収益によって育成する社会的なプラットフォームを構築していく。そこに、広告主・広告会社とメディアをつなぐ当社の役割があると思っています。

メディアを育成することの重要性について、もう少し詳しくお聞かせ下さい。


新澤氏が代表取締役社長に就任直後は、同社エントランスが就任祝いの花でいっぱいになった。

日常生活の中で、私たちは情報の大部分をインターネット経由で収集するようになりました。知りたい情報を検索する、世の中の動きを知る等、いわゆる公平性のある情報を検索サイトやニュースサイトを介して入手しています。メディアが発信している情報をベースに様々な意思決定がなされる時代に、人がネット上でより有益な情報やサービスを得るには、メディアが健全に成長していくことが原動力になると考えています。

最近、インターネット広告の世界では、枠 (スペース) から人 (オーディエンス) に如何に広告を届けるかといった視点が重視され、行動ターゲティング広告など、メディアに対する個人の閲覧履歴やコンバージョン履歴を元にその人の志向に合った商品やサービスの広告を配信する仕組みが生まれています。そうした新しい広告商品の効果を高める上からも、重要なのはメディアが提供するコンテンツの価値であると考えています。
広告を配信するメディアに有用なコンテンツがあって初めて、より多くの人がそのサイトに集まり、オーディエンスベースのターゲティングが可能になります。だから当社では、 「全ての原点は、ネット上に情報を提供するメディアの成長にある」 という視点で事業を展開しています。

新澤様は今年6月に社長に就任されましたが、新たにどのような経営方針を打ち出されていますか。

メディアが多様化する現在だからこそ、これまで以上にメディアそのものを育成するという視点で事業を推進する必要があると感じています。そこで、新たに 「The Media Growth Partner (ザ・メディア・グロース・パートナー) 」 という経営ビジョンを定めました。メディアレップ ――メディアの広告営業を代行する者―― としての役割を一歩進めて、メディアが成長するためのパートナーとなることを目指します。
健全なメディア、有益なコンテンツの育成を支援し、そうしたメディアに適した広告が配信されるプラットフォームを高度化していく。そして広告主に対しては、個々のメディアの本質やコンテンツの価値を理解して頂き、より効果の高い広告を提供していく、というプラスの循環を図っていきます。 「The Media Growth Partner」 たるに相応しい新しい商品やサービスを生み出すために、スピード感を持った経営を実行していきます。

また、経営ビジョンの実現に向けて社員一人一人は何をすべきなのか、今、各部門の社員がビジョンを個人のミッションに落とし込む作業を進めている段階にあります。会社が目指している姿を全ての社員が 「自分事」 にする、つまり会社の方針を自分の仕事に照らして、どのように前向きなアクションに繋げられるのか、そこを明確化し、実行に移す準備を進めています。また、全社にまたがる組織改編を実施し、個々の現場に蓄積されている知見を新たな組織構成によって速やかに融合し、商品化・サービス化までのスピードアップを図ります。

経営ビジョンの実現に向けた戦略の方向性は、どのようなものになりますか。


「社会的有用性の高いインターネット広告を作っていくためには、メディアの育成に寄与するのが重要です。」

クライアントから当社に期待されているのは、メディアからすれば広告枠の幅広い販売チャネルを確立していることであり、広告主・広告会社からすれば多種多様なメディアに対する深い造詣や、広告の受発注、掲載から効果測定といった一連の安定的なオペレーションの提供機能であることは、従来と何ら変わりません。こうした当社の強みは引き続き強化していきます。
一方で会社としては、 「メディアの育成に寄与する」 という従来の経営方針は継承発展させながら、これまで以上にインターネット産業の将来を見据えて、5年後、10年後のメディアのあり方、インターネット広告のあり方を模索し、具現化していくことに事業リソースを割くことになるでしょう。

インターネットが新しい情報インフラとして注目を集めて既に20年弱。今や生活者のネットへの接触デバイスはスマートフォンやタブレット端末など多様化していますし、ソーシャルメディアのような新しい情報の流通形態も一般化しました。環境変化を踏まえて、広告主に対してより多様な切口の広告商品や、新しい広告効果の測定指標が必要であると考えています。そうした新たな付加価値を持った広告とその指標をメディアの方々と共に創造していきたいと思っています。

総合広告代理店ではなく、メディアでもない、貴社だからできる新しいインターネット広告の価値創造には、どのようなものがあるとお考えですか。

特定のメディアで新しい広告商品を開発したとしても、それを市場全体に定着させるにはまた別の視点が求められます。日本やグローバル市場で多様なメディアをネットワークしている当社の立ち位置だからこそ、最初から市場への普及を視野に入れた広告商品の開発が可能になります。新たな価値を創造する際には、市場で横展開するためのルールづくりが重要であり、そうした業界全体への影響力の大きいプロジェクトは、当社がイニシアティブを取って進めていくケースが多いです。

例えば、クッキー等を用いた技術を利用してユーザ情報を取得し、ユーザの興味や関心に即して配信する広告 (行動ターゲティング広告、オーディエンスターゲティング広告) は、一般的な生活者からすると、 「なぜあるサイトを訪問したら、その後、その広告が頻繁に表示されるのか」 「なぜ自分の興味がある分野の広告が配信されるのか」 と違和感を覚えることもあります。ユーザ情報の取得における啓発活動や、ユーザが十分な情報をもとに情報取得の停止 (オプトアウト) を選択できる環境作りを目的として、同業のメディアレップであるデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム (DAC) 社と共同でDDAI (Data Driven Advertising Initiative) というサイトを立ち上げました。
このように、当社単独で何か新しいことを始めるという発想ではなく、業界全体で健全なインターネット産業の成長を後押しするような活動も、広告主・広告会社とメディアの中間に位置する当社だからこそできる役割であると考えています。

また周知の通り、今や日本のインターネット市場には海外の大手メディアが次々に参入しています。彼らの参入に先立ち、当社はいわば日本市場への 「コンシェルジュ」 として、様々な相談に乗り、アドバイスを提供してきました。これらの案件は、グローバル市場のビッグプレーヤーと対等にコミュニケーションするだけでなく、日本のインターネット市場を今後どのように創っていくのかといった視野も求められるダイナミズムに溢れる仕事です。
海外のメディアも、勿論日本のメディアも、 「The Media Growth Partner」 である当社に相談すれば、市場での成長のきっかけが掴める、そんな存在であり続けなければならないと考えています。メディアごとに最適な広告プラットフォームを提供するだけではなく、サイト構成やコンテンツに関しても適切なアドバイスができる会社になっていかなければならないと思っています。

企業規模の拡大に伴って、貴社の社員の意識や仕事への取り組み方は変わってきましたか。


東京港区のイタリア街にある同社ビルの近くでは、毎週のようにドラマ、CM、雑誌等の取材が行われている。

インターネット広告の可能性を追求することでデジタル産業発展の一翼を担い、健全な市場形成に貢献する、という本質的な意識は変わっていません。ただし社員数が50人であった時代と、700人を超える現在とでは、当然ながらサービス領域は格段に広く、また深くなっています。
各部門のエンジニア、プランナー、マーケター、メディアコンサルタント、ソリューション営業といったプロフェッショナル人材は、皆それぞれの領域のスペシャリストです。個々人が自分の専門性を極めるスタンスは創業当初から変わっていませんが、今では彼らスペシャリストはゼネラリストとしての視点も兼ね備え、組織横断的にチームを編成し、クライアントの課題に対して総合的な提案を積み重ねるようになっています。

また、電通と協働する大掛かりなマス広告キャンペーンと組み合わせたクロスメディア提案において、スタート段階から当社の社員が企画全体の完成形を立案するケースも増えてきました。インターネット広告の提案ノウハウを幅広く吸収できるのと同時に、専門的なアドテクノロジーに関する知識も深めることができるため、当社の若手社員は他では得難いキャリアを構築できると感じている者が多いようです。
広告主や広告会社に向けたDSP (Demand-Side Platform) から、メディアに向けたSSP (Supply-Side Platform) まで、先端的なアドテクノロジーを装備するプラットフォームを扱えますし、新しい価値を提案する実験的な広告開発に携わることもできます。ここまで幅広いソリューション領域を1つの会社で体験できる例は極めて珍しく、それは当社ならではの仕事の醍醐味になっています。

社内の雰囲気や社風はどのようなものですか。

案件ごとに一つの目標に向かってチームを編成して動くことが多いせいか、社員同士 「仲が良い」 のが当社の特徴と言えるでしょう。また、誰もが仕事に対して真面目に取り組み、クライアントの担当者に対しても、チームメンバーに対しても真摯に接する人が多いと感じます。
創業間もない頃から、クライアントの求めることに応えるだけでなく、常に期待以上の成果を目指して当社から新たな提案していくというスタイルを徹底してきており、お客様の課題認識を超えるソリューション提供に向けて真面目に考え、取り組むカルチャーが根づいているのだと思います。

それぞれの領域のスペシャリストが仕事を通じて蓄積している知見を共有するため、社内で勉強会が多いことも当社の特徴です。ただそれが単なる知識の吸収機会で終わっている例も見られたため、現在はそうした知見をどのように提案の中に盛り込んでいくのか、勉強会においても仕事で実践することを前提とした訓練を重視しています。
今進めている組織改編には、現場にある優れた知見をより体系的に融合して、社員一人一人がベストな提案に活かせるよう組織レベルでサポートしていこうとの狙いがあります。

貴社を志望する方に、どのようなマインドや姿勢を求めていますか。


「一緒にインターネット広告市場を作っていきましょう!」

当社の社員は、自分たちの仕事を通じてメディアの育成を担い、デジタル産業の未来に貢献するという ”志” の部分を大切にしながら、広告主のニーズに応えて一つ一つの広告のパフォーマンスを徹底的に追求しています。そうしたバランス感覚を持って最適なソリューションを創造することのやり甲斐や難しさを、日々感じながら仕事をしています。
この楽しくもハードな仕事に求められる基本的な資質として、インターネットやマーケティングが好きであることが大切です。自分が動かしている目の前の仕事が、日本のインターネット市場の一端を担っているという意識で仕事ができる人が、当社では成長しています。そして、自分を含めた生活者が今まさに必要としている新しいサービスを開発し、世の中に送り出す仕事でもありますから、日頃から 「今はまだ存在しないが、こんな広告やサービスがあれば」 といった視点で前向きに考えている人が、当社で伸びていく人材であると感じています。

当社のビジョンに共感でき、今後まだまだ変わっていくデジタル産業を自分たちの手で創造していきたいとの気概を持つ若い方々、インターネット業界で確かなキャリアを築いてきて、より市場全体への影響力の大きい舞台を求めている中堅クラス以上の方々との、新たな出会いがあればと願っています。

本日はお忙しい中、長時間に亘りご協力頂き、ありがとうございました。

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株式会社サイバー・コミュニケーションズ
設立
1996年 6月 5日
資本金
4億9000万円
従業員数
946名
本社
東京都中央区築地1-13-1 築地松竹ビル
代表者
代表取締役社長 新澤 明男
※この記事の内容は取材当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職名等は現在と異なる場合があります。
職業紹介優良事業者認定マーク
当社は、全国に約28,000事業所ある人材紹介会社の中で、厚生労働省が審査し、 わずか40社しか選ばれない「職業紹介優良事業者」に認定されています。
※平成26年(第一回認定):全国で27社のみ、平成30年:全国で43社のみ(第二回認定)、令和2年:全国で39社のみ(第三回認定)、令和5年:全国で40社のみ(第四回認定)
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