株式会社リクルートキャリアは、正社員領域を中心として、新卒の学生から20代、30代を中心とした幅広い求職者層に対して就転職を支援する様々なサービスを提供し、同時に求人ニーズを持つ企業に対して総合的な採用支援サービスを提供しています。
組織の母体は、リクナビやリクナビNEXTに代表される公募メディアサービスを担う (株) リクルートのHR (Human Resource) カンパニーと、“転職エージェント” として求職者と企業を繋ぐ斡旋サービスを行う (株) リクルートエージェントで、2012年10月に両社が統合して誕生しました。より正確にお話しすると、リクルートグループで人材育成・研修領域を専門とする (株) リクルートマネジメントソリューションズにおいて総合適性検査 (SPI) や面接トレーニング等を提供する選考支援サービス部門を、それ以前にHRカンパニーに統合していましたので、サービスとしては3社の機能が融合したことになります。
10年ほど前から、急速なグローバル化、少子高齢化を背景に、雇用を取り巻く市場は激しい変化に晒されています。もはや国内の企業で20代を底辺としたピラミッド型の組織構成は崩れていく傾向にあり、一方で個人の側では年収がなかなか上がらない、或いは働きたくても正規雇用では働けないといった悩みを持つ若者、子育て中の女性、シニア層が存在します。
10年後、20年後の社会の変容を見据えて、雇用マーケットのあるべき姿を考え、我々はどのようなサービスを創造すべきなのか、真剣に考えなければなりません。個人と企業のより良いマッチングを目指し、新たな雇用の創出に貢献するために、固有の強みを持った組織を統合し、株式会社リクルートキャリアを創業しました。
定量的な意味において、我々のメディアサービス・斡旋サービス・選考支援サービスを利用されるクライアント企業数、カスタマーである求職者数は国内有数であると自負しています。
その圧倒的な顧客基盤によって蓄積されるビッグデータを活用することで、より精度の高いマッチングの実現を目指している所が特徴的だと思っています。
就転職においては、求職者個人が持っているスキルだけでなく、人柄や社風と合うかどうかといった 「会ってみなければ分からない」 要素がとても重要です。我々は従来、主にキャリアアドバイザーをはじめとする 「人」 が介在する斡旋サービスで、その部分を担ってきました。更にそうしたプロの手腕に依拠するが故の量的な限界をカバーするため、ITを活用してビッグデータを分析することで、より多くの人達に納得度の高い就転職をして頂ける 「仕組み」 を構築する取り組みを進めています。
一例として、リクナビというメディアに蓄積されている過去数百万人の学生の行動履歴を解析し、約50億通りにパターン化しました。どのような志向を持った人がどのような企業にアクセスし、応募されているか、或いは応募には至らなかったのか。共通するパターンを導き出し、毎年リクナビをご利用頂く学生の皆さんに、就活のフェーズに従ってその人にとって役立つ情報をよりタイムリーに提供する仕組みを開発し、提供を始めています。
こうしたサービスの開発は新卒・中途採用領域を横断して積極的に取り組んでいます。
既にカスタマーである求職者からは、就転職のチャンスが増え、利用できるサービスが充実したという声を頂いています。クライアントの企業からは、自社の採用ニーズに対して、最適なサービスを効果的に組み合わせ、より柔軟に対応して貰えるようになったとの評価を頂戴しています。
リクルートキャリアで最も重要な企業資産は 「人」 です。多様な強みを持ち、それを高め続ける優秀な人材が在籍しています。
メディアサービスを担うHR部門は、競合が次々に現れる中、ゼロベースで新しい商品・サービスを生み出し続けなければならない環境で事業に取り組んできました。従ってHR部門で育った人材には、スピード感と本質を掴む力、新しい価値を創造する高い能力が培われていると感じます。
求職者と対面して企業とのマッチングを図る斡旋サービス部門では、クライアントである企業と密接にコミュニケーションする中から、絶えず変化する企業の採用ニーズを正確に把握し、臨機応変に対応する力が培われています。
一方、SPIを中心とした選考支援サービス部門は、膨大なデータを統計学的に分析することで人の行動様式を解き明かすツールを開発してきたことから、 「人と組織」 という奥の深いテーマに対する探究心が旺盛で、科学的アプローチを得意とする人が多いと言えます。 更に、これらの組織を横断する形でIT人材が活躍しており、蓄積されたビッグデータをベースに、これまで人間がやってきた業務の代替可能な部分をITで補う仕組みとしてシステムを開発しています。世界の先端的なIT動向にキャッチアップできる知的貪欲さと、それを新しいサービスに応用する創造性を兼ね備えています。
人材ビジネスを本業とし、多くのクライアントの採用活動に伴走するパートナーであり続けるためには、我々自体が日本の雇用市場でモデルとなるような人材採用を実現していかなければならないと強く思っています。
リクルートの風土に合い、他のどの会社よりもリクルートキャリアでいきいきと活躍できる人を発掘・採用し、社内でしっかり育成していく。雇用市場という非常に社会性が強いマーケットでの仕事を通じて、社会起点でこれからの世の中をどうしていけば良いのか、経験値に応じてテーマとミッションを与え、その人材の可能性を拓き、最終的には未来の社会を牽引できる様な人材を育てたいと思っています。誰もがその人の 「持ち味」 を活かせる環境づくりに向けて人事制度の整備やカルチャー醸成を進めています。
そこまで拘って人材の採用と育成に取り組むからこそ、我々のメディア・斡旋・選考支援サービスを戦略的に融合し、社会の期待に応えるレベルにまで進化させていくことが可能になると考えています。
私は1989年にリクルートに入社して15年間人事部に在籍し、その間、当社を志望される膨大な人数の学生や社会人の方々とお会いしてきました。多い時期は1日8枠もの面接に臨み、更に昼食時と夜にも応募者と食事を共にする等、対面して話した候補者の延べ人数は社内の誰よりも多いのではと思っています。
それでも、採否のジャッジというのは本当に難しい。 「この人、大丈夫かなあ」 と内心心配していた学生が入社後に目覚ましい活躍をしたり、 「彼女は有望だ」 と太鼓判を押していた人が活躍するまでに時間がかかったり、といった経験を数限りなくしてきました。そして結論として、 「人の可能性というのは分からないし、無限大である」 という確信に至りました。
今振り返ると、この時期の私は採用と育成等に関するトータルな人事業務を経験してキャリアを積んだという意識はなく、目の前にいる 「人の可能性」 を信じるようになり、誰もが自分の可能性を拓くことのできる世の中になったらいいな、と思うようになりました。世間一般で評価されがちな学歴がないとか、希望通りの就職ができずに悩んでいた若者達も、それぞれが自分の 「持ち味」 を活かして働く喜びを味わえる様になって欲しいと思いました。
そして2005年、若者の就職支援を国が推進する目的で全国各地に設置された 「ジョブカフェ」 をリクルートが一部受託した際、事業責任者として赴任しました。受託終了後には新規事業 「就職Shop」 を創り、斡旋サービスを通じて所謂 “フリーター” や 就業未経験の若者の就職機会を提供する事業として収益化し、現在も継続しています。
採用と広報の機能を担う部門を 「コーポレートスピリット推進部」 と名付けたのは、リクルートキャリアの 「スピリット=目に見えない価値」 を全社員に再認識して貰いたかったからです。
人材サービスのリーディングカンパニーとして、どこよりも 「人を大切にする会社」 でありたいし、 「人の可能性を信じ、人が会社の未来をつくる」 という我々の根っこにあるスピリットを社員一人ひとりに再確認してほしい。また、 「その人の持ち味を活かして採用をし、未来の社会で雇用市場を牽引していく人材に育て上げたい」 と全社員が本気で思える風土を醸成したいと思っています。
その第一歩として、来年度から入社2年目以降の全社員が新卒採用の面接を担当することにしました。当社に関心を持ってくれた学生を書類選考でふるい落とすのではなく、未来のカスタマー、クライアントになるかもしれない一人でも多くの 「人」 に社員が直接会って、リクルートキャリアについて、仕事について話す機会を持って欲しいと思ったからです。現在この 「全社員面接」 の実現に向けて、全国の拠点で社員の面接トレーニングを実施中で、社員同士が求職者と面接官に分かれてロールプレイングを行っています。会社や仕事、今自分が所属するチームについて改めて人に語ることで、それらについて今以上に誇りを持って欲しいと思っています。
また、一連の面接トレーニングを通じて異なる部門・職種の人の話に耳を傾ける体験から、統合後のカルチャー融合が促進されるという嬉しい副産物も生まれています。
メディアサービスの営業職も、斡旋サービスのキャリアアドバイザーも、自分自身がある意味リクルートキャリアの代表としてクライアントの前に立ちます。各企業の経営戦略を実現するための人材戦略を自ら考えてアドバイスし、圧倒的な当事者意識を持って実際の人材採用フローの運用を支援します。
メディアサービスと斡旋サービス、選考支援サービスをどのように組み合わせるのか、クライアントの採用課題をどこまで深く掘り下げ、どのように噛み砕いてチームメンバーに伝えるのか。本人のコミットメント次第で明らかに成果が変わり、クライアントと一人ひとりの求職者に心から喜んで頂けるという成功体験が積めます。
更にその先には、変化する雇用マーケットと向き合って、社会起点で我々の事業がどうあるべきかを問い直し、世の中に新しい価値を提供するビジネスモデルやサービスを生み出していくプロジェクトに関わり、持ち味を発揮して頂く機会もあります。
リクルートという会社は、まだ世の中に存在しない価値を創造するために、先行投資をして仕組みを開発し、サービスを導入してPDCAを回し、捨てるべきものは捨ててサービスの革新を続けてきた歴史を持っています。かつて紙媒体だけだった企業の採用広報にいち早くリクナビをリリースしたように、 「市場が選ぶもの、支持されるものが生き残る」 という発想で自社メディアの淘汰さえ厭わずに新しいサービスを生み出してきた企業です。ビジネスパーソンとして最速のスピードで学べる環境があり、また多様性に富む優れた人材の宝庫でもあります。
創業者の言葉である 「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」 という精神は、世代を問わず今も多くの社員の中に生きていると思います。そうしたカルチャーに馴染める人であることがまずは求められるでしょう。その上で、人間として溢れんばかりのエネルギー量を持ち、仕事に対する高い意欲と真摯なスタンスを持っている方々、というのが求める人物像になります。
エネルギー量とは身体能力のことではなく、世の中に対する興味関心の幅の広さを意味します。変容する社会の中でクライアントのニーズは常に変化し、我々もまたスピード感を持って変化していく企業ですので、当然ながらビジネスパーソンとしての誠実さやコミュニケーション能力は基本要件として必要になります。
今全社で約半数が中途入社の社員です。この1年間の中途採用実績は520名。量的に採用に注力する職種としては、営業職やキャリアアドバイザー等、直接部門の人員に大きなニーズがあります。彼らの前職は様々であり、外資系投資銀行の営業からメークアップアーティストまで、極めて多彩なバックグラウンドの人材が既に活躍しています。また、直接部門に比べて採用ボリュームは少ないですが、経営企画・人事・広報等のコーポレートスタッフ職、IT人材にもエンジニアからサービス開発まで様々な職種で活躍の場があります。
会社は全ての社員に対して、自分のキャリアと真正面から向き合って欲しいというメッセージを出しています。入社すると、目の前の仕事に対して 「あなたはどうしたいのか」 と絶えず周囲から問い掛けられ、先輩や上司から 「その “どうしたいか” を社会起点で考えろ」 と言われることと思います。社会の中で自分の果たすべき役割は時代の変化と共に変わっていきます。自身の現状の強みや課題を見つめ、目の前の仕事、今のミッションに対して果敢に挑むことで強みを伸ばしていって下さい。
これから我々の仲間になる全ての人が、自分の 「やりたい」 という思いをベースにして、 事業を通じて何を為したいのかを自問自答し、仕事に取り組んでくれることが、リクルートキャリアらしい新たな企業文化を造り上げることに繋がるのだと思っています。