応募者の皆さんには、「大阪ガスグループの宣言」 からお話しする事が多いです。言葉にすると 「価値創造の経営」 となりますが、これは、お客さま・株主・社会・従業員の4つの価値の創造に努めることを宣言したものです。
その中でも最優先として位置付けているのは 「お客さま価値の創造」 です。これは創業以来、ガスは常に消費者や需要家に 「選んで頂く」 立場のエネルギー源であった事と深い関係があります。明治時代の初め、ガスは主にガス灯に使われていましたが、やがて電灯に切り替わりました。そこで、新しいガスの市場を創造するため、薪で煮炊きしていた家庭用厨房に熱源としてのガス導入を進めました。このように、時代の変遷と共にガスの用途を自分たちの手で開拓していった挑戦の積み重ねが、大阪ガスの歴史であると言えます。
電気と比較した際、ガスでなければ実現不可能な生活や企業活動というものは殆どありません。更にガス事業には、LPG (プロパンガス) がその好例ですが、地域密着型の中堅中小規模の競合が存在します。弊社は創業以来ずっと民営企業で、常に 「お客さまに大阪ガスを選んで頂かなければ会社の存続はない」 という危機感を持って事業に取り組んできました。
そうした企業活動を通じて、お客さまのニーズをタイムリーに捉え、ガスのある快適な生活を提案し、「お客さま価値」 の向上を実現しようという経営理念が形成されていったと考えています。
2014年から2016年の3カ年の中期経営計画において、ガスと電力、そしてソリューションによる 「総合エネルギー事業」 への進化を宣言しています。より具体的には 「発電事業」 と 「海外事業」、そして非エネルギー事業である 「ライフ&ビジネス ソリューション事業」 を成長事業と位置付け、人材や資金を集中的に投入し、更なる成長を促進していきます。
発電事業では、2009年に営業運転をスタートした泉北天然ガス発電所を始め、複数の石炭火力発電所を稼働させています。また、風力発電や太陽光発電など再生可能エネルギーの活用にも取り組んでいます。東日本大震災以降、エネルギー事業者として果たすべき役割があるという考えに基づき、国内外において積極的に電源の開発を進めています。
現在の発電容量は国内で約180万kW、海外では参画する事業の持分比換算で約110万kWになりますが、2020年代には国内・海外を合わせて、国内電力会社一社の発電容量にも匹敵する規模である600万kW まで拡大する事を目指しています。
海外事業では、既に1980年代後半から順次、オーストラリア、マレーシア、カタール、オマーン等とLNGの長期購入契約締結を進めてきた歴史があります。
並行して、海外でのアップストリーム (上流) 事業への進出も進めてきました。LNGタンカーの運航にも関与しているほか、東南アジア、オーストラリア、パプアニューギニアでガス田開発プロジェクトに、北米大陸ではシェールガス開発プロジェクトに参画しています。
また、ダウンストリーム (中・下流) 事業では、米国やスペインでLNG基地への出資を行っています。更に北米とヨーロッパを中心としたIPP (独立系電力事業者) プロジェクトにも参画しました。また東南アジアでは、ガス供給事業にも着手しています。
大阪ガスは近畿2府4県を中心とするガスの供給・販売事業を通じ、天然ガスのバリューチェーンを構築・強化してきました。世界各国でのLNG採掘、液化・貯蔵、LNG船による輸送、都市ガスの製造、ガスパイプライン (導管) を経由して各家庭への供給に至る、エネルギー事業の全工程で培った技術やノウハウを豊富に蓄積しています。事業の各プロセスで起こり得るリスクへの対応についても熟知しています。これらのビジネスリソースは、海外事業を推進する上でも強いアドバンテージになると考えています。
また、中途入社を希望される方々は、弊社が展開する海外事業に何らかの接点のあった企業出身の方が多く、採用面接の場で 「現場の社員が本気で新しいプロジェクトを成功させよう、自分たちで新規事業を創り出そうとしている点がとても面白かった」 「他のエネルギー会社と比べて、スピード感の違いを感じた」 といった主旨で弊社について語る方が何人もいらっしゃいました。
私が入社した12年前と比べても、海外事業に携わる社員の数は飛躍的に増えていますし、社内外から優れた人材が抜擢されていると感じています。会社が海外事業に賭ける本気度が社員一人ひとりに伝わり、またガス会社である弊社には、冒頭でお話ししましたように伝統的に新しい市場の開拓に挑戦してきたカルチャーがあります。レポートラインも短く、社内の意志決定も迅速ですし、それらの要因が相乗して大阪ガス固有の強みとなっているのではと感じています。
エネルギー事業を通じて長年培ってきた技術やノウハウを活用し、グループ会社を主体として幅広い分野で事業を展開しています。
例えば 「材料ソリューション」 では、以前は石炭からガスを製造していた技術を応用し、炭素材料や炭素を含む化合物の特性を活かした多様な高機能材料を開発、工業用市場に提供しています。
「情報ソリューション」 では、弊社の基幹システムの開発・運用を手掛けてきたオージス総研グループが、グループ外の企業様も含め、広くITソリューションを提供しています。
また、賃貸オフィスや賃貸・分譲マンション等の不動産開発、料理教室の運営、駐車場運営、有料老人ホーム運営など、暮らしやビジネスを支援する幅広い事業を展開しています。
グループ会社の数の多さは、他のユーティリティの会社と比べると特徴的だと言えるでしょう。引き続き事業ポートフォリオの多様化を進め、幅広い領域のソリューションの中から大阪ガスグループの新しい事業の柱を育てていきたいと考えています。
社員一人ひとりをよく見て育成を考える会社であると思います。採用面接でも 「大阪ガスであなたはどんな仕事ができますか?」 といった会話にはあまり大きく時間を割いていません。むしろ 「あなたはどういう人ですか?」 「どうして転職しようと思われたのですか?」 といった部分をありのままに知りたいと思っています。弊社での仕事に合うと思える転職理由であれば、お互いに納得して大阪ガスにお迎えでき、ご本人も新天地での仕事に思う存分挑戦して頂けると思っています。
総合職にはゼネラルコースとスペシャリストコースがあります。
ゼネラルコースでは、原則3~4年で異動を繰り返し、戦略的リーダーシップ・マネジメント能力を磨いて頂きます。幅広い経験・広い視野・人的ネットワークをベースに、経営的視点から組織全体および組織横断的な変革を推進して頂くことを期待しています。
一方、スペシャリストコースには約30種類の分野があり、関連分野に限定されたジョブローテーションでキャリアを深化させて頂く事になります。
何かとお節介な人が多い会社ですので、新しい人が中途入社で入ってきたら、頼みもしないのに大阪ガスの事を教えてくれようとする人が次々に現れると思います。もしその “新人さん” が関西出身でなかったとしたら 「なんで大阪に来たん?」 等、しばらくの間は “いじられる” かもしれません。言葉を変えると 「人が好きな人が多い会社」 なのだと思います。関西企業独特のカルチャーを感じるかもしれませんが、海外事業の進展に伴いグローバル人材の採用も強化していますので、そもそも日本国内の勤務地のローカル性等はあまり意味を持たなくなりつつあります。
生え抜きでないからと疎外される心配もまずありません。ジョブローテーションの多い会社であり、中途入社された方も 「ああ、前は違う部門におったんやね」 といったレベルと同等に受け止められるに過ぎないからです。
また、伝統的にボトムアップを奨励する雰囲気があり、若手にも大きな権限を任せて成長を促すカルチャーがあります。
私は入社して8年半ほど営業部門にいたのですが、入社3年目に、当時京都にできたばかりの大規模なショッピングモールで弊社が開催した大きなイベントの 「会場責任者」 を任されました。
3日間で1万5000人もの来場者が訪れる 『ガスてん (※)』 を担当する事になったのです。展示スペースと料金の交渉から、機器の運送と搬入の手配、各コーナーの飾り付け、スタッフのユニフォームをどうするのか等々、全て自分の裁量と責任で決めていかなければなりません。当時はオール電化住宅への注目が高まっていた頃で、どうやってガスのある暮らしの良さをアピールするのか、先輩社員に助けられながら必死に知恵を絞りました。イベントの前日から初日にかけての嵐のような時間が過ぎ、ふと気が付くと37時間に及ぶ勤務を終え、それまでに経験した事のない充実感に浸っている自分がいました (これほどの長時間勤務はこの時ただ一度きりでしたが)。
今振り返ると、この経験から得たものはとても大きかったと感じています。翌年には、京都の老舗百貨店で開催した5万人規模のイベントの会場責任者を任されました。
※ガスてん:様々なガス機器を生活シーン別に展示し、消費者の方々にガスのある暮らしを体感して頂く同社伝統のイベント
私自身が大阪ガスに入社を決めた理由の一つが、女性として長く働ける環境があると感じたからでした。実際、産休や育休、或いは時短勤務等の制度は法定以上に充実し、制度の活用実績も伴っています。また、“お節介な社風” の良い側面が機能して周囲の社員や上司の理解・サポートも手厚いと思います。何より女性社員本人が 「頑張って仕事を続けたい」 という意識を強く持って努力していると感じています。
私と同期入社の総合職の女性は9人でしたが、現在も全員が働き続けています。そのうち8人が結婚し、6人に子どもがいて、その半数は2人以上のお子さんを育てています。育休後も同じ部署に復帰できるルールとなっていますし、お客さまへの対応に時間を合わせなければならない業務の場合は同じ部署で企画業務に変わる等、会社としても本人が仕事へのモチベーションを高めながら無理なく働き続ける事ができるよう配慮しています。
仕事の中では、男女の差がないことも働き易い要因だと思います。逆に言うと、“女の子扱い” は全くされません。私はずっとバスケットボールをやっていて女性にしては腕力があるせいか、営業時代にビルトイン式の重いガスコンロを車に積み込む際も一人でやっていました。人事部の現在も、昨日は北海道で大学訪問、今日は東京で取材対応と打ち合わせ、明後日からはインターンシップの学生に同行してシンガポール出張と、それなりにタイトなスケジュールをこなす日々です。
発電事業や海外事業は、ここ10数年で急速に拡大してきたため、新卒社員だけでは必要な人材を十分に育成し切れなかった分野があり、中途入社の方々にご活躍頂くフィールドが数多くあります。現在では、中途入社で海外子会社のCEOを務めている人もいますし、その他にも多くの中途入社者が活躍しており、皆さん周囲のメンバーに頼りにされ、事業の中で重要な役割を果たしていると思います。前職はとても幅広く、プラントエンジニアリング会社、電力会社、総合商社、船会社、繊維会社、信託銀行まで、弊社が海外事業開発を推進してきた過程で接点のあった業種の出身者が多くなっています。
現在は、発電事業では電力技術エンジニア、海外エネルギー事業では石炭の調達担当の中途採用ニーズが浮上しています。また、国際税務スタッフ、ファイナンススタッフ、資源トレーディング担当といった職種にも中途採用ニーズがあります。
いずれの職種においても、ご自身で現状の課題を見つけ、周りのメンバーや社内の関連部署を巻き込んで解決していく姿勢を持ち合わせている方が望ましいと思います。入社後には、遠慮なさらずに弊社のビジネスリソースを存分に活用してご活躍頂きたいと願っています。
今、発電事業・海外事業共に、勢いがあるタイミングです。多くの場合、社内でも初めて手掛ける事業に携わりますから、入社後比較的早い段階でその分野において社内の第一人者・エキスパートになれるチャンスがあります。前例のない初めての事をやってみたいとお考えの方、チャレンジングな仕事が面白いと思える方には、とても刺激に富んだ環境であると思います。
エネルギー業界が直面する環境変化をチャンスと捉え、収益面でも黒字を維持し続けている民間企業である点も再度強調したいと思います。長期経営ビジョンに沿って2020年に向けて実施する新規事業の拡大投資も、国内・海外エネルギー事業、非エネルギー事業を合わせ、当初の計画より3,700億円増額します。前向きな攻めの姿勢で新規事業に挑戦している今だからこそ、人材に対しても惜しみなく投資できますし、これから大阪ガスを選んで下さる一人ひとりの長期的なキャリア支援も可能になると考えています。
弊社の事業に興味を持って下さった皆さんと面接でお会いして、ざっくばらんにお話しできればと考えています。お一人お一人の人となりに触れ、どんな想いで私たちと一緒に働いて頂けるのか、本音で話し合える機会を提供したいと思っています。