企業インタビュー

A.T. カーニー株式会社 企業インタビュー

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戦略策定から現場でのオペレーションまでを一貫して支援し、成果を出すコンサルティングに徹底してこだわるA.T. カーニー株式会社。今回は東京オフィスのパートナーで金融グループの責任者を務める矢吹 大介氏に、2020年に向けた成長戦略、コンサルタントが常駐するプロジェクト推進スタイル、グローバルファームとしての連携強化への取り組み、人材に求める資質等についてお話を伺いました。

まず初めに貴社のコンサルティングの特徴について、競合ファームに対する優位性を踏まえてご説明頂けますでしょうか。


パートナー 矢吹 大介 氏

A.T. カーニーは今、The most admired firm (最も称賛され、信頼されるコンサルティングファーム) になる、というグローバルな目標を打ち出しています。
これは、創立者のアンドリュー・トーマス・カーニーが重視した “essential rightness (本質的な正しさ) ” を追求し、それをお客様に自信を持って伝える、という経営哲学を継承・発展させ、我々A.T. カーニーが2020年に向けて発信する新たなビジョンです。The most admired firm になるために、一つひとつのプロジェクトにおいて今まで以上にきめ細かいコンサルティングサービスを提供していきます。また、企業規模を2倍にするという成長目標に向かって、各国のオフィスを横断したグローバルな取り組みを推進しています。

こうした大きな方向性の下、A.T. カーニーならではのコンサルティングの1つめの特徴として、プロジェクト推進において成果にこだわり抜く姿勢が挙げられます。これは創業以来変わる事なく受け継がれている我々の提供価値であり、基本的にコンサルタントはクライアント先に常駐します。お客様のメンバーと共に考えて戦略を立案し、現場でのオペレーションまでをトータルに支援しています。

2つめに、企業活動のグローバル化が進む中、我々も世界40カ国以上に61のオフィスを展開するグローバルファームとして培ってきた知見を融合し、プロジェクト毎にきめ細かく提供しています。そのため、グローバルな協働体制を個々のプロジェクトレベルでこれまで以上に強化しながら、人材育成面からもA.T. カーニーのグローバルな一体感の醸成を促進しています。更には “fewer clients (コアとなる少数のクライアント) ” にある程度集中し、信頼関係をより一層深め、それぞれの国や地域で重要な役割を果たすお客様にベストなサービスを提供し続けています。 「最も称賛され、信頼される」 ファームとは、言葉を変えると “trusted advisor (信頼されるアドバイザー)” を世界で最も多く抱えるファームを目指すという事でもあります。

3つめに、日本の産業、ひいては日本経済のあるべき姿に対して強い問題意識を持ち、日本企業、日本経済への貢献に取り組んでいます。具体的には、個別企業のグローバル化への支援であり、業界全体の再編や構造改革のサポートです。並行して、それら企業活動を支える国策としての日本の成長戦略への関与も積極的に進めてきました。

この3つが現在のA.T. カーニーの特徴を形作っており、且つそれぞれの取り組みは確かな成果として結実し始めていると感じています。

貴社が伝統的に採用する常駐型のプロジェクト推進について、もう少し詳しくご説明頂けますか。

どんなに優れた戦略であっても、現場の従業員一人ひとりが 「腹落ち」 して行動に移さない限り、組織は変わらず成果に繋がりません。現在では多くの企業がこの運用フェーズの難しさを認識しているため、コンサルティングファームに求めるサービスの幅が以前より広くなっています。有効な戦略の策定に加えて現場でのオペレーションに併走し、社内の意識・カルチャー改革を含めて尽力してくれるコンサルタントが求められているのです。

こうした環境変化の中で、A.T. カーニーが伝統的に採用してきた常駐型のプロジェクト推進スタイルは大きな強みとなります。期間中、コンサルタントはクライアント先のオフィスに終日勤務し、お客様の現場のメンバーと一緒にプロジェクトを動かします。そのプロジェクトの実現には何が必要なのか、組織の構造や力関係、企業文化を理解し、キーパーソンも把握した上でお客様のメンバーと一緒に実現の道筋を考え抜き、ワークプランに落としていきます。

極端に言えば 「こんな事できる訳がない」 と考えている現場を、 「どうしたらできるだろう」 というマインドに変えていく仕事です。人間力、コミュニケーション力が高いレベルで求められる仕事であると言えます。

グローバルファームとしての質の高いサービスをきめ細かく提供する体制をどのように強化しておられるのでしょうか。


「私自身この3カ月弱の間にインド、マレーシア、ミャンマー、台湾に出張しています。」

ひと昔前であれば、海外から日本市場への進出を意図する企業に対して、海外のA.T. カーニーのオフィスが主導するプロジェクトに日本のコンサルタントが参加する形が一般的でした。現在は逆で、日本企業のグローバル化が進展する中で、日本発のプロジェクトに海外のA.T. カーニーのオフィスを巻き込み、多国籍の協働チームを編成するケースが非常に増えています。

もともとA.T. カーニーでは、プラクティス別にグループが機能しており、自動車、化学、通信・メディア&テクノロジー、金融機関等、業界ごとのスペシャリストグループが国を超えて一つの単位として提案力を強化してきました。
戦略やオペレーション、マーケティング等ファンクション別のスペシャリストグループもやはりグローバルに機能していました。従って以前からヨーロッパ大陸を中心に、日常的に国を横断したプロジェクトチームの柔軟且つ緊密な協働が行われています。
私の担当する金融業界でも、そうしたグローバルな人の連携、チーム融合の動きが、この3年間で日本を含むアジア地域で非常に多く見られるようになりました。

日本の企業や日本の経済成長への貢献という軸で、今貴社で取り組んでおられるテーマにはどのようなものがありますか。


「A.T. カーニーのコンサルタントは複数のプロジェクトを掛け持ちせず、1つのプロジェクトに100%専任できる体制を基本としています。」

大きなテーマとして3つあります。まず1つは 「グローバル成長戦略」 「グローバル展開」で、これは多くの日本企業にとって例外なく重要な課題であり、欠かす事のできないテーマとなっています。
過去15年ほどを見ると、グローバルで大きく成長している企業は、自社の得意領域を成長市場に展開していく戦略で成功しています。消費財メーカーから金融機関まで、多様な企業がアジア市場へ進出する中で、戦略策定からM&Aを含む現地でのオペレーションまでを一貫してサポートしていくプロジェクトにおいて、A.T. カーニーは強みを発揮しています。

2つめのテーマは 「成長領域への展開」 であり、これは事業領域を横に広げていく多角化戦略を支援するプロジェクトになります。例えば2006年の資金決済法の改正以降、異業種から金融・決済ビジネスに参入してくる企業が増えたのは記憶に新しい所だと思います。

3つめのテーマは 「構造改革」 で、こちらは国内の様々な業界に残る非効率な部分を見直していく取り組みになります。例えば今、日本各地で地域経済が縮小していく中、地域金融機関はこれまでのビジネスモデルの抜本的な見直しを迫られています。そこで既存の銀行業務とは別に地域活性化に積極的に取り組み、新事業の創生への出資等を意識改革のレベルから提案しています。
こうしたテーマは、個社ではなく地域金融機関という業界全体で取り組まざるを得ない大規模な地域再開発・再活性化プロジェクトになります。金融機関に常駐するコンサルタントは、地域にある様々な資産を見直し、全国の潜在的な協業プレイヤーとのマッチングを図るなど、中長期の視点を持って取り組んでいく必要があります。

A.T. カーニーの一員となってプロジェクトに挑戦する経験を通じて、コンサルタントはどのようなやり甲斐を持つ事ができるとお考えですか。

前職で何らかのコンサルティングを経験している方は、一つひとつのプロジェクトの深さに驚く場合が多いと言えるでしょう。そもそも常駐型のプロジェクトでは、コンサルタントの一挙手一投足がお客様に見られている環境であり、週1回のミーティングで提案を重ねていくワークスタイルとはプレッシャーの質が異なります。その中で結果を出すには、本質的に深く考え抜き、お客様と議論を重ねていく姿勢が必要になります。簡単な仕事ではありませんが、何らかの成果に繋がれば、今まで味わった事のない達成感が得られます。

また、外資系でありながら日本企業や日本経済の未来にこれだけ真剣にコミットできる会社である事に共感する転職者もたくさんいます。しかもクライアント先の現場にどっぷりと密着して一緒に考えるワークスタイルを経験すると、 「自分がやりたかったのは、正にこういうコンサルティングだった」 と新たな気づきを得る人も多いです。

中長期の視点で取り組むプロジェクトが多いのは事実であり、体制・人数を変えてフォローアップは継続していきますが、コンサルタントが一つのプロジェクトに関わる期間は平均すると3カ月です。

矢吹様のこれまでキャリアと、パートナーとして東京オフィスの金融チームを統括されている現在のミッションについて教えて下さい。


「私自身も志や目的を持ち、それを達成するために日々奮闘してます。」

私は新卒で都市銀行に入行し、25歳の時に在外日本大使館に2年間出向する機会を得て主に政府間の債務交渉に携わりました。その時期の経験をきっかけに、グローバルな金融ビジネスの中で日本の金融機関が安定的な地位を築いて欲しいと思うようになりました。
その後、海外留学を経て、13年前にA.T. カーニーに入社しました。弊社のコンサルタントを選択した理由は、日本の金融に対する自分の理想を実現する上で、様々な金融プレイヤーに深くコミットでき、金融業界全体にベストな影響を与えられる仕事ができそうだと思ったからです。

現在は東京オフィスのパートナーとなり、また金融チームのリーダーとしてA.T. カーニーがグローバルに目指す姿にプラクティスを引き上げていく責任を自覚すると共に、リーダーシップのあり方を日々模索しています。金融業界への影響力という意味では、個々のプロジェクトのミッションを超えて金融機関や金融ビジネスのあるべき姿を発信させて頂く機会も増えてきましたので、引き続き私なりの提言を続けたいと思っています。

日本の金融がもっとプレゼンスを高め、日本企業のグローバルな活動を支えて欲しいですし、日本の地域金融が地域経済を動かす原動力になって欲しいと思っています。この2つのテーマが、私が今後も継続して取り組んでいきたいチャレンジになります。

人材育成についての基本的な考え方と、会社として運用する能力開発プログラムについて教えて下さい。


「グローバル集合研修は今後、プリンシパルを始め各階層のコンサルタントに展開していく計画です。」

会社は個人のキャリア形成を中長期的な視点で支援しており、メンター制度による定期的なキャリア相談・指導を実施している他、コンサルタントが階層別に毎年受けられる集合研修のプログラムを充実させています。

研修プログラムにはグローバルベースで各国のA.T. カーニーのコンサルタントと肩を並べて受講するものと、東京オフィスが独自に運用するものがあります。コンサルタントがどのようなプロジェクトに入っていても、研修期間中は研修だけに集中できる体制をチームとして配慮する厳格なルールが運用されています。

また、2020年に向けてグローバルな協働体制が強化される中、パートナー向けのグローバル研修も立ち上がりました。全世界のA.T. カーニーのパートナーが20人ずつのチームに分かれ、3週間に亘ってロンドン等に集まって受講する集合研修です。
この研修では、The most admired firm になるために今自分達はどうあるべきなのか、何が課題なのかといった視点で、普段仕事では接点のない各国のパートナー同士が真剣に議論を交わしました。お互い一つのファームのメンバーとして一体感が強まり、今後更にグローバルな連携を高度化していく上でとても有益な機会であったと実感しています。

貴社でコンサルタントを志望する人材にはどのような資質を求めておられますか。

我々コンサルタントは皆 「理想家」 であるべきだと思っています。目指す未来像があって、それを実現するには何を実践すればいいのかを考える所からチャレンジが生まれ、そこに個の成長があり、組織やビジネスの変革も可能になります。

人物要件としては、ロジカルシンキング等のハードスキルは一定レベルを備えている事を前提として、より重視するのはやはり人間力や包容力、コミュニケーション能力です。
また、コンサルタントとして自分の理想を実現するという志を持ち、これまでもそれに対して一貫性のある努力やチャレンジを続けてきた人が好ましいと思っています。キャリアとは自分のやりたい事や理想を実現するための手段であり、それに対して常日頃からしっかり準備をしているかどうかが重要だと思います。
また、コミュニケーション能力には英語力も含まれますので、一定レベルの基準を入社時までに満たす努力をして頂く必要があります。

戦略・オペレーション・IT・マーケティング等、ファームが提供する機能としての専門性や、特定の業界に精通しているという意味での専門性も重視しています。ただし、金融チームのコンサルタント志望者には必ず金融業界の専門知識が必要という訳ではありません。小売業界のマーケティングについての知見も、IT業界におけるシステム開発プロジェクトのマネジメント経験も、金融機関向けのコンサルティングに活かす事ができます。逆に言うと何らかの専門領域を極めた方であれば、A.T. カーニーのコンサルタントとして活かして頂ける場があると思います。

最後に、貴社を志望する方や、潜在的な候補者へメッセージをお願い致します。


「確固たる理想を持ち、そのためにセルフドライブしていける方のご応募をお待ちしています。」

A.T. カーニーは2020年に向けて成長の途上にあるファームであり、各業界でかなりチャレンジングなプロジェクトを推進しています。組織としての規模拡大スピードも速く、そのスピード感も実感して頂けると思います。1年1年大きく変わっていく環境に身を置いて、変化の中で自分自身を成長させて頂く事ができるでしょう。

組織がスピード感を持って大きくなる過程では、個人の昇格サイクルもスピードアップします。次々に新しい領域のプロジェクトに挑戦できる環境があり、また、自分が今できるレベルの一歩上の仕事を与えられる機会も多くなると思います。そもそもお客様の現場で鍛えられる常駐型のプロジェクトに投入されるコンサルタントは、例外なく成長が加速します。

しかし改革の現場で最後に物を言うのはコンサルタントの志であり、その人がその会社の事をどこまで真剣に考えているかで結果は大きく左右されます。人に何かを伝えようとする際には、どれだけ強い確信を持って話せるかによって納得度が変わってきます。この人は本気で自分たちの会社の事を考えてくれているのか、それとも表面的に辻褄の合う事を言っているだけなのか、共に働く相手には必ず伝わってしまうからです。

常に自分なりの理想像を持ち続け、それを実現する方策を考え抜く事のできるコンサルタント志望者と面接でお会いしたいと思っています。

本日はお忙しい中、長時間に亘りご協力頂き、ありがとうございました。

この転職者を担当したカウンセラーに転職相談したい
A.T. カーニー株式会社
設立 (東京オフィス開設)
1972年
日本代表
岸田 雅裕
従業員数 (グローバル)
3,600名以上
東京オフィス所在地
東京都 港区 赤坂 1-12-32 アーク森ビル 東館32F
事業内容
情報通信、エレクトロニクス、自動車、金融、消費財、エネルギー、ヘルスケア、その他製造、サービスなどの国内外の主要企業や官公庁に対して、戦略、組織、グローバリゼーション、IT/e戦略、リエンジニアリングなどについて活発なコンサルティング活動を行う。
※この記事の内容は取材当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職名等は現在と異なる場合があります。
職業紹介優良事業者認定マーク
当社は、全国に約28,000事業所ある人材紹介会社の中で、厚生労働省が審査し、 わずか40社しか選ばれない「職業紹介優良事業者」に認定されています。
※平成26年(第一回認定):全国で27社のみ、平成30年:全国で43社のみ(第二回認定)、令和2年:全国で39社のみ(第三回認定)、令和5年:全国で40社のみ(第四回認定)
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