パナソニックの原点は大正7年、1918年に創業者の松下幸之助が妻と義弟の3人で創設した松下電気器具製作所にあります。
企業としての直近の大きな転機は、三洋電機(株)とパナソニック電工(株)を子会社化し、2012年の大がかりな事業再編によって新しいパナソニックがスタートしたこと。そして2011年度、12年度と2年続いた大赤字からの脱却を2013年度に果たし、反転攻勢のフェーズに入ったということです。
“A Better Life, A Better World” というスローガンに沿って、パナソニック電工の扱う住宅資材、電設資材、照明器具といった暮らしの空間をコントロールする製品群が強化され、総合電機メーカーである三洋電機からも様々な機器が私たちの仲間入りを果たし、なかでも車載用の二次電池や太陽光発電のソーラーパネル等は、「よりよい暮らしの創造」 という側面でグループの事業に大きく寄与しています。
家電、住宅、車載、デバイス、そしてB to Bソリューションからなる5つの事業領域を、4つのカンパニーが担っています。
アプライアンス社は、エアコンや冷蔵庫、洗濯機等の家電製品を扱っています。今 「Jコンセプト」 を打ち出して日本市場の深耕を進めつつ、アジア市場等におけるローカルマーケティングを強化中です。また、この領域にもB to B事業があり、業務用冷凍冷蔵庫やショーケース等、業務用機器の分野にソリューションを提供しています。
エコソリューションズ社は、旧パナソニック電工の事業がベースとなっており、太陽光発電やHEMS (ホーム・エネルギー・マネジメント・システム) 等、住宅の中で省エネ・創エネ・蓄エネを推進する製品に加え、空間を創造する住宅設備を提供する事業を展開しています。
AVCネットワークス社は、大型映像ディスプレイから航空機内のパーソナルAVシステムまで、また放送局・業務用ビデオカメラやセキュリティカメラ等、幅広い映像ソリューション事業を展開しています。さらに、パソコンやタブレット端末、携帯電話等のモビリティソリューション事業も推進しています。
オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は、その名の通り車載機器とデバイス・産業機器を担うカンパニーです。カーナビやカーAV等のAIS (オートモーティブ・インフォテインメント・システム) を始め、ハイブリッド車用の電池等、付加価値の高い車載機器を提供しています。また産業機器では、電子部品・材料、半導体等のデバイスを提供し、一部B to Bソリューションの領域に関わっています。
2014年度につきましては、中期経営計画に基づいて事業構造改革をやり切った1年であったと位置づけています。各カンパニーにおいて営業利益5%以上を目標に掲げ、赤字事業の黒字化、固定費の削減等の努力を積み重ねてきた成果が、まっすぐ決算の数字に表れたものと考えています。
その意味で、2015年度以降が成長への真価が問われる時期であると言えます。今年度を「挑戦の第二幕」と位置づけ、持続的な成長に向け取り組みを加速していきます。中期経営計画が定める2018年度の売上高10兆円という目標に向けて、家電、住宅、車載、デバイス、B to Bソリューションの5つの事業領域にビジネスリソースを集中的に投下しています。市場としては、日本、欧・米、海外戦略地域 (アジア等の新興地域) に大別し、個別のマーケティングを推進していきます。
日本市場は既に事業成熟の見方もある中で、パナソニックは、住宅、車載、B to Bソリューション共に更に拡大していく計画です。
住宅分野ではリフォーム需要や介護機器の需要を引き続き深耕していきます。バリアフリー住宅など住まい方のニーズ多様化にお応えしていきながら、更に在宅介護やショートステイ付き介護施設の運営等、エイジフリー事業にも取り組み、サービス軸でも高齢社会のニーズにお応えしています。
また、車載事業では、インフォテインメント機器を統合した 「次世代コックピット」 や、車載用電池の提供を通じて、ティア1と言われる一次サプライヤー、更にはティア0.5の立ち位置を目指し、自動車メーカーと一体となって付加価値の高い製品を提供していきます。
前述の通り、5つの事業領域(家電、住宅、車載、デバイス、B to Bソリューション)と3つの地域(日本、欧・米、海外戦略地域)マトリクスの交点で、それぞれの事業戦略/地域戦略に基づきリソースを集中投下していきます。
家電事業では、海外戦略地域での商品展開を強力に推進し、アジア地域で高級ゾーンの製品投入を強化すると共に、中国及びアジア地域でのマーケティング拠点を拡充し、地域ニーズに密着して開発・製造・マーケティングの全プロセスを完結できる体制を整備していきます。また今後はアフリカ地域の家電需要の取り込みを目指し、チャネルの開拓を進めていきます。
車載事業では欧州の自動車メーカーに向けて、総力を挙げて需要開拓に取り組んでいます。また、米国・テスラモーターズ社と連携してネバダ州に建設を計画するギガファクトリー (大規模電池工場) 内にリチウムイオン電池の生産会社を設立し、大衆向け電気自動車用リチウムイオン電池の供給体制確立に向けて始動しています。
住宅事業では、トルコの配線器具メーカートップのヴィコ社を買収しました。既にアジア地域でシェアNo.1を確立する配線器具について、中東・アフリカ等の海外戦略地域へ販路拡大を目指していきます。また、中国の大連、天津で建設されたスマートシティにHEMS (Home Energy Management System) を供給した実績を活かし、マレーシア、シンガポール等ASEAN地域でもスマートシティ開発への本格的な参入を目指します。
私は1987年に当時の松下電工(株)に入社し、現在のエコソリューションズ社の住宅設備部門の前身である、住建事業本部の人事部門に配属されました。初任業務としては従業員の給与計算を担当し、一人ひとりの給与明細を作成する中から人事部門の仕事を少しずつ覚えていきました。
もともとグローバルな仕事がしたいという志向があり、希望を出して1995年に国際人事グループに異動しました。そしてその5年後には、米国のグループ企業に出向。約4年の駐在を終えて帰国してからは、国際人事部門で松下電工のグループ会社に共通の人事制度を構築し、それに沿って国内・海外子会社の人事制度をどのように最適化していくか、といった業務に取り組みました。
年功によらず業務の役割に対する報酬を明確にするジョブ・グレード制度を、当時の松下電器グループの中でいち早く導入し、これを海外にも展開するため米国、欧州、インドへも出張しました。
そして2012年の事業再編でエコソリューションズ社の人事グループ所属となり、現在はパナソニック本社の採用センター所長として新卒・中途採用計画の立案から実行、パナソニックグループ国内並びにグローバル各社の採用インフラの整備、採用ブランディング等に取り組んでいます。
ゴールが共有されていれば、仕事のやり方、アプローチの方法は本人に任せるカルチャーが根付いているように思います。
2004年に米国から帰任し、国際人事の仕事だけでなく、グループ会社としていかに人材力を高位平準化するかという課題解決にあたり、グループ会社共通の制度やインフラ整備に携わりました。ここではグループ横断の年金制度など、ズブの素人にここまでさせても良いのかと思うほど好きに進めさせてもらえたと感じています。自律考動という文字が語る通り、ゴールまでのプロセスを自ら考え、創意工夫が求められる。そんな動き方が求められるのです。
ただし、仕事を任される以上は責任を伴いますから、当然ながら誰しもある程度タフな局面に向き合わねばならないと思います。私自身、これまでに何度か 「これは相当な崖っぷちだな……」 と感じたことがありました。しかし、最後の最後に崖から落ちそうになると、決まって誰かが出てきて手を差し伸べてくれる、そんな社風であると思っています。
5つの事業領域で新たなステージで成長を目指す中、既存の人材だけではカバーし切れない技術分野やコーポレート部門の専門的な業務が発生しています。また、団塊世代のベテラン従業員の大量退職や、ここ数年は人材の採用を抑えながら事業構造改革を進めてきたといった側面もあり、全社のリソース配分をバランスする意味でも中途採用を強化していく計画です。
職種の一例をお話しすると、複数のカンパニーを横断して機械・機構設計エンジニアのニーズが高まっています。また、コーポレート部門では、法務、知財、M&Aやそれに関わる財務等を担う専門職のニーズも顕在化しています。
また、既に多くの中途入社の皆さんが、各カンパニー及びコーポレート部門の業務に取り組まれ、所属部門の同僚や先輩、上司から高く評価されています。
各カンパニーからは、地に足を着けてじっくり粘り強く物事に取り組むタイプ、といった人材要件が求められています。本社採用センターは、こうした従来からパナソニックが大切にしてきた基本的な人材の資質は重視しながらも、これからの新しいパナソニックを創っていく人材には、より変革するタイプ、革新に挑戦するタイプを求めたいと考えています。
周囲を巻き込む力が強い、自ら進んで 「出る杭」 になれる、主体的に案件やプロジェクトを動かせるといった人物像です。まとめると、「事実で考え、行動に移せる人材」。それが今、私たちが求めている人物像になると考えています。
また、カンパニーや部門によって求める経験や技術力は異なりますが、いずれも即戦力を求めていますので、さまざまな企業の現場で中核的な業務を担っている方をお迎えするケースが多くなっています。
繰り返しますが、パナソニックは今、「挑戦の第二幕」 を迎えています。
新しい成長ステージを一緒に担っていける方、パナソニックが掲げる “A Better Life, A Better World”、よりよい暮らし、よりよい世界を共に創っていける方を、私たちの仲間としてお迎えしたいと思っています。総合電機メーカーと言われる企業であっても、ここまで包括的に人々の 「暮らし」 の創造に取り組むことのできる企業である当社は、世界でも類を見ない存在であると考えます。
人事制度面からも、入社後のキャリアプランを支援する仕組みがいくつかあります。
例えば、1年に1回、ご自身のキャリアプランについて直属の上司と考えを共有する機会を持ち、その中で上司の理解を得ながら計画的に異動やローテーションのタイミングをアピールしていくことができます。
それ以外にも、一定の勤続年数を経た社員は、「Eチャレンジ制度」 という自己申告型の応募・異動制度が利用できます。社内のイントラネットに掲載される部門の人員募集に対して、希望者は現在の上司や人事部門を介さずに自由に応募でき、募集部門の面接を受けることができます。
更に 「Eアピールチャレンジ制度」 では、部門の人員募集がなくても誰でも自発的に希望部門への異動をアピールできます。こうした制度を整え、全ての社員に公正なキャリア形成の機会を提供しています。
したがって、中途入社の皆さんも、これまでのご経験を活かして頂きながら、パナソニックのビジネスリソースを活用し、長期的な視野でご自身のキャリアを発展させて頂けると思っています。
私はこれまで海外を含めて多様性に富む人材と接し、また面接する立場で若い皆さんとお話しする機会を数多く持ってきました。それ故に、一つの基準に固執したり、何らかの先入観を持つような人材の見方はしていないつもりです。
パナソニックに興味を持って下さった方とお会いするのぜひともを楽しみにしています。