三ヶ山氏:当行の前身は、1951年に設立された日本開発銀行と、1956年に設立された北海道開発公庫です。翌1957年には、北海道開発公庫は北海道と東北エリアの産業振興を支える北海道東北開発公庫に改組されています。
当時は終戦後の我が国の産業復興に向けて、長期的な資金供給が必要な時代でした。政府系金融機関として、民間金融機関を補完する役割を担い、エネルギーや鉄鋼、造船等、基幹産業の持続的な成長を支援するために、長期融資で資金を供給しました。
その後、時代の変遷に伴って、エネルギーの安定供給や国際競争力の強化、東日本大震災後には社会システムの復旧・復興のための資金供給等にも注力してきました。
そして1999年には、日本開発銀行と北海道東北開発公庫は特殊法人である日本政策投資銀行として一つになり、2008年には株式会社日本政策投資銀行(Development Bank of Japan Inc.:以下DBJ)が誕生しています。
川崎氏:前職の保険業界で運用業務に携わっていた当時から、DBJは民間の金融機関を補完する役割を担い、日本経済の発展と共に大きくなってきたという意味で、ユニークな金融機関だと思っていました。その後、働く場所として検討し調べていく中で、金融スキームに関して先駆的なことにチャレンジしてきた銀行であると知り、そこが転職する上で決め手になりました。
林氏:私の前職はエネルギー業界だったのですが、仕事でDBJの方と話す機会がありました。公共のインフラ整備に関する先進的な案件をDBJチームから紹介された際、チャレンジングな会社であることに驚きました。また、公益性のある事業に投資するスタンスも私にとって強く共感できるもので、転職を検討する過程でモチベーションが高まりました。
また、DBJは職員数が少なく、こぢんまりとした組織だなというのが入行後の実感です。その分コミュニケーションが活発で、先輩や上司等職位の異なるメンバーとも率直な意見交換ができると感じています。
三ヶ山氏:二人とも嬉しいことを言ってくれますね。職員数が少なく、一人ひとりの顔が見える組織であることは私自身も好きなところです。また、新しい試みを始めようとする職員の意思に対しても寛容な組織です。もちろん議論は重ねますが、最終的に挑戦を後押ししてくれる懐の深さがあり、そこがDBJの良さだと感じています。
三ヶ山氏:もともとDBJは、業界や個々の企業をよく見て、長期でリスクを取って様々なスキームの融資を提供してきました。これらは融資ではありますが、返済期間は非常に長期に亘るため、擬似的な資本出資とも言える性格を持っていたと思います。
その後、自然な流れで投資業務にも注力することができた背景はこの点にあると個人的には思っています。
直近の例で言えば、2020年に新型コロナウイルスの感染が拡大した際、飲食業や宿泊業等のサービス業界は軒並み苦境に立たされました。あの厳しい時期をメガバンクや地域の金融機関の融資だけで支えることは困難でした。
そこでDBJは、「新型コロナリバイバル成長基盤強化ファンド」を組成し、複数の金融機関と協力して必要資金の提供に取り組みました。2011年の「東日本大震災復興ファンド」も同様です。
川崎氏:世の中が直面している深刻な課題に対して、いち早く新しい金融スキームを作って提供した事例ですね。DBJには、そのようなクリエイティブな側面があり、新しい試みを追求するユニークさは、働く上で大きな魅力になっています。
林氏:私もそう思います。事業会社にいた頃には、想像もつかないような手法を含めて、様々な解決策を提示してくれるDBJはとても魅力的で、日本にとって頼もしい存在であると思いました。
三ヶ山氏:運用資産の規模に対して職員数が少ないため、例えば融資一つを挙げても職員一人が扱う予算は非常に大きく、この点は民間の金融機関や事業会社とは大きく異なる点です。
政府系金融機関として、国から任せて頂いている事業もあります。民間の金融機関を補完しながら協働する際にも、DBJがより大きいリスクを取って長期間に亘って取り組んでいくことになります。
川崎氏:実際、私たちのチームが手掛けるプロジェクトでも、数十億円規模の出資案件は珍しくありません。エネルギー・インフラを扱うユーティリティ企業や総合商社等と協働し、お互いに切磋琢磨して知恵を出し合いながらワンチームで推進していくような案件がとても多いです。
そのようなプロジェクトでは、人数は少なくてもDBJとしての専門性、オリジナリティを出していかなければなりません。常に自己研鑽を重ね、諸先輩を始めいろいろなステークホルダーから知恵を借り、レバレッジを利かせた価値ある提案を実現することが求められます。
三ヶ山氏:DBJは少所帯であるからこそ、プロジェクトにおける一人ひとりの責任は大きくなります。協働するステークホルダーに、「DBJだったら組みたい」と思って頂くには、私たちがDNAとして大切にしている中立性、長期性、パブリックマインド、そして信頼性が高いレベルで問われてくると思います。
三ヶ山氏:時代の変化の中で、社会に求められる「新しいこと」に挑戦するのがDBJらしさであり、私たちの存在意義だと考えています。
2008年には特殊法人から株式会社日本政策投資銀行となり、長期融資だけではなく投資にも注力し、プロジェクトファイナンス等の仕組み金融を始めとして、リスクマネーの供給に取り組みました。更には企業成長の選択肢としてのM&A、事業再生等のコンサルティング・アドバイザリーにも挑戦し、市場を創造してきました。
このようなDBJの新しい挑戦は、今後も継続して求められます。そこで新卒採用に加えてキャリア採用において金融経験者と第二新卒の人材を募集しています。直接金融から間接金融まで幅広い金融機関での経験とスキル、様々な業種業態の事業会社で培われた経験を活かして、DBJで新たなキャリアに挑戦して頂きたいと思っています。
三ヶ山氏:スキルや経験年数に関わらず、自律的に新しいことを学ぶ姿勢が必要になります。
先ほども触れましたが、DBJは組織の規模が比較的小さく、職員数は国内10支店・8事務所を合わせて1,261名です(2024年3月末時点)。基本的に少所帯のチームで新しい金融手法の仕組みを作ったり、多様なステークホルダーを取りまとめて新規ファンドの組成やリスクマネーの供給を行ったりしています。
そのようなビジネス環境ですから、一人ひとりには高い目標の達成を目指すストレッチが求められます。主体的に新しいことを学び続ける姿勢や、多様なステークホルダーと連携して取り組むことで、初めて成立する業務であると言えます。
社外の金融プレーヤーや事業会社と交渉を重ね、最適解へ導いていく仕事です。その意味ではメンタルタフネスを備えていることと、先導しながら関わる人を感化し、プロジェクトを推進するリーダーシップがとても重要になります。
川崎氏:金融経験者であっても、「この業務は初めて」ということも多く、そこは即戦力としての働き方が求められる部分もありますので多少のタフさは必要かもしれません(笑)。ただ、メンターの先輩の存在や、チーム全員で若手を育てようとする文化がありますから、キャリア入行を検討される方は必要以上に不安に思わなくても大丈夫だと思います。
林氏:DBJの成り立ちからも、日本社会や経済の持続的な発展や、非常時の危機対応に貢献することは重要な役割だと思います。ですので、シンプルに「日本に貢献したい」といった大義に共感できるかどうかも大切な資質なのではないでしょうか。
三ヶ山氏:「ゼネラリストを超えたスペシャリスト」を育てていくことが、DBJに一貫して受け継がれている人材開発ビジョンです。新卒採用もキャリア採用も基本的な育成方法は変わらず、若手のうちはジョブローテーションを通じて幅広く学んで頂きます。
ジョブ型に特化して狭く深くスキルを高めていくスタイルは敢えて採らずに、段階的に新しい業務に挑戦することを大切にしています。DBJのサービスメニューは融資・投資・アセットマネジメント・アドバイザリー等多岐にわたりますが、これは、一つのスキルセットだけで現代のお客様の多様な要望に応えるのは難しいからです。
いずれのソリューションを提供する場合でも、多くのステークホルダーをアレンジし、まとめていくことが求められます。このプロセスを実行する上では、単一領域の経験やスキルだけでは対応できないため、政府系金融機関としての総合的な知見が必要になってきます。
林氏:私は金融機関の出身ではないこともあり、会計の基礎から財務分析まで、約3カ月の新卒者向け研修プログラムを受講しました。とても分かりやすく丁寧な研修で、専門的には会計学を学んでこなかった私でも無理なくキャッチアップでき、その後スムーズに業務に入れたと思います。
川崎氏:働く場としてDBJを検討される候補者の中には、いわゆるプロダクト部門、例えばストラクチャードファイナンスを組成する機能を持つ部門の仕事に興味を持たれる方も多いと思います。
私自身も2部署目にストラクチャードファイナンスを経験できる部門への配属を希望し、配属以降に2カ月ほどその部署独自の専門的な研修プログラムを受講しました。その中では、契約書の読み方、ドキュメンテーションのコツ、仕組み金融特有のキャッシュフローモデルの分析・構築方法等も学びます。日常業務と並行した研修ではあるものの、その研修期間において基礎的な知識を習得することが可能ですので実務においても即座に活用することができ、結果として専門的な業務の幅が広がり、その先に新しい景色が見えてきました。
三ヶ山氏:一定の業務経験を積んだ若手人材は、グローバル人材の育成プログラムも受講可能です。英国のオックスフォード大学とスイスのビジネススクールIMD(International Institute for Management Development:国際経営開発研究所)と連携し、リーダーシップ育成プログラムを運営しています。
基本的に若手職員が参加でき、約1週間の現地での英語の講義やディスカッションプログラムに取り組みます。その前後に1カ月余りの準備期間とフォロー期間がそれぞれ設けられ、全体で約3カ月のコースになっています。
三ヶ山氏:誰もが培った知見やノウハウを進んで共有し、協力し合う文化を大切に育んできている組織だと思います。
業務においては若手に一定の裁量を持たせ、見守りながら任せることが多いですね。また、若手から優れた発案があれば、初めての取り組みであっても実現に向けて部署を超えて協力するのもDBJらしいところです。
林氏:私の場合、自分では気付かずに初歩的な質問をしてしまうことも多いと思いますが、皆さん単刀直入に答えて下さいます。それに加えて、「今回はAのやり方でいいけれど、BやCみたいなやり方もあるんだよ」といったように、進んで別の方法も教えて下さいます。有効な選択肢の引き出しがどんどん増えていくような感覚です。
川崎氏:私自身は社会人年次8年目となり調査役の役職に昇格し、現在は新卒1年目のOJTも担当させて頂いております。初めてのOJTで至らない部分も多いのですが、仕事の進め方としてOJT担当のみが直接のアドバイスを行うのではなく、年次に関わらず後輩が何かで困っていれば、チームの全員で知恵を出し合って実効性のある様々な解決策を検討するような雰囲気があります。私自身も転職してから、先輩方の様々なご指導のおかげですぐに業務を問題なく遂行できるようになりました。
三ヶ山氏:私のキャリアは、入行後ほぼ3分の1ずつ異なる部門に在籍した経験から形成されています。初めにRM(リレーションシップマネジメント:法人営業)部門、次に人事や経営企画等のコーポレート部門、そして投資部門の順に配属され、経験を積みました。
異なる部門での実務経験は、それぞれ関係していないようで、現在、執行役員として部門をまとめていく上でとても役立っていると感じています。
例えばDBJは現在、投資に注力していますが、投資先企業の経営者との対話においては、単に財務やファイナンスの話ができればいいという訳ではありません。どのような経営計画を策定すべきなのか、全国の拠点データを経営管理にどう活用すればいいのか、人材をどのように採用して育成するのか……。多様な領域の知見を融合したコミュニケーションが求められます。
お客様に提供するソリューションは、資本性の資金提供がベストかもしれませんし、M&Aを検討すべきなのかもしれません。いずれにせよ幅広いステークホルダーをまとめながらプロジェクトを推進する上では、ベースに複合的な経験があることで付加価値を生み出せると考えています。
このような意味で、キャリア入行の皆さんにとっても、「ゼネラリストを超えたスペシャリスト」を目指すDBJのキャリアパスは、重要な役割を果たせると思っています。
川崎氏:私は前述の保険会社で、投資部門に初期配属され、債券と為替の運用業務に3年余り携わっていました。
運用も専門的で非常に奥深い業務であったものの、当時は、営業経験などを通じて獲得できるような人対人の繋がりにも重きを置いた仕事への志向が高まっていました。DBJであれば、信頼関係の構築に加えて、規模の大きな案件を任せてもらえる土壌があるのではと考えました。
DBJ入行後、最初は企業金融第1部に配属され、製造業を中心に極めて幅広い業種業態の事業会社のお客様を担当しました。
その後、現在の企業金融第5部に移りました。ストラクチャードファイナンスの組成機能を持ちつつ、エネルギー・インフラ業界を担当する部門です。
現在は、北米の現地パートナー企業とコンソーシアムを組み設立した太陽光発電や蓄電池等を投資対象とした再生可能エネルギーファンド業務に携わっております。当該ファンドにはDBJグループの機能も活用しながら、海外の再生エネルギー投資に関心が高い様々な業種の日系企業にも参画頂くことにより、海外展開のご支援もさせて頂いております。
これら大型の海外案件に携わる中で痛感するのは、これまでDBJの諸先輩が築いてきた信頼関係が高く評価されていることです。「DBJさんとならパートナーを組んでもいい」と言って下さるお客様が非常に多いことに驚きました。
実務上は交渉に難航する局面も数多くありますが、幅広いステークホルダーに期待されるDBJの一員である以上、脱炭素社会の実現に向けて真摯に取り組まなければ、という覚悟で乗り越えています。
林氏:私が転職を考えるようになった一つのきっかけは、前職のエネルギー業界の事業会社で、資金面がプロジェクト検討における大きなハードルとなる経験をしたことでした。
事業会社1社でできることは限られていますが、DBJであればいろいろな事業会社をファイナンスの仕組みで支援することができます。このような仕事を通じて、日本全体にポジティブな影響を与えられるのでは? と思ったのです。
現在、入行して1年半ほどになり、企業金融第3部で主に小売と食品業界の企業を担当しています。私は金融業界未経験ですので、まずはベーシックな長期融資の案件を中心に経験を積んでいくのかな、と考えていました。ところが実際には、農業系スタートアップ企業への出資や、ファンドの共同設立の検討等、予想以上に幅広く刺激的なプロジェクトに携わっています。
そもそも私にとっては、ソリューションが多様であること自体が面白く、わくわくする環境です。プロダクト組成部門のスペシャリストの先輩方の知見を日々吸収しながら、お客様の要望やご希望にマッチするご提案に繋げることに大きなやりがいを感じています。
引き続き専門的なスキル・ノウハウを習得しながら、複雑化・多様化する事業会社の要望にきめ細かく応えられるプロフェッショナルを目指したいと思っています。
三ヶ山氏:私たちDBJが大切にしている価値観は、挑戦(Initiative)と誠実(Integrity)です。
挑戦に「Initiative」という英語を充てているのは、金融のフロンティアを切り拓き、様々なステークホルダーと協働する形でプロジェクトを推進する際、イニシアティブを取って先導する立場で挑戦していこうという意志を込めています。
今、企業を取り巻く環境は大きく変わっています。GX(グリーン・トランスフォーメーション)への取り組み、地政学的リスクを考慮したグローバル・バリューチェーンの強靱化、イノベーションやAI活用の推進等、様々な企業活動が変革期にあります。
これから何が必要なのかを一人ひとりが誠実に考えて挑戦することが重要であり、DBJはそのような人材に長期的なスタンスで投資する懐の深さがある組織です。幅広い経験を活かせるフィールドとプロフェッショナルとして成長するチャンスがあります。この唯一無二の環境を楽しみながら、果敢にチャレンジして頂ける方々との対話を楽しみにしています。