弊社のルーツは、1946年にエコノミストの高橋 亀吉が設立した「財団法人 日本経済研究所」になります。
戦後、政府は急を要する課題への対応に追われていました。産業の復興や国民生活の向上等、根本的な問題に対処するには、民間サイドが長期的な視野で調査研究に取り組むべきとの目的意識から発足した組織です。
最初の大きな組織変更は1981年でした。当時の日本開発銀行 (現在の日本政策投資銀行、以下DBJ) が中心となり、広く経済界から出捐を募って財団法人の組織体制を一新。そして、DBJと密に連携しながら社会資本整備や地域振興といった分野の調査に取り組みました。
2回目の大きな組織変更として、2009年には財団法人 日本経済研究所より、機動的に動ける株式会社日本経済研究所に受託調査及びコンサルティング事業を継承し、現在に至っています。
尚、一般財団法人 日本経済研究所は、現在も公益性の高い調査研究を主体に事業を継続し、弊社と密接に連携しています。
総合シンクタンクである弊社は、「課題解決の架け橋となり、持続可能な社会の実現に貢献します」という理念を経営におけるミッションとしています。
具体的なソリューションとして、地域創生、まちづくり、インフラ、エネルギー、新産業等、幅広い分野で調査研究およびコンサルティングサービスを提供しています。
また、政府系金融機関であるDBJのグループ会社として、4つのDNAである「長期性、中立性、パブリックマインド、信頼性」を大切にしています。中立的な立場で、公益性、つまり「何が社会のためになるのか」を長期的な視野で徹底的に考え抜くカルチャーが根付いています。
そうだと思います。言い方を変えると、課題解決に真摯に向き合い、長期的に取り組む伴走型のサービスを提供する中では、クライアントに対して耳障りな厳しい提言も行っています。
例えば、地方自治体へのコンサルティングにおいて、あるテーマの地域振興施策について分析・検証した結果、将来的にも事業性が見込めなければ、その旨を率直に指摘し、軌道修正への具体策を提言します。このような姿勢に、顧客からは「安心して協働できます」との評価を頂戴しています。
また、中央省庁や地方自治体、大企業から地域の中堅中小企業、学界のキーパーソンや有識者、他の調査機関等に、幅広く人的なネットワークを確立している点も強みとなっています。
個々のプロジェクトニーズに応じて、これらの良好なネットワークをフルに活用しています。また、常日頃から人対人の信頼関係を通じて多様な情報共有や相談がもたらされ、最新の知見を学び、組織として鍛えられている側面も多分にあります。
PPP/PFIの分野では、中央省庁や地方自治体のクライアントから高いご評価を頂き、業界内でも相応のポジショニングを確立していると思います。
PPPはパブリック・プライベート・パートナーシップ、PFIはプライベート・ファイナンス・イニシアティブの略称で、どちらも官民連携の資金調達/事業化の手法です。
日本でPFI法が施行された1999年以前から、弊社はこの分野に先駆的に取り組んできた実績があります。導入可能性調査から事業者選定等の総合的な助言、事業化後のモニタリングまで、中立的且つ親身に寄り添う専門的支援を提供してきました。
このため社内にナレッジが豊富に蓄積され、官民連携のプロフェッショナル人材も数多く在籍。クライアントごとに異なる課題の解決に役立つ総合的な助言、最適なストラクチャー設計が可能となっています。
PPPやPFI等の手法は現在、全国の様々な地域でインフラの整備・強化や老朽化した公共施設の再編、地域振興事業等に活用されるようになっています。当社は幅広い分野のPPP/PFIに携わっていますが、特に空港、上下水道やガス等のインフラ、学校、スポーツ施設を始めとする文教施設、庁舎等のアドバイザーを数多く手掛けています。
基本的にいずれの地方自治体も人口が減少し、少子高齢化が進んでいます。今後、どのように地域を活性化していくのかという共通の課題がある中で、地域の特徴を活かした魅力ある地域づくりの核となる施設や事業が模索されているのです。
地域毎の課題に応じたこれらの取り組みにおいて、弊社はPPP/PFIを用いて民間の資金や運営ノウハウを活かす数多くのプロジェクトを手掛けています。また、より上流から官民連携を推進する制度設計の支援にも取り組み、中央省庁に対しても様々な調査やアドバイスを提供しています。
弊社の調査・コンサルティング部門には、国や地方自治体の課題解決のパートナーである公共デザイン本部、民間企業のクライアントが多い産業戦略本部、M&A支援を中心とするコーポレートアドバイザリー本部があります。
全ての部門にキャリア採用のニーズがあり、継続的な採用活動を実施しています。官民にまたがるクライアントでコンサルティングや調査に対する需要が高まっているからです。また、DBJ及びDBJグループ各社からも弊社のソリューションが求められています。
いずれも専門性が求められる業務ですが、必ずしも調査・コンサルティング業界から転職される人材が多い訳ではありません。弊社では、専門性だけに捉われない幅広い知見の統合を重視しており、異業種出身者ならではの視点で提案力を高めている側面もあります。
これまでに、製造業を始め幅広い業種業態の事業会社、金融機関、地方自治体等、多様なバックグラウンドをお持ちの方々が、それぞれ培った実務経験を活かして活躍しています。
弊社では長期的な視野で取り組むプロジェクトを通じて、段階的に成長してもらえるOJT(オンザジョブトレーニング)を実施しています。基本的に3人から5人でチームを編成し、新人はベテランから中堅で構成されるチームメンバーに学びながら実務に取り組みます。
例えばPFIの場合、導入可能性調査に始まり、民間事業者の選定、工事の開始というプロセスを経て案件が推移します。そして実際に事業がスタートすれば、20年もの期間に亘ってモニタリングを継続することもあります。
このように長期に及ぶプロジェクトでは、各フェーズごとにチームを組み直します。従って若手メンバーは、平均すれば半年から1年程度のプロジェクトを同時並行で経験しながら学んでいくことになります。必要に応じてチームでテーマを定め、勉強会を開くこともあります。
官民をまたぐ複雑な課題の本質を正確につかみ、真に実効性のある提案に繋げなければなりません。そのためには、チーム内で議論を尽くし、複数の視点で考え抜く必要があります。
社内の複数部門を横断してメンバーを集めたり、場合によってはDBJのメンバーを含めてワンチームで臨んだりすることも珍しくありません。いずれにしても弊社には、研究員・コンサルタントが自分の専門的知見を抱え込まず、より良い提案のために惜しみなく開示し、共有するカルチャーが根付いています。
社内にも知見共有のための情報掲示板があります。誰かが「こういう案件に着手しました!」と発信すると、複数の社員が次々に参考になるアイデアや事例、その分野のキーパーソン等の情報を書き込みます。
有効なノウハウやネットワークを独り占めせず、全社で活用しようとする傾向が非常に強い組織であると思います。
「プレゼンテーション資料作成研修」や「話し方研修」等、全社共通で必要とされる基本スキルの研修プログラムを用意しています。
また、部門別には、公共分野ではPFIや経済波及効果分析等の勉強会、産業分野では、経営・会計、データの取り扱い方等の勉強会を開催しており、各分野で必要とされる基礎知識・基礎スキルを学ぶことができます。
さらにDBJグループが提供する専門講座の受講や、知識・スキル習得に対する当社の補助制度で自己研鑽を積むことも可能です。
チームでのOJTと個別の研修・勉強会、外部講座等を活用することによって、コンサルティングや調査業務について未経験で入社した人材も、平均すると3年ほどでプロフェッショナルとしてのスタートラインに立っています。
人材に求めたいコンピテンシーは3つあります。それは「論理的な思考能力」「コミュニケーション能力」「開拓力」です。
論理的な思考能力とは、情報が溢れる中で必要な情報を的確に整理・分析し、筋道を立てて自分の考えを明確化する能力です。クライアントが直面する課題の難易度が高まっている中で、ディスカッションを重ねて考え抜き、有効な解決策を導き出さなければなりません。
コミュニケーション能力も非常に重視しています。相手の立場に立って思いやりを持った対応ができることと、そこから「クライアントの真意は何か」を汲み取る力がとても重要です。長期に亘るプロジェクトにおいて、関係する方々と継続して協働できる信頼関係を構築することも求められます。
開拓力というのは、専門領域だけに閉じこもることなく視野を広く持ち、常に世の中の動向にアンテナを張る能力です。固定観念にとらわれずに変化に柔軟に対応できるマインドとも言えるでしょう。私たちの仕事にはプロフェッショナルとしての「こだわり」が必要です。しかし、こだわりが強過ぎて「私の仕事の範囲はここだけです」といったスタンスになると、伸び代が限られると考えています。
官民連携のPFIプロジェクトを例に取ると、そもそもその地域にどのような課題があり、地方自治体が何を求めているのかを正しく把握することが出発点になります。ここでボタンを掛け違えてしまうと、PFI導入の可能性調査が適正に機能しなくなります。
その後、例えば「市民の健康づくり、スポーツ振興に加えて、交流人口の拡大に繋がるアリーナを作ろう」等の地域創生事業の方向性が見えてくれば、弊社はこれまでに手掛けてきたPFIの豊富な蓄積を活用できます。弊社の研究員・コンサルタントは、公共側と民間側の橋渡し役として、施設を運営する民間事業者に共通する想い等をクライアントである公共側に伝えています。同時に、民間事業者が参加したくなる地域創生プロジェクトに仕上げるべく、PFIのストラクチャーを作り込んでいきます。
事業がスタートした後も、継続的にモニタリングし、民間事業者のパフォーマンスが業務要求水準を達成し、PFI導入にあたって期待された効果が発揮されているかをチェックしていきます。
基本的に弊社の研究員・コンサルタントは、物事を深く探求する仕事が好きですし、クライアントと対話するのが好きだと思います。
更に、自分が取り組んだ仕事が地域課題の解決という具体的な成果に結びつきます。地域に新しい施設が開業すれば、自らもそのオープニングセレモニーに出席します。利用者の方々が実際に施設を訪れ、賑わっている状況に接することもできます。
自分たちが議論を重ね、考え抜いたプロジェクトが実際にカタチになり、地域の役に立っている。この実感が得られることは、とても大きなやりがいに繋がっていると思います。
1997年にDBJの前身である日本開発銀行に入行し、同行で幅広い業務を経験しました。
営業部門でエネルギー・航空・製造業等のお客様を担当し、投資部門ではプロジェクトファイナンスの組成に取り組みました。コーポレート部門では人事や経営企画に携わり、企業再生部門で対象となる事業会社に出向して経営改善に取り組んだこともあります。また、20代の頃には財務省に出向し、マクロ経済調査や産業調査を担当していました。
これらのトータルな経験が、今弊社の経営に携わる中で、個々の研究員・コンサルタントの専門性を伸ばす取り組みや、総合的な組織力の強化を目指す上で役立っていると感じます。
弊社のような調査研究機関では、基本的に部門間の異動が少なく、研究員・コンサルタントは担当する領域の知見を積み上げていけます。その反面、属人的な暗黙知が溜まっていく傾向があり、これを如何に形式知化して、組織に浸透させられるかが非常に大事だと思っています。
会社が発展するためには、調査やコンサルティング等の業務の基礎的な部分の品質を、組織としてどこまで担保できるかがカギを握っているからです。様々な研究事業も含め組織にこのような基礎力がないと、新しいことを始めてもなかなか続きません。そのためには、専門的なスキル・ノウハウを属人化させ過ぎず、組織全体で集合知として活用できるようにすることが重要です。
並行して、引き続き人材育成の仕組みを整え、確かな組織力の上に新しい業務を乗せてソリューションの幅を広げていき、会社の安定成長に繋げたいと考えています。
弊社の全社員の男女比率は半々くらいで、役員に限って言えば半数以上が女性です。もともと1981年に組織体制を一新して再スタートした時期から、積極的に女性を採用してきた経緯があります。
男女を問わず育児休業や介護休業等の制度利用率は高く、また多くの社員が在宅勤務を活用しています。社員が制度をうまく使いながら仕事とプライベートの両立を図っています。
チーム編成でプロジェクトに臨む業務体制であることも、メンバーそれぞれの公私の事情を柔軟にフォローし合うことができ、働きやすさに繋がっているかもしれないですね。女性活躍推進という意味では、社内に役員や管理職を含む数多くのロールモデルとなる方が多様なスタイルで働いている環境があり、プラスの影響を及ぼしていると思います。
インフラ・産業・地域を重点領域とするDBJグループ全体のマテリアリティ(重要課題)として、脱炭素社会への移行、新産業の創出、人口減少対応等に社会実装を含めて取り組んでいくことを掲げています。
いずれも難しい課題であり、その解決には長期的な取り組みが求められます。このような課題により良いソリューションを提供するため、今後も私たち一人ひとりが議論を重ねて知恵を出し合っていこうと思っています。
持続可能な社会の実現に貢献するという弊社のミッションを実現するためにも、若い世代の社員が明るい未来をイメージできることが大切だと思います。魅力ある社会づくり、地域づくりに取り組んでみたいという高い志を持った人材と、弊社でお会いできます日を楽しみにしています。