「片手キーボード」の話。
「片手キーボード」つまり“ケータイ”のこと。
先日、携帯サービス開発を手掛けるベンチャー企業の社長と、
お打合せした時の話。
現在展開中のサービスが、ユーザー数100万人を突破し、
いよいよ来年はアジアへ事業展開するという。
欧米での展開はされないのですか?との問いに
「しないね。」とのご回答。
理由は、携帯の使い方が違うというのだ。
アジアは日本同様、“ケータイ”を片手に、
電話もメールも行うのが一般的な使用方法であるが、
一方、欧米では、携帯はPC通信の補完をする位置付けで、
メールやその他機能を使う用途はマッチしないとのこと。
また、コンテンツ会社とは異なり、
機能説明部分のみ翻訳してあげれば、すぐに安価で展開できる為、
成功した姿をイメージし易く、
また、その程度の改良で事業参入できる為、
失敗したとしてもリスクは少ない。
従来、日本の携帯コンテンツ会社が欧米に進出して失敗してきたのは
文化の差異によるコンテンツの中味の問題と考えられてきたようだが、
実はそもそもの“ケータイ”の使用方法の違いによるところが大きいのではないかとも分析。
なるほど〜、とつい唸ってしまった。
元々、同社長は、ゲーム・アニメに詳しく、
ご自身がファウンダーとして設立した会社の内、少なくとも2社が上場しているという
恐ろしいほど運とセンスの良い方。
ゲーム、アニメの世界では、最初から日本発で、世界一になることが大前提だという。
まるで、日本の国技、柔道みたいな感じだ。
同様に、この“ケータイ”の分野は、日本が世界的にも進んでいる。
だから、コンテンツでも勝負できるはず。
そう心の底から思っている社長の下で、開発されたサービスが
まずアジアを皮切りに世界進出するのも、もう時間の問題だ。
日本が勝てるのは、「片手キーボード」の領域なのかもしれない。