日本の製造業の雄を自他共に任じて来た新日本製鐵(株)。
過去何度も鉄冷えの時代が続いても、日本国内の室蘭や釜石の高炉の火を守り、
とことん日本の雇用維持にこだわり続けた雇用擁護派企業の中のご本尊。
その新日鉄さんも、いよいよ、インドに進出する事を発表。
この円高に耐えられないのか?
はたまた、インドというブルーオーシャン市場を積極的に押えたいのか?
その真意は測りかねる。
いずれにしても、国内の雇用維持の最後の砦が崩れた様で、
今後、益々日本人の雇用の場が、国境を越え、海を超えて、海外にいってしまう趨勢は変わらない。
たまたま、縁あって、2〜3年前
新日鉄の君津製鉄所をまる半日かけて見学させて頂いた事がある。
外見的には、何ヘクタールもある広大な敷地に、
高炉の塔が立っているだけに映るが、
説明を聞くに付け、正に、ハイテクと最新技術と
コンピューター制御の魂と呼ぶに相応しいインフラ産業。
技(わざ)とノウハウの結晶。
構内には、地上&地下を問わず、
鉄鋼石とか原料炭等の原料や中間製品や完成品を貸車で運搬する鉄道の軌道が
縦横無尽に敷き詰められている。
なんとその線路の総延長は、約70kmにも及ぶと。
例えるならば、東京と箱根の距離に相当する。
つまり、本格的に高炉を建設するとは、1基、1兆円以上も要する爆大な投資。
それが、日本では無く、インドに投下され、それ以降も、彼の地でのみ雇用を生み続けることになる。
日本にさえ住んでいれば、
食いっぱぐれは無い、職にあぶれる事は無い、と公言出来たのは、
過去の一時期の話になってしまわない様、願うばかりである。