普段、我々一般人は、あまり目にすることはないが、広い海の上を様々な荷物が、船で運ばれている。
原油や石油は、タンカーで、鉄鉱石や石炭は、バラ積み船で、消費財は、コンテナー船、人間は、言わずと知れた客船、そして、自動車は、自動車専用船に積み込まれる光景が、時折ニュースでも放映される。
陸上に置き換えると、液体はタンクローリー、砂利を積んだダンプカー、コンテナーは、トレーラーで牽引されたり、貨物列車にも積まれるし、人間は、バスやタクシーで、自動車は、固定されて専用のトレーラーに乗せられている姿を目にする。
この様に見てみると、物流も交通も実に上手い具合に社会システムとして、機能している。
先日、海運会社の取締役から教えて頂いたのは、
近年従来とは異なる概念から生まれる荷物が増えており、しかもとても巨大な荷物であると。
興味津々で尋ねてみると、建築物や鋼鉄製の構造物を岸壁からスライドさせ、そのまま、船に積み込んで運ぶという壮大なプロジェクト。
具体的には、海外の石油掘削現場で使用するプラントや原油を精製する化学コンビナートの設備を、積載可能な限り、事前に国内で組み立ててしまい、現地での工事を極少化するのが目的だと。
その方が、海外の目的地で、技能工や職人さん達を集め、指揮し、施工するよりも、現場毎の条件が日本と大きく違う為、コストも納期も品質も担保し易いという明解な理由。ナルホド。
つまり、この様な巨大なプラントやその部分が、重量物専用船で、海を渡ってゆくのである。このやり方なら、日本国内の雇用や技術力は空洞化しないし、逆に、1案件毎のノウハウの蓄積で更なる高度化が期待出来る。
日本の産業の隠れた底力、まだまだ捨てたものでない。