前述の各項目について十分な情報が盛り込まれていれば、採用を担当しているプロの人事の方ならば、職務経歴書に目を通すことで、あなたが先方の会社で仕事ができる人間かどうかはほぼ判断がつきます。しかし、先方が知りたい情報でもうひとつ大きな項目として、あなたのお人柄があります。欲を言えば、それも職務経歴書上に盛り込むようにしたいものです。勿論、こればかりは実際に会ってみなければなんとも言いようがありませんが、どういう場合にどんな行動を取る人なのか、もしくはある事態が起きた時にどのように感じる人なのかといったことを事前にお伝えしておくことは、先方の面接に対する期待感を高めると同時に、限られた面接の時間をより密度濃くする為に重要です。
例えば、『日経新聞』の最後のページに連載されている「私の履歴書」のイメージです。分量は別として、あのような内容が盛り込まれていると、まだ会ったことはなくても、どんなタイプの方なのか随分伝わると思います。あなたが、最も一生懸命に取り組んだ仕事上のトピックスを1つか2つ、あるいは残念ながら失敗してしまったトピックス等をできるだけ具体的なエピソードとして盛り込むといいでしょう。そして、成功した・失敗したの結果のみではなく、そのプロセスを通してあなたがどのように感じたか、あるいは次に向けてどんなことを学んだり気付いたのかということを正直にあなたの言葉で書くのです。
実は、このような作業には2つの大きな意味があります。ひとつは言うまでもなく応募企業に提出する職務経歴書を作成するということ。もうひとつは、今までのビジネス人生の棚卸しをして、あなた自身の頭の中を整理することです。これによって、面接の際にたとえ予想外の質問を受けたとしても、芯のぶれない受け答えが借り物でない自分の言葉で自信を持ってできるはずです。
我々の所にご相談にお見えになる方と話をして強く感じるのは、表面的なスキルの項目の整理に関してはそこそこおやりになっていても、もっと本質的な、どんな仕事をしたいのか(キャリア・プラン)、どんな人生を歩みたいのか(ライフ・プラン)、という点に関しては、想像以上に整理が付いていないことが多いようです。ですから、上記のような観点で、再度経歴の棚卸をしながら、ご自分の半生を振り返る機会を持つことを是非ともお勧めしたいと思います。