不動産鑑定士、銀行から事業会社へ

不動産鑑定士、銀行から事業会社へ

No.10
  • 現職

    一部上場 流通企業 店舗企画部

  • 前職

    地方銀行勤務 不動産鑑定士

島田  誠 氏 35歳 / 男性

学歴:

<私の転職について>

私は理系学部の大学を卒業後,ある地方銀行に勤めておりました。平成5年ごろ、東京近郊の営業店に配属され,融資業務を担当していたのですが,当時は不動産を担保とした融資が中心で、不動産の専門知識の必要性を痛感しました。そこで仕事をしながら勉強をし,不動産鑑定士2次試験に合格したのですが、銀行では専門知識を存分に生かして仕事の出来る機会は多くないだろうと考え,より充実できる場を銀行以外に,新たに求めるため、転職を考えるようになりました。
・・・というのは「余所行き」の答えで、本音をいえば転職を考えたのは、銀行というものが面白くなかったからの一言に尽きます。具体的な内容を述べることはできませんが、自分にとっては,納得できないところが山ほどありました。今から考えれば未熟の至りですが、資格をとろうと思ったのは、合理性を追求する、という不動産鑑定業務に可能性を見出し、銀行の中で少しでも「まとも」な仕事がしたい、との願いからでした。
不動産鑑定士の資格をとっても,何も現実は変わりませんでした。自己啓発を薦め、資格取得などを奨励していても,銀行は、実際にはどこまでも「銀行」でした。それならば、自分が動いて、自分の環境を変えるしかない。しかし、そこそこの厚い待遇のなか、一歩を踏み出せない。煮え切らない日々が続きました。
堂堂巡りの日々の中、本気で転職を考えるきっかけとなったのは、あるビジネス誌の転職特集でした。「35歳が転職の分水嶺」「能力もない、自助努力もしない人に未来はない」30を過ぎていた自分は背中をどやしつけられた思いがしました。「とにかく動いてみよう、動けば何かがわかるかも知れない,変わるかも知れない」その雑誌の特集のなかで、丁寧なカウンセリングを行うとアピールされていた転職支援会社「(株)エリートネットワーク」にすぐ連絡をとり、面談のお約束をいただきました。
そのころは不動産コンサルティング会社や、外資系証券会社などで専門知識を生かした仕事につき、キャリアを高められればよい。そんな夢を抱いていました。しかし、カウンセリングを受け,自分の現実認識の甘さを思い知らされました。不動産鑑定士の資格があるだけで実務経験もないのに,プロフェッショナルな仕事が出来る訳がない。これまで中途半端な社会人生活をおくってきた自分は一から出直ししかない、そう思ったときに出てきた答えは「自分が、真に納得できる場所を探せ!」でした。これまでの自分、現実を踏まえ、自分が「無理なく納得して努力できる」、そういう場所、そう思える会社を見つけることが、私の目標になりました。

(株)エリートネットワークさんには、会社を二つ紹介いただきました。
一つ目は、日本でも最も優秀といわれるプロパティ・マネジメント(不動産投資,運用管理)の会社でした。立派で、とても魅力のある会社でしたし、先方も私の職歴、資格や努力する姿勢を評価していただいていた、と聞いておりますが、面接では自分を率直に表現することが出来ず、不採用に終わりました。実務上で最も重要なコミュニケーションの能力に疑問を感じられたのだと思います。私自身、残念では有りましたが、面接していただいたことはよい経験になったと思っています。それに、言い方はよくありませんが、ここで不採用になったことも、自分の人生にとっては大きな意味で現在に続く運命だと思っています。
2つめにご紹介いただいた会社が、本当に私の人生、運命を変えました。そこは、地方発の、社長の合理的経営で広く社会に知られる一部上場の急成長企業でした。店舗開発系の業務で、不動産関連の経験者の募集があり、紹介をいただけました。実は、私はこの会社に5年程前から深く興味を抱いておりました。あるビジネス誌の特集と社長インタビューの記事で初めて知ったのですが、インタビューからは、社長の、経験を尊び、合理的な思考を行い、経営する姿勢が読み取れ、他の一般企業とは明らかに異なるものを感じ、深く感銘を受け、早速最寄の店舗をいち顧客として訪ねたことを今でも覚えています。
最初、紹介をいただいたとき、この会社では高度に習熟した経験者しか採用されないため、採用の可能性は高くないことを告げられました。しかし、面接で一番意識したのは、たとえ採用の可能性が低くとも、自分を優秀に見せようとしたりせず、「率直に自分の本音を伝え、自分の性格が先方に伝わるように、ありのままの自分を表現しよう」ということでした。自分を飾り偽って、仮に採用されても、結局はその職場と自分の「ずれ」に苦しむに違いない。自分の居場所を求める最後の機会と定め、後悔しないために出した結論でした。面接では、知識をいたずらにひけらかしたり、自己満足の演説をぶったりすることなく、率直に自分を出すことが出来たと思っています。それが評価されたのか、無事採用いただくことが出来ました。
現在の自分の仕事は、新規出店の際の契約書確認業務、全国の駐車場の契約等の交渉、管理等です。いずれは、鑑定業務の手順における不動産の分析手法を応用するなどして、出店予定地の分析なども担当したいと考えています。自分の性分、柄にあった居場所を求めるのが、一番無理がなくてよいのではないかと思っています。その意味で、今の会社に採用いただけたのは、幸運なことだと思います。
(株)エリートネットワークさんには、本当によい会社をご紹介いただきました。感謝しております。この文章をお読みいただいている方は、何らかの理由で、新しい職場を得ようとお考えの方だと思います。中には、現状のご自分や環境に満足できないが、明確には目標の定まっていない、かつての私と同じような方もいらっしゃるかと思います。その方々にお願いがあります。自分のことを棚に上げた、思い上がった言い方ですが、是非、現在の居場所がご自分にとって本当に納得のいく場所かどうか、人生の最後に後悔しないですむ場所か、自分に問い掛けてみてください。きっと、ご自分の人生に対する目標を探すきっかけになると思います。

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