税理士の転職活動。会計士事務所から大手メーカーへ。

税理士の転職活動。会計士事務所から大手メーカーへ。

No.168
  • 現職

    東証一部上場
    株式会社ブリヂストン 経理部

  • 前職

    会計士事務所 税理士兼経営コンサルタント職

結城 義明 氏 28歳 / 男性

学歴:慶應義塾大学 経済学部卒
早稲田大学大学院 経済研究科卒 
税理士

私が前職の会計事務所から転職活動をすることになったきっかけは、会計業界の今後を考えてのことでした。

現在の会計業界は、税理士・会計士とも人数が年々増加しており、独立開業することが年を追うごとに困難な状況になっていました。私は、24歳で税理士の資格を取得し、前職の会計事務所では、営業マンとしてコンサルティング営業を行い、新規の顧客も獲得して参りました。営業活動を4年間行う中で、私はそのような現状を痛感しました。そこで、28歳で、今後は専門家として培った能力を独立した専門家としてではなく、企業内で発揮していこうと考え、転職活動を行うことにしました。

(株)エリートネットワークは、知人から「正社員専門の、質の高い紹介会社がある。」と教えてもらい、早速ホームページを見てみました。ホームページには、転職に関して、小手先の話ではなく、転職に関しての基本的な心得、例えば、「転職して働く際に何より重要なのは、転職先企業と本人の相性である。」「転職をするべきかどうか、まずはリスクも考えるべきである。」といった本質論が書いてあり、また、既に転職した方の体験記なども拝見して、「これはただの紹介会社ではない。」と分かりました。以前他の紹介会社でもカウンセリングを受けていたのですが、その時はこれといった気づきは得られませんでしたので、大いに期待してカウンセリングを受けることにしました。

第1回のカウンセリングを受ける前に私が行ったのは、前職の仕事の棚卸でした。4年間、毎年どのような仕事を行ったのか、どのような苦労をして、どのような成果・気づきを得たのか、仕事と平行してプライベートでは何か自分にとって大きな影響を及ぼすような出来事はあったか、といったことをすべて思いつく限りまとめた上で、カウンセリングを受けました。公私共に、自分がどういった価値観を持ってどのように働いてきた人間なのか、これらを一旦総括しなくては、転職を考える上で最良の成果を出せないだろうと考えたからです。また、同時に、転職活動に際して、自分が不安に思っている点、疑問に思っている点も残さずまとめました。

第1回のカウンセリングからご担当頂いたカウンセラーの高橋さんに聞かれたことは、「今回の転職で、あなたが譲れない点は、何ですか。」ということでした。私の場合は、特に業種等でこれといったこだわりは無かったので、「誰でも知っている、いわゆる有名企業に行きたい。」ということでした。あとは、会計事務所の頃は修行ということで給料が安かったので、「今以上の給料がいい。」という点でした。私は父が3年前に他界しており兄が外国暮らしで、母と二人暮らしであったので、多少は将来の地方転勤や海外勤務への懸念もあったのですが、「特にメーカー等では、地方勤務・海外勤務は全く厭わず、でないと無理です。」とアドバイス頂いたので、そのような迷いは完全に捨てました。
また、前職の仕事の棚卸をしたものを説明した所、カウンセラーの高橋さんからは、「自分が前面に立ってリーダーシップを発揮する仕事をしてきた様なので、もしいわゆる有名企業に転職するとなると、また再度ヒラの社員としてイチから出直す、という気持ちで臨んで下さい。」とアドバイスを頂きました。カウンセラーの高橋さんからは、私の希望する企業として3社と、私の今までのキャリアを踏まえて、その延長上として即リーダーシップを発揮することを期待される優良企業を約10社、紹介して頂きました。

私が今回の転職活動中認識したのは、「前職の会計事務所で強化してきた自分自身のリーダーシップを、巨大企業に転職するに際して、良い意味で改良しなければならない。」ということでした。その傾向は、就職試験のために行ったSPI対策でも、性格診断で出ていました。「今までのポジションと転職後のポジションに求められるものは全く異なるので、イチからの出発が必要になる。」という認識を持って転職活動を行ったのは、大変有意義だったと思います。
また、もう一つカウンセラーの高橋さんから指摘された点として気づかされたのは、「この様な事は、わざわざ自分の方から言ったら損なのではないか。」と感じられる質問をされた際には、「誰しも過去は変えられないのです。あなたが相手に有りのままを話さないままでその会社にもし入れても、入社後に不幸になるだけです。」と言って頂いた時です。やはり、転職活動では、「面接をうまく通過しよう。」などと考えない方が良いと思いました。
本当に相性が合う会社とは、自分の有りのままをしっかり話しても、なおかつ話も盛り上がるものです。「ここはこの様に切り抜けよう。」などと考えると、良い結果にはならないと思いました。また、面接においてご指摘頂き意識したのは、「あなたは28歳で若い訳ですから、明るく元気よく、歯切れ良く臨んで下さい。」ということでした。税理士として4年働いて、変に貫禄が付いていた感じはあったので、そこは気を付けて良かった点です。

私の場合は、上司に退職の旨を伝えてから転職活動をしたので、転職活動中には無職の時期もあり、漠然と不安もありましたが、「自分のなりたい姿を素直に正直に出していけば、自ずと自分に一番合った企業に転職できるはずだ。」という気持ちを強く持ち、毎日を過ごしました。また、色々と悩むことも多い時期だったので、心のバランスを保つために、ランニング、ウォーキング、筋力トレーニング等の運動を毎日欠かさず行い、また、基本的には外で過ごすようにしました。

一般的に、企業の面接で聞かれることは、履歴書を真剣に書くことで大方解決していると思います。「あなたの経歴をお話してください。」「あなたの長所・短所は。」「なぜ当社を希望されたのですか。」「あなたは当社でどのような貢献をできますか。どのようになっていきたいですか。」こういった面接でよくされる質問は、履歴書を書く際には自問自答しているはずです。そして、こういった質問には模範解答は無いと思います。自分なりに、自分の経歴をありのままに(もちろん魅力的に)話せて、その企業の求めておられる点と自分とのつながりを楽しく話せて、そこで自分が入社後どのように貢献していけるかを心から思ったとおり話す、ということだと思います。自分が心から思ったことは、相手に必ず伝わっているものですし、逆もまた然り、だと思います。前もって自問自答をすることが大事ですし、それで「別に入りたい企業でない。」と思えば、受けないのが正解だということです。

私は、前述の3社を受ける際に、当たり前の話ですが、各企業の研究を行いました。まずは、大きい部分の理解として『業界地図』等の雑誌から、各産業の現状と将来の可能性、その中での各社の位置付けをしっかり把握しました。これは、昨今の合従連衡の繰り返される複雑な現代においては、とても有意義だと思います。
次に、各企業のホームページを見るのですが、私が特に重視して見たのが、各企業の「沿革・過去の歩み」や「経営理念・基本方針」「安全・安心や環境への取り組み」「会社の求める人物像」といった、定性的な部分です。どこの企業でも、商品のラインナップや売上・利益といったものは、すぐに目に付きますが、それらの定量的なデータは定性的なものの結果である、と考えたからです。

(株)エリートネットワークからご紹介頂いた各企業は、もちろん各業界における尊い使命や、その中で担う大きな役割があり、そこから必要とされる人物像と自分の目指す姿を照合することで、志望理由を改めて明確にすることができました。私は経理・財務での転職活動であったこともあり、志望企業の有価証券報告書も簡単に目を通しました。有価証券報告書には、ホームページには書いていない各企業の今後の課題や特記事項が掲載されていますので、ぜひそういうページだけでも一読しておくことが望ましいと思いました。

面接を受けた3社で共通して言えるのは、まず体力とメンタル面でのタフさです。企業によっては、面接前にSPIが3時間もあって、クタクタになった後に面接といったこともあります。SPIの結果は、あまり考えても意味が無いと思います。自分ができていなければ周囲もできていないでしょうし、性格診断にしても「この性格は大問題である。」などというものは滅多に無いと思います。面接同様に、「自分の持っているものを素直に出していく。」という風に考えて、むしろ楽しんで解いた方が後の面接にも良い形でつながると思いました。
面接に関しては、当たり前かもしれませんが、相性の良かった面接では、大変盛り上がって心の交流があり、逆の面接では、心の交流があまりない、ということがあります。私は(株)エリートネットワークでご紹介頂いた会社以外にも3社自力で応募し面接を受けたのですが、やはり内定を頂いた1社と不合格であった2社に関しては、同じ事が言えたと思います。うまくいかなかった原因は、一つは明らかにNGな発言をしていたこと、もう一つは、自分をごまかして話していたことが面接官に見抜かれていたことではないかと思われます。やはり、繰り返しになりますが、「過去は変えられない。自分のことを正直に有りのままに伝えること。」が大切だと思います。
ご紹介頂いた3社に関しては、お陰様で、1社が最終面接を控えた状態で別の2社から内定を頂き、その内の片方の会社に入社することに致しました。3社とも非常に素晴らしい企業で、面接官の皆様にもとてもためになる話をして頂いたのですが、入社の決め手は、2社に関しては初回の面接から1週間程度で内定を出して頂けた事に感動しましたし、入社を決めた会社に関しては、非常に相性が良かったことと、先方から大変期待して頂いているのを強く感じられたことがありました。これから60歳過ぎまで長期にわたって決して転職をせず仕事をすることを考えた上で、様々な点から最良の選択をしたと思っています。

最初に自力で採用応募した時から2ヶ月に及ぶ転職活動でしたが、振り返ってみて良かった点は、「無事転職をする」という短期的な視野にならず、「改めて『一生』というスパンで考え、自己実現できる最良の選択をする。」という大きな気持ちを持って転職活動を行った点だと思います。
この転職活動を通じて、「人と人との縁を大事にする事」を、様々な意味で実感しました。カウンセラーの高橋さんには、いつも辛い時にも常に分かり易い指導を適切なタイミングで行って頂きました。本当にありがとうございました、今後もよろしくお願い致します。この転職体験記を皆さんが読んでくれることで、勇気を持って新たな人生への第一歩を踏み出して頂ければ幸いです。ありがとうございました。

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