ジャスダック上場 総合人材サービス会社
人事部
日系生命保険会社
人事部
時任 謙作 氏 30歳 / 男性
学歴:早稲田大学大学院 法学研究科 卒
転職し、配属から1週間経ってこの「転職体験記」を書いています。 まずは「白状」からです。
新卒で入った生命保険会社の人事から人材サービス会社の人事へと転じた私でしたが、配属初日は正直、自分でも情けなくなるくらい動揺をしてしまいました。転職後、こうなるだろうというシミュレーションは頭の中で結構やってきたつもりでした。しかし、いざその場に自分が放り込まれると、環境の激変にただただ圧倒されて、何をどこから取り組んでいいのか分からなくなってしまったのです。
当たり前なのですが、基本的に転職者は経験を買われて採用されます。この当たり前のことが、自分は本当の意味で理解できていなかったように思います。異なる文化を持った転職先で仕事をスタートする段階では、それまでの自分の経験だけがあらゆる物事を判断するうえでの尺度になってしまうのです。メールを出す、電話をかける、マネージャーと話し合う、それらすべてのことについて、「買われた君の経験に照らして、自分で考えてやってみて」という状況。そんな「責任を伴うすさまじい自由」をいきなり突きつけられて、空恐ろしくなってしまったことが私の動揺の原因でした。
「転職者は孤独」とよく言われます。この言葉は、同期がいないとか人脈がないとかいうことも意味しているとは思いますが、何よりも、自分の経験と向き合って自分が持っているものや自分に足りないものを直視しなければならない厳しさを物語る言葉だと思います。「転職活動に臨む前に自分の経験を棚卸しすべき」と言葉では理解できていても、実際に新しい職場の椅子に座るまでは“本当の意味での棚卸し”はできないのかもしれないと私は思ったのでした。
配属二日目から、自分の中で“本当の意味での棚卸し”がスタートしました。「足りない」と思う部分がたくさんありましたが、不思議なことにそれを発見する度に私はとても安心しました。「人事のプロに、そして経営のプロになりたい」と願って転職した私が求めていたのは、まさにこういう状況に直面して己をもっともっと高めていくことだったからです。「これは本当に『いい転職』なのかもしれない」という思いが、そこで初めて私の心の中にふつふつと湧き上がってきたのでした。
「人事部人事課」。そんな予想外の配属辞令を受け取って、私の社会人人生は2003年の春にスタートしました。採用・教育研修・給与・厚生など、幅広く人事業務を担当させてもらい、充実した日々を過ごしていましたが、4年目を迎えた頃に「自分が求めているものは安定した金融業界における今の生活の延長線上にはないのではないか?」と漠然とした不安を抱くようになりました。
ちょうどその頃、父の健康状態が悪化し実家の家業が倒産しました。父親の代理として行った倒産処理は非常に苦しいものでしたが、不思議なことに、極限に近い状態で判断をして行動していくそのプロセス自体は、とても面白く感じられるものでもありました。
「この感覚って、今までの仕事では感じることがなかったな」と思った私は、普段の仕事を通じてこういった充実感を味わうことができないものかと考えるようになり、上記の漠然とした不安と相俟って、転職という選択肢を現実的に考えるようになりました。
「人事のプロに」 「旧態依然としていない変化の激しい環境で」、そんなキーワードを胸に抱きながら、8月末に人材紹介の大手2社に登録しました。親身になって相談に乗ってもらい、100件以上の案件を紹介して頂いたのですが、「カウンセラーに自分が話したことと、この案件はどう繋がっているんだろう」と腑に落ちないこともありました。結果、案件ひとつひとつに対して非常に用心深くなってしまい、紹介を頂く度にネットや知人を経由して、時間をかけてその会社のことを一から調べるようになってしまいました。「限られた時間で効率的に活動したいと思って紹介会社を利用したのに、これじゃ本末転倒だ」と思っていた矢先、かつて中途採用を担当していた人事の先輩が「紹介会社の中でも(株)エリートネットワークは結構いいよ」と言っていたのを思い出しました。
(株)エリートネットワークの扉を叩いたのは10月半ば。担当の杉本さんに転職理由などを一時間ほどお話した後、担当カウンセラーの杉本さんは「分かりました。そういうことであれば、時任さんの転職活動を支援させて頂きます。」と言ってのけられたのでした。紹介会社のカウンセリングといえば、通常、自分の要望を伝え、その要望が当然に正しいという前提で話が進んでいくのですが、(株)エリートネットワークはそこが本質的に違うところでした。そもそも、転職することが必要なのか、転職理由に芯が通っているか、そういった点を精査しながら候補者の転職活動を支援していく。そのスタンスが垣間見える一言に私は「ここなら納得いく活動ができるかも」と期待を膨らませました。
「ひとことで言うと、『人事』と『経営』がクロスするところで仕事して成長していきたいってことですよね」。カウンセリングの後半でこんな言葉も飛び出しました。「おいおい、いきなり一言で言うなよー」と思ったのですが、もともと漠然とそういう思いを心の中で抱いていた私は、他人から言われることで初めてその思いが自分の胸の中で形になったような気がしました。転職活動にあたって、自分の考えを整理して物事の優先順位づけを行っていた気になっていたのですが、自分が本当に大切にしなくてはならないものは全然見えてなかったな、と気付きを与えてもらいました。
紹介された案件は6件程で少なかったのですが、「なぜこの会社を紹介するのか」がハッキリ理解できるものばかりでした。「意外な会社を紹介します」と宣言されて紹介された会社は、今まで自分が候補として考えたこともなかった会社です。しかし、話を聞けば聞くほど、なぜその会社なのかが腑に落ちてきました。また、案件企業の経営者や人事担当者の経歴や人柄、その会社の現在と未来について非常に密度の高い情報を提供して頂き、法人営業と転職コンサルタントが分業していない(株)エリートネットワークの凄みを肌で感じた私でした。
紹介してもらった企業のうち、非常に強く魅かれた一社がありました。二つの会社が経営統合したばかりで、ものすごい勢いで拡大を続けている企業でした。ベンチャー的なスピリットに包まれ、人事的な課題もたくさんある環境で、私の希望にかなりマッチしていると感じました。選考は比較的順調に進み、無事に最終面接をクリアすることができました。しかし、内定を頂いたのも束の間、先方企業より「今一度、上席の役員に会って欲しい」と申し出がありました。「念のため、顔合わせがしたいのかな」と思っていた私にカウンセラーの杉本さんから携帯電話越しにアドバイスがありました。「これは面接だと思って臨んで欲しい」。一瞬戸惑ってしまったものの、それを見透かしたカウンセラーの杉本さんからインスタントにその趣旨(「新しい環境に飛び込んでくる『覚悟』を問いたい」ということ)を伺うことができ、気持ちの切り替えを行うことができました。お世辞ではなく「ここのコンサルタントはいつも傍にいるんだな」と私は素直に感銘を受けました。お陰で私は、本当にそこで仕事がしたいのかについてもう一度気持ちを整理して「覚悟」を決めることができました。その上席の役員の方とも大変有意義な時間を過ごすことができ、入社の決意をしっかりと固め、活動を始めてから約半年後に私は無事に転職をするに至ったのでした。
この半年間を振り返って思うこと、それは、「自分はたくさんの人に支えられている」ということです。ありきたりの言葉ですが、改めて強くこのことを思いました。家族、友人、前職でお世話になった方などに心から感謝したいと思います。
加えて、今回気がついたことは、「支えてくれる人」にも二種類いるということです。一方は自分の考えを後押ししてくれる人、他方は自分の前に立ちはだかって様々な問いを投げ掛けてくれる人です。
転職にあたっては色々な不安がつきまといます。その不安をひとつひとつ除去して転職後の自分をクリアにイメージしたい気持ちになるのは分かりますが、実際のところは冒頭に述べた通り、やってみないと分からないものだと思います。別の言い方をすれば、“どうしても譲れない何か”を守れさえすれば、それ以外は全部譲ってやるくらいの余裕があったほうがいいのかもしれません。そして、この“どうしても譲れない何か”を気付かせてくれるのは、間違いなく自分の前に立ちはだかって問い掛けをしてくれる後者の「支えてくれる人」なのです。
今回の転職にあたり、(株)エリートネットワークは明らかに後者の「支えてくれる人」でした。その問い掛けに答えが出せないと先には進めないんだという緊張感を持って活動を進めることができたことは、自分にとって有難いことだったと思います。私にとっての“どうしても譲れない何か”は「人事について徹底的に学び、経営が分かる人材に成長する機会」でした。現時点でこれを実感できている私は本当に幸せだと思います。
これから転職を考えられる皆さんも、是非この後者の「支えてくれる人」を探して、“どうしても譲れない何か”を見つけ出して素晴らしい転職につなげて頂きたいと思います。