環境ベンチャー企業 経理部 マネージャー
大手監査法人 公認会計士(インチャージ経験者)
高木 宏美 氏 29歳 / 男性
学歴:立命館大学 経営学部 卒
私は、公認会計士として大手監査法人で約7年間勤務し、2年間の東証1部上場インチャージ等の監査を中心とした経験を経て、今回、株式公開を目指す事業会社の経理マネージャーとしてIPO支援等をしていく事となりました。私の転職活動体験が同じような会計士の方々の転職活動の参考になれば幸いです。
まず、私の転職活動のスケジュールを簡単にご説明します。2009年11月頃から2010年4月初旬にかけて10社ほどのエージェントの方とお会いしました。その後、監査業務の繁忙期が過ぎた5月下旬から企業への積極的なエントリー並びに書類選考が通過した企業との面接を行い、最終的に転職先が決定したのは7月中旬となりました。
上記の数ヶ月間を振り返ってみて転職活動で重要なことはエージェント選びだったと感じています。
特に、企業側が信頼するエージェントというものが存在するため、エージェントによって書類の通過率が異なることは事実です。私の具体的な経験としては、(株)エリートネットワークの転職カウンセラーの杉本さんからのエントリーについては、書類の通過率は非常に高かったです。一方で、杉本さんと会う前にとあるエージェントから、「最近の転職市場は厳しいですからとりあえずエントリーしましょう」という形でエントリーした結果、書類が通らなかった企業がかなり数多くありました。杉本さんは既に書類選考落ちした何社かの会社については、企業に対して個別に再検討を掛け合って下さりました。その結果、書類選考が通過した会社がいくつかありました。また、このような杉本さんの行動は企業側と密な関係を持っているから出来ることなのだろうと思い、結果的に杉本さんにサポートをお任せするきっかけになりました。
上記のエピソードの他に、私が杉本さんに最後までサポートをお願いした理由は、大きく2つあります。
1つ目は、私の将来像を共有してくれたことです。転職の理由は人それぞれですから、限られた時間で私の転職のポイントである将来像を根気よく聴いて頂きました。この点を軽視されたエージェントからは、自分の意にそぐわない企業を多く紹介されてエントリーを薦められました。しかし、杉本さんは私の基本的な考えを深く理解してくれたので、意にそぐわなさそうな企業について一応は紹介してくれるものの無理なエントリーは薦められませんでした。
2つ目は、各企業について知っている情報を可能な範囲で率直に話してくれたことや、企業について問題点を提起してくれたことです。この点は非常に貴重で、内定を取ることに重点を置いてしまっていた時期に、自分がその会社に入った後の姿をイメージすることができましたし、求人票の基本的な情報だけでエントリー先を決めることは危険だということがよく判りました。通常人材会社は、エントリー先を紹介するだけで終わってしまうことが多いと思いますが、杉本さんには転職後に実際に働く環境について気遣って頂いたと思いますし、そのお陰で転職後のギャップが軽減されたと感じています。
私の場合は最終的に転職ができているので、順調な転職活動に見受けられるかもしれませんが、実際のところは簡単な転職活動とは程遠いものでした。転職活動を始めるまでは「会計士だし、簡単に転職先が決まるだろう」と正直甘く考えていた節がありました。しかし、内定が出ない時期が想定以上に長くなり、「企業が求めるスペックに合わない」と言われることが続いたり、「女性であるということで積極的になれない」と言われるなど、転職しない方が楽なのではないかと諦めかけたこともありました。
転職活動当初は、会計知識を活かした経営コンサルタントを希望していた事もあり、職種を絞って活動を行い、面接を繰り返すうちに、経営コンサルタントという仕事への憧れのみが強く、経営コンサルタントとして昼夜を問わずに働く意思が自分にないことにも気付くことができ、結果として、自分の将来像に経営コンサルタントという職種が必ずしも必要ではなく、むしろ事業会社において直に会計に携わっていたいという自分の気持ちにはっきりと気付くことができたことは、転職活動に時間が掛かった効能だったように思います。
今では、自分にとって納得のいく転職活動ができたと思っています。
内定はタイミングだと言われますし、私自身も最後はタイミングの良さを感じましたが、良いタイミングを呼び込むための準備が十分であったか否かと問われると、最初の頃エントリーに失敗した経験があったことからも十分ではなかったと思います。
なので、現在活動をされている方々が後悔しない転職をするために、まずは自分自身の棚卸しをしっかりと行って、時間が許す限り多くのエージェントと会って自分が信頼できる核となるエージェントを選んで欲しいと思います。その上で、自分が行きたいと思う企業に対しては可能な限り多くのエントリーと複数回面接を行った上で、納得できる転職先を選んで頂きたいと思います。最後まで諦めることなく、厳しい転職環境を乗越えて下さることをお祈りしております。