霞が関キャリア(国家公務員一種)の転職

霞が関キャリア(国家公務員一種)の転職

No.422
  • 現職

    大手シンクタンク  研究員

  • 前職

    国家公務員一種(事務)  経済官庁 

前原 憲一 氏 29歳 / 男性

学歴:東京大学 経済学部 経済学科 卒

私は国家公務員一種(事務)に合格後、官庁訪問を経て中央官庁のとある省に採用となり、約6年勤めてきました。今回の転職活動にあたり、(株)エリートネットワークの松井社長には先方企業への売り込みからスムーズな退職手続きの方法まで、様々な面でお世話になりました。改めてお礼を申し上げます。転職するにせよ、現職に留まるにせよ、世間からは理解されない中、過酷な労働条件で勤務されている霞が関の若手の皆さまのキャリアプランニングの一助となればと思い、筆を執りました。

私の転職理由

霞が関の労働環境が年を重ねるごとに悪くなっていることを肌で実感したからです。
大学卒業後に公務員としての道を選んだ時に、公務員の職業としての安定性の代替として、若いうちは低い給与に甘んじなければならないことは覚悟してはいました。しかし、働き始めると安定性や給料より大事なものがあることに気付きました。
それは健康な肉体・精神と時間的なゆとりです。異常な量の通常業務に加えて、政務(閣僚だけではなく議員も含む。)への対応に膨大な時間を費やされ、月のサービス残業が200時間を超えることがざらにあり、常に疲労を感じている状態が続いていました。
そのような状況は2009年の政権交代後もまったく変化はなく、むしろ付加価値を生まない業務は増える一方に私には感じられました。モチベーションの維持が困難な業務に今後とも従事していくことができるのかという不安、個々の頑張りとは無関係に「公務員」という大きな括りで左右され、政治が行き詰った時の国民への目くらましのためのパフォーマンスに利用される自身の待遇への諦念から、新しいステージに進む気力がまだ充実している20代のうちに転職をしようという考えに至りました。

(株)エリートネットワークの松井社長とのカウンセリング

(株)エリートネットワークの松井社長とお会いする前に転職エージェントはいくつか利用しました。しかし、この経済情勢で仕方が無いことだとは思いますが、紹介する案件は求人が出ているものをとにかくはめ込んでいるだけといった風情のところが多く、私が関心を惹かれるような案件とはなかなかめぐり合うことは出来ませんでした。
そんな暗中模索する中で松井社長とお会いし、まず聞かれたことは私が転職を希望する理由でした。そしてその理由を分析した上で、そもそも転職すべきかどうかから検討して頂いたことが記憶に残っています。転職を煽るわけでもなく、私の所属していた某省庁の霞が関における立ち位置についても正確な認識を示され、ざっくばらんに本音ベースのお話をして下さりました。転職理由を検討し、今の職から何を改善したいのかを明らかにした上で、転職市場のニーズと丁寧にすり合わせるという一連のカウンセリングについては、松井社長の豊富な業界知識に圧倒されながらも、非常に満足のいくものでした。

書類選考と面接

転職活動を始めて最初に直面したのが書類選考の壁でした。景気が良い時期でしたら、企業も経営企画などのポジションで「ポテンシャル」の採用があり得るのでしょうが、現下の経済情勢では企業側も中途採用に関して「即戦力」を求める傾向が強く、公務員という職種の性質上、強い逆風に晒されていることを実感しました。書類選考という入り口ではねられてしまうことも多々ありましたが、松井社長の励ましと企業への売り込みもあって、何とか当初ご案内を頂いた二社から書類選考通過のお知らせを頂きました。

その後の面接ですが、二社ともに終始好感触で進んで行ったため、特に苦労することもなく5次面接迄も経て第一希望の会社より内定を頂くことが出来ました。そのため、参考になるアドバイスはお伝えできないかもしれませんが、松井社長から頂いたアドバイス「とにかく正直に自分の希望と入社したいという強い意志を伝える」、このことに尽きると思います。外資系の企業では勝手が違うのかもしれませんが、多くの日本企業にとっては、採用とは依然として新たなその企業への「メンバーシップ」を志望者に与えるものであり、大きなコストとリスクを引き受ける覚悟で採用担当者は臨んでいる訳です。そんな状況にも拘らず、他ならぬ志望者の決意が揺らいでいるようでは、採用までたどり着くことができないのは自然の道理というものでしょう。

私自身、公務員という職を離れることの迷いを完全に捨て切れた訳ではありませんでしたが、そこはグッと飲み込んだ上で面接に臨んだことが功を奏したと思っています。公務員だけではなく、名の知れた大企業に勤めている方が中途採用の面接では必ず聞かれることでしょう。「今の仕事を辞めるのは、もったいなくないですか?」と。これに対する答えは必ず用意しておくべきだし、用意できないようであれば、それはまだ転職の時期ではないということになると思います。

内定から退職まで

内定を頂くよりも苦労したのが退職の手続きでした。一種、二種、三種を問わず、若手の退職が後を絶たないため、中央省庁の人事担当者は人事管理に非常に苦労しています。私のような若手から中堅になる一歩手前の年次の職員の退職は、下の年次の職員に与える影響も大きいことから、押し引き両面からの説得攻勢が続き、神経を非常にすり減らす日々が続きました。色々と辛いことや理不尽なこともあったけれど、それでも社会人になって最初に入った組織ですから愛着や愛情もあるので、自分自身が薄情なのではないか、何か悪いことをしているのではないかという気持ちが出てくる訳です。

この点についても、松井社長からカドが立たない退職の方法や具体的な行動にまで踏み込んだアドバイスを頂きました。周囲への情報の伝え方や退職届の出し方等について、頂いたアドバイスと私が当初考えていたものとは大きく異なるものでしたが、アドバイス通り進めることで万事滞りなく、全て円満に退職することができました。これも経験豊富なエージェント経由で転職活動を行うことのメリットの一つだと思います。

公務員からの転職について注意すべきこと

転職活動をしていて公務員特有のクリアすべき点と感じたのは以下の点です。

・ 公務員としての職務がどう生かせるかを説明できるようにしておくこと(民間企業での職務経歴がゼロである以上、中途採用の市場においては大きなハンディキャップです。自分自身のキャリアプランを明確にする上でも、応募する職種と現在の仕事の繋がりを、無理矢理でもいいのでストーリーとして仕上げておくとよいと思います。)

・ 公務員という安定した職業から離れる覚悟をすること(面接官が関心を持っているのは、志望者の能力以上にその企業に対する志望度合いであると感じました。)

・転職活動から内定までの期間を約3カ月〜4カ月として、所属する部署の繁忙期と人事異動のタイミングをうまく調整すること(退職の際のまわりからの反発を少しでも和らげるために出来る限りの配慮はしておくべきです。)

転職には非常に大きなエネルギーを要します。私自身、初めての転職に未だに期待と不安の入り混じった心情でおります。ただ確実に言えるのは、時間やお金や転職市場の状況やエージェントとの相性など色々と転職のために必要な要素はありますが、現状に留まることで後で後悔するぐらいなら、思いっきり前のめりで飛び込んでやるという覚悟が最後はものを言うように感じます(特に公務員を退職される方は。)。厳しい経済情勢ではありますが、これから転職活動を開始される方のご健闘をお祈りしております。
最後に、(株)エリートネットワークの松井社長は、突然訪れた私に対して様々な面でフォローをして下さいました。本当にありがとうございました。

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