外資系油圧機器メーカー 経理部
通信機器販売会社 経理部
橋詰 鉄治 氏 37歳 / 男性
学歴:青山学院大学 文学部 史学科 卒
今回で2度目の転職であったこと、外資系企業と、短期間ながら日本の中小企業を経験したことを踏まえ、自分の体験が皆さんの活動の一助になればと思い、体験記をまとめるに至りました。少なからず参考になれば幸いです。
最初の勤務先は新卒から外資系企業でしたが、特に外資を意識して入社した訳でもありませんでした。経理職に就いたのも、もともとは欠員補充のために2年目に営業から転属したためで、偶然によるものです。また12年という歳月のなかで国際的な会計基準を取り入れたり、世界的なERPシステムを導入したりといったことについても、本社が決めたことと自然に受け入れ、先端的な改善を推進しているなどとは全く意識していませんでした。
転機は、再度営業部への異動を会社から指示された時で、経理としてのスキルを保持し続け、更に高めていきたいという考えから、転職を決意しました。この時はリーマンショックの後で、特に厳しいと言われている時期でもありました。この時の転職では、(株)リクルート社からの紹介で(株)エリートネットワーク社にも相談させて頂きましたが、結果的には別のエージェントからエントリーした、通信機器販売の日本の中小企業に就職しています。
最初の転職活動であったこともあり、ただ闇雲に活動したといった感がありました。エントリーできるところにはとにかく申し込むといったスタイルで、いたずらに集中力を消耗させていたのかもしれません。入社先は元の企業に比べるとずっと小さな会社で、オーナー企業、幾つかのデメリットは承知しつつも、会社経理の全体を任せられるという内容から、半ば好転を期待して入社を決めました。どのような会社に入ろうと困難が訪れるのは予想していましたが、待っていたものは手書きを中心とした、古い体制でした。とにかく手作業が多く、単純作業による時間のロスが多い。すぐさま改善を意識しましたが、上層部からは基礎を覚えてから改善に取り組むよう指示され、考えることすら禁じられました。税理士資格を持つ友人に相談したところ、手書き自体は簿記の原則に従った行為であることがわかりました。
しかし客観的には正しくとも、システム化された企業で培った自分の経験は生かされるどころか、それらは忘却の彼方へ追いやられ、自分は一からの出直しを迫られている状況に置かれているのは言うまでもありません。また効率化も、必ずしも中小企業では必要とされていない、と言うかしなくても間に合うという現状も認識しました。社員数は200名を超える企業ですが、その多くが営業職、人事も教育と採用が全てで、給与計算も含め数字に関わることは全て経理という体制では、他部署との連携も限定的なもので間に合っていたのです。例えるならば、大きな畑を耕すのにはトラクターが必要ですが、小さな畑には手作業で十分間に合うといったところでしょうか。更に小さな店舗ではセキュリティの面からもシステムの連結はリスクを伴うことも考えられました。
一方、そのようなことを考え込み、結論付けたところで、自分に差し迫った危機が解決された訳ではありません。しかし果たして今の自分に転職は可能なのか。既に37歳、まだ転職後7カ月しか経過しておらず、尚且つ勤務時間が18時半までであり平日の活動が困難を極める状況。客観的な意見を求め、先の転職活動でお世話になった、別のエージェントにも相談しました。その外資系を専門に扱うエージェントから受けたアドバイスは、以下の通りです。
・やはりこの時代に手書きはあり得ない
・短期間での転職は、2年以内であれば変わりはない
・働きながらの転職活動が原則
・外資系には、TOEIC700点は欲しい
また求人案件も微増であることを受け、転職を決意しました。前回はあまり意識していなかったのですが、ERPを10年以上使用していたことがスキルとしてアピールできることも判ったので、こちらを主軸にしていこうと考えました。最初の会社で盛んだった増減分析や差異分析などの業務も、特に外資系の本社報告で必要とされることから、外資系を強く意識していこうと思いました。一方で、不利を承知で先に会社を辞める選択もしました。理由は、会社がやや遠方に所在し、また先に挙げたとおり勤務時間が18時半までであったため、勤務しながらの転職活動は困難を極めること、またTOEICはスコアを持っておらず、資格としては学生時代に英検2級を取ったくらいであったため、短期間で鍛え直す必要があったからです。実務でも英語の使用は限られていました。
ネットで他のエージェントのサイトも確認しましたが、どこを見ても先に退職することをよしとしない内容のものばかりです。しかしそれらは一般論です。自分の置かれた状況を冷静に考えれば、どうするべきかは自ずと答えが出てきました。
年齢についても、同様です。一般には35歳制限説が有効ですが、自分を客観的に見て、必ずや必要とされる企業があるはずだと信じました。
決断後、ある程度の見通しは計画しました。とにかく英語力をつけることが必須でしたし、また前回の失敗から手当たり次第に動くことはしないように心がけました。8月は幾つか応募しながら学習し、9月のTOEIC受験後から本格的にアタックしようと思いました。連絡をしたエージェントは、前回登録したうち、(株)エリートネットワークを含め6社、失業状態になる訳ですから、今回はハローワークにも登録しました。
各エージェントからの反応は、分かれました。(株)エリートネットワークを含めた3社は再度面談から始まりましたが、残りは経歴書の再送要求のみ、中には受領の確認メールはおろか、電話で話すことすら避けているように思われる担当者もいました。やはり、巷で言われるように35歳制限説はありますが、皆さんにはむしろ年齢を問わず前向きに取り組んでくれるエージェントもあるということに目を向けて欲しいと思います。中でも、連絡後、すぐに面談のアポを取り交わして頂いた(株)エリートネットワーク、担当の転職カウンセラーの岩川さんには大変感謝しております。求人案件は、結局2社のエージェントからしか来ませんでしたが、(株)エリートネットワークからはすぐに複数の案件を紹介頂きました。
ご紹介頂いた外資系企業は、どれも英語が必要とされているものばかりで、TOEICスコアを持たない私にとって不利は否めませんでした。しかし対策は取っておく必要はあります。毎日TOEIC対策のほか、比較的安価なマンツーマン英会話に通い、英語への対策は怠らずに機会を待ち続けました。その取組みが試される時は、急な展開で訪れました。
案件のうち、ある油圧機器メーカーから、一次面接の通知を受けました。事前の情報としては、会社側からは面接に3人が立ち会うということ位で、詳細な内容は知らされませんでした。面接当日、3人のうち1人は外国人で、日本語を解さないということから、全て英語で行われることとなりました。多少戸惑いはありましたが、日々対策を講じていたこともあり、それほど動揺はしませんでした。思ったことははっきりと述べることに徹し、発言も単発で終わらないよう心掛けたことが幸いしたのかもしれませんが、一次面接も通過できました。
二次は簡単な適性試験のみのはずでしたが、当日「時間があれば話がしたい」と告げられ、今度は外国人上司2名との面談が行われました。前日も英会話教室に通っており、日々の鍛錬が功を奏したのは言うまでもありません。あらゆる展開を想定内に収めておくことが必要ではないでしょうか。
就職活動を本格化させる前に内定をもらいましたが、自分としては納得のいく企業であったため、入社することにためらいはありませんでした。むしろ、困難な情勢の中、限られた戦力ですんなりと決まったことに驚いています。
しかし自分がそれほど特殊な例であるとは思っていません。今回の成功は、集めた情報や知識のうち、信じられるものや自分に有効なものを選択したことによると思います。ハローワークでは、年配の担当者から遠くを見つめるような視線と共に「経理は余っている」「求人は少ない」と言われ、また先に述べたように連絡のないエージェントもありました。それらは、恐らくは年齢や上場経験、連結決算経験の有無、保有資格などの大雑把な視点でのみ判断された結果であると思われます。たとえ同じキャリアの持ち主であったとしても、人は千差万別、自分なりのアピールができるはずですし、それをキャッチしてくれる企業も必ずあります。世間の情報は十分に参考にしつつも、流されないようにして欲しいです。
最後になりますが、少なからず不安を頂いていた私に、希望を持たせつつ果敢に挑戦させて頂いた担当の転職カウンセラーの岩川さん、並びに(株)エリートネットワーク社の皆様に感謝致したいと思います。有難うございました。