品質管理技術者、宇宙関連メーカーから、プラントエンジニアリング会社へ

品質管理技術者、宇宙関連メーカーから、プラントエンジニアリング会社へ

No.520
  • 現職

    一部上場 大手プラントエンジニアリング会社 品質管理

  • 前職

    宇宙・防衛機器メーカー 品質管理

立石 秀一 氏 44歳 / 男性

学歴:京都科学技術専門学校 非破壊検査学科 卒
非破壊検査 ひずみ測定2種取得
非破壊検査 浸透探傷検査2種取得
甲種火薬類取扱保安責任者免許取得

『 ノホホン父さん、転職する 』

1.プロローグ

「5連勝しなきゃだめなんだよ!!」
TV番組の中で、サマーズの三村さんが芸人の卵たちに向けたアドバイスの言葉です。
この言葉は、3勝2敗や4勝1敗ではなく、5回連続して、お客さんを満足させないと、この世界では成功できないという含蓄に富んだメッセージです。

まさに転職活動もこの言葉通りで、
(1) 書類審査(@紹介会社)
(2) 書類審査(@応募企業)
(3) 面接(@応募企業 配属先担当者)
(4) 面接(@応募企業 人事担当)
(5) 面接(@応募企業 役員)
の5連勝が必須条件になります。
この言葉を聴いた時には、まさか、自分がこのメッセージを実践することになるとは、夢にも思いませんでした。同じ年齢の人気芸人さんが、若い世代に向けたこの言葉を痛感することになった、この半年の私の転職活動。
これから転職を目指す方、今活動中の方、また転職が終わって、ほっとしている方などに、何らかのメッセージが届けられればとの思いで、自身の言葉でその記録をまとめることにしました。皆さんの転職活動の一助となることを願いつつ、少しずつ自身の活動を振り返ってみたいと思います。

2.きっかけの一言

「この部署にいても、給料は上がらないし、出世もできないから・・・・・」
同僚が辞めた2011年の夏。彼が転職するきっかけとなった上司の一言です。
勿論、ここまで生々しく、直接的なものではなかったと思いますが、彼にとっては非常にショックな出来事であったことは、想像に難くありません。彼からこの言葉を打ち明けられた時、同じ部署で、同じ仕事をしていた自身にとっては、もはや他人事ではありませんでした。
齢44歳。転職には遅きに失する感が否めない年齢ではありますが、このまま現職にしがみつき、定年までの10余年を穏便に過ごす毎日を想像した時、拒絶反応にも似た、嫌悪感に囚われました。

「このまま終わりたくない」

仕事に対する本能的な欲求がまだ自身の中に燻っていることに気づいた時、転職活動がスタートしていました。

3.はじめは2連勝

転職活動は、まず転職サイトを片っ端から閲覧することから始めました。大手の斡旋サイトから、中堅、ハローワークと、とにかく、ヒットするページに目を通し、転職マーケットの常識を得るところからスタートしました。ほとんどのサイトは会員制であり、その都度 自身の個人情報を入力する作業に辟易しながらも、とにかく幅広く情報を仕入れるべく、手当たり次第にエントリーしていきました。最終的には20社弱の求人サイトの会員となっていました。
自分は、特殊な業界に在籍しており、職種も設計や製造とは違った分野であったことから、求人募集数が非常に限られていました。また、学歴、英語のスキル、年齢などの制約もあり、更に限られた案件にしか、応募できませんでした。それでも、駄目もとで、数々の求人に応募し続け、1ヶ月ほど経った頃、自身のスキルにマッチした案件に出会うことができました。
その求人は、企業が直接 募集していたタイプで、提出書類も雛形になっており、比較的楽に書類をまとめることができました。早速、応募すると、2週間後に1次書類審査通過の連絡がありました。(早くも2連勝確定!!)
「なんだ、意外と早く決まるかも・・・・・」
この時点では、面接には絶対の自信があったので、書類審査さえ通れば、あとは通過儀礼との思いがありました。
が、世の中そんなに甘くはなかったのです。

いざ面接。天気も気分も上々です。久しぶりのスーツにネクタイが、更なる高揚を演出してくれ、足取りも軽く、応募企業へと向かいます。いつものように、約束時間の1時間前には現地入りし、周辺環境を下見しつつ、時間を潰します。
場所は丸の内。東京駅のまん前でした。垢抜けた空間に、少し違和感を持ちながらも、面接時間の10分前にA社の受付に到着。事の次第を告げ、少し待つと人事担当の方が、挨拶に来られました。少しの談笑の後、いよいよ面接の場へ案内されます。
「失礼します」と、教科書どおりの入室。一礼の後に、面接のスタートです。
眼前には、6名の面接官。だいぶ予想とは違います。
「ちょっと、多すぎませんか?」と思うや否や、自己紹介を促されます。
初対面では掴みが肝心ですが、掴む相手が誰なのか、判断しかねている間にも、質疑応答が進みます。今までの職歴や自身のスキル、転職理由や応募動機など、矢継ぎ早に放たれる質問に、ペースが掴めないまま、エンディングを迎えます。
最後の「何か質問はありますか」の決め台詞にも、「特にありません」と答えてしまう体たらく。結果はご想像の通りです。(2勝1敗で完)

4. 1勝が遠い日々

1戦目は、面接まではとんとん拍子に事が運びましたが、その後は1回戦敗退が続きます。書類審査がなかなか通らないのです。こちらが少しでも興味のある案件に応募するのですが、ミスマッチを理由に見送りの連続。かなり自信のあるものでも、NG。こんな日々が1ヶ月ほど続きました。
「何が悪いんだろう? 年齢か、それとも学歴? やっぱり英語かな?」
自問自答の日々でした。
そんな時、何気なく求人サイトを見ていたら、履歴書や職務経歴書の書き方を詳しく説明している記事が目に入りました。
「これだ!」
気づけば、当たり前なのですが、転職の必須アイテムが不備だらけだったのです。最初に受けた際のフォームをそのまま使用し、コピペで手抜きをしていたのが致命傷でした。基本的な事項が相手に伝わらない内容で、今思うと、とんでもなく恥ずかしい書面でした。
それから、毎日のように上書き修正を掛け、なんとか見栄えが良くなった頃から、コンサルタントの方からの連絡が入り始めました。しばらくすると、スカウトでも声が掛かるようになり、なんとか暗礁から脱出することができました。(1勝を何とか確保し始める)

5.初の連勝?

はじめにコンサルタントの方から、連絡を頂いた時には、神の声を聞くような気分でした。「応募できる案件なら、どこでもいいから面接させて下さい」と、低姿勢で対応する日々。また、スカウトについても同様の有様で、速攻で回答、レジュメを送付の繰り返し。とにかく、何か動きがないと不安になる日々でした。

そんな時に、(株)エリートネットワークさんと出会いました。
他の紹介会社さんがTELでの面談でOKと言ってくれる中、(株)エリートネットワークさんだけは、直接 会っての面接でしか話を進めてもらえませんでした。
「ちょっと面倒だなぁ・・・・・」
本音ではそう思いながらも、お会いするアポをとり、銀座に向います。
「当社は法人営業と転職カウンセラーが同じ担当者なので・・・」
はじめは、意味がよく判りませんでしたが、よくよく聞いてみると、他の大手では求人案件を取ってくる部門とそれを求職者に紹介する部門が分かれているとのこと。
「立石さんに、今紹介できる案件はこちらです。どれも皆、いい企業さんですよ。なんせ直接取材して来ていますから・・・・・」 他社さんとは言葉の重みが違いました。

この頃から、紹介会社には、2つのタイプがあることに気づき始めました。1つは、とにかく応募してみましょうとハッパをかけてくるタイプ。もうひとつは、じっくり狙いを定めてから、応募を勧めるタイプ。
自分に “ 売り ” がある方は、前者のタイプでもOKだと思いますが、自分は何かと制約が多かったので、後者のタイプが肌に合いました。(株)エリートネットワークさんも後者のタイプ。カウンセリングをみっちりやってからの応募なので、比較的 書類審査が通り易く、色いろと相談にものってもらえました。(2連勝がちらほら)

6.連勝街道

履歴書と職務経歴書のメンテがほぼ完了した頃から、1、2回戦を突破できるようになり始めました。次はいよいよ3回戦。面接戦に臨みます。初戦で手痛い失敗をやらかしたので、ある作戦を実行することにしました。その名も、「一目瞭然作戦」
入学試験の面接とは違って、転職における面接では、手持ち資料を持ち込むことは何ら、反則行為ではありません。ならば、今までのキャリアや自身の実績を説明するカタログを作成して、それを数冊持ち込み、面接官に配布して、質疑応答の手間を乗り切ろうと考えたのです。
自身の場合、たまたま過去に携わったプロジェクトで、該当資料が手元に残っていたので、それらをブラッシュアップして、説明資料としてまとめました。また、基本的な質問事項 (転職理由、応募動機、長所、短所など) に対する回答も書面で持ち込むことにしました。
併せて、応募企業に関する情報の収集も徹底的にやりました。HPはもとより、検索エンジンにヒットする情報はほとんどすべてに目を通して、雪辱戦に臨みました。

結果は、大成功。

資料があることで、説明がスムースにいくこともさることながら、面接官 (技術系) に非常にウケが良かったのです。また、手元に資料があると、異常に緊張するということがなくなり、落ち着いて面接に臨むことができました。面接後の企業内でも、好評だったようで 「2次面接でも、あの資料で説明して欲しい」 といった、リクエストまで頂けるようになりました。この作戦が功を奏し、1次面接 (担当&人事) をクリアー。初の4連勝を飾ることができました。(4連勝達成)

7.いよいよ最終戦

1次面接とは違い、最終面接では役員の方が相手です。プロセス上、最終面接は、形式的なものと言われることが多いのですが、油断は禁物。小手先だけのテクニックでは、到底太刀打ちできません。ここで、ものを言うのは“自分自身をどれだけ等身大で把握しているか”という点だと思います。無理な背伸びも、卑屈な低姿勢もNGです。とにかく、“貴社へ入社したい”、“入社できた暁には、これだけのことができます”といったものをアピールし、転職後の自分が活躍している場面を具体的にイメージすることが重要です。逆に言うと、これができない方は、もし入社できたとしても、かなり苦労するように思います。

そんなことを考えながら、迎えた第5戦。第一希望の企業での役員面談です。1次面接で見知った顔も含め、5名vs1名での一本勝負の開始です。
序盤は、件の一目瞭然作戦は控えめにして臨みました。(役員の方はお忙しく、無駄なやり取りを好みません)中盤の基本的な質問は無難にクリアーです。特に前述のアピールポイントの回答には、十分に時間をかけました。弱点である英語についても、“入社後に鋭意努力します”と、正直なところを述べました。その後、何やら日常会話的な質問を受けます。家族のこと、通勤方法や時間、当社の印象などあまり予期していない内容でした。この時、たまたま週刊誌で見かけた応募先企業の記事についてコメントすると、面接官全員がその内容をご存知ありませんでした。この回答で、かなりのポイントを稼げた気がします。
その後は和やかな談笑といった感じで会話が進み、ではこれでと締めの声が掛かった瞬間に、役員の方が一言。
「で、立石さんは休日は何をして過ごしていますか?」
緩んでいた緊張感が光速で戻ってきます。
「近くの温泉めぐりを楽しんでいます」
と、少し微笑みながら、瞬時に返します。
後で思うと、これがもっとも難しい質問だったように思います。やっと終わったという開放感が脳内に拡がる頃合を見てのスキ狙い。さすが海千山千です。
回答後の面接官のニヤリとした笑顔が印象的な面接でした。
あとは、こちらがびっくりするほど、迅速な対応でその日のうちに内定を頂くことができました。

8.エンディング

ここまで辿り着くのに約50社の書類審査落ちを経験し、かなりの出費 (面接先への交通費や休暇による減収など) と半年の月日を要しましたが、御陰様で、希望を上回る成果を伴いつつ、晴れて“新入社員”となることができました。
でも、これからが本番です。
“ 勝って兜の緒を締めよ ” の心持で、新しい世界で頑張りたいと思います。
ここまで多大なる助力を頂いた(株)エリートネットワークの担当転職カウンセラーの岩川さんをはじめ、各人材紹介会社の皆さまと影ながら応援してくれた家族に感謝し、終わりの言葉とさせて頂きます。

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