大手人材・ネット広告会社 事業企画グループ
四大新聞社 販売局
池永 耕介 氏 31歳 / 男性
学歴:名古屋大学 経済学部 経営学科 卒業
一橋大学大学院 商学研究科 経営学修士コース(MBA) 卒業
私は、大学卒業後、約7年間勤務した国内企業を退職し、国内のMBAへ進学しました。ポストMBAとしての就職先を模索していた最中、知人の紹介を通じて(株)エリートネットワークの転職カウンセラーの杉本様と出会い、杉本様の手厚い支援を経て、企業からのオファーを頂くことができました。
今回、杉本様から国内MBAへの進学、ポストMBAの就職活動に関する体験記の執筆依頼を頂きましたので、執筆することにしました。執筆を受けるに至った理由として、自分自身がMBAへ進学する際に、またポストMBAの就職活動の際に、あまり参考になる個別具体のサンプルや体験記がなく、非常に苦労したという理由が挙げられます。そのため、常に手探りの状態の中で意思決定をせざるを得ませんでした。特に、MBAを志すビジネスパーソンにとって、ポストMBAのキャリアは最大の関心だと思います。自分自身が悩みながらも模索し続けた就職活動の内容を少しでも伝えられればと思います。
これから記す私の体験記が、これから転職を考えている方、MBAに在籍している方、あるいはMBAへの進学を検討してはいるが、ポストMBAの就職が気になる方が意思決定をする際の一助となれば幸いです。
就職活動を通じた経験から、私が皆様にお伝えしたいのは次の三点です。
第一に、きちんと親身になって相談に乗ってくれるエージェントを見つけることです。どれだけ、自分自身でキャリアの棚卸をしたとしても十分ではありません。第三者であるプロのエージェントから客観的に評価してもらうことによって、自分自身の新たな可能性を見出せることがありますので、エージェントは貴重な存在だと思います。また、エージェントは転職市場における水先案内人のような役割を担ってくれる存在だと思います。
私は数社のエージェントに足を運び、幸運にも友人の紹介で(株)エリートネットワークの杉本様との良いご縁を持つことができました。結果として、杉本様には自分のことを他のエージェントよりも深く理解してもらい、最後まで強力にサポートして頂き、転職事情をよく理解していない自分にとって杉本様は非常に心強い味方でした。これから就職(転職)活動をされる方は、面倒であっても、時間の許す限り、エージェントと直接会って話をし、信頼できる方をきちんと見つけた方が良いと思います。
第二に、就職(転職)活動はダラダラ長引かせないことです。今回の就職活動を通じて、就職活動には相当の時間とエネルギーを投入することが必要だと実感しました。ましてや、在職中の方は、現職での仕事をしつつも、新しい仕事を探すことになる訳ですから、更に大変だと思います。
昨今の就職状況を鑑みると、大半の転職する方にとっては当初思い描いていた理想とは異なり、少なからず厳しい現実に直面します。実際に、就職(転職)活動を始めてから内定を頂くまでに、ある程度の時間を要します。就職(転職)活動が長期化すると、当初は考えもしなかったような感情の変化が自分自身に生じ、正常な意思決定がしにくくなるようになります。
例えば、なかなか就職(転職)先が決まらないと、働くことに対するモチベーションが著しく下がってきたり、どこの会社でも良いと投げ遣りな気分になってきたりします。あるいは、就職(転職)活動を継続することが嫌になって途中で辞めたい気持ちになるかもしれません。
仕事に対するモチベーションを維持していくことは無論大事であるとは分かっていながらも、時間の経過と共に、このような心理状況に追い込まれていきます。このような心理状況は全く好ましいことではなく、自分の人生において最良の意思決定をするためには明らかにマイナスです。ですから、短期的には多忙になろうとも割り切って、できる限り就職(転職)活動が長期間に及ばないように、腹を決めてやり抜くことが重要だと思います。
第三に、初心を忘れず、「実現したいこと」 を優先すべきだということです。転職を検討されている方は、人生において何か実現したいことがあり、それが現在の企業では実現できないものであるため、別の企業でそれを実現したいと考えていらっしゃると思います。
転職する際には、自分自身の仕事に対する価値観を再確認されることをお勧めします。その上で、転職をしてまで 「実現したいこと」 は何でしょうか。また、現在の企業で働く中での 「実現できてきた」 ことの優先順位を新しい企業ではどのような優先順位に変えたいのでしょうか。例えば、もっと給料を上げたいのか、やりたい職種に就きたいのか、ポジションをもっと上げたいのか、環境を変えたいのか等の問いを自分自身に投げ掛ける必要があります。こういった作業を通じて、そもそも自分がなぜ就職(転職)活動をしようと思っているのかというコアな動機を正しく把握する必要があります。
就職(転職)活動を通じて、自分自身の心の中で様々な迷いが生じます。迷いが生じると、安易に妥協しようと思うこともあると思います。しかし、就職(転職)活動を始めた際の初心や 「実現したいこと」 が確固たるものであれば、多少の困難な状況も乗り切れると思いますし、安易な妥協を防ぐことができると思います。
ポストMBAの就職活動を始めるにあたり、MBA2年目の秋頃から複数のエージェントと会いました。今振り返って気づくことですが、当初、私はエージェントから現在の労働市場の状況を聞き、求人の案件さえ紹介してくれれば良いという安易な考えをしていました。また、当時は20件程度の求人を紹介してもらえれば、半分ぐらいの企業と面接ができ、2〜3件の内定が出ると楽観視していました。楽観していた根拠は特にありません。ただ、「まぁ、何となく、どこか見つかるだろう」 という軽い考えです。もともと、前職では関連会社の経営改革、経営管理を経験してきたので、MBA修了後は戦略立案、戦略実行といった仕事を経験し、仕事の幅を広げたいと考えていました。
大半のエージェント、あるいはキャリア・コンサルタントからは、最初のキャリア・カウンセリングで、「戦略実行の経験はあっても、戦略立案の経験がないのだったら、事業会社での戦略に関係する部門にいきなり入社することは難しいので、戦略コンサルで経験を積んだ後に転職する方が良い」 と言われました。また、「ポストMBAだったら内定を得られるであろう、手頃な案件を紹介しますよ」 というコメントだったと記憶しています。このため、大半のエージェントが同じようなことを話すため、何の疑問も持たず、当初はポストMBAのオーソドックスな就職先として、戦略コンサルを受ける準備をしていました。
このような状況で、友人の紹介でお会いしたのが、(株)エリートネットワークの転職カウンセラーの杉本様でした。私がこれまでに就職活動中に会ったエージェントの中では、杉本様とは最後の方にお会いしました。杉本様とのカウンセリングでは、これまでのキャリアに関して話をしていく中で、一つ一つ丁寧に確認して下さり、これまで自分が「何を大事にしてきたのか」、また「何を変えていきたいのか」について優先順位をつけて整理をして下さいました。このカウンセリングは、自分の考えが及ばなかった部分までに気づきを得ることができた機会であったと同時に、その後の自分のキャリア・パスを決定する上で明確な方針を固めていく貴重な時間だったと思います。
これに対して、大半のエージェントとのカウンセリングはこれまでのキャリアの確認を通じて、スキルのスペックやレベルを確認するだけでした。
カウンセリング後、杉本様のコメントは、「コンサルに行くのではなく、そのまま事業会社に入って経験を早く積んだ方が良い」というコメントでした。また、「戦略コンサルに行った年数だけ、事業会社での経験を積むことが遅くなる。年齢的にも30歳を超えているし、MBAに2年在籍したことでビジネスから離れているので、早く実務を通じた経験を積んだ方が良い」 とのコメントも頂きました。これらのコメントは、世間一般的に言われている好ましいポストMBAのファースト・ステップではなく、自分自身にとって最良のキャリア・パスが明確化されたものであり、非常に納得感があり、私の就職活動を通じての一つの方針となりました。
結果として、私は20社程度の案件を複数のエージェントから紹介して頂き、紹介された順番に各企業へ面接に行きました。面接が進捗する中での、エージェント各社の対応も異なりました。大半のエージェントは案件の紹介に留まっていたのに対し、杉本様からは案件の内容に留まらず、自分自身のスキルマッチング、社内の状況、組織文化等を1件1件丁寧に説明して頂きました。また、面接の過程でも、杉本様は面接後のフィードバックはもとより、面接前に、面接官は誰であるか、面接官がどういったキャリアを経てきたのか、インタビューでの想定される内容等をメールだけでなく、直接電話にて教えて頂きました。電話でのコミュニケーションを通じて、余裕を持って面接に臨むことができましたし、転職未経験の私にとっては新しい会社で働く際のフィット感やイメージを具体的に持つことができ、非常に助かりました。
やがて、2社から内定を頂くことができましたが、最終的にどちらの企業に決めるかで悩みました。オファーを頂いてからも、入社先を決めかねている私の為に、わざわざ2社の採用担当者にアポを取って頂き、より突っ込んだ仕事の内容や社内の雰囲気を把握する機会を設けて頂きました。また、杉本様にも時間を割いて頂き、相談に乗って頂きました。杉本様には、「2社の業務を比較して、やりたい仕事に優先順位をつけるとどちらですか」 とか、「年収が同じだった場合、どちらの企業を選びますか」 といった質問を投げかけて頂き、自分が決め切れなくて悩んでいたポイントが徐々にクリアになっていくのが分かりました。また、なぜ自分が会社を辞めてMBAへ進学したのかといった初心をリマインドさせる機会ともなり、再度自分自身のMBA進学を志した初心と、価値観からぶれない意思決定をするよう導いて頂きました。
現在、新しい会社に入社して、既に2ヶ月が経過しました。念願の事業企画のポジションにも就くことができ、忙しくも充実した日々を過ごしています。また、新しい企業にも早く順応でき、良いスタートが切れたことに対して、杉本様には深く感謝しています。
しかし、私の同じような境遇にあるMBA同期の友人でも、新しい会社の仕事や風土に馴染めず、スタートから苦労している友人がいますので、必ずしも全ての人が良いスタートが切れるとは限りませんし、中には既に転職を検討している友人も存在します。こうした充実した日々を過ごせているのも、杉本様が単にスキルのマッチングだけを考慮してインタビューに行くことを薦めるのではなく、自分の価値観と社内の状況や社風を把握した上で、自分のキャラクターが会社に受け入れられるか否かまで見極めていて下さったのだと思います。
※下記は、MBA進学を検討されている方へのメッセージです。
もともとMBAに対する私の興味関心は学部生時代に遡り、入社以降も、漠然といずれかの時期にMBAで学びたいと思っていました。MBAへの進学に対する強い想いが湧き上がってきたのは、関連会社のマネジメントを経験した際に、グロービスに約1年半にわたって通学した経験からです。関連会社のマネジメントも経験し、グロービスでも勉強したことにより、改めて大学時代の不勉強を痛感し、もっと体系的に経営学を勉強したいと強く思うようになりました。そうは思うものの、会社を退職してまで進学するという選択は当初は非現実的な意思決定であると思っていましたが、次第に現実的な人生におけるキャリアの選択肢として真剣に検討するようになりました。
MBAの選択では、どこのMBAに行って、何を学びたいかを絞り込む必要があります。私が一橋MBAに進学した理由は、「あの教授の下で学びたい」 という教授が一橋大学に多数在籍されていたという理由が最大の理由です。また、海外MBAと異なり、英語の勉強に多くの時間を割く必要がないということも魅力でした。
・会社を退職してまで、なぜMBA進学を志すのか?
・会社に在籍したままで、MBA進学以外に代替あるいは補完できる選択肢はないのか?
・海外MBAではなく、なぜ国内MBAを選択したのか?
・国内MBAの中でも、なぜ●●MBAを選択するのか?
・MBA修了後、どのようなキャリアを希望しているのか?
(あるいは、MBAへ進学することによって、何を実現したいのか?)
言わずもがなだとは思いますが、上記の問いはMBAの試験 (志望動機書、研究計画書、インタビュー、etc.)、また就職活動のインタビューでも必ず聞かれることであり、MBA進学を希望される方は考えておくべきことです (前職での経験から、ストーリーとして、MBA進学は必要であるという説明をできることはMUSTだと思います。)。ここまで強調する理由として、これらの自分の思いがMBAでの2年間とポストMBAの就職活動を奥底で支える原動力であり、何かに迷ったり、困難に直面したりした際には必ず立ち返る羅針盤でもあることが理由として挙げられます。
MBAは人生における自分の目標達成のためにオーバーエクステンションさせる場であり、教授からは非常に知的ハードワークを求められます。在籍期間中は非常にハードですから、強い意志がないと続きませんし、ただ漫然と学んでも学習という投資に対する費用対効果は低くなるため、MBA進学を検討されている方は熟慮されたことをお勧めします。
MBA修了後、「MBA進学は就職(転職)にプラスに作用するか」 という問いかけをされることがあります。自分自身の体験から申し上げると、基本的には前職における経験がベースとなり、求人案件の求めるMUST条件を満たしているか否かが最初に評価されているというのが実感値です。その後に、MBAの経験が自分の評価にプラスに作用することもあれば、マイナスに作用することもあるというところでしょうか。(ただし、この答えは、マイクロソフトのようにMBA通期採用といったMBAホルダー向けの通期採用プログラムを運用しているような一部の企業を除外してお答えしていることをご了承下さい。)そのため、MBAホルダーであるだけでプラスの評価をされるという、変な期待を持ってMBAに進学するのは辞めた方が良いと思います。
プラスに作用する場合は、企業側がMBAホルダーを欲しい、将来的には自社に貢献してくれるポテンシャルある人材として期待している、あるいはMBAホルダーが社内にある一定数存在するためにMBAホルダーを肯定的に評価しているといった場合でしょうか。これに対して、マイナスに作用する場合は、企業側がMBAに2年在籍していることでビジネスの勘が鈍っている (あるいはない)、MBAでの勉強は経営ごっこである (ビジネスよりも研究向きである)、あるいは前職の経験からMBA進学へのキャリアが良く分からないといった場合でしょうか。
マイナスとして評価する企業は依然として少なからず存在すると思いますから、そんな企業には就職しなければ良いだけの話だと思いますので、プラスに評価してもらえる企業を根気よく探し続けることが重要だと思います。
不安な方は、MBA進学する以前に、転職エージェントに相談に行かれることをお勧めします。私も実際に会社を退職する意思決定をする前に、R社のエージェントに相談に行きました。その時のエージェントのコメントとしては、「プラスにもなり得るし、マイナスにもなり得る」 でしたので、実際に自分自身が経験した就職活動の実感値に近いと思います。
また、実際に、就職を控えた時期の景気状況、各人の年齢とキャリアによって大きく異なります。更に、昨今、国内でも多くのMBAが専門大学院として創設されたことによってMBAが世間的にも認知されるようになり、MBAホルダーは巷に溢れています。MBA修了後の身分としては、2年間ブランクのある大学院生です。このことに十分に留意された上で、MBAに対する変な期待感を捨て、MBA進学によって得るもの、失うものを冷静に考える必要があると思います。
これで、私の体験記は以上となりますが、拙い体験記を最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
私の体験記が、皆様の就職(転職)活動の一助になれば幸いです。
末筆ながら、皆様の、MBA進学、就職(転職)活動が成功することを祈念しています。