博士課程32歳、在外公館勤務後、大手シンクタンクへ

博士課程32歳、在外公館勤務後、大手シンクタンクへ

No.567
  • 現職

    大手シンクタンク  研究員

  • 前職

    米国内の日本政府在外公館  調査員

岩槻 文孝 氏 32歳 / 男性

学歴:私立大学 教養学部 卒
英国の大学院 修士課程 修了
筑波大学大学院 国際政治経済学専攻 博士課程 修了
TOEIC820点

博士課程在学中、特に文系博士の就職難の問題について危機感を持っていました。実際に、職歴をつくらないまま博士学位を取得した後も大学教員などのアカデミックポストに固執し、「食い扶持(ぶち)」 がないと嘆く先輩や同級の状況を直接目にしてきたことから、私は、民間企業や官公庁就職を中心に、より幅広い視野から自分のキャリアを真剣に考えるようになりました。

前職の在外公館で勤務しようと思ったきっかけは、文系博士出身者の就職難の中で、形はどうであれ、実務経験をつけようと考えたからです。実際、在外公館で調査員として勤務する博士課程 (特に人文社会科学系) の学生の数は、決して少なくはありませんが、日本外交の最前線であるこの在外公館で勤務することによって能力を鍛え上げることができると考えたのです。この在外公館での勤務は、朝から深夜まで毎日大変忙しく、土日も出勤していたほどでしたが、担当業務の他に接客、警備、出張者対応を含め幅広い担当外業務もさせて頂き、相当に鍛えられたと考えております。

このような経験は、現在の転職に直接つながるものとなりました。特に、プロ意識と反骨精神を持って完璧且つ迅速に業務を進め、必要ならば自ら新しい仕事を創造するという、同僚たちの仕事に対するスマートな姿勢を見倣うようになり、また、可能ならば外務省に転職したいとも思うようになりました。但し、調査員というポストは、契約職員扱いなので、2年間で帰国せざるを得ず、その後は自力で転職活動をしなければなりませんでした。私の前々任は、任期満了後(つい4年前のことです)、専門調査員の任期満了後に外務省で働くことになりましたが、我が国政府の公務員制度改革により、私の時代にはそのような制度は過去のものとなり、外務省への転職の道は絶たれてしまいました。

帰国してからは、すぐに就職活動に取り掛かりました。帰国後当面は、母校の大学から非常勤講師とリサーチアシスタント(という名のアルバイト)をさせて頂くことになり何とか生活費をぎりぎりで確保しました。とはいえ、アカデミズムの道は、もはや私には合わないと思っていました。その理由は主に、(1) 大学教員になることで、何の能力を磨くことができるのかわからなくなったことから、大学教員への魅力を感じなくなったこと、(2) 仮に大学教員になったとしても、(在外公館では事務官とあまり変わらないような仕事をしてきたこともあり) 学術論文を作成する自分の能力を不安に思うようになったことが挙げられます。したがって、大学教員の道ではなく、民間企業を中心に就職活動を進めることにしました。しかし、会社で働いた経験のない私にとって、どんな業種、職種が良いのか手さぐり状態で、実際に就職活動を進めることとなりました。

就職活動では、「文系の博士課程 → 在外公館勤務」 という私のような人材が、就職難の中で相当苦労するだろうと覚悟していました。私は、就職活動を始めて幸運にも4か月で内定を頂きましたが、この4か月間にひどく精神的に打ちひしがれてきたこともあって、とても長く感じました。

I社とR社を利用しようと試みましたが、I社からは、私のようなキャリアでは紹介できる企業はないと言われ、かなり凹みました。企業経験のない人材に紹介できる求人はない、というメッセージは言われなくてもわかります。
また、R社からは、オタクのフィギュアの海外販売業務や翻訳業務の企業等、多岐にわたる興味深い企業を紹介して頂きましたが、いずれも社風に合うものではありませんでした。

また、「博士課程に行ったのに、研究者にならないのは一貫性がない」 という理由で落とされた面接もあり、心の折れる状況にも何度も遭遇しました。そういった状況でも、実際に数社の企業が博士出身の私を面接に呼んで下さったこと自体が 「励み」 となっていたのは確かです。仮に私に関心がなかったら、一次面接にすら呼んでもらえないことは知っていたし、少しでも私のような人材に興味を持ってもらったことは、その後の選考に進めなかったとしても、常に前向きに受け止めていました。

就職活動を始めて2か月が過ぎた時、エリートさんの 『転職体験記』 をホームページで偶然発見しました。転職体験記の一つに、理工系の博士出身の方が困難な状況を乗り越えて就職していることを知りました。これをきっかけに、エリートさんに連絡を取った上で転職カウンセラーの杉本さんと面談させて頂くことになりました。面談の中で、杉本さんからは、求人市場の傾向を見極めた上で、私自身の強みをどのように活かすことができるかについて、冷静且つ貴重な助言を頂きました。その時の私は、うまくいかない就職活動で心が折れていた時期だったこともあり、再び自信を取り戻すきっかけにもなりました。

2日後、杉本さんから数社をご紹介頂きました。いずれの会社も厳選されたものだと考えさせるものでした。このうちの一社 (大手シンクタンク) が私の第一希望になり、この会社の面接 (1次〜3次) に進み、幸いにも内定を頂きました。私が面接で良かったことは、面接の中でビジネスセンスについて問われた時も、仕事に対する自分の情熱と意欲、そしてこれまでの仕事に対する真摯な姿勢を伝えることができたことでした。特に、2年間の米国での在外公館勤務について、どのような姿勢で業務に臨んでいたのか、これまでの経験がこの会社でどのように活かすことができるのかを簡潔に述べることができたし、面接官側もその点を理解してくれたようでした。一次面接を通過し、二次及び三次面接の度に、いつも杉本さんから激励を頂いたことは本当に心強かったですし、御陰様で、面接でありのままの自分をアピールすることができたと考えています。

転職活動中の方へのアドバイスですが、熱意を心から伝えること、そして、たとえ就職活動で苦しくても、あきらめなければ必ず道は開けるということです。それは、私のような博士出身者にも言えることです。浅い (または無いに等しい) 職歴をどのようにカバーしていくのか、自分なりに十分に考え抜いた上でアピールできたら良いと思います。就職活動を通じて、重要だと思ったのは 「熱意」 だということに気づきました。

また、博士出身者におかれては、「自分が企業で何ができるのか」 を真剣に考えてみると良いです。この作業を一人で行っていては限界があると思います。また、「博士出身者だから、大した職歴もないし、“結局は何もできない”と企業から思われるのではないか」 と自らを過小評価して卑屈になってしまうかもしれません (私が実際にそうでしたから)。したがって、素直に様々な人から助言や意見を仰いでみましょう。そうすることで、過小評価している自分をより客観的に把握し、自分の人間像を適切な形で思い描くことができます。これこそが、就職活動を進める上で建設的な方向性だと思います。これは、博士出身者以外にも言えることです。

それから、博士出身者に限らず、転職活動をされているすべての方に言えることですが、「自分にはこの業界しかない」 などと自分自身の可能性を自ら狭めないことは重要だと感じました。自分自身にどのような可能性があるか、様々な面から考えることも重要です。一部の博士出身者からの批判を覚悟して述べますと、「大学教員の道しかない」 と考えている博士出身者は多いですが、そういった考えに固執することはとても勿体ないことだと考えています。より自分に合う、また、自分の能力が発揮でき得る様々な可能性も真剣に考えてみては如何でしょうか。

改めて、この場を借りて、就職活動を全面的にバックアップして下さった転職カウンセラーの杉本さんには、心から御礼申し上げます。御陰様で、より効率的な就職活動を進めることができました。ありがとうございました。

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