一部上場 総合商社 輸送機械部門 管理課 総合職
一部上場 財閥系総合商社 コーポレート部門 経理部 予算立案・M&A会計担当
佐々木 譲 氏 34歳 / 男性
学歴:慶應義塾大学 総合政策学部 卒
米国 Georgetown大学 交換留学 (1年間)
スイス IMD MBA 修了
財閥系総合商社で9年弱の勤務後、MBA留学を機会に退職。元々は卒業後帰国せず、国外で就職することを視野に入れていたものの、留学中に考えを変え帰国しました。
しかし、帰国後の転職活動を想定して留学前や留学中に充分な準備をしていた訳ではなかったため、振り返ってみると後手に回る対応が多かった転職活動であったように思います。
そのような中で、(株)エリートネットワーク様のサポートを得ながら、幸運にもいくつかの業界の会社から内定を頂き、晴れて総合商社に戻ることを決意。結果的に、五大総合商社間での転籍となりましたので、拙筆ながら、転職活動をされる方のご参考になればと思い、記させて頂きます。
まず初めに、自分のケースがかなり異例であり、世の中には珍しいケースもあるという体でお読み頂きたいことに触れさせて頂きます。
特殊である理由の一点目は、総合商社間での転職であること。執筆時点で自分自身、10年以上総合商社業界にいることになりますが、総合商社間での転職は自分の例を含め合計2つしか、個人的には聞いたことがありません。野球やサッカー等のプロリーグで例えれば、それぞれのチームにおいて独自のファン層、強み弱み、リーグ内での歴史がある中で、チーム間転籍は比較的あり得るものとして受け入れられていると思います。しかし、総合商社業界では、それらプロリーグと同じようにそれぞれの企業 (チーム) に専属の顧客、強み弱み、業界内での位置付けがありつつも、「これからは新しいチームの一員としてプレーさせて頂きます」 という理屈は、通常は通用しません。
二点目は、総合商社への中途入社組としては、かなり年齢が高い時点での転職であったこと。
自分が過去に聞き及んだ商社への中途入社の方の年齢からしても、また、(株)エリートネットワーク様からお聞きした話としても、総合商社への中途入社は、社会人10年目になる前のケースが殆どとのこと。従って社会人10年目を超えた自分の年齢で今回採用して頂くことができたのは、例として全くない訳ではないものの、決して多くはないようです。
学部新卒での就職活動では、「必ずしも駐在できなくてもいいから、海外と何らかの関わりがある仕事」、「将来世界レベルで戦える仕事」 というような観点等で動いた結果、なんとか財閥系総合商社から内定を頂くことができました。元々、親の駐在に着いて行くのではなく、自分の意思で高校時代を単独でまるごと海外 (米国) で過ごしたり (しかも3年間ではなく4年間)、大学在学中も交換留学制度を利用して1年間留学するなど、海外志向が強かったことや、語学面でも既に一定レベル身になっている点などを認めて頂いたのだと思います。
新卒で入社してからは、外資系ではなく日本企業に来たことを肝に銘じるため、「配属は天命なり」、「若くては特に、私を滅して公に奉ぜよ」 などを意識して過ごしていました。また、海外かぶれ、且つ体育会出身でない自分は、通常の日本社会で言う先輩・後輩の “縦の関係” に不慣れであることも自分で認識していましたので、「先輩は絶対」 とは言わないまでも、「上下関係に相当注意しなければならないはず……」 と意識していたのを覚えています。
しかし実際には、厳しく叱られることはありながらも、海外からの帰国子女者にありがちな日本企業での上下関係にストレスを感じるというような経験は一切なく、同期、先輩、上司に大変恵まれていたと思います。また配属先としても、幸運にも自分がかなりやり甲斐を感じるチームに配属して頂き、凄まじく多忙な、成長できる環境に置いて頂いたことには、今でも感謝しています。
また蛇足ですが、総合商社に新卒で入社して自分にとって良かったことは、単にキャリア上の側面に留まりませんでした。入社当初はそれ程意識していませんでしたが、転職後の今でも付き合いのある同期達は、自分にとっての宝になっていると強く感じています。
以上のように非常に恵まれた環境の中で仕事をさせて頂いていたものの、自分の心の中に仕事に対してある思いがあることに、入社後しばらくしてから気付くことになりました。入社前は、「総合商社と言えば、メインのビジネスはB to Bであり、川下より川中、川上の産業と共に生きる業種」 程度の認識で、その認識自体は全く間違いでないものの、「自分が本当に興味を持てる業種は何なんだ」 という観点については考えたことがありませんでした。しかし同期と話をしたりする内に、自分が興味があるのは、所謂、昔から日本の産業を下支えしてきたと言われるような、より川上に近い、重厚長大な産業であることに気付いたのです。
通常、新卒の学生が興味を持つ業種というのは、消費者として身近に意識することが多い商品・サービスを扱う業種であり、具体的にはテレビ、新聞等のマスメディア・広告、携帯電話、スマートフォンアプリ、レストラン、飲料等だと思います。そんな中で自分が消費者から離れた川上、つまり資源、エネルギー、インフラ、重工業等に興味を持っていることは、自分自身にとっても長年の謎でありましたが、今回の転職活動を通して初めてひとつの仮説に辿り着きました。自分の家庭環境です。
自分が知る限りの昔に遡れば、ルーツとして自分の曽祖父は戦時中も東南アジアで各種の鉄鋼製品を取り扱っていた 「鉄の人」 であり、また祖父も曽祖父と同じ製鉄会社で生涯働いた 「鉄の人」 でした。
・企業との本当のつながり
(株)エリートネットワーク様には、単に各企業の求人に自分を当てはめるのではなく、自分という案件を各企業に逆提案して頂く形で、サポート頂いていたものと想像しています。
他のエージェントの方にお世話になっていた際は、そのような印象を持つことはありませんでした。他のエージェント様においても所謂 「Confidential案件」 を紹介頂くことはありましたが、それらはあくまで企業側からの個別の要望に基づく求人情報であり、企業側からの個別の求人票を見ない中でも、現時点で各企業において特にどんな人物 (像) が求められているかについて把握していらっしゃったのは、(株)エリートネットワーク様だけであったと思います。
・型にはまらない
上記について違う言い方をすれば、(株)エリートネットワーク様は 「転職者を型にはめない」 と言えます。 (正確には 「型にはめないこともできる」 でしょうか。)
他の多くのエージェント様では、恐らく 「業界」 「職種」 「職位レベル (第二新卒か、若手か、中堅か、初期管理者か)」 の3つの観点のみで自分を判断頂き、求人を紹介頂いていましたが、(株)エリートネットワーク様ではその他に、自分の性格やキャリアに関する志向・嗜好という観点からも、自分を深くご理解頂き、各業界、各企業へのフィット感をご判断頂いていたと思います。
・日本の企業社会に関する深い理解に基づく、的確なアドバイス
色々な転職エージェントがそれぞれ全く違う強みを持つ中で、転職エージェントの方から頂けるアドバイスというのは、転職者にとって必ずしも 「ドンピシャ」 という訳ではないと思います。心に突き刺さるアドバイスを運よく頂けることもあれば、自分のプロフィールがたまたま、そのエージェントがあまり取り扱った経験のないもので、そのエージェントの方としても何のアドバイスもしようがないということになると思います。
しかし、そのような中で、(株)エリートネットワーク様から私が頂いたアドバイスは、他のエージェントの方々からは聞くことのなかった、当時の私にとって ぴったり なものでした。
「あなたの認識は、一部、日本の転職市場の座標軸からずれている部分がある。その部分についてのみは、認識を変えた方がいい」
「あなたは現時点で全く異なる人物像・メンタリティーを求めている2つの企業群を追ってしまっている。自分自身を混乱させないためにも、アプローチする企業を最初はどちらか一方に絞りましょう」
「企業の面接官達は、あなたのプロフィールについて、○○○○○という印象を持って当然。なのであなたは、“ 実際は違うんだ、本来の私は×××××なんだ ” ということを確実に伝えるように留意して下さい。言葉でも、言葉以外を通しても。」
上記は数例ですが、(株)エリートネットワーク様には自分にとって決して耳障りのいいことだけでなく、自分の転職活動を成功させるために真に必要なアドバイスを頂いたと思っています。想像になりますが、他のエージェント様からこれらを聞くことがなかなかったのは、やはり、日本の企業社会や各名門企業の社風や採用基準に対する理解度の深さと、私をどこまで深く、多面的にご理解頂けていたかに差があったからでは、と思っています。
着任2ヶ月目ですが、お蔭様で、新天地の総合商社で順調に再スタートを切ることができました。本当にお世話になりました。