消費財の小売チェーン本部 情報システム部門 管理職
大手ITベンダー PM/SE
大手会計ファーム システム監査/ITリスクアドバイザリー業務担当
二村 義博 氏 42歳 / 男性
学歴:国立大学 工学部 卒
TOEIC850、PMP、HP/Sun/Oracle認定技術者、第一種情報処理技術者、ITIL Foundation、CISA、システム監査技術者等
40歳を過ぎ、大学卒業後約20年超、定年を仮に65歳とみれば、ちょうど 「折り返し地点」 に差し掛かりつつありました。
これまで、SI企業や監査法人等の複数の企業において、(クライアントに役務提供する) ベンダ側でITの経験を積んできました。具体的には、大学で情報工学を専攻後、プログラマ → SE → プロジェクトリーダ (PL) → コンサルタント / プロジェクトマネージャ (PM) という流れで、ITの経験を積むと同時に、語学留学で培った英語力を武器に、グローバル案件や海外駐在にも積極的に従事。グローバルビジネスのスキルも身に付けてきました。併せて、これらの従事を通じて、製造業やサプライチェーンマネジメントといった特定のインダストリーや業種に係る業務知識も培って参りました。
ベンダ側にあって、これまで、「IT × グローバル×業務知識」 の軸で自らのキャリア構築を継続し、冒頭にある 「折り返し地点」 を迎えつつあるとの認識がありました。折り返した後、長い目で見てどうありたいか……との問いに、ベンダと逆の立場、即ち、ユーザー企業・事業会社の所謂Cクラス (CIO) を目指したい、様々なベンダの立場でこれまで培ってきたITの経験や知見を総合的に発揮・活用して1つの企業の経営・成長に貢献したい、と考えるようになりました。
いつからこのような考えを持つようになったのか、特段の動機や分岐点はありません。ただ、上述のようなキャリアを一つ一つ積み重ね、振り返った時に、「残り半分」 を、上記のようなフィールドで生きていくことが自分にとっての理想・ベストと考えるようになっていました。
幾つかの人材紹介会社に登録し、上記の背景や志向を伝えました。エージェントから候補企業を紹介頂き、書類選考・面接に進めさせて頂く機会を複数得ました。
ユーザ企業のIT部門長・CIOもしくはそれらに準じるポジションでの求人数は、SEやPM (プロジェクトマネージャ) といった非管理職のポジションと比して、絶対的に少ないように感じます。
当該ポジションがオープンであっても、募集要件が非常に具体的且つ詳細であり、これを一つでも満たせないと (いくら応募したとしても)、初期の書類ベースのスクリーニング段階で、無条件に落とされてしまう傾向が強い、たとえば、「小売業におけるXXXXパッケージシステムの導入歴」 の要件に対して、当該パッケージは触ったことはないが小売業クライアントとは何度かお付き合いしたことがあるので……というレベルで応募しても、書類選考で落とされる可能性が高いように感じます。
昨今の経済状況を踏まえると、求人企業側も、以前のようなポテンシャル採用・似たようなことをやってきているようなので多分大丈夫だろう……といったレベルで採用できる余力は無くなってきており、採用担当者も、(社内の経営陣に対し、採用失敗が許されないようなプレッシャーがある中で) 自社の環境に100%マッチした人材を求める傾向が強くなってきているように感じます。
必然的にこの数少ない当該ポジションに、求職者が殺到することになります。上記の求人企業側のスタンスも踏まえれば、現職が、ユーザ企業のIT部門長・CIO等であれば、他の求職者との大きな差別化につながり得ます (次の選考段階に進められる確率が上がる)。言い換えれば、そうでない求職者、たとえば、ユーザ企業側でなくITベンダ企業在籍の求職者は、その事実だけで、大きなハンディとなり得ます。よって、この場合、そのハンディをプラスに転じられるだけの 「強い何か」 を保持、アピールできるかといったチャレンジに迫られます。
また、IT部門長・CIO等の求人であれば、「マネジメント経験」 と一言に言っても、豊富なシステム開発のPM (プロジェクトマネジメント) 経験だけでなく、自組織のラインマネジメント経験についても説明、アピールが求められる傾向が強いと感じます。
一方で、ユーザ企業ということで、非常時には自らハンズオンで対処できるプレーヤーとしてのマインドや能力、具体的なITスキルや経験についてもアピールが必要になるケースが少なくありません。
求人企業が特に、外資系の場合、豊富な英語力及びグローバルビジネス経験が求められるのは自明ですが、IT的には、ITIL (IT Infrastracture Library) に対する基礎的な理解を前提にしている傾向が強くなってきているように感じます。外国人との面談でも、ITILでの軸・ワードをベースに行われることも少なくないように感じます。
また、外資系の場合、必然的に 「グローバル企業の日本ブランチ」 という位置付けになることから、アプリケーションと、インフラ(ネットワークやサーバ構築・管理等)のどちらかと言えば、後者の経験を重視する企業も少なくないように見えます。特にインフラ経験のなかでも、最近のIT動向の一つである、サーバ仮想化に係る実務経験を、企業やその企業の本社 (本国HQのIT部門) から問われるケースも少なくないように思います。
(株)エリートネットワーク社のご担当様より、適当な案件があるということでご紹介頂きました。その頃、現職では、プレイングマネージャとして約30のコンサル案件に関与しており、それらの案件の進行・クロージング見込、「切り・手離れの良さ」 を踏まえると、ご紹介頂いたタイミングから 「1か月半」 後くらいには、内定を得て会社に退職意思を表明したい……といった時間的猶予のあまりない状況でした。
(株)エリートネットワーク社ご担当様のタイムリーな対応もあり、間もなく、書類選考、1次面接 (人事部長)、2次面接 (IT部門キーマン) とパスすることができました。しかし、あと最終面接 (社長、会長、役員) という段階で、足踏みの状況に入りました。当該企業は非常に動きが早く、競合の激しい業界にあることから、経営陣自らも日々、国内外を飛び回っている状況であり、最終面接の日程をセットすることが困難な状況とのことでした。
(株)エリートネットワーク社ご担当様の継続的且つ粘り強いフォローもあり、2次面接後ようやく最終面接の日程が一旦セットされました。ご紹介頂いてから既に1か月が過ぎており、最終面接も1か月半に迫るタイミングで、なんとかセット頂きました。
この経緯や状況も踏まえ、自身のほうでも、上述の 「1か月半」 を超えて、どこまで待てるか……頭の中で、現職の現状・詳細を改めて棚卸した上で色々なシミュレーションを行った結果、更にあと半月ほどであれば……という整理に至り、その旨ご担当様にもお伝えしました。
そのような中、当初予定した最終面接の前日夜に、「至急の用ができ、社長の明日の帰国がなくなったのでリスケしたい」 とのショッキングな一報が入りました。
ただ、(株)エリートネットワーク社ご担当様も、冷静でした。ご担当様は、求人企業の人事部長との関係を非常に良好に維持しておられ、私の状況も適時適切に、先方にお伝え頂いていたようでした。併せて、人事部長の本音に近いところも、ご担当様を介して知ることができ、時間的に非常に切羽詰った状況下、それらを拠り所に、モチベーションを維持することができました。
結局、リスケの一報から約10日後に最終面接を受けました。この10日間を、私は、最終面接前の 「ネタ収集」 に充てることにしました。一例として、最終面接直前の週末に、自宅近くの、求人企業の店舗と、求人企業の競合企業の店舗の2店舗を、家族でハシゴしました。社長、会長レベルとの話になると、IT職といえども、ヒト、ビジネスパーソンとしてのより本質的な話が中心になるのではとの思いがあったからです。
2店舗ハシゴして、自分や家内、子供がそれぞれどう思ったか、感じたかを整理し、最終面接でお伝えしました。面接官各位もこれを前向きに捉えて頂いたようで話も弾みました。面接直後に別途人事部長より個別に、「社長ら経営陣も非常に満足している、内定としたい」 とのお話を頂きました。「急転直下」 とはまさにこのこと……と強く感じた瞬間でした。
人事部長も、(株)エリートネットワーク社ご担当様経由で、私の時間的制約を気に掛けて頂いていたようでした。少しでも早くということで、翌日朝に内定通知書をご送付頂き、その日のうちに会社に退職の意思表示をすることができました。本案件ご紹介から、約2か月のことでした。尚、入社日は、内定通知書を頂いてから約2か月後とご配慮頂きました。お陰様で、引継作業も比較的順調に進めることができました。
各人材紹介会社に係るポジティブな面については、色々なところで公開されていると思いますので、ここでは、自身が個人的に感じたそれ以外の面について記載します (尚、(株)エリートネットワーク社は、以下には含まれておりません)。
・大手のR社やP社など: 人材 「仲介」 業者。私の担当者は、IT業界や管理職枠に特に精通している訳でもなく、自社の看板だけで、私と企業の間に入って単に 「御用聞き」 を行っているといった印象を強く受けました。求人企業側の募集条件を、履歴書・経歴書の内容に照らして○×をつけ、×が少なそうならとりあえず企業に書類を送付……といったように、ある意味 「機械的な」 印象も受けました。
・外資系のエージェント: 上述の 「機械的な」 印象がありました。各ご担当様の営業成績に繋がるのか、こちらがあまり意図していない業種や領域について 「チャレンジしてみませんか」 といった、押しつけ的な案件紹介も少なくありませんでした。