31歳、MBA留学から、M&Aコンサルティング会社へ

31歳、MBA留学から、M&Aコンサルティング会社へ

No.759
  • 現職

    M&A・事業再生コンサルティング会社  シニア・アソシエイト

  • 前職

    事業再生コンサルティングファーム   アドバイザー

矢嶋 啓太 氏 31歳 / 男性

学歴:私立大学 社会学部 国際社会学部 卒
海外MBA 修了予定  ( full-time, Top5 student )
USCPA 2科目(FAR、AUD)合格実績あり
IELTS 6.5 (海外大学院英語力証明テスト)

外資系会社からコンサルへ

新卒で飛び込んだ会社では上手く行かずに、地方から上京する形を取って外資系企業の経理部に入社。そこから約2年間今思えば英語がカタコトでも話せれば、ユルユルの環境に浸かっていました。しかし、さすが (?) は外資系のカルチャーとあって人の回転率が非常に高く、40人を超える大部隊であった部署も気がつけば15人程に縮小。辞めても海外本社からの決済が下りずに補充が出来ず、日に日に仕事の量は増えるばかり。それを理由にまた人が辞めていくという悪循環の中、このままではマズイと US.CPA (米国公認会計士) の勉強を開始。勤務後に専門学校に行き授業を受け、土日に自習室で15時間ずつひたすら机に向かう日々を始めました。その結果、4科目中まずは2科目をグアム州での試験を経て合格 (当時はアメリカでの受験のみだったため)。その後、残りの2科目の受験準備中に突如アメリカ本社から日本法人の規模縮小を宣告され、その後 US.CPA の科目合格を武器に小さなコンサルティング会社に転職。

コンサル 1 : コンサル会社でのカースト制度

「コンサルティング業務は決して華やかなものでなく、むしろドブ掃除のような仕事だらけだよ。覚悟はあるかい?」 この面接での質問は本当に的を射ていると実感したのは入社間もなくしてのことでした。出張が有れば朝5時起きで徹夜作業の連続。オフィス勤務の際は週に1回着替えを取りに自宅へ戻る終電と始発のみで、基本オフィス住まい。週に2回のネットカフェでのシャワーの時間以外は全て事務所とクライアントへの訪問を繰り返す日々でした。幸い年齢は20代という、体力が全てというタイミングでなければ乗り切れないものがあり、同僚が次々と職場を去ってゆく中、良くも悪くも常に業務は山積みになっていたため、人一倍の経験知を得ることは出来たと今でも後悔のない選択だったとは思っています。

コンサル 2 : このままで良いのか?

その後、ある程度仕事が回せ、任せてもらえるようになるものの、自身が士業 (会計士/税理士/弁護士等) では無いことへの限界を多々感じることもあり、自分を見つめ直す時間ときっかけが欲しいと考え、行き着いた先はMBAの受験でした。毎日、深夜2時に仕事を終え、そのまま事務所で毎日2時間の受験勉強を開始。8ヶ月後にこっそりと受験を終え無事合格。退職時には少しモメはしましたが、無事に退職。日本を離れて海外でMBAを取得することになりました。この時点では明確に 「MBA取得後にこういった具体的なキャリアを!」 ということは無く海外生活を経て、何か見えてくるだろうと楽観的なものでした。

転職活動 1 : (株)エリートネットワークさんへの登録とカウンセリング

帰国を前にインターネットを通じて(株)エリートネットワークさんに登録。コンサルティングファームか事業会社に進むかを迷っていたため、案件の絶対数の多さに引かれたのが数ある転職エージェントの中からの決め手になりました。
初回のカウンセリングでは、これ以上、財務会計のフィールドを進みたくないことや、自身の市場価値や未経験のフィールドへの可能性等を中心に相談し、投資やM&Aサイドへの転職を試みることとしました。

転職活動 2 : 転職活動開始からタフなスケジュールへ

結論としては、証券会社と難易度の高めのコンサルティング会社には書類選考でカスリもせず、一瞬でお悔やみメールが山積み。さすがにここまで鳴かず飛ばずではヘコむこともありましたが、その他の会社は中々の書類審査率であったため毎日 1〜2社の面接をコンスタントにこなしてゆく日々が登録後一週間して始まりました。
振り返れば、全5週間の中で、3〜4週間目は各で 10本ずつ面接を詰め込むことになったため日差しも暑い中、「朝一で面接」→「マクドナルドでコーヒーを飲みつつ時間調整」→「面接」→「ファミレスか漫画喫茶で食事と時間調整」→「面接」もしくは翌日の準備の繰り返しとなり、少しグロッキー気味にもなっていました。書類選考が通ってこその状況ですので嬉しい悲鳴ではありますが、しんどいというリアルな悲鳴でもありました。

転職活動 3 : 面接担当者とのやりとり

多くの面接を経て改めて実感したことは 「面接官もやはり人間であり、面接中に如何に売り込むか、コミュニケーションを取るかがキーとなる」 ということでした。具体的には、面接官が 「笑み」 のレベルではなく、「ハッキリと笑う」 事があれば高確率でその面接はパスすることができるという (個人的な) 感覚を持ちました。中でも印象深かったものは

良かったケース [1]
一次面接の時点で重役の方とのやりとりで相手が 「お前、おもしれーな、俺も若い時同じミスして怒られたよ。言い訳も同じだしな」 と手を叩いて笑っていた会社では最終面接までその重役が計3回立ち会い、最終面接で社長に向かって 「こいつは取りましょうよ。」 と目の前でねじ込んでくれたケース

良かったケース [2]
面接中、「今まで手を焼いた経験とその対応策」 話が盛り上がり過ぎて脱線し、会議室が時間制限で使えなくなった為、近くの喫茶店へ移り仕切り直して計2時間以上の面接をする中で 「お前気に入ったから、聞きたいんだけど (年俸) いくらだったらこの会社に来ても良いって思うかこっそり教えてよ」 と言ってもらえたケース

良かったケース [3]
また、二次面接を担当してもらった執行役員の方とは大学時代の麻雀と飲み会の話で華が咲き、「気に入ったから今から社長面接も済ませちゃおう。10分位適当に話してくれればそれでいいから」 といきなり最終面接に持ち込まれ、その場で内定。

良かったケース [4]
英語での面接中、海外生活の中で食べ物の違いの話になり、そこから上手く異文化理解の話にすり替えると面接官の経験とダブって見えたのか、「仕事はやり始めれば慣れていくものだから、心配しないで」 と態度が豹変して最後に 「僕がほんとうに美味しいパンを今度ごちそうするよ」 と言われ無事合格。

ある程度業務がこなせる前提はあるものの、決め手は面接官との会話のキャッチボールが大半を占めているのだと感じました。しかしながら、同じやりとりをしていても全く違う反応が返って来ることもあり、結論としては、何を言ってもこの面接は上手くいかないと面接中に感じることもありました。

上手く行かなかったケース [1]
開口一番で 「お前、何ができるの?」 と質問を問い掛けてきた面接。特別なケースではあったとは思いますが、雰囲気的にも話が盛り上がることも全くなく、終了。当然結果も伴わず。

上手く行かなかったケース [2]
面接官 (会計士) からの連結会計の処理に関しての質問の中で 「基本的なことは出来ます」 という返答が気に触ったらしく、「なんで会計士でも無い君ができるって言えるの? 何が基本なの?」 と先方の態度が急変し、説明もそれほど悪くなかったとは思うのですが 「ふーん、まぁ実際はどこまで分かってるんだかねぇ〜」 とつぶやかれてそこで終了。

上手く行かなかったケース [3]
英語での面接中、何故か神社の話になり、そこから少しプライベートな話になった後 「無神教です」 と答えると、とある宗教 (実名伏せる) の素晴らしさを15分程説教され、その後笑顔を取り戻したように見えたが、やはりそこで終了。

上記の経験も踏まえ、あくまで主観ですがある程度の許容範囲の雑談 (脱線) であれば盛り込み、面接の空気を明るくすることが一つの重要な通過の基準になるのでは無いかと思いました。加えて、相性というのは存在するものなので、どれだけ頑張っても響かない面接官とのやりとりは避けられないものであり、そこは運だと割り切って落ちた際は気にしないことにしました。

転職活動 4 : うまくいかないスケジュール感

エージェント様からのある程度の事前のスケジュール感や採用ステップの流れ (面接の回数) が把握できたためそれに基づき各社の面接の日程を細かく調整し (てもらい) ながらも、現実には面接官のスケジュールや他社との兼ね合い/駆け引きであちらを立てればこちらが立たず、と言った何度も微調整を行いながらの日程調整を繰り返しました。「現実的には全ての面接に進んだ企業を並べて比べることは日程的に不可能ですよ」 と教えられ、最終的には最後の5週間目に絞り込んだ3社の日程を絞り込み、結果を待つことにしました。

転職活動 5 : MBAの価値はどこまであるものか?

持っているからといって、有利になる訳では決してないと (個人的に) 感じました。少なくともMARCH以上の学歴や、相応の英語力を兼ね備えていれば、要した費用を考慮すると本当に必要なものかは疑わしいかもしれません。「結局、きみはMBAに行って何が変わったの?」 と聞かれた時に、それが受験している企業に対してどこまでポジティブな返答ができるかは特に悩みました。後は、英語力のそれなりの証明扱いになったかなとは思います。

転職活動 6 : 英語力に関しての評価

もし、転職を現在お考え且つ英語に関してご関心のある方がいらっしゃれば、まずはTOEICで一般的にランクAとされている860点の突破にチャレンジされることをオススメしたいです。(ランクB,C共に730、680だったかと思います。) と言うのも、多くの企業の面接時に 「あー、英語ができそうだから助かるね」 と言ってもらえる機会が思った以上にあり、裏を返すと英語 (もしくは他の言語) は多少の実務経験不足でも引っ張ってもらえる武器になり、もし業務で英語を使っていた経験等がアピール出来ればそれだけでかなり他の候補者との差別化ができると感じました。駅前留学半年でも、ある程度話せて聞けるようにもなるらしく (外資系時代の同僚数人の経験より)、英語での面接も特別マニアックな単語が出ない限り乗り切れると感じました。

転職活動 7 : 転職活動を振り返って

この転職活動を振り返って、当たり前の話ですが 「自分自身の市場価値」 や、「結局、自分の人生で何がしたいのか?」 といった問題は自分と話し合わなければならないと実感。実際に、(株)エリートネットワークさんの門を叩いた時点、転職活動中、そして最終候補を比較検討しているステージではかなり考えが変わって (研ぎ澄まされて) 来ていることが分かりました。作業はカウンセラーに任せられるが、自分自身の人生/選択/責任は自分で決めるほかないので全てを鵜呑みにせずに一晩必ず時間を置いて回答するように心掛ける。

私の場合、企業側からの評価の対象になったであろう点は以下の4点
・コンサルティングファームでの実務経験 (4年以上)
・マネージメント経験
・英語力 (TOEIC900点相当)
・財務会計知識 (実務とリンク)

[1] 面接でどう対応してゆくか
面接を数社繰り返すと求められる点、評価点、懸念点が自然と浮かび上がってくるため各社共通の面接対策となる。私は面接が苦にならない性格だったため、笑い話も含めて上手く違う会社の面接の経験を活かせたと感じています。逆に、足りないと感じるものは上手くフォローできる言葉や理由が自然と分かるので違う企業での面接の失敗も確実に次の会社の面接の肥やしになると感じました。

[2]どうやって一つの転職先へ絞り込んでゆくか
これを大きく 「専門的に特化させてステップアップを目指す」 「仕事のフィールドをなるべく広げるようにして汎用性を高める」 の2つの観点から後者を選択。これをしつこいくらいカウンセラーに相談して、面接中にどう答えていくか、どの会社を選択して人生に反映させるかを突き詰めてゆく。カウンセラーはあくまでカウンセリングとアシストをしてくれるが自分の人生に責任は持ってくれないのは肝に命じて動く。一年後に再度転職のお世話はしてもらえるだろうが、人生の時間は返ってこない。

余談 : エージェントを使うメリットを最大限に活用する

[1] とにかく大量エントリー (入り口の時点で選別し過ぎない、過剰に考えない)
シンプル且つ極めてアバウトな方法で、とりあえず可能性のありそうな求人案件には幅広く応募し、書類通過をした会社を好き嫌いせずにひたすら受けていく。極論、受けて実際に面接するまで企業そのものは分からないので、原始的ですが確実性の高い方法だと判断。最初の時点でおそらく全部で40社ほど一括でエントリーさせて貰いました (他エージェント様合わせて)。それをエクセルに入れて重複を避け、選考中の弾数が少なくなれば一定期間を目処に補充してゆくといったもの。

[2] 進捗管理は何もしない
スケジュールは完全にカウンセラー任せ。一週間のカレンダーで面接等で埋まっている時間を共有し、移動時間を含めた時間調整等は全て指示通りに動くことで極力労力を減らし、メールと電話で進捗状況を確認してもらう。

[3] あまり準備に時間を費やさない
履歴書も、数パターン最初に作成したのを使い回す。今日は 「事業会社用志望動機書」、明日は 「コンサルファーム用セット」 と言ったスタンスで、何枚か自宅にストックしておき持参。使用すれば補充、しなければ違う会社へ使い回し。とにかく自身でしなくても可能な作業は、エージェントサイドに任せる事を徹底。

[4] 困った際は何でもカウンセラーに聞く
予め、先方が何を求めているのかを面接対策にカウンセラーから事前に電話やメールで聞いておく。そこに自身の考え等を練り込んで面接。面接中の事故やすれ違いはカウンセラーに報告して軌道修正してもらう。とにかく、自身がすることは電車での物理的な移動と面接の数をこなすこと。確率的にも何社かは必ず残るので、そこから絞っていく。情報戦はエージェントを使うことでなんとでもなる。

[5] 転職活動のペースもカウンセラーに全て任せる
複数社の面接は必ずスピード感に誤差が生じるので、そこはカウンセラーにすべて任せる。エージェントはプロなのでなんとか出来てしまう。面接中に困った時も全て 「では、1回エージェントに聞くか、彼ら経由で回答します」 で逃げる。あとはなんとかしてもらう。

他エージェントと併用して進めるという事

面接官と受験者との関係と同様に、カウンセラーと自分自身も相性があるのは人間なので当然としてあるものだと考えています。私は3社 (実質2社) を平行でお世話になり、企業名以外はコンディションを全て共有し自分にとってベストな状況になるようにエージェントを活用させて頂きましたが、担当して頂いた廣重様はかなり凄腕な方だったため、7 : 3ほどのウエイトで他エージェントとの関与となりました。決め手はカウンセラーの方との相性 (敏腕性、多少強引に進めてくれる人の方がトータルでは良いと思います) とそのエージェントの持っている情報量 (案件数、クライアント先の内部事情、特定のマーケットへの強さ) に尽きると感じました。

最後に転職活動期間を振り返って

転職エージェントにお世話になる最大の理由は、自分自身の負担の軽減だと感じました。特に案件数の多い大規模なエージェントと、自分自身の希望する業界に対して特化しているエージェントを複数社併用し、「弾数の少ないエージェント」、「対応の遅いエージェント」、「相性の悪いエージェント」 をシビアに切ってゆき、最終的に2エージェント(程)で合計内定3〜4社の中から決めるという方法が理想的だと感じました。
裏を返せば、これだけの情報社会の中で自分だけで一つの会社を探してゆくのは在職/離職中であってもかなりの労力を費やすことになり、非効率的だと思いました。
ある種、機械的に進めてゆく部分、何時間かかってもカウンセラーと詰めてゆかなくてはならない部分を適切に見極め、自分自身の人生の舵を切るカウンセリングをしてもらえるエージェント選びは非常に大事だと感じました。そして、(株)エリートネットワークさん及び担当カウンセラー廣重様には、非常に感謝しております。

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