香港駐在経験を生かし、貿易商社への転職

香港駐在経験を生かし、貿易商社への転職

No.768
  • 現職

    一部上場 財閥系総合商社グループ 電機・機械商社 貿易事務

  • 前職

    一部上場 財閥系物流会社    法人営業職 (総合職)

枝澤 千代子 氏 29歳 / 女性

学歴:早稲田大学 政治経済学部 経済学科 卒
北京対外経済貿易大学 語学留学 (1年間)
TOEIC 870点
HSK(中国語検定) 6級

大学生の時に北京へ語学留学をしたことをきっかけに、新卒の就職活動時期から中国で働くことが将来の目標となっていました。中国現地での就職も考えましたが、新卒では中国でも良い職は見つからないことが分かり、一旦日本で就職をすることにしました。新卒の就職活動では、「中国で早い段階から働く機会を与えてくれる会社・経済を支えるような事業を行う業界」 という軸で化学メーカーと、物流会社を中心に入社試験を受けていました。
最終的に入社を決めたのは、「中国事業を拡大している・海外研修制度で若手も海外に行くチャンスがある・安定している」 財閥系物流会社でした。女性総合職が少ないことについては聞いていましたが、実際に中で働いてみないと実態は分からないだろうと考え、入社を決めました。入社1年目から海外研修に希望を出しており、3年目には希望通り、香港での海外研修生に選ばれました。ずっと希望をしていた中国での勤務が決まり、夢が叶ったように嬉しかったです。

香港での研修では現地社員に混ざり、輸出入業務・倉庫貨物管理業務を担当しました。香港では北京語が通じるので、言語面で特に不自由はなく、物流のハブとして成長を続ける当地で物流制度の仕組みを学ぶことができたのは貴重な経験でした。現地スタッフとBBQをしたり、名物の上海ガニを食べたりと、仕事以外の交流ができたことも良い思い出です。社外では、同じく物流会社で働く女性の方々と交流会を開いたり、私と同じように研修生として働いている同年代の方たちと交流をして、多くの人と出会うことができました。

こういった生活を楽しむ一方で、駐在員という立場の厳しさも身を以て感じました。香港が休日でも、日本が営業していれば日本から携帯に問い合わせ電話が来る、お客様が日本から来たら休日でも接待をするなど、プライベートでも常に仕事に追われているように思えました。前職では世界各地に駐在事務所がありましたが、どの駐在員の人数も事業規模に比べて明らかに少ない配置で、経費削減のために更に減らすといった噂も出ていました。このような現状を見て、「駐在員生活は私には絶対無理だろうな・・・・・」 と感じました。また、香港での空気汚染が原因と見られる体調不良から病院に通った時期もあり、健康面でも海外勤務に不安が残りました。こうして、学生時代からの希望だった憧れの海外勤務を叶えた訳ですが、1年間の海外勤務を終えた時点でその夢に対する熱い思いも消えていきました。若いうちに機会を与えられてこのような結論を出すことができたのは、とてもラッキーだったと思います。

帰任後は大阪本社の営業部に配属になりました。社内でも花形部署とされる営業部での仕事、初めての関西での生活ということで最初は積極的に仕事に取り組んでいました。
最初の頃は新しいことばかりで楽しく仕事をしていたのですが、時間が経つにつれ、2つの疑問点が出てきました。

一つ目は会社の保守的な体質です。物流費用というのは荷主様である各メーカー内でも削減したい費用の筆頭であり、結局価格勝負になっていました。しかし、前職では安い仕事は引き受けず、結局他社に仕事を奪われることもありました。それならば新しい輸送の仕組みを生み出して、お客様に喜んでもらうような仕事をしたいと思っていたのですが、社内にその仕組みを生み出すような先進的な取り組みをする部署はありませんでした。営業活動も基本的に既存荷主からの大口案件に頼ったもので、荷主が進出するからその国に進出するというスタンスなので、新興国への進出も他社に比べてとても遅くなっていました。このスタイルで何十年と経営しているのですから会社的には問題はないのでしょうが、私には合っていなかったようです。

次に就業環境についての疑問です。社内でも評価の高い営業マンでも土曜日出勤は当たり前、一度夕方に帰宅して夕飯を家族と食べてから再度会社に来ている課長もいました。また、休日の接待ゴルフや上司からの飲みの誘いもしょっちゅう発生するようでした。
「本当に自分が好きな仕事で、よほどお金が必要であればこの環境も耐えられるのかもしれないけれど、そこまでしてやるほどの仕事なのかな?」 といった疑問が生まれてきました。
また、女性総合職が一向に増えないのを見て、会社の女性総合職の雇用に対する考え方に疑問を抱き始めました。採用を本格的に始めたのは私の2つ上の代からですが、採用数は多くても毎年2人、採用0人という年もありました。そのうえ私の同期を含め退職者もぽつぽつ出始め、異動を希望する方も出ていました。女性総合職採用開始時期なので失敗を繰り返していく試行段階の過渡期にちょうど当たっていたのかもしれません。多くが内勤部門に配属され、私の興味のあった国際輸送部門は下も上も全く配属人数が増えそうにありませんでした。

以上のことに加えて30歳を過ぎたら女性は特に転職し辛いと聞いたことがあったので、人生一度きりだし、転職を真剣に考えてみようかなと思い始めました。しかしその時だけの気の迷いで決めてしまっては危ないのではないかと思い、半年は様子を見て、半年経過しても自分の気持ちが変わらなければ退職しようと決めました。
その後転職市場の状況を知るために、一度何社か転職エージェントに登録をしました。そして、関西で面談ができる会社のみ面談をしました。この時一回(株)エリートネットワークさんにも登録をしたのですが、面談実施場所が関東のみだったため、この時は登録のみでその後の連絡をこちらからしておりませんでした。関西に支社のあるエージェントさんと面談した際は、どのような求人があるのか、物流業者からの退職者がどのような会社に転職したのかといった内容を伺いました。担当者の方からは、前職の経験を生かすことができるためメーカーの物流部門に移る人が多いということを聞き、転職先の選択肢のひとつに考えるようになりました。

それから半年間、お客様への提案営業や、物流業者選定への入札参加など、法人営業としての新しい経験を積み重ねましたが、退職したいという気持ちは変わっていませんでした。そしてちょうど半年経った時期に母親が精神的な要因から体調を崩し、祖母も介護が必要な状態になっており、実家の様子が分からない状況に強い不安を感じていました。
給料や待遇には満足してはいましたが、会社内で特に目標もなく、実家から遠く離れた場所で働くことに何のメリットがあるのだろうと思い、退職を決定しました。

働いているうちに、自分の中で大切にしていきたいことの優先順位が変わっていったのだと思います。
一般職への変更や、東京への異動も選択肢としては考えられたのですが、もうこの会社での仕事に対する情熱がすっかりなくなっていたので、この選択肢を再検討する必要もありませんでした。

有給休暇を取得することはほぼ不可能だったので、在職中は一切転職活動をしていませんでした。退職してから実家に戻り、転職活動を開始しました。実家にいて家族の様子を見られることが第一条件でしたので、「転勤なし・東京23区内での勤務」 を最優先条件としました。そのうえで、自分のキャリアが生かせる・興味の持てる仕事を探すことにしました。転勤なし、を条件とすると一般職的な職務が多く給料も下がってしまうのですが、実家が都内なので、多少給料が低くても特に問題はありませんでした。転職活動を始める前に不安だったことは、とても行ってみたい業界や絶対やりたい仕事が特になかったので、自分に合う会社がなかなか見つからない可能性もありそうだということでした。業界もこの時点では絞り切れていませんでした。

(株)エリートネットワークさんにこちらから再度書類を送り、転職相談をさせて頂きました。ご担当者の方からは転職活動初期でまだ忙しくなっていないタイミングなので、興味を持った企業は一通り応募してみましょう、とご提案頂き、幅広い業界の求人案件を紹介して頂きました。
ある日電話で紹介をされた求人の中に、今回内定を頂いた企業の名前がありました。企業名を伝えられた時は、初めて聞いた名前だったのであまりピンとこなかったのですが、HPで調べると元々興味のあった機械・プラントの貿易を行っている会社でした。貿易であれば今までの経験も生かせるかもしれないし、せっかくだから受けてみようかな、と思い、応募をお願いしました。

前職でも機械・プラントの輸送には興味があり、スケールの大きい輸送は若手社員の憧れる貨物でした。しかし、元々大型貨物は受注の機会も多くなく、ベテランの社員が営業窓口を担当していたので結局担当はできませんでした。私が担当していた貨物は日用品・おもちゃといったもので、納期要求が厳しく、且つ納期の変更も頻繁に起こるので手間はかかるのですが、一般消費者に対して低価格で販売するものなので利益率はあまり高くありませんでした。

その後、面接官のスケジュールの都合で、面接日程の連絡を頂いたのが前日だったので驚きましたが、ここで日にちを変更して欲しいと言えば、相手から志望度が低いと判断されてしまうかもと思い、一次面接を受けることに致しました。ただ他社の面接も2社同じ日にあり、その準備をしていたために、こちらの会社の準備はHPを軽く見て、面接でよく聞かれそうなことを再度確認する、といった簡単な確認作業で終わってしまいました。

当日の一次面接では固い雰囲気はなく、対話形式になっていたのでリラックスした雰囲気でお話ができました。あまりにリラックスしてしまったので、「何か失礼なことを言ってしまったかも・・・・・」 と面接の後にビクビクしていたほどです。仕事内容を先方から詳しく伝えて頂いたのですが、中国事業を広く手掛けられ、中国語を使う機会も多いため、私のキャリア・中国語能力を生かすことができるポジションなのではないかと感じました。

扱っている商品は日本のメーカーが生産している自動車生産ライン用部品ということで、スケールの大きい商品とは言えませんが、日本の優れた技術を海外に広めるという点でとても意義を感じられる仕事のように思えました。また、一般職とは言っても型にはまった仕事を延々と続けるのではなく、主体的に行動をすることが求められるため、自分が成長できる環境のように思いました。

その後筆記試験を受けて、合格の連絡を受けました。その次は最終面接になるかもしれない、とのことでした。他社も同時に何社か受けていましたが、一番早く選考が進んだこともあり、中途採用の最終面接は何を聞かれるのだろう、と不安に感じていました。そんな時にご担当者の方から連絡があり、志望動機など面接で聞かれる質問の回答を見て下さるとのことでした。回答例を考えていく過程で自分の考え方がまとまりましたし、私が提出した回答に対してアドバイスをして下さったことで客観的な評価を頂けたので、最終面接も落ち着いて迎えられたように思います。

最終面接は営業部長、総務部長、もう一方社員の3名と面接を行いました。総務部長からは 「入る前に誤解があってはいけないので、お互いを知り合う機会としたいと思う」 とお話があり、質問をこちらからして、あちらの回答を聞き、そこで不明点が生じたらまたこちらから質問をする、といった形式で面接は進んでいきました。部長クラスの方でしたので、実務面やHPで分かるような質問をしないように気をつけました。前日に(株)エリートネットワークさんのご担当者の方から質問内容についてもアドバイスをして頂けたので、とても助かりました。

最終面接を受けた当日に内定のご連絡を頂き、私の転職生活は終わりました。転職活動を始めて1ヶ月もかからず、内定先の会社の選考は1週間程度で終了しました。まわりの転職経験者からは、転職活動は縁だ、とよく聞いていましたがまさにその ”縁” を実感した活動でした。まだ働き始めていないのでどうなるかは分かりませんが、自分が当初考えていた基準にぴったりと合う会社を見つけられた結果にとても満足しています。ご担当者の方をはじめ、(株)エリートネットワークさんには大変お世話になり、ありがとうございました。

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