一部上場 大手食品メーカー 経理部 経理担当
4大監査法人 法定監査業務 公認会計士
一部上場企業グループ ベンチャーキャピタル 経営企画部
梶 雅彦 氏 29歳 / 男性
学歴:慶應義塾大学 法学部 法律学科 卒
公認会計士
TOEIC 720点
私は大学時代に公認会計士を目指し、2007年に公認会計士試験に合格しました。当時、公認会計士を目指す強い動機があった訳ではないのですが、 私は何か大学時代に形になるものを残したいと思い、また会計士を目指す友人が沢山いたため、会計士の勉強を始めました。
このように、動機は稚拙なものでありましたが周りの競争環境があったことも手伝い、無事に大学4年生の時に公認会計士試験に合格することが出来ました。
公認会計士を合格後、私は直ぐに四大監査法人に入社します。監査法人では国際部門で、日本基準以外にも米国基準や国際基準 (IFRS) 等の監査経験を積み、忙しいながらも楽しく日々を過ごしておりました。
しかし、私が監査法人に入ってからわずか1年後、非常にショッキングな出来事に遭遇します。リーマン・ショックを契機にした世界的金融危機が起こり、監査法人もその影響を受け、早期退職募集を始めたのです。
私の入社時においてはバブルであった監査法人が、入社後にちやほやされていた新卒社員の自分が、1年足らずで新卒採用の時と同じパートナーに直接退職をほのめかされます。イチ新卒の会計士が精神的ショックを負ったのは想像に難くありません。 (笑)
早期退職をやり過ごして一段落し、また、監査法人における忙しい日々が始まりましたが、このような過去の経験から、監査業務だけこのままやっていてよいのだろうか、、、、、という不安を感じていました。そこで、監査法人入社後から6年目、初めての転職に踏み切ったのです。
私は監査法人時代に、色々な法定監査業務経験を経て、より事業側に携わりたい気持がありました。経理業務ではなく、事業を作り上げるようなポジションに携わってみたい。このため、少し “色気” を出して (笑)、事業会社の経営企画への転職に挑戦しました。
業務としては想定どおり、会社の事業価値を上げるための施策を組んだり、広報部門との連携等、監査業務とは違いダイナミックな面白みがあるものでした。但し、一方で職種を大幅に変えたことにより、さまざまな課題や、自分自身の特性も併せてマイナス面が浮き彫りになりました。
まず、会計士が経営企画に職種変更するには、やはりかなりのディスアドバンテージがあるということです。当たり前ですが、監査法人の中で会計士としてのビジネスに対する理解度と、それを前線で実際にやってきた方とのビジネス理解度は、天と地ほどの差があります。そして監査法人では会計や監査だけに特化しているので、そもそもの ビジネスセンス を身に付けることが難しい環境です。すなわち 「儲ける」 という感覚に疎いのです。
また、職種の転換による実質的な年齢制限も感じました。これは、年齢が上がるにつれてインプット能力や対応力が落ちるということもありますが、会社の仲間に質問したり聞き辛くなるということもあります。
職種の変化が大きいほど (インプットが沢山求められるポジションほど)、会社のメンバーに教えてもらう必要が増えます。但し、中途入社の者にイチから業務を教えてくれるなどあり得ませんから、職種を変えるという点には大きなリスクがあると痛感致しました。
このように厳しい環境の中であったのですが、色いろと戸惑う中でも充実した日々を過ごしていました。その後、入社から間もない段階で家庭の事情により退職を余儀なくされてしまいます。これは、私の人生2度目のショッキングな出来事になりました。一定期間経過後、再び就職活動を開始しますが、短期間での退職をしたことが、後々の転職を困難なものとする原因となってしまいました。
次の転職先も同様に経営企画を考えていましたが、次第に、経理への転職に方向を変えていきました。前職で経営企画という業務に就いたものの、思うようにアウトプットが出せずに苦しんだ面があったからです。会計士としての専門知識を活かし事業に携わるには、まず監査法人での管理会計の経験を基本に据えた方が良いのではないかと考え直したのです。
このため、私は上場会社の経理に再度ターゲットを絞り応募を行いました。ただ、就職活動を開始しましたが、思うように希望の求人に書類が通りません。前職の短期間での退職によって、書類選考の通過が困難になってしまったのです。
このようなマイナスの中で、私の転職活動はスタートしました。
上場企業の求人、特に人気企業の応募倍率は高いので、少しでも経歴に懸念点があると通過出来ません。これは当初想定していたことですが、希望の企業から軒並み書類選考段階で落とされると、精神的にボディーブローのように効いてきます。
妥協をしたくなかった私は、条件・待遇をあまり落としたくありませんでした。しかし、当然、そのような姿勢では、内定は中々得られません。また大手企業の求人の選考期間は長いので、時間はかかるが最後に落とされるということも十分にあり得ます。
仕事を早く見つけなくてはいけない。しかし、妥協はしたくない。。日々貯蓄が減少していく中で、自分自身がどこで手を打つか、大変難しい判断を迫られておりました。
転職活動で大事なのは、自分自身の価値をしっかりと踏まえておくことだと思います。これを踏まえておけば、自分を安売りすることもないし、また青い鳥症候群のような夢追い人になるリスクもありません。
但し、転職マーケットにおける自分の価値というものは、すこぶる曖昧なものです。その判断はプロフェッショナルである転職エージェントの方に尋ねるしかありません。エージェントに対する信頼は非常に大事であることを今回の転職活動で痛感しました。
私は転職を急いでいたため、(株)エリートネットワークの方以外に複数のエージェントの方とお会いしました。その中には、残念ながら、信頼することができなかった方もいらっしゃいました。例えば、最初の段階では企業様から非常に高い評価でオファーが出ると事前に伝え、その後に大幅に評価を落としてくるようなケースです。短時間で決断を迫られる転職活動において、このようなケースは非常に厄介です。
この点、(株)エリートネットワークの杉本様は、基本姿勢が一貫していました。また、私は数年前に一度(株)エリートネットワークの杉本様に相談したことがあり、その際に、転職を止められ、現職でもう少し頑張った方が良いのでは! と、長期的な視野に立ったアドバイスを頂いたことがありました。今回、転職時に私が幸運であったのは、杉本さんという信頼できるエージェントの方が既にいらっしゃったことです。
転職活動を開始して気付かされたのは、信頼関係というものは必要時にはそれを即席で構築することが出来ない、ということです。転職を考えておられる皆様には、ある程度余裕のある段階で、信頼出来るエージェントさんを見つけておくことが大事であると思います。
月並ですが、TOEICの点数もちゃんと取っておくべきだと思います。私自身、TOEICを軽視しており良い点数を取っておらず、その後、これが有るか無いかで大分書類選考通過率が違うことを教えて頂きました。
私は最終的にスコアが間に合いませんでしたが、TOEICは履歴書の見栄えを良くする最も簡単な手段のため、ある程度良い点数を取っておくことをお薦めします。
前述のとおり、このような厳しい状況下の私ではありましたが、最終的に一部上場の大手食品メーカーの経理職の内定を頂くことが出来、活動開始から約3ヶ月後にようやく転職先を決めることが出来ました。このように、私のギリギリの状況での転職活動は、なんとか無事に収束することが出来ました。
この3ヶ月、物理的な期間はそれほど長くありませんが、体感的には2,3年位経ったような気持です。 (笑) 山あり谷あり葛藤ありの転職活動も、最終的に、(株)エリートネットワークの転職カウンセラーの杉本様のお陰で、当初の希望通り大手企業の経理職のポジションに就くことが出来ました。
私と同様に公認会計士で、監査法人にいながら漫然と不安を感じておられている方はいらっしゃると思います。大事なのは、20代において、自分自身のフィールド、特徴を絞っていくことかと思います。
そもそも監査法人は比較的、流動性の高い業界というメリットの反面、各会計士は自分自身でキャリアパスを考えて、自分自身の判断で動いていく必要があります。ただ、実際には、漫然と組織で過ごしている人が多いと思います。
監査業務もどんどん複雑・専門化していますので、会計士として監査業務に特化していくのも大事な選択肢の1つです。只、私の経験上では、恐縮ながらそこまで気概を持って監査業務に特化している方は少なかった様です。
監査以外にも、FAS業務、税務業務、事業会社、個人開業など、会計士はたくさんの選択肢がありますので、30代になる前に自分としての専門性に磨きをかけるべきだと思います。なんとなく過ごすのではなく、目標を具体的に落としこんで決めるのが大事だと思います。
日々の忙しさから、そういった機会を持つことが難しいことは重々承知しておりますが、自分自身が何を目標にするか、徹底的に深く考えることをお薦めします。
そして、一度行動すると経験知は格段に上がります。私は最初の転職で、沢山の気付きがあり、ビジネスへの理解も格段に上がりました。併せて自分の強みと弱みもクリアに分かりました。やはり、会計士の専門家集団の監査法人というのは特殊な組織なのです。是非一度、外に飛び込んでみることをお薦めします。
ただし、当然転職はリスクがある ( =後戻りできない) 決断だということは事前に把握しておくべきです。このため、自分自身で考え抜いて決断して下さい。しかし、最終的にはやはりやってみないと分かりません。 (笑)
私自身、色々なピンチがあったものの最終的には何とかなりました。会計士という資格は1種の保険になってくれますので、監査法人の肩書きを失うのに怯えるのではなく、是非、リスクをとれると考え挑戦して下さい。
また、キャリアについては、将来に向けてストーリーを構築するように心掛けるのが大事だと思います。私の反省も踏まえて、なんとなく 「面白そう、給与が高い」 という理由で決して職種を選ばないことをお薦めします (笑)。
例えば、通常企業が求人を出す場合、ある程度転職者のキャリアや実務経験を想定して採用活動を行います。このため、キャリアの面でも一貫性のあるストーリーを作っていかないと、採用会社の基準に引っかからない人材に見倣されてしまいます。自分の目指すキャリアの目標があれば、それに向かって少しずつ自分の希望を実現していくのが、ストーリーとしても良いと思います。
転職活動は苦しいものですが、自分自身に対する発見が沢山あります。是非、ポジティブに挑戦していって下さい。
末筆になりましたが、 心強いご支援頂きました(株)エリートネットワークの転職カウンセラーの杉本様に、心より御礼を申し上げます。 誠にありがとうございました。