機械音痴の理系院卒女性、まさかのSEに

機械音痴の理系院卒女性、まさかのSEに

No.797
  • 現職

    大手メーカー系優良システム開発会社 SE (システムエンジニア)

  • 前職

    独立行政法人 職員 (正社員)

中村 志織 氏 25歳 / 女性

学歴:東京大学 農学部 フィールド科学専修 卒
東京大学大学院 農学生命科学研究科 修了
TOEIC 950点

私は新卒時の就職活動で、絶対に外せない点が2点ありました。一つは、東京勤務であること。もう一つは女性が働き続けられる職場であること、です。当時、交際していた男性と将来結婚することを前提にして就職活動をすることを約束しました。彼は東京と地方を数年ごとに往復する職種を志望し採用される見込みが高かったため、私が一生働き続けるためには、この二つの条件は絶対に外せないものでした。前職はこの二つを満たす理想的な職場だったのですが、就業後わずか半年で続けていられないと感じてしまいました。

就業環境は旧公務員系の職場であったため、女性の管理職も多くいましたし、一般的に激務と言われる部署も多くはありませんでした。しかし、それゆえの体質でしょうか。新人研修が明けて部署に配属された後、ほぼ全く仕事が与えられず、私は毎日の8割をネットサーフィンをして過ごすことになってしまいました。上司に仕事が欲しい、成長したいと訴えても、私の今居るポジションはそういう仕事だから我慢するべきだ、の一点張りでした。

2つの条件を重視して決めた職場であるものの、それまでどの場所でも物事に真剣に取り組み、また周りもそれが普通であった環境に居たため、これにはかなり強い違和感を覚えてしまいました。そしてまた、安定を求めた結果の就職先ではあるものの、自分の心の中にまだ成長したい、挑戦したい、負けたくない、という強い思いがあることを感じてしまいました。

こうしたことから、私は就業後わずか半年で転職活動をするに至りました。転職活動をするにあたって(株)エリートネットワークさん以外の他社にもお願いしましたが、就業経験がわずか半年で、しかも毎日ただ座っているだけの仕事、学歴だけは高いが仕事に直結するような内容を学んでいないことから、かなり恵まれた職場なのだから前職に留まったほうがいい、とアドバイスを受け、ほぼ門前払いの状態でした。

そうして諦めかけている時に、たまたまネットサーフィンで(株)エリートネットワーク様の 『転職体験記』 を見つけました。そこに掲載されている様々な人たちの転職までの経緯を見て、そこにある生の声に惹かれ、何となく転職相談の申込みをしてしまいました。翌日、退勤後、携帯の留守電に転職カウンセラーの今沢様からのメッセージが録音されていました。同じ大学のOBであること、一度話を伺いたい、との短いメッセージでしたが、何故か私は 「この人に諦めろと言われたら綺麗さっぱり転職は諦めて、折り合いをつけよう」 と、決心しました。ただの勘でしたが今思うと、今沢様の口調に、転職のプロとしての意気込みや深い洞察や経験を感じたのだと思います。

カウンセリング当日、今沢様に出会い様に言われたのは 「中村さん、あなた転職の必要はないのではないですか。」 でした。私は内心、ああやっぱり、と思いつつ、転職をしたいと思うようになった経緯から、新卒時にどうして前職を選んだのか、どうして上記の2つの条件を外せないのか、を訥々と話しました。また、これも何故だか判らないのですが、いつのまにか一生働き続けたいこと、このまま婚約者のサポート役になるのは嫌なこと、私が大学で学んだ専攻を選んだ理由など、洗いざらい話してしまっていました。普段そこまで他人に事情を話すことなどなかったため、これにはさすがに自分でも驚きました。そうした話をした後、今沢様は私がどうしてももっと真剣に働きたいことを理解して下さり、力強く 「なんとかしましょう!」 と私の転職活動を請け負って下さいました。何故だか判らないのですが、今沢様は私の転職に勝算を持っていらっしゃるようでした。私は驚きつつも、今までとは風向きが変わってきたことを感じ、明るい気持ちで家に帰ったことを覚えています。

後日、今沢様から私が応募できる企業の求人案件が2社送られてきました。一つは、総合職だが基本的に東京勤務でワークライフバランスが整った大手生命保険会社、もう一つは社名も今まで全く知らなかった中規模IT企業でした。今沢様からのメールの文面から、後者を推していることを感じたものの、私はそれまで携帯はガラケー、パソコンはインターネットのセットアップも自分でしたことがなく、大学の教養課程の情報の授業では単位ぎりぎりの成績で、家族や友人からは機械音痴だと思われていたため、ひとまず後者は保留にさせて頂きました。どう考えても私がSEとしてやっていけるとは思えなかったからです。今沢様との面談時、私にIT業界の構造や労働環境についても上流ならば心配はないこと等を熱心にお話しされていたことも覚えていましたが、ITへの知識や愛着もゼロの私が採用面接に挑んでも、落とされるのは確実だとも思っていました。

そういう理由で、まずは前者の大手生命保険会社に応募することにしました。面接前には企業hpを熟読し、IR情報もチェックし、志望理由など面接で話す内容も考えて行きました。しかし、あっさり一次面接で落とされてしまいました。理由は 「考え方が暗い」 とのことでした。今沢様を通じて不採用理由を聞いた時、かなりショックでした。自分では笑顔でお話していたつもりだったのに、そんなに私は見るからに暗い人間なのでしょうか? と。今思えば、私は物事を何事もネガティブに受け取る癖があり、それが面接官に伝わってしまっていたのでしょう。阿呆なことをしたものです。

そんな時に、後者の中堅IT企業について今沢様から連絡がきました。「エリートネットワークからご紹介した大学院生が採用された。もう数名同じような人を探している。中村さんのことを話したら、採用担当者が是非会ってみたいと言っておられる。SEに不安があるのなら、非情報系学部出身で一から勉強した先輩社員と話せる機会を設けるそうだから、一度会ってみてはどうか」。私は内心、私がSEとして働くのは無理だろうな、と思いつつ、今沢様の話からIT業界に興味が出てきたこともあり一度お伺いすることになりました。

先方の採用担当の方とお会いした時には、正直にたいしてITスキルがある訳でもなく、機械音痴の気さえあることをお話ししました。ですが何故か、先方からは私と話していてSEとしての適性がないとは思えない、とのお言葉を頂きました。そして、「プログラミングは貴方が想像しているより敷居の高いものではないし、難しいものではない。貴方はSEに求められるものを現実よりも遥かに高いと想像してしまっている。」 とも言われ、SEの仕事内容について詳しく説明してある入門書と、プログラミング練習ができるオンラインサイトを紹介されました。そして、選考に進む意思が固まったら再度面接に来るように言われ、初回の面談は終わりました。

まさかIT企業の採用担当者の方にSEとしての適性があると言われるとは想像してもいなかったので、かなり驚いてしまい若干展開に付いて行けずに混乱しつつも、言われた通り入門書とプログラミング練習を始めてみました。そして、SEはただプログラミングをする職業ではなく、本質的には、業務を切り分けて効率化のためにはどうすればいいかを考える仕事であり、企業の経営課題にまで関わる仕事であることを知り、想像していたよりも面白くやり甲斐があるように思えるようになりました。また、心配していたプログラミングについても、紹介されたサイトでJavaScriptを練習してみましたが、全く抵抗なく理解できてしまい、拍子抜けをするほどでした。

そうしてITに対する恐れが薄れてくると、IT業界そのものについてや、その企業の事業内容や業界での立ち位置、自分がそこでどのように活躍できて、どのようなスキルを身に付けることができるのか、について興味が湧いてきました。そのIT企業は400人という規模ながらシステムの上流から下流まで一貫して全ての工程を担うことができ、教育・研修制度が整っておりSEとして成長するには非常に良い環境でした。また離職率が1%台と非常に低く、男女の年齢差がほとんどなく育休後の女性も活躍されていました。実際、面接時に私の出身大学のOGの方にお会いする機会を頂きましたが、出産後も活躍されている女性が多く、ご自身もお子さんを二人お持ちでした。正直、激務で有名なSE職でこんなにも女性が働き易い企業があるのかと驚いてしまいました。

そうして私は、その中堅IT企業の選考に進むことを決めました。採用担当者から適性があるとは言われたものの、他の人事の方やSEとしてその会社で活躍されている方々とお話したらボロが出るかもしれないとも思っていたのですが、そんなことはなく最終面接を経て内定を頂くことになりました。内定をもらった際、私が本当に適性があるのか再度考えましたが、それまでに会った同社の方々が魅力的で仕事にやり甲斐を持って働かれていることを感じ、私もこうなりたいと思って入社を決めました。

現在は研修中でプログラミングを勉強していますが、当初あれだけSEへの適性について疑問視していたにも拘わらず、ほぼつまずく所がなく提出課題の評価もそれなりに高いといった状況です。自他共に認める機械音痴が何故と思いますが、元もとが理屈っぽい性格のため中身とルールが判れば問題なかったようです。英語の勉強と同じような感覚で勉強しています。また、社内の方々も明るく優しく、けれども時に厳しく接して下さっています。社会人としての良い再スタートを切れそうです。

転職をしようと思う時には、大抵、その業界・企業・職種に対する根拠のないあやふやなイメージで受ける企業を決めがちだと思います。ですが、同じ業界でも各企業によって働き方は様々で一括りにはできません。また、自分はこの職種はできない、この職種向きではない、と頭から思い込まずに少し見てみるといいかもしれません。案外、自分のできることは自分の想像よりも多いかも判りません。

今回、転職カウンセラーの今沢様に大変お世話になりました。東京勤務で女性が長く働き続けられ、総合職がいい、というある意味難しい要求にピンポイントで合致した企業を紹介して下さり、私がSEとしてやっていけるか判らないと不安で泣き言を言った時も叱咤激励して下さいました。また、前職との退職交渉で揉めた際にも対応の仕方をすぐに教えて下さいました。正に何から何までお世話になってしまいました。
4月から新しい職場で心機一転頑張って行こうと思います。今沢様、(株)エリートネットワークの皆様、本当にありがとうございました。

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